ならび)” の例文
旧字:
安藤謹んで曰く、今日蘆原あしはらを下人二三人召連通めしつれとおり候処、蘆原より敵か味方かととい、乗掛見れば、さむらい一人床机に掛り、下人四五人ならび居たり。
大阪夏之陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
北斎のあらゆる方面の代表的作品とまた古来日本画の取扱ひ来りし題材ならびにその筆法とを一瞥いちべつもとに通覧せしむる辞彙じいの如きものなり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それにきては本邦ほんぽうならび欧米おうべいある霊媒れいばいによりて調査ちょうさをすすめた結果けっか、ドーも事実じじつとしてこれ肯定こうていしなければならないようであります。
ならびに高館の一部——藤原四代の栄華の、最も重要な地点の上を流れ、これ等の古跡の大部分は、北上川の流の底になってしまったのでした。
水中の宮殿 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
すなは此所こゝ市長しちやうならび町會議員ちやうくわいぎゐんみな生物知ゝまものしりの町人ちやうにんである、であるから醫師いしることは神官しんくわんごとく、ところ批評ひゝやうせずしてしんじてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ただ我が老いたる親ならび菴室あんしつに在り。我を待つこと日を過さば、自ら心をいたむる恨あらむ。我を望みて時にたがはば、必ずめいうしななみだを致さむ。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
左手より、特務曹長ならびに兵士六、七、八、九、十 五人登場、一列、壁に沿いて行進、右隊足踏みつつ挙手の礼 左隊答礼。
饑餓陣営:一幕 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
又當時虎列拉に死した人々の番附が發刊せられた。三陽さんは其二種を藏してゐるが、ならびに皆米庵を載せてゐるさうである。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
余事ではあるが、嵐雪というのは芭蕉の主な弟子の一人で、其角とならびしょうせられ、芭蕉の門人に其角、嵐雪ありと言ったと言われおる男である。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
奉「本所業平橋当時浪人浪島文治郎、神田豊島町惣兵衞店そうべえたな亥太郎、本所松倉町源六店げんろくたな國藏、浪人浪島方同居森松、ならびに町役人、組合名主ども」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
部下の一人に耳打ちした赤羽主任は、次にも一人の部下に、容疑者ようぎしゃとして由蔵の逮捕かたならびに非常線を張ることを、本署に電話するように命じた。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
児童に博物学を教うるの一助ともなるから、教師ならびに父兄は児童に一日の休暇を与えるように希望するとあった。真正ほんとうに善い事を希望している。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
僕は一昨年旅行の際、途中客舎かくしゃの読物にするため同書を携帯して歩いたが、一頁読むごとに大正の政治家ならびに青年に一読を勧めたいとまで思った。
デモクラシーの要素 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
本書第一巻を出してより一年有半、蒐集しゅうしゅう及整理ようやく終を告げ、今や本巻ならびこれに続くべき第三巻を印刻する運びとなれるは編者の最も喜ぶ所なり。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
大使館ニ於テハ取敢エズ更ニ詳報かた船長ニ向ケ打電同時ニ別掲容態表ならびニ乗組船医二名ノ手ヲもっテ最善ヲ尽スキ旨同船長ヨリノ回答ニ接シタリ。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
こと發端ほつたんは、明治十三年めいじじゆうさんねん二月二十二日にがつにちじゆうににち横濱よこはまならびにその近郊きんこうおいて、煉瓦煙突れんがえんとつならび土壁どへき小破損しようはそんしようぜしめた地震ぢしんにある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
我々とは社の村田君、友住君、国際通信社のジョオンズ君ならびに私の四人である。そもそも車屋なる言葉が、日本人に与える映像イメエジは、決して薄ぎたないものじゃない。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かつまた、「竹材を用ゆる事の範囲ならびの美術的価値を論ずるは最も興味ある事」であると注意している。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
さい穿うがった分析ならびに綜合の結果、ちり一筋ひとすじの手抜かりもない、絶対に安全な方法を考え出したのだ。
心理試験 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
第一に、頸部の絞殺致命傷ならびに胸部の絞痕——最初私はこの傷をむち様の兇器で殴り附けたものと感違いした——に与えられた暴力が、非常に強大なものなる事。
デパートの絞刑吏 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
あっぱれ恩威ならび行われて候と陛下を小楯こだてに五千万の見物に向って気どった見得みえは、何という醜態であるか。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
警察の呼び出しは、しかし、自転車の鑑札ならびに税金のことだった。ほっとし、以後、税金は収めることにした。自転車はその頃雇った春松の使うものであった。
俗臭 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
彼方あなたは黒塀がひしひしと、はるかに一ならび、一ツ折れてまた一並、三階の部屋々々、棟の数は多いけれど、まだいずくにも灯が入らず、しんとして三味線さみせんもしない。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三人さんにん各自てんで手分てわけをして、会員くわいゝん募集ぼしうする事につた、学校にる者、ならび其以外それいぐわいの者をも語合かたらつて、惣勢そうぜい二十五にんましたらうか、其内そのうち過半くわはん予備門よびもんの学生でした
