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みまわ
ふりがな文庫
“
見廻
(
みまわ
)” の例文
今まで無邪気に天空で戯れていた少年が人のいない周囲を
見廻
(
みまわ
)
し、ふと下を
覗
(
のぞ
)
いたときの、泣きだしそうな孤独な恐怖が
洩
(
も
)
れていた。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
鷲尾は礼を述べて赤ン坊を受取ると、いくらかラクになった気持で
四辺
(
あたり
)
を
見廻
(
みまわ
)
した。夜中ででもあるか、車内は眠ってる人が多かった。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
男は助けを求めるようにあたりを
見廻
(
みまわ
)
した。「
廃
(
よ
)
してくれ。そんな事を聞かないでくれ。そんなに人をいじめるものじゃない。」
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
一郎はさらに、天井を
見廻
(
みまわ
)
したり、ジュウタンをめくって床板を調べたりしたが、秘密の出入口があるようにも見えなかった。
暗黒星
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
奇妙な事に、リリーは窮屈な
籠
(
かご
)
の中から
直
(
す
)
ぐには外へ出ようとせずに、不思議そうに首だけ伸ばして
暫
(
しばら
)
く室内を
見廻
(
みまわ
)
していた。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
胆潰
(
きもつぶ
)
れたれど心を
鎮
(
しず
)
め静かにあたりを
見廻
(
みまわ
)
すに、流し
元
(
もと
)
の水口の穴より狐のごとき物あり、
面
(
つら
)
をさし入れて
頻
(
しきり
)
に死人の方を見つめていたり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
『
此樣
(
こん
)
な
工夫
(
くふう
)
をやるのだもの、
此
(
この
)
武村新八
(
たけむらしんぱち
)
だつてあんまり
馬鹿
(
ばか
)
にはなりますまい。』と
眼
(
め
)
を
眞丸
(
まんまる
)
にして
一同
(
いちどう
)
を
見廻
(
みまわ
)
したが、
忽
(
たちま
)
ち
聲
(
こゑ
)
を
低
(
ひく
)
くして
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
兎は
一息
(
ひといき
)
に、百ヤードばかり走りぬきました。そして、自分のまわりを
見廻
(
みまわ
)
してみると、そこには、亀の
姿
(
すがた
)
も形も見えないではありませんか。
兎と亀
(新字新仮名)
/
ロード・ダンセイニ
(著)
同時に彼は物を落して驚いたような
容
(
ふう
)
をして、その
四辺
(
あたり
)
をきょろきょろと
見廻
(
みまわ
)
し、やっとそれを敷石の上に見つけたようにして急いで拾った。
指環
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
余は今車の上から
見廻
(
みまわ
)
して、当年のわびしい記憶を
喚起
(
よびおこ
)
そうとしたが、明治四十三年の旭川から七年前の旭川を見出すことは成功しなかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
小初は、
跳
(
は
)
ね
込
(
こ
)
み台の
櫓
(
やぐら
)
の上板に立ち上った。
腕
(
うで
)
を額に
翳
(
かざ
)
して、空の雲気を
見廻
(
みまわ
)
した。軽く
矩形
(
くけい
)
に
擡
(
もた
)
げた右の上側はココア色に
日焦
(
ひや
)
けしている。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「そう。これがそんなにあなたに気に入って?」お宮は乳のまわりを
見廻
(
みまわ
)
しながらそういって、柳沢の方を見守りつつ
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
役員のひとりで、
豪放磊落
(
ごうほうらいらく
)
なG博士が
肩幅
(
かたはば
)
の広い
身体
(
からだ
)
をゆすりあげ、設けの席につくと、みんなをずっと
見廻
(
みまわ
)
したのち
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
それはさておき、一同がおとし穴に気をとられているとき、キョロキョロとあたりを
見廻
(
みまわ
)
していた牛丸平太郎が、
突然
(
とつぜん
)
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何時間
(
なんじかん
)
かじっと
坐
(
すわ
)
って
様子
(
ようす
)
を
見
(
み
)
ていましたが、それからあたりを
丁寧
(
ていねい
)
にもう一
遍
(
ぺん
)
見廻
(
みまわ
)
した
後
(
のち
)
やっと
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
って、
今度
(
こんど
)
は
非常
(
ひじょう
)
な
速
(
はや
)
さで
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
しました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
二人が門へはいった時、省作はまだ二人の来たのも気づかず、しきりに本堂の周囲を
見廻
(
みまわ
)
し堂の様子を眺めておった。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
殊更
憂
(
うれい
)
を含む
工合
(
ぐあい
)
凄味
(
すごみ
)
あるに
総毛立
(
そうけだち
)
ながら
尚
(
なお
)
能
(
よ
)
くそこら
見廻
(
みまわ
)
せば、床に
掛
(
かけ
)
られたる一軸
誰
(
たれ
)
あろうおまえの姿絵
