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到底
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とうてい
ふりがな文庫
“
到底
(
とうてい
)” の例文
一時二人の結婚は
到底
(
とうてい
)
不可能だと絶望していた時分、二人はまだ外国へ旅立たなかった自分の書斎を、せめてもの会合場にしていた。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
第二にその神学の解釈に
至
(
いた
)
っては私の最疑義を有する所であります。
殊
(
こと
)
にも摂理の解釈に至っては
到底
(
とうてい
)
博士は信者とは云われませぬ。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
分りかねるならば、
択
(
えら
)
んで行く途なし。さらばやはりみんな買って行こうとすると、これだけ
嵩
(
かさ
)
ばったものを
到底
(
とうてい
)
持ち出しかねる。
共軛回転弾:――金博士シリーズ・11――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そう
思
(
おも
)
えばますます
居堪
(
いたま
)
らず、
衝
(
つ
)
と
立
(
た
)
って
隅
(
すみ
)
から
隅
(
すみ
)
へと
歩
(
ある
)
いて
見
(
み
)
る。『そうしてからどうする、ああ
到底
(
とうてい
)
居堪
(
いたたま
)
らぬ、こんな
風
(
ふう
)
で一
生
(
しょう
)
!』
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その内
妻
(
さい
)
の母が病気になりました。医者に見せると
到底
(
とうてい
)
癒
(
なお
)
らないという診断でした。私は力の及ぶかぎり懇切に看護をしてやりました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
殊
(
こと
)
に
今日
(
こんにち
)
は鉄道も有り電信も有る世界にて警察の力を
潜
(
くゞ
)
り
果
(
おお
)
せるとは
到底
(
とうてい
)
出来ざる所にして、
晩
(
おそ
)
かれ早かれ露見して罰せらるゝは一つなり。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
共和政治そのものは、よほど文明の程度の高いものでなければ
到底
(
とうてい
)
行わるるものではない。名は共和政治といっても
畢竟
(
ひっきょう
)
は小数者の政治だ。
日支親善策如何:――我輩の日支親善論
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
これ
等
(
ら
)
の件々は
逐一
(
ちくいち
)
計
(
かぞ
)
うるに
暇
(
いとま
)
あらず。
到底
(
とうてい
)
上下両等の士族は
各
(
おのおの
)
その等類の内に
些少
(
さしょう
)
の
分別
(
ぶんべつ
)
ありといえども、動かすべからざるものに非ず。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
崋山
(
かざん
)
に至りては女郎雲助の類をさへ描きてしかも筆端に一点の俗気を存せず。
人品
(
じんぴん
)
の高かりしためにやあらむ。
到底
(
とうてい
)
文晁輩の及ぶ所に非ず。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
大人には
到底
(
とうてい
)
考えられぬことだが、あれは何と言っているのだろうかという疑問は、今でも鳥や虫に対して子供が持っている。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
一つの
姿
(
すがた
)
から
他
(
た
)
の
姿
(
すがた
)
に
移
(
うつ
)
り
変
(
かわ
)
ることの
迅
(
はや
)
さは、
到底
(
とうてい
)
造
(
つく
)
り
附
(
つ
)
けの
肉体
(
にくたい
)
で
包
(
つつ
)
まれた、
地上
(
ちじょう
)
の
人間
(
にんげん
)
の
想像
(
そうぞう
)
の
限
(
かぎ
)
りではございませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
砂
(
すな
)
すべりの
谷
(
たに
)
、
一名
(
いちめい
)
を
死
(
し
)
の
谷
(
たに
)
と
呼
(
よ
)
ばるゝ
程
(
ほど
)
で、
一度
(
いちど
)
此
(
この
)
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
へ
陷落
(
かんらく
)
したるものは、
到底
(
とうてい
)
免
(
の
)
がれ
出
(
で
)
る
事
(
こと
)
は
出來
(
でき
)
ないのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
棒押
(
ばうを
)
しに於ては村内の人民
敢
(
あへ
)
て之に
勝
(
か
)
つものなしと云ふ、一夕小西君と
棒押
(
ばうを
)
しを試みしも
到底
(
とうてい
)
其
対手
(
あひて
)
に非ざるなり、此他の諸君も皆
健脚
(
けんきやく
)
の人のみ
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
前髪の垂れた若侍、——そう云うのを皆甚内とすれば、あの男の
正体
(
しょうたい
)
を見分ける事さえ、
到底
(
とうてい
)
人力には及ばない筈です。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
修行の年月は、彼よりも浅いが、死力を尽して立合え。怖らく、
技
(
わざ
)
に於ては、そちは
到底
(
とうてい
)
、善鬼の敵ではあるまい。及ばぬこと遠いとわしは視る。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで私達は、——父と私とは、——
到底
(
とうてい
)
