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仕度
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したく
ふりがな文庫
“
仕度
(
したく
)” の例文
さほど広い家でもないから、次の間ではお浜が客をもてなす
仕度
(
したく
)
の物音が聞える。お浜の方でも、二人の話し声がよく耳に入ります。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
おおように姫宮の移っておいでになる前の
仕度
(
したく
)
なども院とごいっしょになってしたような
可憐
(
かれん
)
な態度に院は感激しておいでになった。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
すると、「すわ、
大事
(
だいじ
)
だ!」と、いって、三
万
(
まん
)
の
兵士
(
へいし
)
は、
取
(
と
)
るものもとりあえず、
軍
(
いくさ
)
の
仕度
(
したく
)
をして、
御殿
(
ごてん
)
のまわりに
集
(
あつ
)
まりました。
春の日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
借金が有るなれば有ると云って、借金を片付けて貰えるからよ、
然
(
そ
)
うして
仕度
(
したく
)
して行かなければならねえ、借金が有ると云え、エヽおい
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すると町の家々ではこんやの銀河の祭りにいちいの葉の玉をつるしたりひのきの
枝
(
えだ
)
にあかりをつけたりいろいろ
仕度
(
したく
)
をしているのでした。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
其後
(
そのご
)
雲飛
(
うんぴ
)
は
壮健
(
さうけん
)
にして八十九歳に
達
(
たつ
)
した。我が
死期
(
しき
)
來
(
きた
)
れりと自分で
葬儀
(
さうぎ
)
の
仕度
(
したく
)
などを
整
(
とゝの
)
へ
又
(
ま
)
た
子
(
こ
)
に
遺言
(
ゆゐごん
)
して石を
棺
(
くわん
)
に
收
(
おさ
)
むることを
命
(
めい
)
じた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
デューラン氏は、不意の襲撃に怯え切って、香港に一時避難する
仕度
(
したく
)
の為に、書斎と居間の間を忙しく歩き廻っていたのである。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
命令を出すと、大統領は
仕度
(
したく
)
のため別室へ入った。やがて彼は、黒のオーバーに
中折帽
(
なかおれぼう
)
、肩から
防空面
(
ぼうくうめん
)
の入った袋をかけて玄関に立ち現れた。
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ザビーネの
仕度
(
したく
)
がととのわないうちに、
小婢
(
こおんな
)
が帰ってしまうこともたびたびだった。すると客は、店の入口の
鈴
(
ベル
)
を鳴らした。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
モウタアの音がけたゝましくあたりにひゞいて聞えたので、
仕度
(
したく
)
をして待つてゐた二人はそのまゝ裏の石垣になつてゐるところへと出て行つた。
モウタアの輪
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
話題に上って、ふっと消え、火を
掻
(
か
)
き起してお茶を入れかえ、秋祭りの
仕度
(
したく
)
に就いて話題が移ってゆく、という、そんな状態ではないかと思う。
善蔵を思う
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
亜米利加
(
アメリカ
)
の
何処
(
どこ
)
かの海岸なり。海水浴の
仕度
(
したく
)
をしてゐる女、着物を泥棒に盗まれ、一日近くも脱衣場から出る事出来ず。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
高
(
こう
)
はいつものように庭掃除に忙しく、祖母は台所で朝御飯の
仕度
(
したく
)
をし、叔母は私の役目である部屋の掃除に障子や置物をバタバタとはたいていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
藤村はそれからやがて
小諸
(
こもろ
)
へ行くことにきまり、その
仕度
(
したく
)
をしていた時分かとおもう。鶴見は俳人の
谷活東
(
たにかっとう
)
と一しょに新花町を訪ねたことがある。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
彼は自分の最も働き盛りの
殆
(
ほと
)
んど
全
(
すべ
)
ての歳月と精力とをその子供等の教育費や、それから娘たちの嫁入りの
仕度
(
したく
)
の為めに費さなければならなかつた。
夢
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
彼は寝床の中から、竈の
焔
(
ほのほ
)
に照り
映
(
は
)
えてゐる其のふくよかな彼女の横顔を盗み眺めた。かうして今朝の食事の
仕度
(
したく
)
はすつかり彼女の手で出来たのだ。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
『
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
鐵工
(
てつこう
)
となるより、
立派
(
りつぱ
)
な
海軍士官
(
かいぐんしくわん
)
となる
仕度
(
したく
)
をせねばならんよ。』と
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
の
膝
(
ひざ
)
なる
少年
(
せうねん
)
の
房々
(
ふさ/″\
