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じゅう
ふりがな文庫
“
中
(
じゅう
)” の例文
依
(
よっ
)
て此間
中
(
じゅう
)
よりギボン、モンセン、スミス等諸家の著述を
渉猟
(
しょうりょう
)
致し
居候
(
おりそうら
)
えども
未
(
いま
)
だに発見の
端緒
(
たんしょ
)
をも
見出
(
みいだ
)
し得ざるは残念の至に
存候
(
ぞんじそろ
)
。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見
(
み
)
ればそこら
中
(
じゅう
)
が、きれいな
草地
(
くさち
)
で、そして
恰好
(
かっこう
)
の
良
(
よ
)
いさまざまの
樹草
(
じゅそう
)
……
松
(
まつ
)
、
梅
(
うめ
)
、
竹
(
たけ
)
、その
他
(
た
)
があちこちに
点綴
(
てんせつ
)
して
居
(
い
)
るのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
とうとうお
釜
(
かま
)
が上まで
真
(
ま
)
っ
赤
(
か
)
に
焼
(
や
)
けました。その
時分
(
じぶん
)
には、
山姥
(
やまうば
)
もとうにからだ
中
(
じゅう
)
火
(
ひ
)
になって、やがて
骨
(
ほね
)
ばかりになってしまいました。
山姥の話
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「まず来年の春までは、雪も氷も解けはしませぬ。そのうち
中
(
じゅう
)
はあなた様には、この家の
捕虜
(
とりこ
)
にござります。そうご観念あそばされませ」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
かつ子さんたちはそれから一と晩
中
(
じゅう
)
バケツで池の水をはこんでは屋根へかけかけして、
一
(
ひと
)
いきも休まずはたらきつづけました。
大震火災記
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
▼ もっと見る
実際現在の東京
中
(
じゅう
)
には
何処
(
いずこ
)
に行くとも心より恍惚として去るに忍びざるほど美麗なもしくは荘厳な風景建築に
出遇
(
であ
)
わぬかぎり
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
すぐ一目で
特異性
(
とくいせい
)
を
看破
(
かんぱ
)
し得らるるような、どこにもここにもあるという
物品
(
ぶっぴん
)
ではないというわけではなく、そこら
中
(
じゅう
)
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
僕らが昔よく飲みに行ったUの女中に、お
徳
(
とく
)
って女がいた。鼻の低い、額のつまった、あすこ
中
(
じゅう
)
での茶目だった奴さ。あいつが君、はいっているんだ。
片恋
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼はその日
中
(
じゅう
)
死生の間をさまよい、私の
家
(
うち
)
で卒中の発作に罹ったあの老海賊のように荒い息遣いをしていた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
はじめてその路次の中へ女の家を
探
(
たず
)
ねて入っていった時から折々顔を見て口をきき合っていたのであったが、
先
(
せん
)
だって
中
(
じゅう
)
からまたたびたび私が出かけていって
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「いやいや。確かに
竹刀
(
しない
)
離れがして来たぞ。のう平馬殿……お手前はこの
中
(
じゅう
)
、どこかで人を斬られはせんじゃったか。イヤサ、真剣の
立会
(
であ
)
いをされたであろう」
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
山林
家
(
いえ
)
蔵
(
くら
)
椽
(
えん
)
の下の
糠味噌瓶
(
ぬかみそがめ
)
まで譲り受けて村
中
(
じゅう
)
寄り合いの席に
肩
(
かた
)
ぎしつかせての
正坐
(
しょうざ
)
、片腹痛き世や。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
少しの
間
(
あいだ
)
でも自分一人が助かりたいと思った私は、心の中をそこら
中
(
じゅう
)
から針でつかれるようでした。
溺れかけた兄妹
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
此洋服で、
鍔広
(
つばびろ
)
の麦藁帽をかぶって、塚戸に
酢
(
す
)
を買いに往ったら、小学校
中
(
じゅう
)
の子供が門口に押し合うて不思議な現象を眺めて居た。彼の
好物
(
こうぶつ
)
の中に、
雪花菜汁
(
おからじる
)
がある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あの下宿屋の
若旦那
(
わかだんな
)
は役者よりも美くしいと
其処
(
そこ
)
ら
中
(
じゅう
)
の若い女が
岡惚
(
おかぼ
)
れしたという評判であった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
誰が代を払えるのか当のつかない石油がそれ故夜
中
(
じゅう
)
、ストウブの中で燃やされるのであった。
街
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
僕は山から採ってきた、あけびや
野葡萄
(
えびづる
)
やを沢山座敷
中
(
じゅう
)
へ並べ立てて、暗に僕がこんな事をして居たから遅くなったのだとの意を示し無言の弁解をやっても何のききめもない。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
...