故
(
ゆえ
)
少し
妬
(
ねた
)
くなって一念の
無明
(
むみょう
)
萌
(
きざ
)
す途端
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それでもKの
身体
(
からだ
)
は
些
(
ちっ
)
とも動きません。私はすぐ起き上って、
敷居際
(
しきいぎわ
)
まで行きました。そこから彼の室の様子を、暗い
洋燈
(
ランプ
)
の光で
見廻
(
みまわ
)
してみました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何にしようか」と
見廻
(
みまわ
)
すと、いろいろなものの名前を書いた白い紙片が、たくさんぶら下っていた。その中に「メロン五十
銭
(
せん
)
」と書いたのがあった。
寺田先生と銀座
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
咆哮
(
ほうこう
)
し終ってマットン博士は卓を打ち式場を
見廻
(
みまわ
)
しました。満場
森
(
しん
)
として声もなかったのです。博士は続けました。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
夢
(
ゆめ
)
から
夢
(
ゆめ
)
を
辿
(
たど
)
りながら、
更
(
さら
)
に
夢
(
ゆめ
)
の
世界
(
せかい
)
をさ
迷
(
まよ
)
い
続
(
つづ
)
けていた
菊之丞
(
はまむらや
)
は、ふと、
夏
(
なつ
)
の
軒端
(
のきば
)
につり
残
(
のこ
)
されていた
風鈴
(
ふうりん
)
の
音
(
おと
)
に、
重
(
おも
)
い
眼
(
め
)
を
開
(
あ
)
けてあたりを
見廻
(
みまわ
)
した。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
これは
凄
(
すご
)
いね、このままケズらず載せたものかね、と
見廻
(
みまわ
)
すと、真杉静枝が
間髪
(
かんはつ
)
を
容
(
い
)
れず、ケズることないわ、ホントにそう言ったのですもの、と叫んだ。
二十七歳
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
男はそう答えながら、ぶらぶらと、老百姓が田を
見廻
(
みまわ
)
ってでもいるかのように、暢気そうに歩きだした。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「はてな、今日はもう
誰
(
だれ
)
か
他
(
ほか
)
の蟹が来たかしら?」と、
見廻
(
みまわ
)
してみても、他に蟹は一
匹
(
ぴき
)
もおりません。
椰子蟹
(新字新仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
その
中
(
うち
)
に彼
等
(
ら
)
の一人が子路の
服装
(
ふくそう
)
をじろじろ
見廻
(
みまわ
)
し、やあ、これが儒服という
奴
(
やつ
)
か?
随分
(
ずいぶん
)
みすぼらしいなりだな、と言った。長剣が
恋
(
こい
)
しくはないかい、とも言った。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
(驚きて
四辺
(
あたり
)
を
見廻
(
みまわ
)
す。画室の
塵
(
ちり
)
一本もなきように綺麗に掃除しあるに心付く。)うむ、なるほど。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
貸金
(
かしきん
)
の
取
(
とり
)
たて、
店
(
みせ
)
への
見廻
(
みまわ
)
り、
法用
(
はうよう
)
のあれこれ、
月
(
つき
)
の
幾日
(
いつか
)
は
説教日
(
せつけうび
)
の
定
(
さだ
)
めもあり
帳面
(
ちやうめん
)
くるやら
經
(
けう
)
よむやら
斯
(
か
)
くては
身體
(
からだ
)
のつゞき
難
(
がた
)
しと
夕暮
(
ゆふぐ
)
れの
縁先
(
ゑんさき
)
に
花
(
はな
)
むしろを
敷
(
し
)
かせ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
日に都合四度ずつ竹の
杖
(
つえ
)
をついて庭を
見廻
(
みまわ
)
る振りをして、人知れず植込みの奥に
眼
(
め
)
を光らせてはいって行き、その隠し場所の安泰をたしかめ、私がまだ五つ六つの時分は
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
一心に沖を見ていた為吉は、ふと心づいてあたりを
見廻
(
みまわ
)
しました。浜には
矢張
(
やは
)
り誰もいませんでした。何の物音もなく、村全体は、深い昼寝の夢にふけっているようでした。
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
アリョーシャはあたりを
見廻
(
みまわ
)
した。それから眼をとても大きくして、彼の耳にささやいた。
小波瀾
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「いったいこりゃどこへ置いたもんだろう?」
血塗
(
ちまみ
)
れになって正気を失っているマルメラードフが部屋の中へかつぎ込まれたとき、巡査の一人はあたりを
見廻
(
みまわ
)
しながら、こう尋ねた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
何か民さんにさせる仕事はないかと、彼は彼の庭をぐるぐる
見廻
(
みまわ
)
したが、植木も石も入れる余地もなく、職人をつかって重い石の
据附
(
すえつけ
)
に
監督
(
かんとく
)
をする気なぞ、もう頭のどこにもなかった。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
なんのためだか知らないが僕はあっちこちを
見廻
(
みまわ
)
してから、誰も見ていないなと思うと、手早くその箱の蓋を開けて藍と洋紅との
二色
(
ふたいろ
)
を取上げるが早いかポッケットの中に押込みました。
一房の葡萄
