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ふみ
ふりがな文庫
“
文
(
ふみ
)” の例文
懷
(
ふところ
)
から手紙を出したりしてゐるだらう、雪駄直しの片手間に、使ひ屋にも頼めねえ
文
(
ふみ
)
を預かつて居るんだね、細くねえ商法ぢやないか
銭形平次捕物控:250 母娘巡礼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
文
(
ふみ
)
一つやりとりするにも人目をはばからねばなりませぬゆえ、お蘭どのが思いついてくふうしたのが、このお蘭しごきでござります。
右門捕物帖:28 お蘭しごきの秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
一 「
淋
(
さび
)
し」といふこと思ふべからず。見ぬ世の人を友とするも得。淋しと思はゞ家職の
文
(
ふみ
)
を開け。千万の多事急務、その内にあり。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
横車を押し意だけ高に何かを罵って居た時、才覚のある者が、ふみばさみに
文
(
ふみ
)
をはさんで、これを大臣に奉ると云って擬勢を示したら
余録(一九二四年より)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
小松の結婚する少しまえのことだったが、或日、志保の居間へ
文
(
ふみ
)
を入れた者があった。
披
(
ひら
)
いてみると一首の恋歌がしたためてある。
菊屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
昔よりもいっそう恋の自由のない境遇にいても尚侍は
文
(
ふみ
)
によって絶えず恋をささやく源氏を持っていて幸福感がないでもなかった。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
今
貴嬢
(
きみ
)
にこの
文
(
ふみ
)
を写して送らん要あらず、ただ二郎は今朝夜明けぬ先に
品川
(
しながわ
)
なる船に乗り込みて直ちに出帆せりといわば足りなん。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
わたくしとしましては
只
(
ただ
)
そのお心根がいじらしく、おん痛わしく、お頼みにまかせて
文
(
ふみ
)
使いの役目を勤めておったのでございます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
路考さんの話を疑うわけじゃないが、路考さんが十年前に書いたという古い
文
(
ふみ
)
が、今朝殺されたお蔦という娘の文箱から出て来た。
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
国を乱す悪魔であろう。石神の
文
(
ふみ
)
を読んだからには悪魔の片われに違いない。逃がす事は出来ないぞ。生かしておく事は出来ないぞ
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
文
(
ふみ
)
つぶてにひかれて土屋多門の屋敷を出た弥生は、待っていた櫛まきお藤につれられて、雨にぬかるむ路をここまで来たのである。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
色
(
いろ
)
よい
返事
(
へんじ
)
を
認
(
したた
)
めたおせんの
文
(
ふみ
)
を、
見
(
み
)
せろ
見
(
み
)
せないのいさかいに、しばし
心
(
こころ
)
を
乱
(
みだ
)
していたが、この
上
(
うえ
)
の
争
(
あらそ
)
いは
無駄
(
むだ
)
と
察
(
さっ
)
したのであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
彼処
(
かしこ
)
にて恋人の
文
(
ふみ
)
得
(
う
)
る人もあるべしなど、あやにくなることの思はれ
候
(
さふら
)
て、ふと涙
零
(
こぼ
)
し
候
(
さふらふ
)
など、いかにもいかにも不覚なる
私
(
わたくし
)
に
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
重四郎は
是
(
これ
)
幸
(
さひは
)
ひと娘の
部屋
(
へや
)
を
覗
(
のぞ
)
き見れば
折節
(
をりふし
)
お浪は
只
(
たゞ
)
獨
(
ひと
)
り
裁縫
(
ぬひもの
)
をなし居たるにぞ
頓
(
やが
)
て
件
(
くだ
)
んの
文
(
ふみ
)
を取出しお浪の
袖
(
そで
)
へ
密
(
そつ
)
と
入
(
いれ
)
何喰
(
なにくは
)
ぬ
顏
(
かほ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
震災前では、先代の
文
(
ふみ
)
の
家
(
や
)
かしく、あの蟹のようにワイ雑な顔で、いつもきまって十年一日しゃっくりのまじる都々逸ばかりやりました。
随筆 寄席風俗
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
あの
方
(
かた
)
は大きい
柳行李
(
やなぎがうり
)
に
充満
(
いつぱい
)
あつたあなたの
文
(
ふみ
)
がらをあなたの先生の
処
(
ところ
)
へ持つて行つて焼いたと云ふこと、こんなことでした。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
といひかけ、衣の間より封じたる
文
(
ふみ
)
を取出でてわれに渡し、「これを人知れず大臣の夫人に届け玉へ、人知れず、」と頼みぬ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それを逸らせるためにはあなたさまの御無事のお便りをいただかなければなりません。ただ、一枚の紙きれのお
文
(
ふみ
)
