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鮮麗
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あざやか
ふりがな文庫
“
鮮麗
(
あざやか
)” の例文
……
然
(
さ
)
うでないと、あの
梟
(
ふくろふ
)
が
唱
(
とな
)
へる
呪文
(
じゆもん
)
を
聞
(
き
)
け、
寢鎭
(
ねしづま
)
つた
恁
(
か
)
うした
町
(
まち
)
は、ふは/\と
活
(
い
)
きて
動
(
うご
)
く、
鮮麗
(
あざやか
)
な
銀河
(
ぎんが
)
に
吸取
(
すひと
)
られようも
計
(
はか
)
られぬ。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
歩くともなしに
土橋
(
どばし
)
の上まで歩いて往った山西は、ふと橋のむこうから
姝
(
きれい
)
な
小女
(
こむすめ
)
の来るのを見た。それは
友禅
(
ゆうぜん
)
模様の
鮮麗
(
あざやか
)
な羽織を着た十六七の色の白い女であった。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
判然
(
はっきり
)
と
煤
(
すす
)
の中に、塵を払ってくっきりと
鮮麗
(
あざやか
)
な姿が、二人が机に向った横手、
畳数
(
たたみかず
)
二畳ばかり
隔
(
へだ
)
てた処に、寒き夜なれば
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは眼と眉の間の晴ばれとした、そして、眼にしっとりとした
潤
(
うるお
)
いのある水の中へ飛びこんだ
彼
(
か
)
の
小女
(
こむすめ
)
であった。その
羽織
(
はおり
)
も
鮮麗
(
あざやか
)
な
青光
(
あおびかり
)
のする
友禅
(
ゆうぜん
)
模様の
羽織
(
はおり
)
であった。彼は箸を
執
(
と
)
り落した。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
少し斜めに向をかえて、通を向うへ放れたと思うと、たちまち
颯
(
さっ
)
と
茜
(
あかね
)
を浴びて、
衣
(
きぬ
)
の
綾
(
あや
)
が見る見る
鮮麗
(
あざやか
)
に濃くなった。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
二人の
衣服
(
きもの
)
にも、
手拭
(
てぬぐい
)
にも、
襷
(
たすき
)
にも、
前垂
(
まえだれ
)
にも、織っていたその
機
(
はた
)
の色にも、
聊
(
いささか
)
もこの色のなかっただけ、
一入
(
ひとしお
)
鮮麗
(
あざやか
)
に明瞭に、脳中に
描
(
えが
)
き
出
(
いだ
)
された。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ト
其
(
そ
)
の
色
(
いろ
)
も……
薄
(
うす
)
いながら、
判然
(
はつきり
)
と
煤
(
すゝ
)
の
中
(
なか
)
に、
塵
(
ちり
)
を
拂
(
はら
)
つてくつきりと
鮮麗
(
あざやか
)
な
姿
(
すがた
)
が、
二人
(
ふたり
)
が
机
(
つくゑ
)
に
向
(
むか
)
つた
横手
(
よこて
)
、
疊數
(
たゝみかず
)
二
疊
(
でふ
)
ばかり
隔
(
へだ
)
てた
處
(
ところ
)
に、
寒
(
さむ
)
き
夜
(
よ
)
なれば
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そこで、卓子に
肱
(
ひじ
)
をつくと、青く
鮮麗
(
あざやか
)
に
燦然
(
さんぜん
)
として、異彩を放つ
手釦
(
てぼたん
)
の宝石を
便
(
たより
)
に、ともかくも
駒
(
こま
)
を並べて見た。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……眉は
鮮麗
(
あざやか
)
に、目はぱっちりと
張
(
はり
)
を持って、
口許
(
くちもと
)
の
凜
(
りん
)
とした……やや
強
(
きつ
)
いが、
妙齢
(
としごろ
)
のふっくりとした、濃い
生際
(
はえぎわ
)
に
白粉
(
おしろい
)
の際立たぬ、色白な娘のその顔。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ほとんどその半身を
蔽
(
おお
)
うまで、
堆
(
うずだか
)
い草の葉
活々
(
いきいき
)
として冷たそうに露を
溢
(
こぼ
)
さぬ
浅翠
(
あさみどり
)
の中に、
萌葱
(
もえぎ
)
、
紅
(
あか
)
、薄黄色、幻のような早咲の秋草が、色も
鮮麗
(
あざやか
)
に映って
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
戸外
(
おもて
)
はあたかも真昼のよう、月の光は
開
(
あ
)
け
拡
(
ひろ
)
げた
家
(
や
)
の
内
(
うち
)
へはらはらとさして、
紫陽花
(
あじさい
)
の色も
鮮麗
(
あざやか
)
に
蒼
(
あお
)
かった。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
表に夫人の
打微笑
(
うちほほえ
)
む、目も眉も
鮮麗
(
あざやか
)
に、
