どう)” の例文
駕籠舁どもは大いにわらひコレ旦那だんなどうした事をいひなさる此道中は初めてと見えるゆゑ夫リヤア大方おほかた此宿の者が御客をつるつもりの話しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
やっと二三十けんばかりの処に近づいて、月の光りにすかして見ると、提燈ばかりが歩いているのでなく、どうやら人が持っているのだ。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夫も詳しくは覚えぬと云いますけれどどうだか顔が面長くて別に是と云う癖も無く一寸ちょっと見覚えの出来にくい恰好だッたと申ます
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
父の姿を家に見なかった幾月かの間、母はどうして生計をたてていたのだろうか。この頃からぼくは母の代りに屡〻しばしば、質屋のかどを潜った。
頭痛がするツて寝て仕舞つてサ、昨日も今日も御飯もたべず、頭が痛えか、腰が痛えか知らないが、一体まア、どう思つて居るんだ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
一首の意は、若しもこの日本の国にあなたのような方がお二人おいでになると思うことが出来ますならば、どうしてこんなになげきましょう。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
これが即ちしんじよなるものであらう。「どうも淡泊でいゝでやすな」と言つて北湖先生はそのしんじよに大きな齒形を殘して盛んに召上る。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
おいらのふのはよめさんのことさ、年寄としよりはどうでもいとあるに、れは大失敗おほしくじりだねとふでやの女房にようぼうおもしろづくに御機嫌ごきげんりぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もう宿の善悪よしあしえらぶにいとまなく、ただ泊めて呉れさえすれば宜しいとうので無暗むやみ歩行あるいて、どうこうか二晩とまって三日目に小倉に着きました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
然し發表したつてどうなる? 可いかね? 君はまさか逢坂がいくら氣に喰はんたつて、それで以て逢坂と同じ日の下に
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
其方の声がぴたと止まったら、どうなすったかと思って見ると、彼の可厭な学生が其の顔を凝乎じっと見て居るのでした。
昇降場 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
「そんなら、ひても信仰を求めたらどうでせう。或る場合には築上きづきあげるんですね。無信仰の時代なんて、そんな事を考へただけでも恐ろしいですね。」
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
なんでしょうか生埋いきうめにするなどというと、わっちも人情として誠に困りますがねえ、何を悪い事をしたか、どう云う訳ですえ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私は自分の気がすゝまないと、いくらおどかされてもどうされても、どうもいけません。わが儘な悪い癖なのだらうか、それとも余りに正直過ぎるのかしら?
青白き公園 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「何だよ光、何をすてる? 其の白いものあ。うん、ハンケチか。どうする」お光は答えない。黙ってしまった。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
いざそれをはっきりと片付けようとすると、どこかが神経衰弱でどうにも出来ないといったような状態である。
国民性の問題 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その時、彼はふと右手を上衣のポケットに入れた。どうやら覚えのない小さなものが手に触れたので、ハテナと思いながら取り出してみると、小さな紙包である。
琥珀のパイプ (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
尊い上人様の御慈悲は充分了つて居て露ばかりも難有う無は思はぬが、あゝどうにもかうにもならぬことぢや、相手は恩のある源太親方、それに恨の向けやうもなし
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ちよんぼりとあるうすまゆどうやらいたいけなつくりだけれども、鬼薊おにあざみはなかとばかりすら/\とびて、わる天窓あたまでもでてやつたらてのひらさゝりさうでとげ/\しい。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しかも、それはどこまでも表面のおかあさんに適当な条件であつて裏面の女性をどうしやうも無い。
秋の夜がたり (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
の以来かつかか怪異あやしみを見た者もなく、現に十五六年来もの別荘に住む番人夫婦すらも、かつて見もせず聞きもせぬ幽霊の姿を、無関係の私がどうして偶然に見たのであろう
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「なにどうかする。——だれいたつて、さう善くわかりやしまい。第一時間じかんがないから已を得ない」と、寺尾は、誤訳よりも生活費の方が大事件である如くてんから極めてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
何分なにぶんにも年若としわかむすめのこととてはずかしさが先立さきだち、格別かくべつのお取持とりもちもできなかった……。』ひめはあっさりと、ただそれっきりしかおくちにはされませんでしたが、どうやらお二人ふたりあいだつないだ
周三しうざうは、畫架ぐわかむかツて、どうやらボンヤリ考込かんがへこむでゐた。モデルに使つかツてゐるかれ所謂いわゆる平民へいみんむすめ』は、時間じかんまへかへツてツたといふに、周三はだ畫架の前をうごかずに考へてゐる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