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
猟人「たしかこの辺へ逃込んだがなあ」(
独語
(
ひとりごと
)
をしながら
四辺
(
あたり
)
を
見廻
(
みまわ
)
す)
春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
その夜中、一度
私
(
わたし
)
はロボのほえ声を聞いたように思った。が、しかとしなかった。
翌日
(
よくじつ
)
私は早く
見廻
(
みまわ
)
りに出かけた。しかし百三十個も飛び飛びにわなを見まわるので、北の谷間を残して日が
暮
(
く
)
れた。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
念のために川の
上下
(
かみしも
)
を一わたり
見廻
(
みまわ
)
ろうか。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
簗
(
やな
)
見廻
(
みまわ
)
つて口笛吹くや
高嶺晴
(
たかねばれ
)
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
こんな事を考えながら女は
寐入
(
ねい
)
ってしまったが、ある一
刹那
(
せつな
)
にその眠りが突然
醒
(
さ
)
めた。あたりを
見廻
(
みまわ
)
せば、ほとんど真っ暗になっている。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
傍
(
そば
)
の五六人が、パタ、パタと立上った。向うから、
見廻
(
みまわ
)
りの『組長』たちが、肩章をヒラつかせて三人ばかりでやって来た。
工場新聞
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
一片
(
いつぺん
)
のパンも
一塊
(
いつくわい
)
の
肉
(
にく
)
もなき
此
(
この
)
みじめな
艇中
(
ていちう
)
を
見廻
(
みまわ
)
して、
再
(
ふたゝ
)
び
私
(
わたくし
)
の
顏
(
かほ
)
を
眺
(
なが
)
めた
姿
(
すがた
)
は、
不憫
(
ふびん
)
とも
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
はれなかつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
一月十日 午前運動の
為
(
た
)
め亀井戸までゆき。やや十二時すぐる頃
帰
(
かえっ
)
て来ると。妻はあわてて予を迎え。今少し前に巡査がきまして牛舎を
見廻
(
みまわ
)
りました。
牛舎の日記
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
それは夜の九時過ぎまでも明るい欧洲の夏の夕暮に似ていると、かの女はあたりを珍しがりながら、
見廻
(
みまわ
)
している。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そのあいだに二度ほど、
梯子段
(
はしごだん
)
をギシギシいわせて、階下から見知らぬ大男が、監禁者を
見廻
(
みまわ
)
りにやってきた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その時の私がもしこの驚きをもって、もう
一返
(
いっぺん
)
彼の口にした覚悟の内容を公平に
見廻
(
みまわ
)
したらば、まだよかったかも知れません。悲しい事に私は
片眼
(
めっかち
)
でした。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
若い大工がかなづちを
腰
(
こし
)
にはさんで、
尤
(
もっと
)
もらしい顔をして庭の
塀
(
へい
)
や屋根を
見廻
(
みまわ
)
っていたがね、本当はやっこさん、僕たちの馳けまわるのが大変面白かったようだよ。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
円盤
(
えんばん
)
の石見嬢が残っていましたが、石見さんもみんなの
俄
(
にわ
)
かに席から立ち去って
了
(
しま
)
ったのに
驚
(
おどろ
)
くと、きょろきょろ
辺
(
あた
)
りを
見廻
(
みまわ
)
して、初めてあなたとぼくに気づくと
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
特
(
こと
)
に今、母はお浪の源三を連れて帰って来たのを見て、わたしはちょいと
見廻
(
みまわ
)
って来るからと云って、少し
離
(
はな
)
れたところに建ててある
養蚕所
(
ようさんじょ
)
を
監視
(
みまわり
)
に出て行ったので
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
川北先生はその間、部屋をぐるぐる
見廻
(
みまわ
)
していた。そのとき先生が入口の扉の方へ眼をやったとき、暗い廊下からこっちを
覗
(
のぞ
)
きこんでいる背の低い洋装の少女があった。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
最初
(
さいしょ
)
におむらが、
声
(
こえ
)
をかけた。が、
菊之丞
(
きくのじょう
)
の
心
(
こころ
)
には、
声
(
こえ
)
の
主
(
ぬし
)
が
誰
(
だれ
)
であるのか、まだはっきり
映
(
うつ
)
らなかったのであろう。きょろりと一
度
(
ど
)
見廻
(
みまわ
)
したきり、
再
(
ふたた
)
び
眼
(
め
)
を
閉
(
と
)
じてしまった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
蟹はふしぎそうに
見廻
(
みまわ
)
しますと、そこに一本の樹があって、それに実がなっております。
椰子蟹
(新字新仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
廻
漢検準1級
部首:⼵
9画
“見”で始まる語句
見
見惚
見出
見物
見下
見上
見送
見透
見做
見当