まい)” の例文
旧字:
〔はあ、では一寸行ってまいります。〕木の青、木の青、空の雲は今日も甘酸あまずっぱく、足なみのゆれと光のなみ。足なみのゆれと光の波。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたくしはだんだんそんなふうかんずるようになったのでございます。いずれ、あなたがたにも、そのあじがやがておわかりになるときまいります……。
非常な刺戟に打たれつつ出てまいりましたが、不思議にもその法林道場の辺際あたりより、ギョクポ・ペブという奇態な大声が聞えました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
京都きょうとに行ったことのある人は、きっとそこの清水きよみず観音様かんのんさまにおまいりをして、あのたか舞台ぶたいの上から目の下の京都きょうとまちをながめ
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「駄目です、駄目です、この司令室は地球と同じ気圧になっていますから、私がこの鎧をぬいだら一ぺんでまいってしまいます」
大宇宙遠征隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その時、千草姫ちぐさひめはふと頭を上げて月を見ました。「もうお別れする時がまいりました。これを記念にさし上げますから、私と思って下さいまし」
お月様の唄 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
岡山県の各郡などでは、村々の氏神社うじがみしゃで行うこの協同の祈願祭を、総参そうまいりといい、またせいまいり、せい祈祷ともいっている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
身分みぶんの高い人もひくい人も、みんなそこへおまいりにやってきて、そのような神聖しんせい場所ばしょのあるこの地方を、ほめたたえることになるでしょう。
良吉りょうきちはまたしばらく文雄ふみおのおはかにもおまいりができなくなるとおもって、あるのことおはかへおまいりにまいりました。
星の世界から (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼんやりここで気ばかりんでいても始まらぬから私はそのへんまでちょっとひとぱしり御様子を見てまいりましょう。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
多「えゝ、前橋めえばしという所へはどう出たら宜うがんす、前橋めえばしまいりますには何うめえって宜しゅうございやしょう」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わしは、あやまりにまいりました。昨日きのう、わしはここからかえるとき、息子むすこさんから、あなたがねば息子むすこさんが井戸いどゆるしてくれるときいて、わるこころになりました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
象牙ぞうげのおはしを持ってまいりましょうか……それでのどでますと……」婆やがそういうかいわぬに
碁石を呑んだ八っちゃん (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「このひでりを知らんのか。お前の留守に、田圃たんぼかわいてしまう。荒町あたりじゃ梵天山ぼんでんやまへ登って、雨乞いを始めている。氏神うじがみさまへ行ってごらん、お千度せんどまいりの騒ぎだ。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ただこのままになが膝下しっかせしめ給え、学校より得る収入はことごとく食費としてささまいらせいささ困厄こんやくの万一を補わんと、心より申しでけるに、父母も動かしがたしと見てか
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
其れから明治廿九年乃木中将が台湾たいわん総督そうとくとなる時、母堂が渡台の御暇乞に参内さんだいして、皇后陛下の御問に対し、ばばは台湾の土にならん為、せがれ先途せんどを見届けん為に台湾にまいります
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
と、月江がそこらの札をかき集めて、笑いながら相手の顔へぶつけたので、次郎はクシャンとまいッてしまいましたが、座敷はいちめん加留多の落花、春の夜らしく散らかりました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何返やったって同じ事じゃありませんか」と細君また平手でぽかとまいる。やはり何ともないから、じっとしていた。しかしその何のためたるやは智慮深き吾輩にはとんと了解し難い。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まず御覧ごらんなさい、まちものか、警察けいさつかがまた貴方あなたとらえてれてまいりましょう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
理屈においてけたならば、一本まいったと綺麗きれいければ男らしくもあり、かえって自分の主張にどろをつけないものとなるに、おのれの議論が弱いときには、その弁護に感情をふくまして
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
飮みならツて了ツたもんですから、些とめるてえ譯にはまいらないんですよ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「まあ、ここへ来て温まり給え、寒さしのぎに一献いっこんまいらせる」
「そうですね。では、まいりましょうか」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「おお、そなたもまいられるか」
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
奇麗きれいなすきとおった風がやってまいりました。まずこうのポプラをひるがえし、青の燕麦オートなみをたてそれからおかにのぼって来ました。
