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なかま
ふりがな文庫
“
夥間
(
なかま
)” の例文
……たかだかは人間同士、
夥間
(
なかま
)
うちで、白い
柔
(
やわらか
)
な
膩身
(
あぶらみ
)
を、炎の燃立つ絹に包んで蒸しながら売り渡すのが、峠の関所かと心得ます。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、女紅場の
沐浴
(
もくよく
)
に、美しき
膚
(
はだ
)
を衆に
抽
(
ぬ
)
き、解き揃えた黒髪は、
夥間
(
なかま
)
の丈を
圧
(
おさ
)
えたけれども、一人
渠
(
かれ
)
は、住吉の式に
連
(
つらな
)
る事をしなかった。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若様にはお
覚違
(
おぼえちが
)
いでござります。彼等
夥間
(
なかま
)
に結納と申すは、親々が縁を結び、
媒妁人
(
なこうど
)
の手をもち、婚約の祝儀、目録を贈りますでござります。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其が
夥間
(
なかま
)
の一人だつたのが分つたから、声を掛けると、
黒人
(
くろんぼ
)
が
突倒
(
つきたお
)
して、船は其のまゝ
朱色
(
しゅいろ
)
の海へ、ぶく/\と出たんだとさ……可哀相ねえ。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
それ
)
が
夥間
(
なかま
)
の
一人
(
ひとり
)
だつたのが
分
(
わか
)
つたから、
聲
(
こゑ
)
を
掛
(
か
)
けると、
黒人
(
くろんぼ
)
が
突倒
(
つきたふ
)
して、
船
(
ふね
)
は
其
(
そ
)
のまゝ
朱色
(
しゆいろ
)
の
海
(
うみ
)
へ、ぶく/\と
出
(
で
)
たんだとさ……
可哀相
(
かはいさう
)
ねえ。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
多くの草刈
夥間
(
なかま
)
は
驟雨
(
ゆうだち
)
に
狼狽
(
ろうばい
)
して、蟻のごとく走り去りしに、
渠
(
かれ
)
一人老体の疲労
劇
(
はげ
)
しく、足
蹌踉
(
よろぼ
)
いて避け得ざりしなり。
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ちよツ、
馬鹿親仁
(
ばかおやぢ
)
。」と
年紀
(
とし
)
の
若
(
わか
)
い、
娑婆氣
(
しやばツけ
)
らしい
夥間
(
なかま
)
の
車夫
(
わかいしゆ
)
が、
後歩行
(
うしろあるき
)
をしながら、
私
(
わたし
)
の
方
(
はう
)
へずつと
寄
(
よ
)
つて
來
(
き
)
て
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夫人 ええ、
武士
(
さむらい
)
たちの
夥間
(
なかま
)
ならば、貴方のお生命を取りましょう。私と一所には、いつまでもお活きなさいまし。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
釣の道でも(岡)と
称
(
な
)
がつくと
軽
(
かろ
)
んぜられる。銑吉のも、しかもその岡惚れである。その癖、
夥間
(
なかま
)
で評判である。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婦
(
をんな
)
は、と
見
(
み
)
ると、
其
(
それ
)
は、
夥間
(
なかま
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
くらしく、
踞
(
しやが
)
んだなりに、くるりと
此方
(
こつち
)
に
向直
(
むきなほ
)
つた、
帶
(
おび
)
も
膝
(
ひざ
)
も、くな/\と
疊
(
たゝ
)
まれさうなが、
咽喉
(
のど
)
のあたりは
白
(
しろ
)
かつた。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
(
的等
(
てきら
)
にも聞かせたい。)と宗山が言われます、とちょろりと
饒舌
(
しゃべ
)
った。
私
(
わっし
)
が
夥間
(
なかま
)
を——(的等。)と言う。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
で
突掛
(
つッかか
)
るように
刎附
(
はねつ
)
ける、同じ腕白
夥間
(
なかま
)
に大勢
馴染
(
なじみ
)
が出来たから、新仕込のだんべいか何かで、色も
真黒
(
まっくろ
)
になった。
母様
(
かあさん
)
がまたこれを大層喜んでいたもんです。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
⦅あゝ、
奥様
(
おくさま
)
、
私
(
わたくし
)
は
獣
(
けだもの
)
になりたうございます。あいら、
皆
(
みんな
)
畜生
(
ちくしやう
)
で、この
猿
(
さる
)
めが
夥間
(
なかま
)
でござりましやう。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
夥間
(
なかま
)
の友だちが話しました事を、——その大木戸向うで、蝋燭の
香
(
におい
)
を、
芬
(
ぷん
)
と
酔爛
(
よいただ
)
れた、ここへ、その脳へ差込まれましたために、ふと
好事
(
ものずき
)
な心が、火取虫といった形で
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とまくし立てて、
怯
(
ひる
)
むところへ単刀直入、「しばらく足を洗ったために、乞食
夥間
(
なかま
)
を
省
(
はぶ
)
かれた。
面桶
(
めんつう
)
持って稼がれねえ。今この家を出るが最後、人間の干物になります。 ...
