“土瓶:どびん” の例文
“土瓶:どびん”を含む作品の著者(上位)作品数
野村胡堂8
岡本綺堂7
林芙美子3
泉鏡花3
吉川英治3
“土瓶:どびん”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸4.8%
文学 > 日本文学 > 戯曲2.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
さすがに遊び疲れたような心持ちで次郎左衛門はぼんやりと角火鉢の前に坐ると、亭主は自分で土瓶どびんと茶碗とを運んで来た。
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
本當ほんたうにすりや、一ぺんごと土瓶どびんなかみづでゆすがなくつちや駄目だめなんだがな」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
台所には、みんなが持ってきてある小さい土瓶どびんが、せとものやのように幾段にもくぎにかけてずらりと並んでいた。
中食後ちうじきごに、は、土瓶どびんくち上下うへしたに、ツリをつた破片はへんしたくらゐ
また、土瓶どびんあるいは鉄瓶より湯水をつがんとするとき、過ちて口の方ならずして尻の方よりつがんとすることあり。
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
維新の当時、おてつ牡丹餅は一時閉店するつもりで、その形見といったような心持で、店の土瓶どびんや茶碗などを知己の人々に分配した。
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
念佛衆ねんぶつしゆう使つかつてなべ土瓶どびん茶碗ちやわんたゞごた/\とされてあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ふた付きの茶碗二個。皿一枚。ワッパ一箇。はし一ぜん。——それだけ入っている食器箱。フキン一枚。土瓶どびん。湯呑茶碗一個。
独房 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
短冊たんざく色紙しきし等のはりまぜの二枚屏風の陰に、薬をせんじる土瓶どびんをかけた火鉢ひばち
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「主人の部屋へ一番後で入つたといふ、あの國松といふ男が怪しいぢやありませんか。それに毒藥の土瓶どびんまであの男が捨てさせましたぜ」
「だいぶ狼籍ろうぜきだね」と云いながら紅溜べにだめの膳を廊下へ出す。黒塗の飯櫃めしびつを出す。土瓶どびんまで運び出して置いて、
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それには家のものが握飯むすびを二日分ずつざるに入れ、湯は土瓶どびんに入れて、押入れに置いてくれる。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかして家の内は小細工したる机すずり土瓶どびん茶碗ちゃわんなどの俗野なる者を用ゐたらんが如し。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
維新の当時、おてつ牡丹餅は一時閉店するつもりで、その形見と云ったような心持で、店の土瓶どびんや茶碗などを知己しるべの人々に分配した。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
枕頭には古びた角行灯かくあんどんがとぼれて、その下の盆の上には、酔いざめの水のつもりであろう、土瓶どびんに湯呑まで添えておいてあった。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
さら土瓶どびんした穿ほぢくり、いぶし火鉢ひばち取分とりわけて三じやくゑん持出もちいだ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「それがまったくお気の毒なのでございます」と、女房は土瓶どびんの湯をさしながら相手の顔を覗いた。
半七捕物帳:10 広重と河獺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
でふ座敷ざしき借切かりきつてゐると、火鉢ひばちはここへくよ、烟草盆たばこぼんくよ、土瓶どびんしてやる
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
四方山よもやまの話をしてると、まつそば土瓶どびんをひつくりかへして灰神楽はいかぐらげたから、けろ
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
く近く住むところから、その人達が土瓶どびん湯沸ゆわかしげて見舞に来てくれた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
百姓ひゃくしょう馬鹿ばかだな、尺取虫しゃくとりむし土瓶どびんを引っかけるてかい?」
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
七輪や、なべ土瓶どびんのやうなものが、薄暗い部屋の一方にごちやごちや置いてあり、何か為体えたいの知れない悪臭で、鼻持ちがならなかつた。
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
お美代が土瓶どびんと飯茶碗とを持ってはいって来た。足音でお婆さんは布団の襟に眼をこすりつけた。
蜜柑 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
しかし、忰は女を離れて遠くへ往く気はしなかった。父親は最後の飯に土瓶どびんの茶を入れて喫った。
参宮がえり (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
行燈は箱火鉢の傍に置いてあって、箱火鉢には、文火ぬるびに大きな土瓶どびんが掛かっている。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
男は鎌を腰にして、女は白手ぬぐいをかむり、歯を染め、土瓶どびんの大いなるを手にさげたり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
