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藤井左京
此時上段の
簾の前には
赤川大膳藤井左京の兩人
繼上下にて左右に居並び常樂院
天忠和尚が
披露につれ大膳が簾を
卷ば
雲間縁の
疊の上に
錦の
褥を
敷天一坊安座し身には
法衣を着し
中啓を
結し
藤井左京と云者あり此頃藤が原へ尋ね來り暫く食客と
成て居たりしが時は享保十一
午年正月五日の事なりし朝より
大雪の
降出しが藤井左京は大膳に向ひ
某し
去冬より
此山寨へ參り未だ
寸功もなく
空く
暮すも
殘念なり我も貴殿の門下となりし手始めに今日の雪を