でふ)” の例文
新字:
此冬このふゆになつて、ひるのうち炬燵こたつこしらえたのは、其日そのひはじめてゞあつた。よるうからもちひてゐたが、何時いつも六でふだけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いろも……うすいながら、判然はつきりすゝなかに、ちりはらつてくつきりと鮮麗あざやか姿すがたが、二人ふたりつくゑむかつた横手よこて疊數たゝみかずでふばかりへだてたところに、さむなれば
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
與へ干殺ほしころさんとこそたくみけれされ無慚むざんなるかな藤五郎は其身不行跡ふぎやうせきとは云ながらわづか三でふ座敷牢ざしきらう押籠おしこめられ炎暑えんしよの甚はだしきをもしのぎかね些々さゝたる庇間ひあはひの風を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
周三が梯子はしごを上りきる時分に、お房は花を箪笥たんすの上に置いて三でふへ入ツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
御米およね特別とくべつ挨拶あいさつもしなかつた。小六ころく其儘そのまゝつて六でふ這入はいつたが、やがてえたとつて、火鉢ひばちかゝえてまたた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
めて、差窺さしうかゞふ、母屋おもやの、とほかすかなやうな帳場ちやうばから、あかりすゑばうとゞく。いけめんした大廣間おほひろまなかは四五十でふおもはるゝ、薄暗うすぐら障子しやうじかず眞中まんなかあたり。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はら目覺めざましくも又勇々敷ゆゝしくぞ見えたりけるかくて玄關に到れば取次の役人やくにん兩人下座敷げざしきまで出迎でむかへ案内して廣書院ひろしよゐんへ通せしを見るに上段にはみすおろし中には二でふだいの上ににしきしとねを敷て座を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小六ころくはゐるのかい」といた。小六ころくもとよりはずである。けれども六でふはひつそりしてひとのゐるやうにもおもはれなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
板戸いたどひとつがまちの、みせの八でふ古疊ふるだたみ眞中まんなかつくゑいて對向さしむかひに、洋燈ランプひたひ突合つきあはせた、友達ともだち二人ふたりで、くに地誌略ちしりやくふ、學校がくかう教科書けうくわしよんでた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この時上段のみすの前には赤川大膳あかがはだいぜん藤井左京ふぢゐさきやうの兩人繼上下つぎかみしもにて左右に居並び常樂院天忠和尚てんちうをしやう披露ひろうにつれ大膳が簾をまけ雲間縁うんけんべりでふの上ににしきしとねしき天一坊安座し身には法衣ころもを着し中啓ちうけい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そよとのかぜもがなで、明放あけはなした背後うしろ肱掛窓ひぢかけまど振向ふりむいて、そでのブーンとくのをはらひながら、二階住にかいずみ主人あるじ唯吉たゞきちが、六でふやがてなかばにはびこる、自分じぶん影法師越かげぼふしごしにかして
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
雨戸あまどうちは、相州さうしう西鎌倉にしかまくら亂橋みだればし妙長寺めうちやうじといふ、法華宗ほつけしうてらの、本堂ほんだうとなつた八でふの、よこなが置床おきどこいた座敷ざしきで、むかつて左手ゆんでに、葛籠つゞら革鞄かばんなどをいたきはに、山科やましなといふ醫學生いがくせい
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひさしはづれに、階下した住居すまひの八でふ縁前えんさき二坪ふたつぼらぬ明取あかりとりの小庭こには竹垣たけがきひとへだてたばかり、うら附着くツついた一けん二階家にかいや二階にかいおな肱掛窓ひぢかけまどが、みなみけて、此方こなたとはむきちがへて
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
のまゝ、六でふ眞中まんなか卓子臺ちやぶだいまへに、どうすわると、目前めさきにちらつく、うすき、染色そめいろへるがごとく、ひたひおさへて、ぐつたりとつて、二度目どめ火鉢ひばちつてたのを、たれともらず
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
隣屋となりこのへんむねならぶる木屋きや大家たいけで、のきひさし屋根やねうへまで、ひし木材もくざい積揃つみそろへた、眞中まんなかけて、空高そらだか長方形ちやうはうけい透間すきまからおよそ三十でふけようといふみせ片端かたはしえる、木材もくざいかげになつて
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)