御挨拶ごあいさつ)” の例文
よろしう御座りまする、わたくしも兼ねて其の心得で居りましたのですから、早速執事等とも協議の上、至急御挨拶ごあいさつに及ぶで御座りませう」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
まず下々しもじもの者が御挨拶ごあいさつを申上ると、一々しとやかにおうけをなさる、その柔和でどこか悲しそうな眼付めつきは夏の夜の星とでもいいそうで
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
サア、みな水兵ものどもた/\、大佐閣下たいさかくかのおかへりだよ、それに、めづらしい賓人おきやくさんと、可愛かあいらしい少年せうねんとが御坐ござつた、はや御挨拶ごあいさつまうせ/\。
「奥さんには御挨拶ごあいさつをしたぎりで、まだお礼も申しませんでした。いつぞやは、お宅の土蔵の中へ隠していただいた暮田です。」
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お見せくださいまし。そのうえで御挨拶ごあいさつをいたしましょう、——もしまたそれが御不服で、力づくでも受取ると仰せられるなら
峠の手毬唄 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それでも風俗ふうのかはつたかた被入いらつしやいますと、大事だいじにしてお辞義じぎをすることだけはつてゞございますが、御挨拶ごあいさつをいたしませんね。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくして、これはきっととうとかみさまだとさとり、丁寧ていねい御挨拶ごあいさついたしました。それがつまりこの瀑布たき白竜はくりゅうさまなのでございました。
こいつァどうも御挨拶ごあいさつだ。ひとらない、おせんのはだかをのぞかせた挙句あげくはなのあるのが不思議ふしぎだといわれたんじゃ、まつろうがありやせん。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
父は自分にまたお重の事を尋ねたので、「先刻さっきから少し頭痛がするそうで、御挨拶ごあいさつに出られないのを残念がっていました」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
月延べ月延べにて何らの御挨拶ごあいさつなく打ちすぎ参り候段、磯五とてもいたく迷惑いたしおり候ことお察し願い上げそろ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
とても丁寧な人たちで——一体にどこの家の女の人もそうだったが——お風呂であうと板の間でも両手をついて、寒いのに何時いつまでも御挨拶ごあいさつがある。
「いや、お呼び止めいたして済みません。一寸御挨拶ごあいさつがしたかったのです。」と、って勝平は、息を切った。昂奮こうふんために、言葉が自由でなかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「わたしはたしか双鶴館そうかくかんでちょっとお目にかかったように思うが御挨拶ごあいさつもせず失敬しました。こちらには始終お世話になっとります。以後よろしく」
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
それでは改めて、御挨拶ごあいさつ申し上げよう。吾輩わがはいは、X大使である。クロクロ島の酋長しゅうちょう黒馬博士くろうまはかせに、恐悦きょうえつを申し上げる!
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今さらそんな御挨拶ごあいさつはなさらないでください。通り一遍な考えでしたなら、風変わりな酔狂者すいきょうものと誤解されるのも構わずに、こんな御相談は続けません。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
お母様が一度御挨拶ごあいさつをなすったので知りました。著物きものは持っていられません。女中でも取りに行くのでしょう。恰幅かっぷくのいい、あから顔の五十位の人でした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
上冊には桟敷後さじきうしろの廊下より御殿女中大勢居並びたる桟敷を見せ市川八百蔵いちかわやおぞうきり門蔵もんぞう御挨拶ごあいさつ罷出まかりいでお盃を頂戴ちょうだいする処今の世にはなき習慣ならわしなれば興いと深し。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
早速御礼おんれいかたがた御挨拶ごあいさつ可申上之もうしあぐべきの処、病気にかかり頃日来けいじつらい机に離れて横臥おうが致しをり候ひしため延引えんいん致候。
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
義母おつかさんさだめしめづらしがるだらうとおもつてたのが、れいごと簡單かんたん御挨拶ごあいさつだけだから張合はりあひけてしまつた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「僕、東京へ行って来ました。昨夜、おそく思い立ったんで御挨拶ごあいさつもしないで出かけましたが。」私
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
……なうなう、ロミオのきみ、えへん、bonjourボンジュール! これはフランスしき細袴ほそずぼんたいしてのフランスしき御挨拶ごあいさつでござる。昨夜ゆうべは、ようも巧々うま/\贋金にせがねつかませやったの。
「これは御挨拶ごあいさつ。大嫌いとは情ない事を仰しゃるネ。そんならどういう同権論者がお好き」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
御舎弟には中々かなわぬ、今一生懸命の処で御挨拶ごあいさつは出来ません……置いては悪いと云う、紀伊國屋が来ればとく……成程これは悪い、あッと切れてることを知りませんでした
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それは、惜しいことをしました、何とか御挨拶ごあいさつを申し上げてみればよかったのに」
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
つらい別離の御挨拶ごあいさつを申し上げる前に、一つ、忠誠の置き土産、御高恩の万分の一をお報いしたくて、けさほどから、わかい人たちに対して、最善と思われる手段を講じて置きました。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