でたくさんにございます。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ここには女文字の
文
(
ふみ
)
がある。なにしろ、この一件には女の詮議が肝腎だ。案内の男に云いつけて、まず荒物屋のお鎌という女を呼んでみよう。
半七捕物帳:46 十五夜御用心
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今はこれまでの命と思い詰めたるとき、エレーンは父と兄とを枕辺に招きて「わがためにランスロットへの
文
(
ふみ
)
かきて玉われ」
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今日
文
(
ふみ
)
の来て
細々
(
こまごま
)
と優き事など
書聯
(
かきつら
)
ねたらば、
如何
(
いか
)
に我は
嬉
(
うれし
)
からん。なかなか同じ処に居て飽かず顔を見るに
易
(
か
)
へて、その
楽
(
たのしみ
)
は深かるべきを。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
森「嘘じゃアありやせん、この
文
(
ふみ
)
を出して、
何
(
ど
)
うか返事を下さいってんでさア、返事が面倒なら
発句
(
ほっく
)
とか
何
(
な
)
んとか云うものでもおやんなせえ」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
手
(
て
)
ならひが
能
(
よ
)
く
出來
(
でき
)
たれば
此次
(
このつぎ
)
には
文
(
ふみ
)
を
書
(
か
)
きて
見
(
み
)
せ給へと
勿体
(
もつたい
)
ない
奉書
(
ほうしよう
)
の
繪
(
ゑ
)
半切
(
はんき
)
れを
手遊
(
おもちや
)
に
下
(
くだ
)
された
事
(
こと
)
忘
(
わす
)
れはなさるまい
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
解
(
げ
)
すべからざるものをも
解
(
げ
)
し、
文
(
ふみ
)
に書かれぬものをも読み、乱れて収められぬものをも収めて、
終
(
つい
)
には永遠の闇の
中
(
うち
)
に路を尋ねて
行
(
ゆ
)
くと見える。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
姉の話では、鶴さんの始終抱えて歩いている鞄のなかの
文
(
ふみ
)
が、時々植源の嫁の前などで、繰拡げられると云うのであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
文
(
ふみ
)
して戀しく懷かしきアントニオの君に
申上
(
まうしあげ
)
※
(
まゐらせそろ
)
。今宵はゆくりなくも、おん目に掛り候ひぬ、再びおん目にかゝり候ひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「尊いお
文
(
ふみ
)
にございます。天国への道は細く嶮しく、地獄への道は広うござるとな。——それ、この一番狭い道が、あなた様の道でございますよ」
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ただ惜しいことに十二月七日とあるばかりで、年号が書き入れてないのだが、多分この
文
(
ふみ
)
は娘を大阪へ出してからの最初の
便
(
びん
)
であろうと思われる。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
兼好が人に代って
鹽谷
(
えんや
)
の妻に送るの
文
(
ふみ
)
に比するも、人の感情を動かすの深き決して
渠
(
かれ
)
に劣らざる可し、是も亦他に非ず其の文の
直
(
たゞち
)
に
言
(
ことば
)
を写せばなり
松の操美人の生埋:01 序
(新字新仮名)
/
宇田川文海
(著)
斯
(
こ
)
の
姉妹
(
きやうだい
)
が世話する
叔父
(
をぢ
)
さんの子供は二人とも男の児で、
年少
(
した
)
の方は
文
(
ふみ
)
ちやんと言つて、六歳の
悪戯盛
(
いたづらざか
)
りであつた。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
可
(
いい
)
か、
支那人
(
チャンチャン
)
から礼をいつて寄越した
文
(
ふみ
)
だぞ。人間は正直だ。わけもなく
天窓
(
あたま
)
を下げて、お辞儀をする者はない。
殊
(
こと
)
に敵だ、われわれの敵たる
支那人
(
チャンチャン
)
だ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
金助は
雀躍
(
こおどり
)
をして喜びながら、駈け出して行く途端、たそや行燈の下で
文
(
ふみ
)
を読んでいた侍にぶっつかろうとする。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
表書
(
おもてが
)
きにその方の名前を書いた
文
(
ふみ
)
が出来ていましたのですけれど、その
方
(
かた
)
のほうが先へおなくなりになってしまったので、それで面倒くさくなったのです。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
いとものうくて、日ごろ親しき友に
文
(
ふみ
)
書
(
か
)
かんも
厭
(
い
)
や、行田へ行かんも
厭
(
いと
)
ふにはあらねどまたものうく、かくて絵もかけず詩も出でず、この十日は一人過ぎぬ。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
武蔵は女が隠し男に
遣
(
や
)
る
文
(
ふみ
)
とでも
誤解
(
はきちが
)
へたものか、激しい嫉妬で顔は蟹のやうに
真紅
(
まつか
)
になつた。そしていきなり女を手打にして腸のなかからその反古を引張り出した。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
