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島田髷
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しまだまげ
ふりがな文庫
“
島田髷
(
しまだまげ
)” の例文
それが何と、髪振り乱して、鼠色の着付を引摺った幽霊でもあることか、水々しい
島田髷
(
しまだまげ
)
に、薄化粧までした、十七八の美しい娘。
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そう云う声と共に、むっくり
島田髷
(
しまだまげ
)
を擡げたのは、新参のお花と云う、色の白い、髪の
絿
(
ちぢ
)
れた、おかめのような顔の、十六七の娘である。
心中
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
艶々
(
つやつや
)
したる
島田髷
(
しまだまげ
)
も少しとけかかり、自由自在に行きつもどりつして泳ぐさまは、
竜
(
たつ
)
の都の
乙姫
(
おとひめ
)
が、
光氏
(
みつうじ
)
を慕って河に現じたり。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「お駒ちやん、もうこの頃は白い
丈長
(
たけなが
)
懸けんのかい。」と、定吉は、
俯向
(
うつむ
)
いて咽せてゐるお駒の
島田髷
(
しまだまげ
)
の
搖
(
ゆら
)
いでゐるのを見ながら言つた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
奥殿
(
おくどの
)
の風雲
転
(
うた
)
た急なる時、
襖
(
ふすま
)
しとやかに外より開かれて、
島田髷
(
しまだまげ
)
の小間使
慇懃
(
いんぎん
)
に手をつかへ「旦那様、海軍の官房から電話で御座いまする」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
▼ もっと見る
処
(
ところ
)
で、
名剣神社
(
めいけんじんじゃ
)
前の、もとの、私どもの横町の錦絵の中で、今の、それ、婀娜一番、という
島田髷
(
しまだまげ
)
を覚えていらっしゃろう。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それを着ている女のからだも一緒に揉み苦茶になって、結い立ての
島田髷
(
しまだまげ
)
も根から頽れてしまった。彼女は苦しい息の下で、泣きながら男に詫びた。
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それは
紙燭
(
しそく
)
のようなものを手にした
島田髷
(
しまだまげ
)
の
壮
(
わか
)
い女であった。傍には
彼
(
か
)
の年増が小さくなって
俯向
(
うつむ
)
いていた。
馬の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そこへ
娼妓
(
しょうぎ
)
たちでしょう、頭にかぶさる位の大きな
島田髷
(
しまだまげ
)
に、
花簪
(
はなかんざし
)
の長い房もゆらゆらと、広い
紅繻子
(
べにじゅす
)
や
緋鹿
(
ひが
)
の
子
(
こ
)
の
衿
(
えり
)
をかけた派手な
仕掛
(
しかけ
)
姿で、手拍子を打って
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「あたしの名前? 名前なんか聞いてどうするの……でも教えてあげましょうか。
島田髷
(
しまだまげ
)
の女——よ」
鍵から抜け出した女
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その日戸外で紙芝居を見て家に帰ると、縁側に
茣蓙
(
ござ
)
を敷いて、母となかやともう一人
島田髷
(
しまだまげ
)
の若い女の人が、神棚や仏壇の真鍮製の器具を磨きずなでみがいていた。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
文化文政には正式な
髪
(
かみ
)
は
丸髷
(
まるまげ
)
と
島田髷
(
しまだまげ
)
とであった。かつ島田髷としてはほとんど
文金高髷
(
ぶんきんたかまげ
)
に限られた。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
島田髷
(
しまだまげ
)
に
平打
(
ひらうち
)
をさして、こてこて白粉や紅を塗って、
瘟気
(
いきれ
)
のする人込みのなかを歩いているお庄の
猥
(
みだ
)
らなような顔が、明るいところへ出ると、
羞
(
はじ
)
らわしげに
赧
(
あか
)
らんだ。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
自分から近所の人に、萩原様の所へ幽霊の来るのを己が
慥
(
たし
)
かに見たが、幽霊が二人でボン/\をして通り、一人は
島田髷
(
しまだまげ
)
の
新造
(
しんぞ
)
で、一人は年増で牡丹の花の付いた灯籠を
提
(
さ
)
げていた
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
伯父の家というのは、愛宕下の
薬師
(
やくし
)
の裏通りのごたごたした新道にある射的屋であった。
島田髷
(
しまだまげ
)
に結って
白紛
(
おしろい
)
をべったり塗って店に
坐
(
すわ
)