その上の棚には膳、わん、皿、小鉢、茶を入れたる罐、土瓶どびん、茶碗などが載せてあり。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
……たきつけを入れて、炭をいで、土瓶どびんを掛けて、茶盆を並べて、それから、扇子おおぎではたはたと焜炉の火口ひぐちあおぎはじめた。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三個みつつが、……それから土瓶どびんつて番茶ばんちやでもさうなかたちあつまると、なにかゞまたす。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たゞさらるいあま見當みあたりませんが、はちつぼ土瓶どびん急須きゆうすのたぐひから香爐型こうろがたのものなどがあつて
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
口のかけた土瓶どびんに植えた豆菊の懸崖けんがいが、枯れかかったまま宙乗りしている。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
三平は、ここへ預けるつもりの馬を、小屋のなかにき込んで、くくりつけると、土間の奥へはいって、勝手に飯櫃めしびつや漬物や土瓶どびんなどを持ち出した。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
 (重兵衛は太吉を横目に睨みながら、自在じざい湯沸ゆわかしを取ってしものかたへ行き、棚から土瓶どびんをおろして茶の支度をする。ふくろうの声。)
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
女の子が飯鉢と土瓶どびんを持って来たので父親は澄ました顔をして残りの酒を飲んだ。
参宮がえり (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
貢さんは火鉢の火種ひだね昆炉しちりんに移し消炭けしずみおこして番茶ばんちや土瓶どびんわかし、しやけを焼いて冷飯ひやめしを食つた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
炉のすみ煉瓦れんがの上に、酒のはいった小さい土瓶どびんが置いてある。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
扉をたたく者があった。「おい」と、中尉が返事をすると、従兵がはいって来た。帆村にていねいに礼をしたうえで、机の上に菓子の袋と、土瓶どびんと、湯呑茶碗とを置いた。
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
台所の土間の板縁の下に大きな素焼きの土瓶どびんのようなものが置いてあった。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
と云いながら障子を明けてうちへ通ると、六畳ばかりの狭い所に、真黒まっくろになった今戸焼いまどやきの火鉢の上に口のかけた土瓶どびんをかけ、茶碗が転がっている。
「わからないのね、をばさんは。いつもは二十銭以上のお買物だから出すけど、今日は茶滓漉ちゃかすこしの土瓶どびんの口金一つ七銭のお買物だからお茶は出せないぢやないの」
蔦の門 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
例へば最初は土瓶どびんを書かうと思つてゐて、それが何時いつにか鉄瓶に出来上がることもあり、又初めから土瓶を書かうと思ふと土瓶がそのまま出来上がることもある。
三杯目の土瓶どびんが空になつて、ひぐらしが明神の森に鳴いて居ます。
その場の母の姿に醜悪なものを感じてか父は眉をひそめ、土瓶どびんの下をきつけてゐた赤いたすきがけの下女と母の色の黒いことを軽蔑けいべつの口調でさゝやき合つた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
「枕元の盆がなくなつて居ますよ。土瓶どびんと湯呑が臭かつたんで」
——お茶の土瓶どびん湯呑ゆのみのひっくりかえったのや、……
六月 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
与兵衛は早速あがつて行つてその親猿の手をソツと掴んで下へ三尺ばかり引摺ひきずりますと、山の上の方から土瓶どびんのまはり程の大きな石が、ゴロ/\と転つて来ました。
山さち川さち (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
障子を押し倒すやうに入ると中は亂離骨灰らんりこつばひ土瓶どびんも火鉢も引くり返してその水と灰の中に例の赤い紐がむづかしい謎を投げかけるやうに長々と投り出してあつたのです。
明神下の錢形平次の家の晝下がり、煎餅せんべいのお盆をからつぽにして、豆板を三四枚平らげて、出殼でがらしの茶を二た土瓶どびんあけて、さてと言つた調子で話を始めるのです。
そして、さげて来た土瓶どびんの茶を注いで、孫伍長に寄り添った。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
或温泉にゐる母から息子むすこ人伝ひとづてに届けたもの、——桜の、笹餅、土瓶どびんへ入れた河鹿かじかが十六匹、それから土瓶の蔓にむすびつけた走り書きの手紙が一本。
貝殻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
もう日が暮れたに太吉たきちは何故かへつて来ぬ、源さんも又何処どこを歩いてゐるかしらんとて仕事を片づけて一服吸つけ、苦労らしく目をぱちつかせて、更に土瓶どびんの下を穿ほぢくり
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
下手しもてに爐を切りて、素燒の土瓶どびんなどかけたり。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
碑陰にまつくろな土瓶どびんつゝこむ清水かなの一句を刻す。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