辰弥は生得馴るるに早く、咄嗟とっさの間に気の置かれぬお方様となれり。過分の茶代に度を失いたる亭主は、急ぎ衣裳いしょうを改めて御挨拶ごあいさつまかり出でしが、書記官様と聞くよりなお一層敬い奉りぬ。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
これは、これは、御叮嚀な御挨拶ごあいさつで、下賤げせんわたくしどもの申し上げます話を、一々双紙へ書いてやろうと仰有おっしゃいます——そればかりでも、私の身にとりまして、どのくらい恐多いかわかりません。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
家内うち/\もめるにそのやうのこと餘地よちもなく、つて面白おもしろくない御挨拶ごあいさつくよりかだまつてはうがよつぽど洒落しやれるといふくらゐかんがへで、さいはひに賄賂わいろけがれはけないでんだけれど
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「それじゃ——家内も御挨拶ごあいさつに出るのだが、娘が手離されんでね」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「これ、御挨拶ごあいさつを申し上げろ。土部三斎さまに、渡らせられる」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
という御挨拶ごあいさつを聞いた時は私は喜びの情に堪えず
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「ひとつ御挨拶ごあいさつして来てよ」
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
「余り御挨拶ごあいさつですね」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
が、たれては不可いけない、きつては不可いけない、いづれ、やがて仕事しごと出来できると、おうら一所いつしよに、諸共もろともにおかゝつてあらためて御挨拶ごあいさつをする。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其れからみんなして遺骸おからだを、御宅へかついでめえりましたが、——御大病の御新造様ごしんぞさま態々わざ/\玄関まで御出掛けなされて、御丁寧な御挨拶ごあいさつ、すると旦那
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
山階やましなみやも英国の軍艦までおいでになって、仏国全権ロセスに面会せられ、五か条の中の一か条で御挨拶ごあいさつがあった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あなたのことはかねてたき竜神りゅうじんさんからうかがってります……。ではお言葉ことばしたがってこれからお邪魔じゃまいたそうか……。雛子ひなこ、このおばさまに御挨拶ごあいさつをなさい。
今年の正月には、朝日新聞の招聘しょうへいで、人造人間ロボットレマルク君が独逸ドイツから、はるばるやって来て、みなさんの前に、円満な顔をニコニコさせて御挨拶ごあいさつがあった。
人造物語 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今夜満鉄のものが主人役になってあなたがた二三名を扇芳亭せんぼうていへ招待したいからと云う叮嚀ていねい御挨拶ごあいさつである。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ただ今江戸へ着きましたが、先生には意外の御最期……などと云ってみたところで、この姿では御挨拶ごあいさつにもなりません。兵馬もすっかり落魄れましてな、はははは」
初午試合討ち (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
大納言家に残っていた女房たちは、宮がおいでになった時に御挨拶ごあいさつのしようがなくて困った。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
不馴ふなれの老爺ろうやもまじっている劇団ゆえ、むさくるしいところもございましょうが御海容ごかいようのほど願い上げます。ホレーショーどのは、外国仕込みの人気俳優、まず、御挨拶ごあいさつは、そちらから。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
井戸ゐどほどにふかくもければ、教會けうくわい入口程いりぐちほどにはひろくもない、が十ぶんぢゃ、やくにはつ。明日あすたづねてくれい、すればはかなかから御挨拶ごあいさつぢゃ。乃公おれの一しゃうも、誓文せいもん總仕舞そうじまひんでしまうた。
とおりがかりの御挨拶ごあいさつで、んともおそれいりますが、どうやら、市松いちまつ野郎やろうが、んだ粗相そそうをいたしました様子ようす早速さっそくれてかえりまして、性根しょうねすわるまで、折檻せっかんをいたします。どうかこのまま。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
亥之はあの通り口の重いたちだしいづれお目に懸つてもあつけない御挨拶ごあいさつよりほか出来まいと思はれるから、何分ともお前が中に立つて私どもの心が通じるやう、亥之が行末をもお頼みまをして置ておくれ
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わしもまだ御挨拶ごあいさつをしない。ま、そんなかたっ苦しいことは抜きにしましょうや。さ、顔を洗ったり、顔を洗ったり。井戸かね。長屋の裏にある——お! お前さん、気にさわったらごめんなさいよ。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「はいはい、これはまあ、御丁寧な、御挨拶ごあいさつ痛み入りますこと。お勝手からこちらまで、随分遠方でござんすからねえ。」
女客 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お加女はホヽとゑみ傾け「あら、わたしとしたことが、御挨拶ごあいさつも致しませんで——どうも旧年中は一方ならぬ御世話様に預りまして、何卒相変りませず」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
『きっと乙姫様おとひめさまがここへおすわりなさるのであろう。』——わたくしはそうおもいながら、乙姫様おとひめさまなん御挨拶ごあいさつ申上もうしあげてよいか、いろいろとかんがんでりました。
「おまん、おれは隠居の身だから、わざわざ旦那様の前へ御挨拶ごあいさつには出まい。何事も半蔵に任せたい。お馬を拝見させていただけば、それだけでたくさん。」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)