っていたのが、宝沢の従妹に当たるお玉であった。
暴風雨に終わった一日
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
近頃
(
ちかごろ
)
はやり
物
(
もの
)
のひとつになった
黄縞格子
(
きじまごうし
)
の
薄物
(
うすもの
)
に、
菊菱
(
きくびし
)
の
模様
(
もよう
)
のある
緋呉羅
(
ひごら
)
の
帯
(
おび
)
を
締
(
し
)
めて、
首
(
くび
)
から
胸
(
むね
)
へ、
紅絹
(
べにぎぬ
)
の
守袋
(
まもりぶくろ
)
の
紐
(
ひも
)
をのぞかせたおせんは、
洗
(
あら
)
い
髪
(
がみ
)
に
結
(
ゆ
)
いあげた
島田髷
(
しまだまげ
)
も
清々
(
すがすが
)
しく
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
その
島田髷
(
しまだまげ
)
や帯の乱れた後ろ姿が、
嘲弄
(
ちょうろう
)
の言葉のように目を打つと、親佐は口びるをかみしめたが、足音だけはしとやかに
階子段
(
はしごだん
)
を上がって、いつもに似ず書斎の戸の前に立ち止まって
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
島田髷
(
しまだまげ
)
の時代には売物にならなかった
御面相
(
ごめんそう
)
が、
口紅
(
くちべに
)
、
爪紅
(
つまべに
)
、ハイヒールで堂々と寿司通仲間に侵入し、
羽振
(
はぶ
)
りを利かす時代になってしまった。昔ならほとんど見られなかった風景である。
握り寿司の名人
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
僕は中途で鏡台の
傍
(
そば
)
を離れて、美くしい
島田髷
(
しまだまげ
)
をいただく女が男から
強奪
(
ごうだつ
)
する嘆賞の租税を
免
(
まぬ
)
かれたつもりでいた。その時の僕はそれほどこの女の虚栄心に
媚
(
こ
)
びる好意を
有
(
も
)
たなかったのである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小町
(
こまち
)
が
色
(
いろ
)
を
衒
(
て
)
らふ
島田髷
(
しまだまげ
)
の
寫眞鏡
(
しやしんきやう
)
、
式部
(
しきぶ
)
が
才
(
さい
)
にほこる
英文和譯
(
ゑいぶんわやく
)
、つんで
机上
(
きじよう
)
にうづたかけれども
此男
(
このおとこ
)
なんの
望
(
のぞ
)
み
有
(
あ
)
りてか
有
(
あ
)
らずか、
仲人
(
なかうど
)
が
百
(
もヽ
)
さへづり
聞
(
きヽ
)
ながしにして
夫
(
そ
)
れなりけりとは
不審
(
いぶか
)
しからずや
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
女権拡張の説をもち、十七、八の花の盛りの令嬢が、
島田髷
(
しまだまげ
)
で、
黄八丈
(
きはちじょう
)
の振袖で演壇にたって自由党の箱入り娘とよばれた。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
平たき
面
(
おもて
)
に半白の
疎髯
(
そぜん
)
ヒネリつゝ
傲然
(
がうぜん
)
として乗り入る
後
(
うし
)
ろより、
未
(
ま
)
だ十七八の盛装せる
島田髷
(
しまだまげ
)
の少女、
肥満
(
ふとつちよう
)
なる体をゆすぶりつゝ
笑
(
ゑみ
)
傾
(
かたむ
)
けて従へり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
つい目の前を、ああ、
島田髷
(
しまだまげ
)
が流れる……
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
切
(
きれ
)
が解けて浮いて、トちらりと見たのは、
一条
(
ひとすじ
)
の
真赤
(
まっか
)
な蛇。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黙ってお辞儀をして、これだけが看板の大きな
島田髷
(
しまだまげ
)
を
傾
(
かし
)
げるように白い顔をそっとあげました。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこには洋館の入口の扉を半ば開けて
島田髷
(
しまだまげ
)
の女が
半身
(
はんしん
)
を
露
(
あら
)
わしていた。それは
昨夜
(
ゆうべ
)
飲み物を
搬
(
はこ
)
んで来た女であった。謙作は
昨夜
(
ゆうべ
)
の家の前に帰っていることに気が
注
(
つ
)
いた。
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ひょいと
島田髷
(
しまだまげ
)
を前へ
俯向
(
うつむ
)
けると、
脊柱
(
せきちゅう
)
の処の着物を
一掴
(
ひとつか
)
み、ぐっと下へ引っ張って着たような襟元に、
尖
(
さき
)
を下にした三角形の、白いぼんの
窪
(
くぼ
)
が見える。純一はふとこう思った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
失敗
(
しま
)
った! ハッと振りかえってみると、そこには結いたての
島田髷
(
しまだまげ
)