)
した
頭髮
(
かみ
)
を
撫
(
な
)
でやりつゝ、
私
(
わたくし
)
に
向
(
むか
)
ひ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
けれどもちょっと
敷居際
(
しきいぎわ
)
にとまるだけでけっして中へは
這入
(
はい
)
らなかった。「
仕度
(
したく
)
はまだか」とも催促しなかった。彼はフロックに
絹帽
(
シルクハット
)
を
被
(
かぶ
)
っていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「では随分気ぜはしなうございますね。私が出来ることだけ何なりといたしますから、あなたはいゝ加減にしていろんなお
仕度
(
したく
)
をなすつて下さいよ。」
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
こんなことまで叔父に打開けて、済まないとは思いつつ、耳を
塞
(
ふさ
)
いで、試験の
仕度
(
したく
)
したことなどをも語った。話せば話すほど、お俊は涙が流れて来た。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
夜明
(
よあけ
)
まで書を読んで居て、台所の方で塾の
飯炊
(
めしたき
)
がコト/\飯を
焚
(
た
)
く
仕度
(
したく
)
をする音が聞えると、それを
相図
(
あいず
)
に又寝る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
二人はいそいそとその
仕度
(
したく
)
を急いでおりますが、我々
岡焼党
(
おかやきとう
)
は、一応言葉の上では
目出度
(
めでた
)
がり乍ら、心の中では甚だ面白くない毎日を送っていたのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:08 音盤の詭計
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして体の調子のよい折を見ては、夜、妻と三番目の娘が、
嫁入
(
よめい
)
りの
仕度
(
したく
)
に着物を縫っている
傍
(
かたわら
)
で胡弓を奏でた。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
篠原「十日ばかりあとにもどったが。きょうはあんまりあついから。その宮崎と涼みに出かける約束だから今にくるだろう。屋根を一
艘
(
そう
)
仕度
(
したく
)
してくんな」
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
そこで二人は少なからずテレて、急いで
仕度
(
したく
)
をし出て来たところで、みれば博徒風の三人の男が、若い一人の女を担ぎ、耕地を走って行くところであった。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
芸者に口がかかり、箱が動きだしたので、話はそれきりになり、銀子は台所へ出て、自分の食事の
仕度
(
したく
)
をした。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
先生夫妻はこの豪雨季を避けてシシリイ島へ移る
仕度
(
したく
)
をはじめました。半月ほどのシシリイ滞在の後で、ノルマンディの郷里へ帰つて静養するのださうです。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
何事か面白相に語らい行くに我もお辰と
会話
(
はなし
)
仕度
(
したく
)
なって心なく
一間
(
いっけん
)
許
(
ばか
)
り
戻
(
もど
)
りしを、
愚
(
おろか
)
なりと悟って半町歩めば我しらず
迷
(
まよい
)
に三間もどり、
十足
(
とあし
)
あるけば
四足
(
よあし
)
戻りて
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ロイド夫人が入浴したいと言うので、その
仕度
(
したく
)
をして、おかみのブラッチ夫人が階下から呼ばわった。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
彼はひとり隣室に入って、煙草を吸った。障子一重隔てて、台所では義母が
昼餉
(
ひるげ
)
の
仕度
(
したく
)
をしていた。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
それから
仕度
(
したく
)
をして外へ出ると、ざあざあつて雨なの。橋を渡らうとすると、橋の板が一枚々々めくれさうにしてゐるのよ。姐さんは死んでも渡るのは厭だつていふの。
梅龍の話
(旧字旧仮名)
/
小山内薫
(著)
「扇子なんかどうでもええわな。早う
仕度
(
したく
)
しやんし」と言って
煙管
(
きせる
)
の詰まったのを気にしていた。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
仮りにだ、色々な
仕度
(
したく
)
をして、此処まで出掛けてくるのに、金持が金をだせたからとしてもいいさ。俺達が働かなかったら、一匹の蟹だって、金持の
懐
(
ふところ
)
に入って行くか。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
勝手元
(
かってもと
)
は
御馳走
(
ごちそう
)
の
仕度
(
したく
)
だ。人夫が
採
(
と
)
って来た
茶盆大
(
ちゃぼんだい
)
の
舞茸
(
まいたけ
)
は、小山の如く
莚
(
むしろ
)
に
積
(
つ
)
まれて居る。やがて銃を
負
(
お
)
うてアイヌが帰って来た。腰には
山鳥
(
やまどり
)
を五羽ぶら下げて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
破天荒
(
はてんくわう
)
なる国会は、三百議員を以て、其開会を祝さんとて、今や
仕度
(
したく
)
最中なり、私権を確定し、栄誉、財産、自由に向て担保を与ふべき民法は、
漸
(
やうや
)
く完全に歩みつゝあり
英雄論:明治廿三年十一月十日静岡劇塲若竹座に於て演説草稿