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
去程さるほどに秀次公御若君達ならびに御寵愛の女房達これかれ三十人餘、同八日之夜徳永式部卿法印がやかたへうつしまいらせ、前田徳善院田中兵部大輔きびしく番をつとめにけり
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
我々は凡て我々の前にあつた人々からならびに我々と共にある人々から受け且つ学ばねばならぬ。
ゲーテに於ける自然と歴史 (新字旧仮名) / 三木清(著)
其節は主税之助も屹度きつと請合うけあひ私ども兩人ならびそう右衞門等證人同樣其せきまかり在候所主税之助實子すけ五郎出生の後は先平助遺言ゆゐごんもどり我が子に家督かとくつがせんと種々しゆ/″\惡謀あくぼうかまへ藤五郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
富士観象会の目的ならびにその事務の大要はせて前段の主趣ならびに規則書等につまびらかなり。
ならびに第一の任務における史家の立場から見れば、なお未来であるがために、換言すれば現在の生活が未来の生活において何の意義をなすかは到底予見すべからざることであるがために
歴史の矛盾性 (新字新仮名) / 津田左右吉(著)
G・シュワルト、W・ゴンクール、ならびに小生は勿論の事、米国政府の首脳部も唯、この問題の一つのために、極東に対する政策の根本方針を決定し得ずにいる深刻な事実がありました。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私が旅行した地域の範囲は、北緯四十一度に近い蝦夷えぞの西岸オタルナイから三十一度の薩摩の南端に至るといえば大略の見当はつくであろう。これを私は主として陸路、人力車ならびに馬によった。
その流行病最中さいちゅう、船にのって大阪につい暫時ざんじ逗留とうりゅう、ソレカラ江戸にむかっ出立しゅったつと云うことにした所が、およそ藩の公用で勤番するに、私などの身分なれば道中ならびに在勤中家来を一人れるのが定例で
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「主人、朋友のかたき其義そのぎの浅深に可依也よるべきなり、我子ならびに弟の敵者不討也かたきはうたざるなり
鍵屋の辻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
問『キリストの神性、ならびにその贖罪に対する信仰が、果して一片のドグマに過ぎないであろうか? 御教訓が高尚で、合理的で、純潔であることに異論はないが、あまりにもキリスト教の趣旨と、相容れない点が多くはないであろうか?』
支那御料理ならびにすき焼
○ 打切うちきならびにつゞ
第二篇は歌麿の制作を分類して肉筆及黄表紙きびょうし絵本類の板下はんしたならびに錦絵摺物すりもの秘戯画等となし、各品かくひんにつき精細にその画様と色彩とを説明せり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すなわちここの市長しちょうならび町会議員ちょうかいぎいんみな生物知なまものしりの町人ちょうにんである、であるから医師いしることは神官しんかんごとく、そのところ批評ひひょうせずしてしんじている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ならびに是れ自ら詩人たる人にしあれば、いづれも阿堵中あとちゆうの味えも知らざるともがらとは、日を同うして論ずべからざるよしあらむ。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
ビジテリアン諸氏はこれらのことは充分じゅうぶんご承知であろうがなおこれを以て多くの病弱者や老衰者ろうすいしゃならび嬰児えいじにまで及ぼそうとするのはどう云うものであろうか。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ことに発句から二、三句、即ち第一、第二、第三等の句と、揚げ句、即ち終りの句ならびにその前の句とは必ず季のある句であって、それが全体を引締めておる。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
まへしるしたジャマイカ地震ぢしんならびにリスボン地震ぢしんける地割ぢわれの開閉かいへいは、北條小學校ほうじようしようがつこうおこつたような現象げんしようきはめて大規模おほきぼおこつたものとすれば解釋かいしやくがつくようにおもふ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
バッハの無伴奏チェロの組曲「第二番ニ短調、第三番ハ長調」ならびに「第一番ト長調、第六番ニ長調」を入れたもので、チェロは当代の巨匠カサルス、名曲の名演奏として
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
図らずも蘆屋の釜ならびに山風の笛が手にりましたから、早速右二品ふたしなを渡邊外記という金森家の重役へ預け、仇討あだうちの免状を殿様より頂戴致しまして、公然おもてむき仇討に出立致しまして
しゞみ白味噌汁しろみそしる大蛤おほはまぐり味醂蒸みりんむしならび茶碗蒸ちやわんむしふき椎茸しひたけつけあはせ、蒲鉾かまぼこはち淺草海苔あさくさのり
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一行とは竹内栖鳳氏の一族郎党、ならび大元たいげん洋行のおかみさんである。駕籠の乗り心地は思ったよりも好い。私はその駕籠の棒に長々と両足を伸ばしながら、廬山の風光を楽んで行った。
長江游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やがて喬介ならびに警察医の検案に依って、第二の屍体は、第一のそれと殆ど同時刻に殺されたもので、致命傷は、鋭利な短刀様の兇器で背後から第六胸椎と第七胸椎との間に突立てた
気狂い機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
活動写真撮影業及び活動写真機械及附属品販売業ならびにフィルム現像げんぞう複写業ふくしゃぎょう
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ならびに視野の広いまた多方面からの観察とが、要求せられるであろう。
憑司なほ押返おしかへし恐れ乍ら其死骸が馬丁ならびに空せみと申遊女いうぢよなりと云確固たしかなる證據しようこも御座らずといふに越前守殿馬丁にはたしかの證據も非ざれ共女はうでに源次郎命と彫物ほりものありし故是なる源次郎の申口にて委細ゐさい相譯あひわかりしなり又一人はうつせみを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)