村人むらびと)” の例文
メンデルスゾーンの『五月の微風メイ・ブリーズ』(J五五二一)、サンサーンスの『白鳥』、ポッパーの『村人むらびとの歌』(J五五二五)などはやや新しい。
女の亭主らしい男は、なに思ったか、急に大勢の村人むらびとをこう制して、相手の風態ふうていを、足の先からっぺんまで見直して言った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつのまにか、月日つきひはたってしまった。そして、彼女かのじょのことは、おりおり、村人むらびとくちのぼるくらいのもので、だんだんとわすれられていった。
北の不思議な話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そののちおとこはすっかりこころれかえ、村人むらびとからもうらやまるるほど夫婦仲ふうふなかくなりました。現在げんざいでもその子孫しそんはたしか彼地かのちさかえてはずでございます……。
白寮権現はくりょうごんげんの神職を真先まっさきに、禰宜ねぎ村人むらびと一同。仕丁続いてづ——神職、年四十ばかり、色白く肥えて、鼻下びかひげあり。落ちたる鉄槌を奪うとひとしく、お沢の肩をつかむ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
葡萄黒むころ、たゞ一たばいばらをもて、村人むらびとかこあなといふとも、かのむれ我等をはなれし後 一九—
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
痩せて黄色になつた顔には、もとの面影がもはや無いとつても、白きを交へてまばらに延びた鬚髯しゆぜんのあたりを見てゐると、かき村人むらびと時代の顔容をおもひ起させるものがあつた。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
あるひ七十五尺しちじゆうごしやくといふようなたかさの洪水こうずいとなり、合計ごうけい二萬七千人にまんしちせんにん人命じんめいうばつたのに、港灣こうわん兩翼端りようよくたんではわづか數尺すうしやくにすぎないほどのものであつたし、其夜そのよ沖合おきあひ漁獵ぎよりようつてゐた村人むらびと
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
村人むらびとたちは夕ぐれ時、頭から手の先まですっかりつつみこんだかっこうで、人通ひとどおりの少ないうら道とか、木のしげりあったくらいじめじめした場所を散歩さんぽしているれいの男にでくわすと
個人の智恵や技術だけでは成就じょうじゅの望みがないと思う場合でも、これがただ一つの家だけの私の利益ではなくして、村人むらびと多数のともに切望するところでありますということを明らかにすれば
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
なぜなら、どういうわけか、この地蔵じぞうさんには村人むらびとたちがよく草鞋わらじをあげるので、ちょうどそのあたらしいちいさい草鞋わらじ地蔵じぞうさんのあしもとにあげられてあったのである。——というのでした。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ほかにも、とほつてゐるふねがある。自分じぶんふねつて、たびをしてゐる。あゝして、むかうとほつてゐるふねかられば、われ/\をばこの藤江ふぢえうらで、すゝきりをしてゐる海人あま村人むらびとてゐるだらうよ。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
之に反してトロイアの軍は豐かの村人むらびと
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
村人むらびと數多あまたきたれども
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
それは、村人むらびとげるときにてきわたすのをしんでれていったり、またころしてててしまったりしたのであります。
酒倉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくしとすればただ土地とち人達ひとたちかわって竜神りゅうじんさんに御祈願ごきがんをこめたまでのことで、私自身わたくしじしんなんはたらきのあったわけではないのでございますが、そうした経緯いきさつ無邪気むじゃき村人むらびとわかろうはずもございません。
部落の家には、みな人穴城ひとあなじょう残党ざんとうがおしこみ、衣食をうばわれた善良な村人むらびとは、老幼男女ろうようなんにょ、のこらず裸体はだかにされて、森のなかに押しこめられている。まことにこれ、白昼の大公盗だいこうとう、目もあてられぬ惨状さんじょうだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ええ。」「疫病がみ。」村人むらびとらまた退しさる。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし、からすは、それをくわえて、いずこへとなく、みんなってしまって、村人むらびとにはいった小判こばんは、やっと二まいしかありませんでした。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
平生へいぜいは、だれも、このおてらへはまいりませんが、なつになって、ひでりがつづきますと、村人むらびとあつまって相談そうだんをするのでした。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
って、とうげ村人むらびとは、よくここのこしかけにやすんで、おちゃをのんだりたばこをすったりしていました。
青葉の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのくる、おじいさんは気分きぶんわるくなってとこにつくと、すやすやとねむるようにんでしまいました。いいおじいさんをなくして、村人むらびとかなしみました。
犬と人と花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
っているので、しぜんとあしが、そのほういたのかもしれぬと、そう、そのときのようすを村人むらびとはなすと
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
子供こどもは、くちして、そのことをいいませんでしたけれど、いつか村人むらびとは、ついにこれをつけました。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
牛女うしおんなが、また西にしやまあらわれた。あんなに子供こどもうえ心配しんぱいしている。かわいそうなものだ。」と、村人むらびとはいって、その子供こどものめんどうをよくてやったのす。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「まあ、達者たっしゃで、おくにのためにはたらいていてくれれば結構けっこうなことだ、かみさまをおがんで、めでたく凱旋がいせんするのをっていらっしゃい。」と、村人むらびとは、老人ろうじん元気げんきづけたのです。
夜の進軍らっぱ (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、つきあかるいばんなど、このあたりからこるふえは、まん霊魂れいこんをなぐさめるものとおもわれました。そして、村人むらびとみみに、切々せつせつとして、かなしいしらべをおくるのでした。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むらまちあいだに、一けん医院いいんがあります。村人むらびとにいわせると、この医者いしゃくすりたかいから、めったに、かかれない。だから、どこでもぐすりで、まにあわせるといううわさをしました。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
丹塗にぬりのやしろも、なが月日つきひ雨風あめかぜにさらされて、くちたり、こわれたりして、そのたびに、村人むらびとによっててかえられたけれど、まだわずかに、むかし面影おもかげだけは、のこっていました。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
村人むらびとは、はたけかられたものをって、おじいさんの庭先にわさきへやってまいりました。
犬と人と花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、古墳こふんのくわしい記録きろくなどは、もはや、どこにものこっていませんでした。ただとお祖先そせんのものにちがいないが、いまの村人むらびとには、そのつくられた時代じだいすら、よくわからなかったのです。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
幾年いくねんぎた、あるはるののどかなでありました。いつかあにくるませてやった不思議ふしぎ老人ろうじんが、このむらへまわってきました。そして、村人むらびとから兄弟きょうだいはなしをきいたときに、老人ろうじん感心かんしんしました。
村の兄弟 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まえとおかおなじみの村人むらびとは、こえをかけていったものです。
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)
村人むらびとがそのことをわすれてしまった、ゆきえたころです。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
村人むらびとは、どうしたことかと心配しんぱいでなりませんでした。
犬と人と花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その村人むらびとも、そういって、わらいました。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)