おきなぐさ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたくし幾度いくたび竜宮界りゅうぐうかいまいり、そして幾度いくたび御両方おふたかたにおにかかってりますので、幾分いくぶんそのへん事情じじょうにはつうじてるつもりでございます。
城の裏門の所までまいりますと、門がすうっと一人で開きました。森の精と王子とがそこを出ると、門はまた元の通り音もなく閉じてしまいました。
お月様の唄 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
いよいよ出陣しゅつじん支度したくができがって、京都きょうととうとするあさ田村麻呂たむらまろはいつものとおり清水きよみず観音様かんのんさまにおまいりをして
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
老婦人を囲んで、あやしげなる服装をつけた頭のない生物が、蜥蜴とかげのようにうごめいているところを又見るのかと思うと、いやアな気持におそわれてまいりました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
頭巾ずきんかむり手に数珠じゅずを持ちつえつきながら行く老人としより門跡様もんぜきさまへでもおまいりする有徳うとくな隠居であろう。小猿を背負った猿廻しのあとからはつつみを背負った丁稚でっち小僧が続く。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かしら、よろこんでくだせえ、こんどこそは、おれたち四にん、しっかり盗人根性ぬすっとこんじょうになってさぐってまいりました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
時代からいうと、鎌倉かまくらまいみちにというのよりは、また少しばかりのちのことだったろうと思われる。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
タラタラと鼻血をながして、くちびるの色まで変えたが、まだまいったとはいわないで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今試験をしておりますが、昨日きのう自宅うちめまいがしましたから、今日ももしやそんなことでもないかと思って、ここに待っております。まさかの時にはれて帰るつもりで、くるまを頼んでまいりました。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
僕の知つた男にね、細君がいやになつて離縁を請求したものがある。所が細君が承知をしないで、わたくしは縁あつて、此家このうち方付かたづいたものですから、仮令たとひあなたが御厭おいやでもわたくしは決して出てまいりません
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
男「はい左様さよか、まいるますと」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「約束だッ! まいるッ!」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
新年をことほぎまいらせ候。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その時こうのにわとこのかげからりすが五ひきちょろちょろ出てまいりました。そしてホモイの前にぴょこぴょこ頭を下げてもうしました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
じつ神界しんかいから、あめらせるにいては、同時どうじかみなりほうせてやれとのおたっしがまいったのじゃ。それでいまその手筈てはずをしているところで……。
幸いとその村の近くの町に、きつねつきを落としたりなんかする行者がいました。それがすぐに呼ばれてやってまいりました。
正覚坊 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
つまり、わしはじぶんの井戸いどのことばかりかんがえて、あなたのぬことをちねがうというような、おににもひとしいこころになりました。そこで、わしは、あやまりにまいりました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
田村麻呂たむらまろはそんなにつよい人でしたけれど、またたいそうこころのやさしい人で、人並ひとなみはずれて信心深しんじんぶかく、いつも清水きよみず観音様かんのんさまにかかさずおまいりをして、武運ぶうんいのっておりました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
海から遠くはなれた山奥の村々でも、雨乞いその他の切なる願いがある場合に、やはり川の流れにひたって一つずつ小石をひろい、それを手に持ってぬれたままでまいることが多い。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「やあ金博士。とつぜんでしたが、ロッセ氏を案内して、お邪魔じゃままいりました」
市「まいりませんよ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
シグナルは高くさけびました。しかしシグナルも、もうだまってしまいました。雲がだんだんうすくなってやわらかなしてまいりました。
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ある日王様が庭を散歩していられます所へ、王子と老女とが出てまいりました。老女はこう王様に申し上げました。
お月様の唄 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
あの強烈な電気に相当そうとうまいっているところへ、あの硝子のへつっかかったんで、二重のよわり目にたたり目で、沼の中へ落ちこんだまま、あがりも飛び上りも出来なくなったんですよ。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
一 まいり来て此お町を見申せや、竪町たてまち十五里横七里、△△出羽にまよおな友たつ
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)