に美しい振袖を着た美しい女が立っていて、僕の両腕の急所を、女とは思えぬ力でもってグッと締めつけているのだった。
鍵から抜け出した女
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
墮馬髻
(
だばきつ
)
のものたるや、がつくり
島田
(
しまだ
)
と
云
(
い
)
ふに
同
(
おな
)
じ。
案
(
あん
)
ずるに、
潰
(
つぶし
)
と
云
(
い
)
ひ、
藝子
(
げいこ
)
と
云
(
い
)
ひ
投
(
なげ
)
と
云
(
い
)
ひ、
奴
(
やつこ
)
はた
文金
(
ぶんきん
)
、
我
(
わ
)
が
島田髷
(
しまだまげ
)
のがつくりと
成
(
な
)
るは、
非常
(
ひじやう
)
の
時
(
とき
)
のみ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
身扮
(
みなり
)
は黒羽二重、両刀を少し
閂
(
かんぬき
)
に、背の高さまで男になりきっておりますが、ガラッ八が手を伸ばして頭巾を解くと、下から現れたのは、
初々
(
ういうい
)
しくも見事な
島田髷
(
しまだまげ
)
ではありませんか。
銭形平次捕物控:126 辻斬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いま
通
(
とほ
)
つて
來
(
き
)
た。あの
土間
(
どま
)
の
處
(
ところ
)
に
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けてな、
草鞋
(
わらぢ
)
で
一飯
(
したく
)
をしたものよ。
爐端
(
ろばた
)
で
挨拶
(
あいさつ
)
をした、
面長
(
おもなが
)
な
媼
(
ばあ
)
さんを
見
(
み
)
たか。……
其
(
そ
)
の
時分
(
じぶん
)
は、
島田髷
(
しまだまげ
)
で
惱
(
なや
)
ませたぜ。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私がさう言ふと、お袖さんに似てゐるだらうと、からかつた人もありますが、影法師の方は
島田髷
(
しまだまげ
)
がひどくこはれて、兩手を前へダラリと下げてゐるんですもの、お袖さんとは似ちや居ません
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
慌
(
あわただ
)
しくはないが散り散りの中へ
交
(
まじ
)
って……御休所と油障子に大きく書いたのを、背中へ
背負
(
しょ
)
って、
緋
(
ひ
)
めれんすの
蹴出
(
けだ
)
しで
島田髷
(
しまだまげ
)
の娘が、すたすたと、向うの吹上げの池を廻る処を
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
風
(
かぜ
)
が
出
(
で
)
ました、もう
霽
(
あが
)
りませう。」「これはありがたい、お
禮
(
れい
)
を
言
(
い
)
ふよ。」「ほほほ。」ふつくり
色白
(
いろじろ
)
で、
帶
(
おび
)
をきちんとした
島田髷
(
しまだまげ
)
の
女中
(
ぢよちう
)
は、
白地
(
しろぢ
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
の
世話
(
せわ
)
をしながら
笑
(
わら
)
つたが
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
夜食
(
やしよく
)
の
膳
(
ぜん
)
で「あゝあ、
何
(
なん
)
だい
此
(
こ
)
れは?」
給仕
(
きふじ
)
に
居
(
ゐ
)
てくれた
島田髷
(
しまだまげ
)
の
女中
(
ねえ
)
さんが、「
鯰
(
なまづ
)
ですの。」
鯰
(
なまづ
)
の
魚軒
(
さしみ
)
、
冷
(
つめ
)
たい
綿屑
(
わたくづ
)
を
頬張
(
ほゝば
)
つた。
勿論
(
もちろん
)
、
宿錢
(
やどせん
)
は
廉
(
やす
)
い。いや、
羹
(
あつもの
)
も
食
(
く
)
はず、
鯰
(
なまづ
)
を
吐
(
は
)
いた。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
萌黄
(
もえぎ
)
、
淡紅
(
ときいろ
)
しどけない
夜
(
よる
)
の
調度
(
てうど
)
も
部屋々々
(
へや/″\
)
にあからさまで、
下屋
(
したや
)
の
端
(
はし
)
には、
紅
(
あか
)
い
切
(
きれ
)
も
翻々
(
ひら/\
)
する。
寢轉
(
ねころ
)
んだ
男
(
をとこ
)
、
柱
(
はしら
)
に
凭
(
よ
)
つた
圓髷姿
(
まるまげすがた
)
、
膳
(
ぜん
)
を
運
(
はこ
)
ぶ
島田髷
(
しまだまげ
)
が
縁側
(
えんがは
)
を——
恁
(
か
)
う
宙
(
ちう
)
に
釣下
(
つりさが
)
つたやうに
通
(
とほ
)
る。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“島田髷”の解説
島田髷(しまだまげ)は、日本髪において最も一般的な女髷。特に未婚女性や花柳界の女性が多く結った。
(出典:Wikipedia)
島
常用漢字
小3
部首:⼭
10画
田
常用漢字
小1
部首:⽥
5画
髷
漢検1級
部首:⾽
16画
“島田”で始まる語句
島田
島田宿
島田三郎
島田篁村
島田沼南
島田首
島田屋
島田崩
島田髭
島田市