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始終
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しじゅう
ふりがな文庫
“
始終
(
しじゅう
)” の例文
御作さんは、考えたり、出したり、またはしまったりするので約三十分ほど費やした。その間も
始終
(
しじゅう
)
心配そうに柱時計を眺めていた。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もう一
匹
(
ぴき
)
の
牝鹿
(
めじか
)
は、
海
(
うみ
)
を一つへだてた
淡路国
(
あわじのくに
)
の
野島
(
のじま
)
に
住
(
す
)
んでいました。
牡鹿
(
おじか
)
はこの二
匹
(
ひき
)
の
牝鹿
(
めじか
)
の
間
(
あいだ
)
を
始終
(
しじゅう
)
行ったり
来
(
き
)
たりしていました。
夢占
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
成程小野は頑固な人に
違
(
ちが
)
いない、けれども私の不従順と云うことも十分であるから、
始終
(
しじゅう
)
嫌われたのは
尤
(
もっと
)
も
至極
(
しごく
)
、少しも
怨
(
うら
)
む所はない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
始終
(
しじゅう
)
不自由
(
ふじゆう
)
をして、
貧
(
まず
)
しく
死
(
し
)
んでいった
母親
(
ははおや
)
のことを
思
(
おも
)
うと、すこしの
楽
(
たの
)
しみもさせずにしまったのを、
心
(
こころ
)
から
悔
(
く
)
いるためもありました。
万の死
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「そう云わなくても四十九回、
始終
(
しじゅう
)
苦界
(
くがい
)
さ。そこでこの機会に於て、
遺言
(
ゆいごん
)
代りに、子沢山の子供の上を案じてやってるんだあナ」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
○ジャズの
麻痺
(
まひ
)
、映画の麻痺、それで大概の興味は平凡なものに思える。
始終
(
しじゅう
)
習慣的に考えているのは「何か
面白
(
おもしろ
)
いものは無いか知らん。」
現代若き女性気質集
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
職業が新聞記者で
始終
(
しじゅう
)
自家
(
じか
)
の説ばかり主張しているから、
他
(
ひと
)
の言うことが容易に耳に入らないのだろう。但しイヨイヨ逃げ切れなくなれば
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
が、もし
強
(
しい
)
て求めたなら食道楽であったろう。無論食通ではなかったが、
始終
(
しじゅう
)
かなり
厳
(
やか
)
ましい
贅沢
(
ぜいたく
)
をいっていた。かつ
頗
(
すこぶ
)
る健啖家であった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
その
形
(
かたち
)
きわめて醜怪なるものなりき。女の
婿
(
むこ
)
の里は
新張
(
にいばり
)
村の何某とて、これも川端の家なり。その主人
人
(
ひと
)
にその
始終
(
しじゅう
)
を語れり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
これに反し、張りきっておって、二十
貫目
(
かんめ
)
の力を二十貫目
始終
(
しじゅう
)
手先きや足先きに現す者は感心はするけれども、
吾人
(
ごじん
)
の深い尊敬に
値
(
あたい
)
しない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それらのことを、平助は
始終
(
しじゅう
)
胸をどきつかせて眺めていました。晩になると、困ったことになったと
思案
(
しあん
)
にくれました。
正覚坊
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
聖道の慈悲では「心のままに助けとぐることありがたき」ゆえに「この慈悲
始終
(
しじゅう
)
なし」と見て取って「いそぎ仏となりて心のままに助けとぐるべし」
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
鈴川方の塀の上に張り出ている
欅
(
けやき
)
の大木の
梢
(
こずえ
)
、その枝のしげみに、毒蛇のような一眼がきらめいて、その
始終
(
しじゅう
)
を見おろしていたことを知らなかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
どうもだれかあの家に人がいて、どうやってもひきこなせないひとつの
曲
(
きょく
)
を、
始終
(
しじゅう
)
いじくりまわしているのですね、——それはいつもおなじ曲なのです。
影
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
どうかして
夫
(
おっと
)
の
財産
(
ざいさん
)
を
残
(
のこ
)
らず
自分
(
じぶん
)
の
娘
(
むすめ
)
にやりたいものだが、それには、この
男
(
おとこ
)
の
子
(
こ
)
が
邪魔
(
じゃま
)
になる、というような
考
(
かんが
)
えが、
始終
(
しじゅう
)
女
(
おんな
)
の
心
(
こころ
)
をはなれませんでした。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
とかくにこうひがんだ考えばかり思いだされ、顔はほてり、手足はふるえ、お政はややとりのぼせの