何処からか彼が土瓶どびんの湯を提げて戻って来た頃、野の真ん中には、草埃くさぼこりが煙っていた。法師たちの試合が始まったのである。群衆は、大きな輪を作って、それを見物に詰め寄った。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
葦簾のかげに緋毛氈ひもうせん敷いた腰かけが並んで、茶碗に土瓶どびん、小暗い隅には磨きあげた薬罐やかんが光り、菓子の塗り箱が二つ三つそこらに出ている——ありきたりの水茶屋のしつらえ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「大変先生も機嫌がよかった。いま一杯やるところだからと進められたが、お須磨さんが土瓶どびんをもっているからなんだと思ったら、土瓶でおかんをして献酬けんしゅうしているところだった」
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その一本は杉箸すぎばしで辛くも用を足す火箸に挾んで添える消炭の、あわれ甲斐なき火力ちからを頼り土瓶どびんの茶をばぬくむるところへ、遊びに出たる猪之の戻りて、やあ父様帰って来たな
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
又八はそこへ行って、土瓶どびんの水をじゅっとかけた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこにひろげられた枕屏風まくらびょうぶの蔭に、空っぽの飯櫃めしびつがころがって、無残に喰い荒された漬物の鉢と、土瓶どびんと、はしとが、飯粒めしつぶにまみれたまま散らばっている。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
下手に炉を切りて、素焼の土瓶どびんなどかけたり。
修禅寺物語 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
恐ろしく念入りな貧乏暮し、土瓶どびん一つ、鉢卷をした火鉢が一つの淺ましい世帶で、溝口屋の砂壁と同じ色の着物——それは御隱居の着る十徳か何かであるべき筈のもの、こゝにある道理はなかつたのです。
恐ろしく念入りな貧乏暮し、土瓶どびん一つ、鉢巻をした火鉢が一つの浅ましい世帯で、溝口屋の砂壁と同じ色の着物——それは御隠居の着る十徳か何かであるべきはずのもの、ここにある道理はなかったのです。
正面から飛付いた一人は、半分食ひかけの、晝飯の茶碗を目潰めつぶしに叩き付けられてのけ反りました。續く一人は、額で番茶の土瓶どびんを打ち割り、うしろの一人は、一本背負ひでモンドリ打たせられます。
わたくしはその魚を押えて学生の立っている桟橋へ舟をつけたので、すっかり心安くなり、その後われわれが弁当なぞ食べているのを見たりすると、土瓶どびんに暖い茶を入れて持って来てくれるようなこともあった。
向島 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
手に土瓶どびんのようなものを持っている。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
どの部屋にも割合よく陽があたっていて、廊下より一段高くなっている房のなかは、どの部屋も畳敷たたみじきで、三畳ばかりの部屋のすみの小さい戸棚には、土瓶どびんだの茶碗だの、書籍なんかが置いてありました。
土瓶どびんむしまつだけ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
好まぬ酒も家業なれば是非もなく呑過して腹いたむる折々日本橋通一丁目反魂丹はんごんたん売る老舗しにせ(その名失念したり)に人をつかわして矢筈草あがなはせ土瓶どびんせんじて茶の代りに呑みゐたりき。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
この家は商売をよしても、やはり馴染なじみの人たちには、お茶ぐらい出す様子で、道場の助手さんたちが外出した時には、油を売る場所になっているのでもあろう、マア坊は平気で奥の方へ行き、番茶の土瓶どびんとお茶碗ちゃわんを持って来た。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
『あんなことつて、親分おやぶんトボケてるが、面白おもしろ土瓶どびんたやうなものだの、香爐かうろたやうなものだの、澤山たくさん掘出ほりだしてつてるだよ』とをしへてれた。
二階はひさしの下がつた六疊、萬年床はハネ上げてありますが、疊は穴だらけ、火鉢はあつても火の入つてゐた例しはなく、土瓶どびん一つ、湯呑一つ、綿の出た座布團一枚の身上で、熊坂長範ちやうはんが親子連れで押込みに入つても驚くことではありません。
以上の二種の土器どきは或る飮料ゐんれうをば飮み手の口にうつす時に用ゐし品の如くなれど、土瓶どびん或は急須きうすひとしく飮料をたくわへ置き且つ他の器にそそむ時に用ゐし品とおもはるる土噐も數種すうしゆり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
そのくせ潔癖が異常に強くて、食事の間に、猫が触ったとか、はえが止ったとか、給仕人のそでが触ったとか云って、二三度ははしに熱湯をかけさせるので、給仕する者は心得て、番茶の熱いのを土瓶どびんに入れて食事の初めから食卓の上に用意して置く。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そしてそんな物々ものものしい駄目だめをおしながらその女の話した薬というのは、素焼すやき土瓶どびんへ鼠の仔を捕って来て入れてそれを黒焼きにしたもので、それをいくらかずつかごく少ない分量を飲んでいると、「一匹食わんうちに」なおるというのであった。
のんきな患者 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
ボーイは大きな紙屑かみくず土瓶どびんこわれや弁当とすし明箱あきばこなんぞを室外へ掃き出しますが塵と細菌はそのまま置土産おきみやげにします。中の乗客こそ溜まったものでありません。知らず知らずそれを吸込んで細菌の一つや二つ位必ず肺の中へ入れるに違いありません。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)