好
(
い
)
いわね、其代り
阿父様
(
おとうさま
)
に願って、お前が此間
中
(
じゅう
)
から欲しい欲しいてッてる
彼
(
あれ
)
ね?」と娘の
面
(
かお
)
を視て、薄笑いしながら、「
彼
(
あれ
)
を買って頂いて上げるから……仕方がないから。」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「この人のうちは、
千束
(
せんぞく
)
の
箒屋
(
ほうきや
)
さんでね」朝野が言った。「ゆんべの客のようなのを早く帰そうと、箒に手拭をかぶせようと思っても、うち
中
(
じゅう
)
、箒だらけで、どれにしていいか……」
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
彼方此方
(
あっちこっち
)
マゴマゴして、小倉
中
(
じゅう
)
、宿を
捜
(
さが
)
したが、
何処
(
どこ
)
でも泊めない。ヤット一軒泊めて
呉
(
く
)
れた所が薄汚ない宿屋で、
相宿
(
あいやど
)
の
同間
(
どうま
)
に人が寝て居る。スルト
夜半
(
よなか
)
に
枕辺
(
まくらもと
)
で小便する音がする。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
難有
(
ありがと
)
うございます。いつか
中
(
じゅう
)
も願って見ようかと思っていましたの。(間。)
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
この
中
(
じゅう
)
のおれの行状から見たら、ひとに意見がましいことなど言われた義理ではないが、おれにはまたおれの
料簡
(
りょうけん
)
がある。鶯はただ鳴くだけのことで、
藪
(
やぶ
)
にあろうが
籠
(
かご
)
にあろうが
頓着
(
とんぢゃく
)
せぬ。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かついえ公は此の
中
(
じゅう
)
のことを水にながして仲直りをなさろうとおぼしめされ、御こんれいがござりましてから間もなく、のちの加賀大納言さま利家公、不破の彦三どの、かなもり五郎八どの
盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その外家元門弟中より紅白
縮緬
(
ちりめん
)
の天幕、
杵勝名取
(
きねかつなとり
)
男女中より
縹色絹
(
はないろぎぬ
)
の後幕、勝久門下名取女
中
(
じゅう
)
より
中形
(
ちゅうがた
)
縮緬の
大額
(
おおがく
)
、
親密連
(
しんみつれん
)
女名取より
茶緞子
(
ちゃどんす
)
丸帯の
掛地
(
かけじ
)
、
木場贔屓
(
きばひいき
)
中より白縮緬の水引が贈られた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
この
中
(
じゅう
)
申し上げた滋賀津彦は、やはり隼別でもおざりました。
天若日子
(
あめわかひこ
)
でもおざりました。
天
(
てん
)
の
日
(
ひ
)
に矢を射かける——。併し、極みなく美しいお人でおざりましたがよ。
截
(
き
)
りはたり、ちょうちょう。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
その夜
中
(
じゅう
)
流れて
止
(
や
)
まなかったもう一つの印象の流れがあった。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
美沢さん。この間
中
(
じゅう
)
から、姉さんと三人で、話を
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
右
(
みぎ
)
も
左
(
ひだり
)
も
削
(
けず
)
ったような
高
(
たか
)
い
崖
(
がけ
)
、そこら
中
(
じゅう
)
には
見上
(
みあ
)
げるような
常盤木
(
ときわぎ
)
が
茂
(
しげ
)
って
居
(
お
)
り、いかにもしっとりと
気分
(
きぶん
)
の
落
(
お
)
ちついた
場所
(
ばしょ
)
でした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
自分は母に叱られながら、ぽたぽた
雫
(
しずく
)
を垂らして、三人と共に宿に帰った。どどんどどんという波の音が、帰り道
中
(
じゅう
)
自分の
鼓膜
(
こまく
)
に響いた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして
摂津国
(
せっつのくに
)
の
難波
(
なにわ
)
から、おとうさんやおかあさんを
呼
(
よ
)
び
寄
(
よ
)
せて、うち
中
(
じゅう
)
がみんな
集
(
あつ
)
まって、
楽
(
たの
)
しく
世
(
よ
)
の中を
送
(
おく
)
りました。
一寸法師
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
その時分には初夏の長い日もそろそろたそがれかけて、興行町の燈影がそこら
中
(
じゅう
)
一帯に輝き初める頃になるのである。
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
開けっぱなしで明るくて、智慧と
腕力
(
ちから
)
のある奴が、智慧と
腕力
(
ちから
)
のあるうち
中
(
じゅう
)
、お頭になっていられるのだからなあ。ところが裟婆はそうはいかねえ。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
肉屋は町
中
(
じゅう
)
の人々や、買いものに来たお客たちに一々その犬の話をして聞かせました。すると、だれもかれも
やどなし犬
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
僕は驚いてそれを振り離そうとした。ところがもう両腕が
利
(
き
)
かないのだ。何者かが、両腕をおさえているのだ。僕は仕方なしに、足でそこら
中
(
じゅう
)
を蹴っとばした。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それから、——それから先は誇張かも知れません。が、とにかく婆さんの話によれば、
発頭人
(
ほっとうにん
)
のお上は勿論「青ペン」
中
(
じゅう
)
の女の顔を
蚯蚓腫
(
みみずば
)
れだらけにしたと言うことです。