気味
(
きみ
)
で、使いのものに
始終
(
しじゅう
)
のことを
問
(
と
)
いつめるのである。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その時に私は小乗の教えは学びますけれどもその主義に従いその教えを守ることが出来ませぬと答えたので、
始終
(
しじゅう
)
議論が起って釈興然師と衝突して居ったです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
枕元で語るそれらの便りを、官兵衛は
始終
(
しじゅう
)
楽しげに聞いていたが、そのうちに、湯疲れが出たのであろう
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ロレ
此上
(
このうへ
)
は、そっと
墓所
(
はかしょ
)
まで
往
(
ゆ
)
かねばならぬ。
此
(
この
)
三時
(
みとき
)
が
間
(
あひだ
)
に、ヂュリエットは
目
(
め
)
を
覺
(
さま
)
さう。
始終
(
しじゅう
)
をロミオに
知
(
し
)
らせなんだとお
知
(
し
)
りゃったら
嘸
(
さぞ
)
予
(
わし
)
を
怨
(
うら
)
むであらう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
墓地向うの
家
(
うち
)
の久さんの
子女
(
こども
)
が久さんを馬鹿にするのを見かねて、
余
(
あんま
)
りでございますねと
訴
(
うった
)
えた。唖の子の
巳代吉
(
みよきち
)
とは
殊
(
こと
)
に懇意になって、
手真似
(
てまね
)
で
始終
(
しじゅう
)
話して居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
これは
或
(
あるい
)
は私の幻覚であったかもしれぬが、その
蒼褪
(
あおざめ
)
た顔の凄さといったら、その当時
始終
(
しじゅう
)
眼先
(
めさき
)
にちらついていて、仕方が無かったが、全く怖い目に会ったのであった。
青銅鬼
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
動
(
うご
)
きもせぬ
大食
(
おおぐ
)
いな、
不汚
(
ふけつ
)
極
(
きわま
)
る
動物
(
どうぶつ
)
で、
始終
(
しじゅう
)
鼻
(
はな
)
を
突
(
つ
)
くような、
胸
(
むね
)
の
悪
(
わる
)
くなる
臭気
(
しゅうき
)
を
放
(
はな
)
っている。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
みんな天の川の
砂
(
すな
)
が
凝
(
かたま
)
って、ぼおっとできるもんですからね、そして
始終
(
しじゅう
)
川へ帰りますからね、川原で
待
(
ま
)
っていて、
鷺
(
さぎ
)
がみんな、
脚
(
あし
)
をこういうふうにしておりてくるとこを
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そうして常陸介の母と北の方とに会うて都の
始終
(
しじゅう
)
を知らせると、ではわたしたちも殺しておくれ、定めし殿が死出の山路でお待ちになっておいでゝあろうと云うのであった。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
魏国公
(
ぎこくこう
)
徐輝祖
(
じょきそ
)
、獄に下さるれども屈せず、諸武臣皆帰附すれども、輝祖
始終
(
しじゅう
)
帝を
戴
(
いただ
)
くの意無し。帝
大
(
おおい
)
に怒れども、元勲
国舅
(
こくきゅう
)
たるを以て
誅
(
ちゅう
)
する
能
(
あた
)
わず、爵を削って之を
私第
(
してい
)
に幽するのみ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
御釈迦様
(
おしゃかさま
)
は極楽の
蓮池
(
はすいけ
)
のふちに立って、この一部
始終
(
しじゅう
)
をじっと見ていらっしゃいましたが、やがて
犍陀多
(
かんだた
)
が血の池の底へ石のように沈んでしまいますと、悲しそうな御顔をなさりながら
蜘蛛の糸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
眉の間には
始終
(
しじゅう
)
憂鬱な影がちらついて、そして時々工合が悪いと云っては
梯子
(
はしご
)
の上り下りの苦しそうな事があり、また力無い咳をするところなどを見るとあるいはと思う事があって友に計ったが
雪ちゃん
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
始終
(
しじゅう
)
眼鏡を用いていたのとで、二人顔を合せる機会が少く、顔を合せた所で一方は眼鏡がある為、遠方からでも十分区別することが出来たものですから、さしたる珍談も起らないで済みましたが
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
葉子は長い航海の
始終
(
しじゅう
)
を一場の夢のように思いやった。その長旅の間に、自分の一身に起こった大きな変化も自分の事のようではなかった。葉子は何がなしに希望に燃えた
活々
(
いきいき
)
した心で
手欄
(
てすり
)
を離れた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
繃帯取替の間
始終
(
しじゅう
)
右に向き居りし故背のある処痛み出し最早右向を許さず。よつて
仰臥
(
ぎょうが
)
のままにて牛乳一合、紅茶ほぼ同量、菓子パン数箇をくふ。家人マルメロのカン詰をあけたりとて
一片
(
ひときれ
)
持ち来る。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
七と四の中に
始終
(
しじゅう
)
もだえているのか?