人丈
(
ひとたけ
)
に
暗
(
やみ
)
の中に描かれて、黒髪の輪郭が、細く
円髷
(
まげ
)
を
劃
(
くぎ
)
って
明
(
あかる
)
い。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
戸外
(
おもて
)
は
恰
(
あたか
)
も
真昼
(
まひる
)
のやう、
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
は
開
(
あ
)
け
広
(
ひろ
)
げた
家
(
や
)
の
内
(
うち
)
へはら/\とさして、
紫陽花
(
あぢさい
)
の
色
(
いろ
)
も
鮮麗
(
あざやか
)
に
蒼
(
あを
)
かつた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
俺たちが見れば、薄暗い人間界に、
眩
(
まぶし
)
い虹のような、その花のパッと咲いた処は
鮮麗
(
あざやか
)
だ。な、家を忘れ、身を忘れ、
生命
(
いのち
)
を忘れて咲く怪しい花ほど、美しい
眺望
(
ながめ
)
はない。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俺たちが見れば、薄暗い人間界に、
眩
(
まぶし
)
い虹のやうな、其の花のパツと咲いた
処
(
ところ
)
は
鮮麗
(
あざやか
)
だ。な、家を忘れ、身を忘れ、
生命
(
いのち
)
を忘れて咲く怪しい花ほど、美しい
眺望
(
ながめ
)
はない。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ええ、死神のような奴、取附かれて
堪
(
たま
)
るものか。」力に任して突飛ばせば、
婆々
(
ばばあ
)
へたばる、三吉
遁
(
にげ
)
る、
出合頭
(
であいがしら
)
に一人の美人、(木賃宿のあの人の)宵月の影
鮮麗
(
あざやか
)
なり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
差
(
さし
)
のばしたまう白く細き手の、その姉上の姿ながら、
室
(
へや
)
の片隅の暗きあたり
鮮麗
(
あざやか
)
にフト在るを、見返せば、月の影窓より漏れて、青き一条の光、畳の上に
映
(
さ
)
したるなり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
日蔽
(
ひおおい
)
の
葭簀
(
よしず
)
を払った、両側の組柱は、鉄橋の木賃に似て、男も
婦
(
おんな
)
も、折から
市人
(
いちびと
)
の
服装
(
なり
)
は皆黒いのに、一ツ
鮮麗
(
あざやか
)
に
行
(
ゆ
)
く美人の姿のために、さながら、市松障子の屋台した
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
紫の
矢絣
(
やがすり
)
の、色の薄いが
鮮麗
(
あざやか
)
に、
朱緞子
(
しゅどんす
)
に銀と観世水のやや幅細な帯を胸高に、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
背負上
(
しょいあ
)
げして、ほんのり桜色に上気しながら、こなたを見入ったのは、お妙である!
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
通掛
(
とおりかか
)
りに、めし屋へ声を掛けて
行
(
ゆ
)
きました。が、
※
(
ぱっ
)
と燃えてる
松明
(
たいまつ
)
の火で、おくれ毛へ、こう、雪の散るのが、白い、その頬を
殺
(
そ
)
ぐようで、
鮮麗
(
あざやか
)
に見えて、いたいたしい。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
トタンに一人の肩を越して、空へ躍るかと、もう一匹、続いて
舳
(
へさき
)
から
衝
(
つ
)
と抜けた。最後のは前脚を揃えて海へ一文字、細長い茶色の胴を
一畝
(
ひとうね
)
り畝らしたまで
鮮麗
(
あざやか
)
に認められた。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは、と思うと、縁の突当り正面の大姿見に、渠の全身、
飛白
(
かすり
)
の紺も
鮮麗
(
あざやか
)
に、部屋へ入っている夫人が、どこから
見透
(
みすか
)
したろうと驚いたその目の色まで、
歴然
(
ありあり
)
と映っている。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
容子
(
ようす
)
は似つかわしく外国語で行こう、ヤングゼントルマンというのが、その
同伴
(
つれ
)
の、——すらりとして派手に
鮮麗
(
あざやか
)
な中に、
扱帯
(
しごき
)
の結んだ端、羽織の裏、
褄
(
つま
)
はずれ、目立たないで
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今言ったその運転手台へ、
鮮麗
(
あざやか
)
に出た女は、南部の表つき、薄形の
駒下駄
(
こまげた
)
に、ちらりとかかった雪の足袋、
紅羽二重
(
こうはぶたえ
)
の
褄捌
(
つまさば
)
き、柳の腰に
靡
(
なび
)
く、と一段軽く踏んで下りようとした。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ひしと詰込んだ一列の
乗客
(
のりて
)