一致すべくもないちぐはぐな心を抱きながら、今しばらくは同じ家のうちに住まなければならなかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「といってだよ、たとえば、水棲人といえるものになって沼の底へはいったにしろ、もう三上は
到底
(
とうてい
)
生きちゃいまい」
人外魔境:05 水棲人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
右のごとき
始末
(
しまつ
)
にして、外国政府が日本の内乱に
乗
(
じょう
)
じ
兵力
(
へいりょく
)
を用いて
大
(
おおい
)
に
干渉
(
かんしょう
)
を試みんとするの
意志
(
いし
)
を
懐
(
いだ
)
きたるなど
到底
(
とうてい
)
思
(
おも
)
いも寄らざるところなれども
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
それは多少の年齢による
歪
(
ゆが
)
みと粗雑さはあるにしても、他の人達では
到底
(
とうてい
)
及び得ない
雰囲気
(
ふんいき
)
を
醸
(
かも
)
し出しているからである(ビクター、パハマン選集)。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
すこぶる
多端
(
たたん
)
なりし、しかも平地に於ける準備と異なり、
音信不通
(
いんしんふつう
)
の場所なれば、もし必要品の一だも欠くることあらんか、
到底
(
とうてい
)
これを
需
(
もと
)
むるに道なし
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
妊娠の
煩
(
わずら
)
い、産の
苦痛
(
くるしみ
)
、こういう事は
到底
(
とうてい
)
男の方に解る物ではなかろうかと存じます。女は恋をするにも
命掛
(
いのちがけ
)
です。しかし男は必ずしもそうと限りません。
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そんなに小さなものは
到底
(
とうてい
)
見えなかったであろうと思われるが、しかし彼の眼には、花の切り口から、一、二滴の液体が蜥蜴の頭に落ちたと見えたのである。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
いえいえ、兄は
到底
(
とうてい
)
あなた様の敵ではござりませぬ、同じ
逸見
(
へんみ
)
の道場で腕を磨いたとは申せ、竜之助殿と我等とは段違いと、つねづね兄も申しておりまする。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
原文の方はどうか分らぬが、写しの方は誤字誤文が
夥
(
はなはだ
)
しく、
振
(
ふ
)
り
仮名
(
がな
)
等にも
覚束
(
おぼつか
)
ない所が多々あって、
到底
(
とうてい
)
正式の教養ある者の筆に成ったとは信ぜられない。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
妾
(
わたし
)
は頼みなき身をこのたより少なき無情の夫の家にながらえいる、
最早
(
もはや
)
妾
(
わたし
)
の
病
(
やまい
)
も
到底
(
とうてい
)
治ることもあるまい
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
さて編輯の体裁に就きて議すべきこと少からず、
乍失敬
(
しっけいながら
)
アア無秩序にては
到底
(
とうてい
)
田舎雑誌たるを免かれず候。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
園
(
その
)
さんの話しによると、この一週間ばかり普賢にいつも霧がかかり展望が得られないので、今日の
時雨空
(
しぐれぞら
)
から推すと、明日も
到底
(
とうてい
)
霧晴れは望まれまいというのだ。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
なぜならわずかよりできない貴族品だけでは美の国は
到底
(
とうてい
)
実現されないからです。
贅沢
(
ぜいたく
)
な高価な品物のみが美しいなら、大衆と美とは全く交渉がなくなるからです。
美の国と民芸
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
到底
(
とうてい
)
自分のような
光沢
(
こうたく
)
も
匂
(
にお
)
いもない力だけの人間が、崖の上の連中に入ったら不調和な
惨敗
(
ざんぱい
)
ときまっている。わけて真佐子のような天女型の女性とは
等匹
(
とうひつ
)
できまい。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
後世に残された語録の
字面
(
じづら
)
などからは
到底
(
とうてい
)
想像も出来ぬ・極めて説得的な弁舌を孔子は
有
(
も
)
っていた。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
もし私がみずからそれを観たのでなかったらば、その迷信が非常に拡がっていることを
到底
(
とうてい
)
信じ得なかったであろう。今度の航海で、迷信はまったく流行してしまった。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
こんな
海嘯
(
つなみ
)
などは、
到底
(
とうてい
)
人間
(
にんげん
)
の
力
(
ちから
)
で
防
(
ふせ
)
ぎ
止
(
と
)
めることは
出來
(
でき
)
ませんが、しかし、もし
海岸
(
かいがん
)
に
浴
(
そ
)
うて
帶
(
おび
)
のように
森林
(
しんりん
)
があれば、
非常
(
ひじよう
)
な
速力
(
そくりよく
)
でおし
寄
(
よ
)
せてくる
潮水
(
しほみづ
)
の
勢
(
いきほひ
)
を
殺
(
そ
)
ぎ
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
おかしな奴だと思って
不図
(
ふと
)
見ると、
交番所
(
こうばんしょ
)
の前に立っていた巡査だ、巡査は笑いながら「