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
八つ手の白い葉裏にあかと黒の
先
(
せん
)
だって
中
(
じゅう
)
はやって居た黒地に黄模様のはん袴のようなテントー虫が三つ、ポツン——ポツーンポツーンと言葉に云ったらこんな工合に散って居た。
日記:01 一九一三年(大正二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そうすると
暫
(
しば
)
らく
間
(
ま
)
をおいてまたあとの波が小山のように
打寄
(
うちよ
)
せて来ます。そして崩れた波はひどい勢いで砂の上に
這
(
は
)
い
上
(
あが
)
って、そこら
中
(
じゅう
)
を白い泡で敷きつめたようにしてしまうのです。
溺れかけた兄妹
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
十右衛 この
中
(
じゅう
)
はみんなも御苦労でした。さぞくたびれたことでしょう。
勘平の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
勝久は看板を懸けてから四年目、明治十年四月三日に、両国中村楼で
名弘
(
なびろ
)
めの
大浚
(
おおざらい
)
を催した。
浚場
(
さらいば
)
の
間口
(
まぐち
)
の天幕は深川の五本松門弟
中
(
じゅう
)
、
後幕
(
うしろまく
)
は
魚河岸問屋
(
うおがしどいや
)
今和
(
いまわ
)
と緑町門弟中、
水引
(
みずひき
)
は牧野家であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
年を取ったせいかしらなんて悪口を云い云い出て参りましたが、あれもねあなた、せんだって
中
(
じゅう
)
から風邪を引いて
咽喉
(
のど
)
を痛めておりますので
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのお
礼
(
れい
)
まいりに、
平生
(
へいぜい
)
信心
(
しんじん
)
する
長谷
(
はせ
)
の
観音
(
かんのん
)
さまへ、うち
中
(
じゅう
)
残
(
のこ
)
らず
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れて、にぎやかに
御参詣
(
ごさんけい
)
をなさいました。
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
それこそ、この世界
中
(
じゅう
)
で一ばん美しい女ではないかと思われるような、何ともいえない、きれいな女の
画姿
(
えすがた
)
です。ウイリイはびっくりして、その顔を見つめました。
黄金鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
君江が家を出たわけは両親はじめ親類
中
(
じゅう
)
挙
(
こぞ
)
って是非にもと説き勧めた縁談を避けようがためであった。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
進少年は、かねて月の世界には黄金が捨てるほどあると聞いたが、こんな風に地球の
石塊
(
せきかい
)
と同じように、そこら
中
(
じゅう
)
に
無造作
(
むぞうさ
)
に
抛
(
ほう
)
りだしてあるのを見ては、夢に夢みるような心地がした。
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私達は検屍の来るうち
中
(
じゅう
)
兄の屍骸を其位置から少しも動かしはしませんでした。
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
戸外
(
おもて
)
は
矢張
(
やは
)
り
戸外
(
おもて
)
らしく、
私
(
わたくし
)
は
直
(
じき
)
に
何
(
なん
)
ともいえぬ
朗
(
ほがら
)
かな
気持
(
きもち
)
になりました。それに一
歩
(
ぽ
)
一
歩
(
ぽ
)
と
川
(
かわ
)
の
両岸
(
りょうがん
)
がのんびりと
開
(
ひら
)
けて
行
(
ゆ
)
き、そこら
中
(
じゅう
)
にはきれいな
野生
(
やせい
)
の
花
(
はな
)
が、
所
(
ところ
)
せきまで
咲
(
さ
)
き
匂
(
にお
)
っているのです。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「二三日
中
(
じゅう
)
に是非こちらへ御返事をしなければならないからと云いますから、僕が代理にやって来たんです」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
うち
中
(
じゅう
)
たずね
回
(
まわ
)
っても、
裏
(
うら
)
から
表
(
おもて
)
へと
探
(
さが
)
し
回
(
まわ
)
っても、もうどこにも
葛
(
くず
)
の
葉
(
は
)
の
姿
(
すがた
)
は
見
(
み
)
えませんでした。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
これまで世界
中
(
じゅう
)
で一ばんはげしかった地震火災は今から十五年
前
(
まえ
)
に、イタリヤのメッシーナという重要な港とその附近とで十四万人の市民を殺した大地震と、十七年前
大震火災記
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
そこら
中
(
じゅう
)
夜具箪笥風呂敷包の投出されている
間々
(
あいだあいだ
)
に、砂ほこりを浴びた男や女や子供が寄りあつまり、中には怪我人の介抱をしたり、または平気で物を食べているものもある。
にぎり飯
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“中”の意味
《名詞》
【なか】 物の内側。
【チュウ】 大きいとも小さいとも言えない状態。
【チュウ】 成績評価において、優れているとも劣っているとも言えない状態。平均的。
【チュウ】 大規模な文章や書籍などで、中の方の部分。
(出典:Wiktionary)
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“中”を含む語句
家中
中央
夜中
女中
連中
日中
中心
懐中
中間
室中
山中
中風
市中
心中
最中
掌中
中止
途中
真中
中旬
...