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
維新以来の世がわりに、……
一時
(
ひとしきり
)
私等の稼業がすたれて、
夥間
(
なかま
)
が食うに困ったと思え。弓矢取っては一万石、大名株の芸人が、イヤ
楊枝
(
ようじ
)
を削る、かるめら焼を露店で売る。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「図々しいじゃあないの、(狐、さあ、
夥間
(
なかま
)
づきあいに一つ酌をしてくれ。本来は、ここのこの塚は、白い幽霊の出る処だ。)
親仁様
(
おとっさん
)
、まだ驚かすつもりでいるのかしら。」
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
津や浦の
果
(
はて
)
から果を
一網
(
ひとあみ
)
にもせい、人間
夥間
(
なかま
)
が、
大海原
(
おおうなばら
)
から取入れます
獲
(
え
)
ものというは、貝に
溜
(
たま
)
った
雫
(
しずく
)
ほどにいささかなものでござっての、お腰元衆など思うてもみられまい
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
嘴
(
くちばし
)
を
引傾
(
ひっかた
)
げて、ことん/\と案じて見れば、われらは、これ、余り
性
(
たち
)
の
善
(
い
)
い
夥間
(
なかま
)
でないな。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの人たちに訳を話すと、おなじ
境界
(
きょうがい
)
にある
夥間
(
なかま
)
だ、よくのみ込むであろうから、爺さんをお前さんの父親、
小児
(
こども
)
を弟に、不意に尋ねて来た分に、治兵衛の方へ構えるが
可
(
よ
)
い。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
怪
(
あやし
)
い
可恐
(
おそろし
)
いものが
顕
(
あら
)
われようとも、それが、小母さんのお
夥間
(
なかま
)
の気がするために、何となく
心易
(
こころやす
)
くって、いつの間にか、
小児
(
こども
)
の癖に、場所柄を、さして
憚
(
はばか
)
らないでいたのである。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
街道
(
かいどう
)
の車夫は組合を設けて、建場建場に連絡を通ずるがゆえに、今この車夫が馬車に
後
(
おく
)
れて、
喘
(
あえ
)
ぎ喘ぎ走るを見るより、そこに客待ちせる
夥間
(
なかま
)
の一人は、手に
唾
(
つば
)
して
躍
(
おど
)
り出で
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
同
(
おんな
)
じ産神様
氏子
(
うじこ
)
夥間
(
なかま
)
じゃ。承知なれど、
私
(
わし
)
はこれ、手がこの通り、思うように荷が着けられぬ。
御身
(
おみ
)
たちあんばいよう直さっしゃい、荷の上へ
載
(
の
)
せべい、と
爺
(
じじい
)
どのが云いますとの。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その晩、おなじ千羽ヶ淵へ、ずぶずぶの
夥間
(
なかま
)
だったのに、なまじ死にはぐれると、今さら気味が悪くなって、町をうろつくにも、山の手の辻へ廻って、箔屋の前は通らなかった。……
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ああ、しかし、こういっても——不思議ともいうべき、めぐり合せで、その時、一つ
傘
(
からかさ
)
で連立っていた——お冬さんを、おなじ化され
夥間
(
なかま
)
だと思われては
情
(
なさけ
)
ない。申訳がないのです。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは
平吉
(
へいきち
)
……
平
(
へい
)
さんと言うが
早解
(
はやわか
)
り。織次の亡き親父と同じ
夥間
(
なかま
)
の職人である。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
噫
(
ああ
)
、
噫
(
あ
)
、世も許し、人も許し、何よりも自分も許して、今時も河岸をぞめいているのであったら、ここでぷッつりと数珠を切る処だ!……思えば、むかし、
夥間
(
なかま
)
の飲友達の、遊び
呆
(
ほう
)
けて
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
百人長の手を
掉
(
ふ
)
りて
頻
(
しき
)
りに一同を
鎮
(
しず
)
むるにぞ、その命なきに
前
(
さき
)
だちて決して毒手を下さざるべく、
予
(
かね
)
て
警
(
いまし
)
むる処やありけん、
地踏韛
(
じだんだ
)
蹈
(
ふ
)
みてたけり立つをも、
夥間
(
なかま
