女房にようぼう)” の例文
人間にんげん女房にようぼうこひしくるほど、勇気ゆうきおとろへることはない。それにつけても、それ、そのかばんがいたはしい。つた、またばしやり、ばしやん。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おいらのふのはよめさんのことさ、年寄としよりはどうでもいとあるに、れは大失敗おほしくじりだねとふでやの女房にようぼうおもしろづくに御機嫌ごきげんりぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
昨年さくねんあき鳥部寺とりべでら賓頭盧びんづるうしろやまに、物詣ものまうでにたらしい女房にようぼう一人ひとりわらはと一しよにころされてゐたのは、こいつの仕業しわざだとかまをしてりました。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
二葉亭が書いた『浮雲』の言文一致はかれを促がして『二にん女房にようぼう』を書かしめた。
尾崎紅葉とその作品 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
廓内なかおほきいうちにも大分だいぶ貸付かしつけがあるらしうきましたと、大路おほぢちて二三にん女房にようぼうよその財産たからかぞへぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
勝手かつて木像もくざうきざまばきざめ、天晴あつぱ出来でかしたとおもふなら、自分じぶんそれ女房にようぼうのかはりにして、断念あきらめるが分別ふんべつ為処しどころだ。見事みごとだ、うつくしいと敵手あひてゆるは、其方そつち無理むりぢや、わかつたか。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宇治拾遺物語うぢしふゐものがたりによれば、藤大納言忠家とうだいなごんただいへも、「いまだ殿上人てんじやうびとにおはしける時、びびしき色好いろごのみなりける女房にようぼうともの云ひて、夜更よふくるほどに月は昼よりもあかかりけるに」たへねてひき寄せたら
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
隱元豆いんげんまめつるなどをたけのあらがきからませたるがおりき所縁しよゑんげん七がいへなり、女房にようぼうはおはつといひて二十八か九にもなるべし、ひんにやつれたれば七つもとしおほえて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
羽織はおりをたゝんでふところへんで、からずねの尻端折しりはしよりが、一層いつそう薩張さつぱりでよからうとおもつたが、女房にようぼう産氣さんけづいて産婆さんばのとこへかけすのではない。今日けふ日日新聞社にち/\しんぶんしや社用しやようた。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うでもひゞ々を義務つとめばかりにおくりて此處こゝこゝろ何處いづこそら倘佯さまよふらん、一〻にかゝることども、女房にようぼうひとられてらぬは良人おつとはなしたゆびさゝれんも口惜くちおしく
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
白痴殿ばかどの女房にようぼうになつて、なかへはもやらぬかはりにやあ、嬢様ぢやうさま如意自在によゐじざいをとこはよりつて、けば、いきをかけてけものにするわ、こと洪水こうずゐ以来いらいやま穿うがつたこのながれ天道様てんたうさまがおさづけの
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
馬鹿野郎ばかやらうよばはりは太吉たきちをかこつけにれへのあてこすり、むかつて父親てゝおや讒訴ざんそをいふ女房にようぼう氣質かたぎれがおしへた、おりきをになら手前てまへ魔王まわう商買人しようばいにんのだましはれてれど
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
無敵むてきにわけのわからぬ強情がうじよう加减かげん唯〻たゞ/\女房にようぼうにばかりやはらかなる可笑をかしさも呑込のみこめば、伯母おばなるひと口先くちさきばかりの利口りこうにてれにつきてもからさつぱり親切氣しんせつげのなき
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女房にようぼうをだまくらかしてめかけところやう不人情ふにんじやう仕度したくても出來できない、あれだけはらふとゑらいのではらうが、かんがへると此處こゝ旦那だんなおにせうさ、二だいつゞきて彌々いよ/\らうと
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひるゆめ獨言ひとごとにいふなさけなさ、女房にようぼうことことわすれはてゝおりき一人ひとりいのちをもこゝろか、あさましい口惜くちをしいらいひとおもふに中々なか/\言葉ことばいでずしてうらみのつゆうちにふくみぬ。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あれこゑ此町このまちにはかせぬがくしとふでやの女房にようぼうしたうちしてへば、店先みせさきこしをかけて往來ゆきゝながめしがへりの美登利みどり、はらりとさが前髮まへがみ黄楊つげ鬂櫛びんぐしにちやつときあげて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今日けふならではの花盛はなざかりに、上野うへのをはじめ墨田川すみだがはへかけて夫婦ふうふづれをたのしみ、隨分ずいぶんともかぎりの体裁ていさいをつくりて、つてきの一てう良人おつと黒紬くろつむぎもんつき羽織ばをり女房にようぼうたゞすぢ博多はかたおびしめて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)