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
この
間
(
あいだ
)
坊
(
ぼう
)
さんは
始終
(
しじゅう
)
戸棚
(
とだな
)
の中からそっとのぞきながら、びくびくふるえていましたが、その
時
(
とき
)
女は
戸棚
(
とだな
)
をあけて
坊
(
ぼう
)
さんを
出
(
だ
)
してやって
人馬
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
真事はまた
始終
(
しじゅう
)
足元に気を取られなければならないので、丸太を渡り切ってしまうまでは、一がどこへ行ったか全く知らずにいた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
王
(
おう
)
さまは、
女
(
おんな
)
の
泣
(
な
)
いているのを
見
(
み
)
て、
家来
(
けらい
)
を
遣
(
つか
)
わして、その
泣
(
な
)
いている
理由
(
いわれ
)
をたずねられました。
妹
(
いもうと
)
は、一
部
(
ぶ
)
始終
(
しじゅう
)
のことを
物語
(
ものがた
)
りました。
木と鳥になった姉妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
爾
(
そ
)
う
無闇
(
むやみ
)
に恩に被せる事ばかり
云
(
いっ
)
て、
只
(
ただ
)
漠然と不親切と云うような事を云て貰いたくないと云うような調子で、
始終
(
しじゅう
)
問答をして居ました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そして狸のお婆さんを皆に紹介して、一部
始終
(
しじゅう
)
のことを話し、
八幡様
(
はちまんさま
)
を
綺麗
(
きれい
)
にしたのもこの人だと言ってきかせました。
狸のお祭り
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
ある日の午後は、
軍需倉庫
(
ぐんじゅそうこ
)
の一隅にあるかと思えば、その翌日の早朝にエンパイヤハウスの三十七階の一室にあるという具合に、
始終
(
しじゅう
)
移動をつづけている。
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこで僕は
始終
(
しじゅう
)
思うに、個人の訓戒を実際に
施
(
ほどこ
)
すには、その
抽象的
(
ちゅうしょうてき
)
教訓を具体的に
翻訳
(
ほんやく
)
しなければならぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そこには、
宵
(
よい
)
のうちから、
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
と、
可児才蔵
(
かにさいぞう
)
が
床几
(
しょうぎ
)
をならべて、
始終
(
しじゅう
)
のようすを
俯瞰
(
ふかん
)
している。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
アンドレイ、エヒミチはこう
云
(
い
)
う
病院
(
びょういん
)
の
有様
(
ありさま
)
では、
熱病患者
(
ねつびょうかんじゃ
)
、
肺病患者
(
はいびょうかんじゃ
)
には
最
(
もっと
)
もよくないと、
始終
(
しじゅう
)
思
(
おも
)
い
思
(
おも
)
いするのであるが、それをまたどうすることも
出来
(
でき
)
ぬのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其日は
始終
(
しじゅう
)
跟
(
つ
)
いてあるき、翌朝山の上の
小舎
(
こや
)
にまだ寝て居ると、白は戸の
開
(
あ
)
くや否飛び込んで来て、
蚊帳
(
かや
)
越
(
ご
)
しにずうと頭をさし寄せた。
帰
(
かえ
)
りには、予め白を
繋
(
つな
)
いであった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
乾雲丸を一時こうして
隠匿
(
いんとく
)
して、かの五人組の火事装束に奪い去られたと称し、栄三郎をはじめ屋敷内の者をさえ偽ろうという
極密
(
ごくみつ
)
の計であったが、
始終
(
しじゅう
)
を見とどけたおさよは
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この花は
黒朱子
(
くろじゅす
)
ででもこしらえた
変
(
か
)
わり
型
(
がた
)
のコップのように見えますが、その黒いのは、たとえば
葡萄酒
(
ぶどうしゅ
)
が黒く見えると同じです。この花の下を
始終
(
しじゅう
)
往
(
い
)
ったり来たりする
蟻
(
あり
)
に私はたずねます。
おきなぐさ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ひどい目に会わすのはいつも男、会わされるのはいつも女、——そうよりほかに考えない。その癖ほんとうは女のために、
始終
(
しじゅう
)
男が悩まされている。(小野の小町に)
三十番神
(
さんじゅうばんじん
)
を御覧なさい。
二人小町
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
どうしても他に頼らなくてはいかないという考えを
始終
(
しじゅう
)
持って居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「しかし松村や細井や高谷は
始終
(
しじゅう
)
ゆくじゃないか?」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
始終
(
しじゅう
)
あなたに
失礼
(
しつれい
)
ばかりしておりますけれども
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
むかし、むかし、ある
所
(
ところ
)
に、
一人
(
ひとり
)
のおじいさんがありました。
右
(
みぎ
)
のほおにぶらぶら大きな
瘤
(
こぶ
)
をぶら
下
(
さ
)
げて、
始終
(
しじゅう
)
じゃまそうにしていました。
瘤とり
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
そうかと云ってこの人造世界に向って
猪進
(
ちょしん
)
する勇気は無論ないです。年来の生活状態からして、私は
始終
(
しじゅう
)
山の手の
竹藪
(
たけやぶ
)
の中へ招かれている。
虚子君へ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小太郎
(
こたろう
)
は、お
父
(
とう
)
さんがいなくなったのをくわしく
物語
(
ものがた
)
りました。おばあさんは、
小太郎
(
こたろう
)
の
話
(
はなし
)
を一
部
(
ぶ
)
始終
(
しじゅう
)
聞
(
き
)
き
終
(
お
)
わると
けしの圃
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“始終”の意味
《形容動詞》
始終(しじゅう)
始めからから終わりまで、ずっと。
いつも。
(出典:Wiktionary)
始
常用漢字
小3
部首:⼥
8画
終
常用漢字
小3
部首:⽷
11画
“始終”で始まる語句
始終中
始終々々