)
同志が抑制して、
拳
(
こぶし
)
を押へ
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
やあ、緑青色の
夥間
(
なかま
)
に
恥
(
は
)
じよ、
染殿
(
そめどの
)
の
御后
(
おんきさい
)
を
垣間
(
かいま
)
見た、
天狗
(
てんぐ
)
が通力を失って、羽の折れた
鵄
(
とび
)
となって都大路にふたふたと
羽搏
(
はう
)
ったごとく……
慌
(
あわただ
)
しい
遁
(
に
)
げ方して、通用門から、どたりと廻る。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これに
吃驚
(
びっくり
)
して、何の事とも知らないで、気の弱い方だから、もう、わびをして欲しそうに、
夥間
(
なかま
)
の職人たちを、うろうろと
眗
(
みまわ
)
しながら、(な、なんぞ
粗忽
(
そそう
)
でも。)お師匠筋へ手をつくと
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
成程、随分
夥間
(
なかま
)
には、
此奴
(
こいつ
)
に(的等。)扱いにされようというのが少くない。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
まだその騒ぎの無い内、
当地
(
こちら
)
で、本郷のね、春木町の裏長屋を借りて、
夥間
(
なかま
)
と自炊をしたことがありましたっけが、その時も前の年火事があったといって、何年にもない、大変な蚊でしたよ。
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
百人長の手を
掉
(
ふ
)
りて
頻
(
しき
)
りに一同を鎮むるにぞ、その命なきに
前
(
さき
)
だちて決して毒手を下さざるべく、かねて
警
(
いまし
)
むる処やありけん、
地踏韜
(
じだんだ
)
蹈
(
ふ
)
みてたけり立つをも、
夥間
(
なかま
)
同志が抑制して、
拳
(
こぶし
)
を押え
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こはこの風説早くも聞えて、
赤髯奴
(
せきぜんど
)
の
譎計
(
けっけい
)
に憤激せる草刈
夥間
(
なかま
)
が、三郎の
吉左右
(
きっそう
)
を待つ間、示威運動を行うなり。大助これを見て
地蹈韛
(
じだんだ
)
を踏みて狂喜し、欄干に片足懸けて半身を乗出だしつ。
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
和蘭陀
(
オランダ
)
のは騒がなかつたが、
蕃蛇剌馬
(
ばんじゃらあまん
)
の
酋長
(
しゅうちょう
)
は、帯を
手繰
(
たぐ
)
つて、長剣の
柄
(
つか
)
へ手を掛けました。……此のお
夥間
(
なかま
)
です……人の
売買
(
うりかい
)
をする
連中
(
れんじゅう
)
は……まあね、槍は給仕が、此も
慌
(
あわ
)
てて受取つたつて。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
和蘭陀
(
オランダ
)
のは
騷
(
さわ
)
がなかつたが、
蕃蛇剌馬
(
ばんじやらあまん
)
の
酋長
(
しうちやう
)
は、
帶
(
おび
)
を
手繰
(
たぐ
)
つて、
長劍
(
ちやうけん
)
の
柄
(
つか
)
へ
手
(
て
)
を
掛
(
か
)
けました。……
此
(
こ
)
のお
夥間
(
なかま
)
です……
人
(
ひと
)
の
賣買
(
うりかひ
)
をする
連中
(
れんぢう
)
は……まあね、
槍
(
やり
)
は
給仕
(
きふじ
)
が、
此
(
これ
)
も
慌
(
あわ
)
てて
受取
(
うけと
)
つたつて。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ああ、奥様、
私
(
わたくし
)
は
獣
(
けだもの
)
になりとうございます。あいら、
皆
(
みんな
)
畜生で、この猿めが
夥間
(
なかま
)
でござりましょう。それで、手前達の同類にものをくわせながら、人間一
疋
(
ぴき
)
の
私
(
わたくし
)
には目を懸けぬのでござります。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
前
(
ぜん
)
は、貴方が、西洋からお帰り時分、よく、お
夥間
(
なかま
)
と
御贔屓
(
ごひいき
)
を遊ばして、いらしって下さいました、日本橋の……(うっとりと更に画家の顔を見る)——お忘れでございますか、お料理の
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と続いた、
手
(
てん
)
ぼう蟹は、
夥間
(
なかま
)
の穴の上を
冷飯草履
(
ひやめしぞうり
)
、両足をしゃちこばらせて、舞鶴の紋の白い、
萌黄
(
もえぎ
)
の、これも
大包
(
おおづつみ
)
。夜具を入れたのを
引背負
(