一体
(
いったい
)
今何をしていたのか」と訊くから、何しろこんな、
出水
(
しゅっすい
)
で
到底
(
とうてい
)
渡れないから
今戸狐
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
お袋の申通り
家
(
うち
)
を
有
(
も
)
つようになれば
到底
(
とうてい
)
妻
(
さい
)
を貰わずに置けますまいが、しかし気心も解らぬ者を
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
次に鐘を叩くとカアーンと音がする、その音は影も形もなく
駈
(
かけ
)
るように遠くに響いて行く、人間の
拵
(
こしら
)
えた説明では
到底
(
とうてい
)
その理由が満足に判らない、これも確かに
怪物
(
ばけもの
)
である。
大きな怪物
(新字新仮名)
/
平井金三
(著)
社会の状態かくの如し、外交問題激起せざるも、
到底
(
とうてい
)
革命は
免
(
まぬか
)
るべからざるなり。
而
(
しこう
)
してさらに甚しきものあり。精神的革命の
冥黙
(
めいもく
)
の中に成就せられつつあることこれなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
真紀 あなたのお裁縫は、私が見たって、
到底
(
とうてい
)
卒業の見込みはありゃしないよ。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
漸々
(
ようよう
)
二人が近寄って
遂
(
つい
)
に
通過
(
とおりす
)
ぎる途端、私は思わずその
煙草
(
たばこ
)
を一服強く吸った拍子に、その火でその人の横顔を
一寸
(
ちょいと
)
見ると驚いた、その
蒼褪
(
あおざめ
)
た顔といったら、
到底
(
とうてい
)
人間の顔とは思われない
青銅鬼
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
そのうちに
鶏卵
(
たまご
)
の
殻
(
から
)
から出るように、火の玉の一つ一つから驚くべき物が爆発して、空中に充満した。それは血のない醜悪な幼虫のたぐいで、わたしには
到底
(
とうてい
)
なんとも説明のしようがない。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
そんなことで、
到底
(
とうてい
)
相手にされなかつた。それに子
供
(
とも
)
だましの
寫眞器
(
しやしんき
)
の二三円でも、
當
(
とう
)
時では、
可
(
か
)
なりの
贅澤品
(
ぜいたくひん
)
に
違
(
ちが
)
ひなかつたし、
然
(
しか
)
るべき
寫眞器
(
しやしんき
)
など、
無論
(
むろん
)
買
(
か
)
つてもらへるはずもなかつた。
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
鍛冶富は、人のうわさによれば、だいぶお艶に食指が動いてそのために、金もつぎこめば、また
到底
(
とうてい
)
そのほうの望みがないとわかってからは、かなり激しく貸し金の催促もしたようだけれど。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
がその時、氏は
到底
(
とうてい
)
その誘惑には勝つことができなかったと述懐した。
地図にない街
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
わが
輩
(
はい
)
は英雄を崇拝する、わが輩は英雄たらんとしつつある。わが輩は諸君が英雄たることを望む、小説や音楽や芝居やさらにもっとも下劣なる活動写真を見るようなやつは
到底
(
とうてい
)
英雄にはなれない。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
ところで犯人も
到底
(
とうてい
)
知
(
しれ
)
ずにはいまいと考え、ほとぼりのさめた頃京都市を
脱出
(
ぬけだ
)
して、
大津
(
おおつ
)
まで来た時何か変な事があったが、それを
耐
(
こら
)
えて
土山宿
(
つちやまじゅく
)
まで
漸
(
ようや
)
く
落延
(
おちの
)
び、同所の
大野家
(
おおのや
)
と云う
旅宿屋
(
やどや
)
へ泊ると
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
到底
(
とうてい
)
普通の女人では
辿
(
たど
)
ることの出来ない道であった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
到底
(
とうてい
)
この少年の
咽喉
(
のど
)
から出たものではない。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
といわれたけれどもそれは
到底
(
とうてい
)
駄目
(
だめ
)
です。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
結局病死とするのが一番平凡で簡単な解決だ。しかし自分は
到底
(
とうてい
)
それで満足できないのだ。この上は屍体解剖の結果を待つより外はあるまい
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
教師といえば吾輩の主人も近頃に至っては
到底
(
とうてい
)
水彩画において
望
(
のぞみ
)
のない事を悟ったものと見えて十二月一日の日記にこんな事をかきつけた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
双方共に
苟
(
いやしく
)
も封建の残夢を
却掃
(
きゃくそう
)
して精神を高尚の地位に保つこと
能
(
あた
)
わざる者より以下は、
到底
(
とうてい
)
この
貸借
(
たいしゃく
)
の念を絶つこと能わず。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
到
常用漢字
中学
部首:⼑
8画
底
常用漢字
小4
部首:⼴
8画
“到”で始まる語句
到
到頭
到着
到達
到来物
到来
到処
到著
到々
到來