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
兎に角
仕度
(
したく
)
が出來てしまつたから僕は行きます。人間はいつか死ぬんですからね。死んでしまへば肉體は解剖にでも利用される外には何の役にも立ちはしないんですからね。
実験室
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
朝も五時に起きて
仕度
(
したく
)
をなし、女監取締りの監房を開きに来るごとに、他の者と共に静坐して礼義を施し、次いで
井戸端
(
いどばた
)
に至りて順次顔を洗い、終りて
役場
(
えきじょう
)
にて食事をなし
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
千歳が、明日の朝の箱根行きの
仕度
(
したく
)
をしに部屋へ引取ろうとすると、仲子は鼻声で言った。
呼ばれし乙女
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
桑田が朝飯の
仕度
(
したく
)
をしにと台所へ降りて行つた時には、主人の浅野は既に立つて行つた後と見えて、板の間に置かれた茶ぶ台の上には、食べ残されたものが其儘になつてゐて
人妻
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
と太郎右衛門は、朝の
仕度
(
したく
)
にかかっている、お神さんを呼んで、子供の顔を見せました。
三人の百姓
(新字新仮名)
/
秋田雨雀
(著)
女房
(
にようぼう
)
をだまくらかして
妾
(
めかけ
)
の
處
(
ところ
)
へ
注
(
つ
)
ぎ
込
(
こ
)
む
樣
(
やう
)
な
不人情
(
ふにんじやう
)
は
仕度
(
したく
)
ても
出來
(
でき
)
ない、あれ
丈
(
だけ
)
腹
(
はら
)
の
太
(
ふと
)
い
豪
(
ゑら
)
いのでは
有
(
あ
)
らうが、
考
(
かんが
)
へると
此處
(
こゝ
)
の
旦那
(
だんな
)
も
鬼
(
おに
)
の
性
(
せう
)
さ、二
代
(
だい
)
つゞきて
彌々
(
いよ/\
)
根
(
ね
)
が
張
(
は
)
らうと
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
されば
此
(
こ
)
の
家塾
(
かじゆく
)
で
放任主義
(
はうにんしゆぎ
)
を
行
(
おこな
)
ふのは
畢竟
(
ひつきやう
)
獨立心
(
どくりつしん
)
を
養
(
やしな
)
ふ
爲
(
ため
)
であつて、この
狹
(
せま
)
い
小
(
ちひ
)
さな
家塾
(
かじゆく
)
で
其
(
そ
)
の
習慣
(
しふくわん
)
をつけて
置
(
お
)
くのは
他日
(
たじつ
)
大
(
おほひ
)
なる
社會
(
しやくわい
)
、
廣
(
ひろ
)
き
世界
(
せかい
)
へ
出
(
い
)
て
事
(
こと
)
の
缺
(
か
)
けない
仕度
(
したく
)
で
御在
(
ござい
)
ます。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
井戸端で顔を洗つたが、何となくはつきりしないので改めて
近間
(
ちかま
)
の銭湯へ出かけて、帰つて来ると食事の
仕度
(
したく
)
が出来てゐた。時子にお給仕して貰つてゐると、開け放された
襖
(
ふすま
)
の蔭から
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
潜水夫
(
もぐり
)
は私達の立っている近くの岸壁まで来て、暫く何か喬介から
指図
(
さしず
)
を受けていたが、
軈
(
やが
)
て二人の職工を呼び寄せると、
気管
(
ホース
)
やポンプの
仕度
(
したく
)
を手伝わせ、間もなく岸壁に梯子を下げて
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
『さァ!お
前
(
まへ
)
少
(
すこ
)
しあやして
御覽
(
ごらん
)
、
好
(
す
)
きなら!』
公爵夫人
(
こうしやくふじん
)
は
赤子
(
あかご
)
を
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
しながら
愛
(
あい
)
ちやんに、『
私
(
わたし
)
はこれから
行
(
い
)
つて、
女王樣
(
ぢよわうさま
)
と
毬投
(
まりな
)
げをする
仕度
(
したく
)
をしなければなりません』
云
(
い
)
つて
急
(
いそ
)
いで
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
その日の四ツごろようように
仕度
(
したく
)
が出来て、城下を去ること
半里
(
はんみち
)
ばかりの長井戸の森をさして出かけた,同勢は母と、姉と、娘と、自分と、女中二人に
下部
(
しもべ
)
一人、都合七人であッたところへ
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
両方で、ケンカをしたくないしたくないといいながら、セッセとケンカの
仕度
(
したく
)
をしてるんだ。ヘヘ! こんなコッケイなムジュンがあるかい?……いや、誤解しちゃ困るよ、誤解はしなさんな。
胎内
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
「まあ、心を落ちつけて話してください。その間に
仕度
(
したく
)
しますから」
暗夜の格闘
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
すぐ
仕度
(
したく
)
をして
逃
(
に
)
げださなければ大変です
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
駈けくらごつこの
仕度
(
したく
)
です
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
仕
常用漢字
小3
部首:⼈
5画
度
常用漢字
小3
部首:⼴
9画
“仕度”で始まる語句
仕度三昧