台湾館に来る匆々そうそうからどうやら物を言いたそうな眼付きをして、あっしの方を見ておったように思いますがね。そいつを一方のチイチイってやつが感付いて横槍を入れたものらしいんです。ヘエヘエ。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「いや。どうもかう度々たび/\宿舎をお引受ではおこまりでせう。あはゝゝ。」
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
どうして、あのチッバルトと立合たちあふことなぞが出來でけうぞい。
どうしてピムキンは、何にでも鼻柱つっこむだべえ。
ピムキン、でかした! (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
どうする? 馬鹿を見るのは自分ばかりだ。
泡鳴五部作:01 発展 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
殺す時機じき因果いんぐわづくだが斷念あきらめて成佛じやうぶつしやれお安殿と又切付れば手を合せどうでも私を殺すのか二人の娘にあふまではしにともないぞや/\と刄にすがるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それに梅子などはどうやら其の僻論へきろんに感染して居るらしいので、おほいに其の不心得を叱つたことだ、ことに近頃彼女あれの結婚について相談最中のであるから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「他の子供衆は皆んな学校へ行きなさるのに、うちの清吉ばかりどうしてこう意気地がないのだろう。」と母親は泣いた。
蝋人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すた/\と軽い草履の音が後ろに近づいたと思ふと、『どうしたの、新太郎さん?』と言つた声は、藤野さんであつた。
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
私は女の方は、日本の人か知ら、他国の人じゃないかと思いました。ですけれども、顔だけはどう見ても日本の人!
昇降場 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
それだからあやまつたとふぢやないかサア多舌しやべつるうちに小間物屋こまものやのまへはとほりこして仕舞しまつた。あらマアどうしませうねへさきにもありますから。
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
小村は真面目に、「は、有ります、尤もあれが真のラブと云ふものかどうか、そこは分りませんが。」と云ふ。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
どうぞ旦那様へ宜しくお礼を仰しゃって下さいまし……旦那これからは何うぞ何方どちらへ往らっしゃいまして、御膳を上りましても詰らない御散財でございますから
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
どうでも詰らぬ恋を商買しょうばい道具の一刀にきっすて、横道入らずに奈良へでも西洋へでもゆかれた方が良い、婚礼なぞ勧めたは爺が一生の誤り、外に悪い事おぼえはないが
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
し又紙入を持ぬにしても煙草入は是非持て居ました彼れは非常な煙草好ですから(荻)それどうにして分る(大)夫は誰にも分る事です私しは死骸の口を引開て歯の裏を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
れい公園こうゑんのぼさか尻垂坂しりたれざかどうしたこと? 母衣町ほろまちは、十二階邊じふにかいへん意味いみかよひしがいましからざるなり。——六斗林ろくとばやしたけのこ名物めいぶつ目黒めぐろ秋刀魚さんまにあらず、實際じつさいたけのこなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
急いで開けると、あ! 先刻さっき欲しいと思った黄金製カフスボタンじゃないか。彼は眼をこすった。その途端左のポケットにもどうやら重味を感じた。左のポケットから出たのは、金側時計であった。
琥珀のパイプ (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
とよは花見どころのさわぎではない。もうどうしていゝのか分らない。望みをかけた一人息子ひとりむすこ長吉ちやうきちは試験に落第してしまつたばかりか、もう学校へはきたくない、学問はいやだとひ出した。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
貴方あなたこれからさきどうしたらいと云ふ希望はありませんか」と聞いた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「あゝ、あの騒々しい楽隊か、チエツ、馬鹿にしてゐやがら! が、まあ結構だよ。借りて来たのなら掛けて見るが好いさ。こいつはどうしても今日中に仕上げてしまはなければならないんだから。」
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
どうやらうやら布哇を捜出さがしだして、其処そこへ寄港して三、四日逗留した。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
『牢番が。……牢番がどうして来たのだろう』
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
明日又早く床を出られるかどうかは?
故意わざと重四郎は氣の付ぬふりにて夫は願つても無い僥倖さいはひさういふ口なら金の百兩ぐらゐどうともして才覺さいかく致しますなんと御世話を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
茶をすゝむる妻の小皺こじわいちじるしき顔をテカ/\と磨きて、いまはしき迄艶装わかづくりせる姿をジロリ/\とながめつゝ「ぢやア、お加女かめ、つまりどうするツて云ふんだ、梅ののぞみは」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
じったっていると手足がしびれて来てだんだん気が遠くなった。遂に何処にどうしているのやら分らなくなった。——種々いろんなものが見えた。種々な音が聞え始めた。
越後の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)