に隠れて、内証で前へ乗出しても、もう女の
爪先
(
つまさき
)
も見えなかったが、一目見られた
瞳
(
ひとみ
)
の力は、刻み込まれたか、と
鮮麗
(
あざやか
)
に胸に描かれて、白木屋の
店頭
(
みせさき
)
に
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
石段の下あたりで、緑に包まれた夫人の姿は、色も一際
鮮麗
(
あざやか
)
で、青葉越に
緋鯉
(
ひごい
)
の躍る池の水に、影も映りそうに
彳
(
たたず
)
んだが、
手巾
(
ハンケチ
)
を振って、促がして、茶店から引張り寄せた早瀬に
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
清らかな
衣
(
きもの
)
を着、
新
(
あらた
)
に
梳
(
くしけず
)
って、花に露の
点滴
(
したた
)
る
装
(
よそおい
)
して、馬に騎した姿は、かの国の花野の
丈
(
たけ
)
を、錦の山の懐に
抽
(
ぬ
)
く……
歩行
(
あるく
)
より、車より、
駕籠
(
かご
)
に乗ったより、一層
鮮麗
(
あざやか
)
なものだと思う。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
対合
(
むかいあ
)
った
居附
(
いつき
)
の店の電燈
瓦斯
(
がす
)
の
晃々
(
こうこう
)
とした中に、小僧の
形
(
かげ
)
や、帳場の主人、火鉢の前の
女房
(
かみさん
)
などが、絵草子の裏、
硝子
(
がらす
)
の中、中でも
鮮麗
(
あざやか
)
なのは、軒に飾った
紅入友染
(
べにいりゆうぜん
)
の影に、くっきりと
顕
(
あらわ
)
れる。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
声の
綾
(
あや
)
に、我を忘れて、道成寺の
一条
(
ひとくだり
)
の真紅の糸が、
鮮麗
(
あざやか
)
に織込まれた。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大魔の
形体
(
ぎょうたい
)
、片隅の暗がりへ
吸込
(
すいこ
)
まれたようにすッと
退
(
の
)
いた、が
遥
(
はるか
)
に小さく、およそ蛍の火ばかりになって、しかもその
衣
(
きぬ
)
の色も、
袴
(
はかま
)
の色も、顔の色も、
頭
(
かしら
)
の毛の
総髪
(
そうがみ
)
も、
鮮麗
(
あざやか
)
になお目に映る。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
惜気
(
おしげ
)
なく
真鍮
(
しんちゅう
)
の火鉢へ
打撒
(
ぶちま
)
けると、横に
肱掛窓
(
ひじかけまど
)
めいた低い障子が二枚、……其の紙の
破
(
やぶれ
)
から
一文字
(
いちもんじ
)
に吹いた風に、又
※
(
ぱっ
)
としたのが
鮮麗
(
あざやか
)
な
朱鷺色
(
ときいろ
)
を
染
(
そ
)
めた、あゝ、秋が深いと、火の
気勢
(
けはい
)
も
霜
(
しも
)
に
染
(
そ
)
む。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
見透
(
みとほし
)
の
裏
(
うら
)
は
小庭
(
こには
)
もなく、すぐ
隣屋
(
となり
)
の
物置
(
ものおき
)
で、
此處
(
こゝ
)
にも
犇々
(
ひし/\
)
と
材木
(
ざいもく
)
が
建重
(
たてかさ
)
ねてあるから、
薄暗
(
うすぐら
)
い
中
(
なか
)
に、
鮮麗
(
あざやか
)
な
其
(
その
)
淺黄
(
あさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
と
片頬
(
かたほ
)
の
白
(
しろ
)
いのとが、
拭込
(
ふきこ
)
むだ
柱
(
はしら
)
に
映
(
うつ
)
つて、ト
見
(
み
)
ると
露草
(
つゆぐさ
)
が
咲
(
さ
)
いたやうで
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
見透
(
みとおし
)
の裏は
小庭
(
こにわ
)
もなく、すぐ
隣屋
(
となり
)
の
物置
(
ものおき
)
で、
此処
(
ここ
)
にも
犇々
(
ひしひし
)
と材木が
建重
(
たてかさ
)
ねてあるから、薄暗い中に、
鮮麗
(
あざやか
)
なその浅黄の手絡と
片頬
(
かたほ
)
の白いのとが、
拭込
(
ふきこ
)
んだ柱に映って、ト見ると
露草
(
つゆぐさ
)
が咲いたようで
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄色友禅の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の
飜
(
ひるがえ
)
りたる
紅裏
(
もみうら
)
は燃ゆるがごとく
鮮麗
(
あざやか
)
なり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「やあ、
鮮麗
(
あざやか
)
なり、おらが
姉
(
ねえ
)
さん三人ござる。」
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鮮
常用漢字
中学
部首:⿂
17画
麗
常用漢字
中学
部首:⿅
19画
“鮮”で始まる語句
鮮
鮮血
鮮明
鮮紅
鮮人
鮮魚
鮮少
鮮緑
鮮鯛
鮮妍