大きな
日傘
(
ひがさ
)
をさして、白い
水干
(
すいかん
)
を着た男が一人、青竹の
文挾
(
ふばさみ
)
にはさんだ
文
(
ふみ
)
を持って、暑そうにゆっくり通ったあとは、向こうに続いた
築土
(
ついじ
)
の上へ、影を落とす犬もない。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
文
(
ふみ
)
の
面
(
おもて
)
を見ればそんなけびらいは露程もなく、何もかも
因縁
(
いんねん
)
ずくと
断念
(
あきら
)
めた思切りのよい
文言
(
もんごん
)
。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「
主
(
ぬし
)
ァ、まだ起きていなんしたのかい。おや何を書いていなます。
何処
(
どこ
)
ぞのお馴染へ上げる
文
(
ふみ
)
でありんしょう。見せておくんなんし。」と
立膝
(
たてひざ
)
の
長煙管
(
ながぎせる
)
に種員が大事の創作を
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
北条泰時が
貞永式目
(
じょうえいしきもく
)
という法律を作りました時に、「かように沙汰候を、
京辺
(
みやこあたり
)
には定めて物も知らぬ
夷
(
えびす
)
どもの書き集めたる
文
(
ふみ
)
とて、笑はるゝ方も候はんずらん、憚り覚え候。」
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
急げ、紙ぎれ、わが
文
(
ふみ
)
ぎれよ。
幸
(
さち
)
うすくわが追われたる、幸多きかのおん側に急ぎゆけ。
エリザベスとエセックス
(新字新仮名)
/
リットン・ストレイチー
(著)
ふいと愛人の
文
(
ふみ
)
を自分に届けに来たような気がして、おもわず胸をおどらせながら立ち止まっていると、落葉の音だけをあとに残してその文使いは自分の傍を過ぎていってしまう。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
学校がどうのこうのと云ったって、正しい
文
(
ふみ
)
の道はただ一つさ。小野ノ
連
(
むらじ
)
にしろ、この僕にしろ、君とは一生を誓い合った同志じゃないか。その
繰言
(
くりごと
)
だけはもういい加減に止めたまえ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
それを見ると、中の一つは自分のちょっと知っている、ある男からの
文
(
ふみ
)
であった。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
先頃
(
さきごろ
)
よりの礼厚く
演
(
のべ
)
て子爵より礼の
餽
(
おく
)
り物数々、
金子
(
きんす
)
二百円、代筆ならぬ謝状、お辰が手紙を
置列
(
おきなら
)
べてひたすら低頭平身すれば珠運少しむっとなり、
文
(
ふみ
)
丈
(
だ
)
ケ受取りて其他には手も
付
(
つけ
)
ず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
妾は生きて再び両親にも
見
(
まみ
)
えがたかるべしなど、涙と共に
掻口説
(
かきくど
)
き、その
後
(
のち
)
また
文
(
ふみ
)
して訴えけるに、彼も内心穏やかならず
頗
(
すこぶ
)
る苦慮の
体
(
てい
)
なりしが、ある時は何思いけん
児
(
じ
)
を
抱
(
いだ
)
き上げて
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
それから始終隠れて逢ったり
文
(
ふみ
)
をやりとりしていらしたに違いない、などと……。其他、僕は一々覚えてはしません。彼女は恐ろしく興奮していましたし、僕も非常に興奮していました。
野ざらし
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
蟲の
音
(
ね
)
も、我を咎むる心地して、
繰擴
(
くりひろ
)
げし
文
(
ふみ
)
の
文字
(
もじ
)
は、
宛然
(
さながら
)
我れを睨むが如く見ゆるに、目を閉ぢ耳を
塞
(
ふさ
)
ぎて机の側らに伏し
轉
(
まろ
)
べば、『あたら武士を
汝故
(
そなたゆゑ
)
に』と、いづこともなく
囁
(
さゝや
)
く聲
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
そうしてその情愛の中で幾多の秘義が、その
匿
(
かく
)
れた扉を私のために開いた。そうして文字なき真理の
文
(
ふみ
)
が、数多くそこに読まれた。私は謝恩のしるしにも、示されたものを綴っておきたい。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
こうした遠く過ぎ去った旧い愛の
文
(
ふみ
)
を私は手に一ぱいつかみ、私はそれを愛撫した。そして、思い出に今は物狂おしくなった私の心の中に、私は棄てた時の女の姿を一人々々見たのである。
ある自殺者の手記
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
今
一個
(
ひとつ
)
の抽匣から取り出したのは、
一束
(
ひとつか
)
ねずつ
捻紙
(
こより
)
で
絡
(
から
)
げた
二束
(
ふたつ
)
の
文
(
ふみ
)
である。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
“文”の解説
文(ぶん)とは、一つの完結した言明を表す言語表現の単位である。基本的には主語と述語(一方が省略されることもある)からなる。ただし、これに加えて話題(主題、題目)が重視される場合もある。
(出典:Wikipedia)
文
常用漢字
小1
部首:⽂
4画
“文”を含む語句
文章
文書
倭文
註文
文身
一文
頭文字
文化
文使
文色
文様
文字
呪文
祭文
古文書
御文
文反古
文七元結
序文
象形文字
...