ひっしょ
)
ったは、民が
塗炭
(
とたん
)
に
苦
(
くるし
)
んだ、戦国時代の
駆落
(
かけおち
)
めく。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
孑孑め、女だって友だちだ、頼みある
夥間
(
なかま
)
じゃないか。黒髪を腰へ
捌
(
さば
)
いた、
緋縅
(
ひおどし
)
の若い女が、敵の城へ一番乗で塀際へ着いた処を、孑孑が
這上
(
はいあが
)
って、乳の下を
擽
(
くすぐ
)
って、同じ
溝
(
どぶ
)
の中へ引込むんだ。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二の烏 かぶろうとも、
背負
(
しょ
)
おうとも。かぶった処で、背負った処で、人間のした事は、人間同士が勝手に
夥間
(
なかま
)
うちで帳面づらを合せて
行
(
ゆ
)
く、勘定の
遣
(
や
)
り取りする。俺たちが構う事は少しもない。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二の烏 かぶらうとも、
背負
(
しょ
)
はうとも。かぶつた
処
(
ところ
)
で、
背負
(
しょ
)
つた
処
(
ところ
)
で、人間のした事は、人間同士が勝手に
夥間
(
なかま
)
うちで帳面づらを合せて行く、勘定の
遣
(
や
)
り取りする。俺たちが構ふ事は少しもない。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
作者
夥間
(
なかま
)
の、しかも
兄哥
(
あにき
)
が、このしみったれじゃあ、あの亭主にさぞ肩身が狭かろう、と
三和土
(
たたき
)
へ入ると、根岸の日蔭は、はや薄寒く、見通しの庭に
薄
(
すすき
)
が
靡
(
なび
)
いて、秋の雲の白いのが、ちらちらと
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
円くて
渋面
(
しぶつら
)
の
親仁様
(
おとっさん
)
が、
団栗目
(
どんぐりめ
)
をぎろぎろと遣って、(狐か——俺は天狗だぞ、
可恐
(
こわ
)
いぞ。)と云うから、(可恐いもんですか。)ってそう云うと、(成程、化もの
夥間
(
なかま
)
だ、わはは。)
大
(
おおき
)
な声なの。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
てまい
)
なぞは見物の方で、お
社
(
やしろ
)
前は、おなじ
夥間
(
なかま
)
で
充満
(
いっぱい
)
でございました。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
近頃は作者
夥間
(
なかま
)
も、ひとりぎめに偉くなって、割前の
宴会
(
のみかい
)
の座敷でなく、我が家の大広間で、
脇息
(
きょうそく
)
と名づくる殿様道具の
几
(
おしまずき
)
に
倚
(
よ
)
って、近う……などと、若い人たちを
頤
(
あご
)
で
麾
(
さしまね
)
く
剽軽者
(
ひょうきんもの
)
さえあると聞く。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
就中
(
なかんずく
)
、風呂敷にも
袂
(
たもと
)
にも懐にも盗みあまって、
手当
(
てあたり
)
次第に家々から、
夥間
(
なかま
)
が大道へ投散らした、
霰
(
あられ
)
のごとき衣類調度は、ひた流しにずるずると、山から海へ掃き出して、ここにあらかじめ
纜
(
もや
)
った船に
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
悪左衛門をはじめ
夥間
(
なかま
)
一統、すなわちその人間の瞬く間を世界とする——瞬くという一秒時には、日輪の光によって、
御身
(
おみ
)
等が
顔容
(
かおかたち
)
、衣服の
一切
(
すべて
)
、
睫毛
(
まつげ
)
までも写し取らせて、御身等その生命の終る後
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
己に毒薬を
装
(
も
)
らせたし、ばれかかったお道さんの一件を、穏便にさせるために、大奥方の計らいで、院長に
押附
(
おッつ
)
けたんだ。己と合棒の万太と云う、幼馴染の掏摸の
夥間
(
なかま
)
が、ちゃんと
材料
(
たね
)
を上げていら。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
唯
(
ただ
)
御身達
(
おみたち
)
のやうなものは、
活
(
い
)
けて置かぬが
夥間
(
なかま
)
の
掟
(
おきて
)
だ。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
夥
漢検1級
部首:⼣
14画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
“夥”で始まる語句
夥
夥多
夥伴
夥多敷
夥兵
夥中
夥度
夥敷