毎月まいげつ)” の例文
それゆえに前には船の形を致しました石塚でありましたそうで、其の頃は毎月まいげつ廿五日は御縁日で大分だいぶにぎわいました由にございます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なか二年置いて文化十一年に一粒金丹いちりゅうきんたんを調製することを許された。これは世に聞えた津軽家の秘方で、毎月まいげつ百両以上の所得になったのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
其後そのごをとこからなんつてやつても、をんなからは依然いぜんとして毎月まいげつじつに『御返事ごへんじつてります』の葉書はがきた。とう/\それが一年間ねんかんつゞいた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
その感じが私をKの墓へ毎月まいげつ行かせます。その感じが私に妻の母の看護をさせます。そうしてその感じが妻に優しくしてやれと私に命じます。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あに太郎たろうといい、いもうと雪子ゆきこといいました。二人ふたりは、毎月まいげつまちへくるあたらしい雑誌ざっしってきて、いっしょにむのをなによりのたのしみとしていました。
小鳥と兄妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ほんではおどおら毎月まいげつ五円ずつ送って寄越すから。——毎月五円ずつ。」と言って市平は、顔の火照ほてるのを覚えた。
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
巴里における日本美術愛好家の一団は Sociétéソシエテ、 duデュ、 Jinglarジャングラル の会名のもと毎月まいげつ一回郊外のセエヴルに晩餐ばんさんの集会をなすに至りぬ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
英国のウインゾル王宮の皇室図書館に、毎月まいげつの雑誌が取揃へてある雑誌棚がある。その雑誌棚の上に現代の名高い人達の写真帖が幾冊か載つかつてゐる。
毎月まいげつごと發表はつぺうする貿易ぼうえき状態じやうたい發表毎はつぺうごと改善かいぜんされて、十一ぐわつ二十輸入超過額ゆにふてうくわがくは七千萬圓まんゑん減額げんがくした。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
門の柱に、毎月まいげつ十五十六日当山説教と貼紙はりがみした、かたわらに、東京……中学校水泳部合宿所とまた記してある。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこではいろいろなもよおしをやる。毎月まいげつ二十日に集るんだが、一度毎ひとたびごとにアッと云わせるようなことをやる。
覆面の舞踏者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
このとき大學だいがく其他そのた官衙かんがにゐた内外ないがい達識たつしき相會あひかいして、二週間目にしゆうかんめには日本地震學會につぽんぢしんがつかい組織そしきし、つゞいて毎月まいげつ會合かいごう有益ゆうえき研究けんきゆう結果けつか發表はつぴようしたが、創立そうりつ數箇月すうかげつのち
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「それじゃ、しかたがない、飯だけ」と云ってから、「しかし、これが毎月まいげつだと、金がのこるなあ」
火傷した神様 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこで、今迄いまゝで毎月まいげつ三銭さんせんかの会費くわいひであつたのが、にはかに十せん引上ひきあげて、四六ばん三十二ページばかり雑誌ざつしこしらへる計画けいくわくで、なほひろく社員を募集ぼしうしたところ、やゝめいばかりたのでした
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
阿Qは趙太太に見せる約束をしたと言ったが、村役人はそれを返しもせずになお毎月まいげつ何ほどかの附届つけとどけをしろと言った。それから村の人も彼に対してたちまち顔付を改めた。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
今日けふは三十にん患者くわんじやければ、明日あすは三十五にんる、明後日あさつては四十にんつてく、毎日まいにち毎月まいげつ同事おなじこと繰返くりかへし、打續うちつゞけてはくものゝ、市中まち死亡者しばうしやすうけつしてげんじぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
大陰暦たいゝんれき毎月まいげつ十五日のまろつき趣向しゆかうなれども、みぎの二十九日と十三ときを十二あはせて十二箇月かつきとしては三百六十五日にらず、すなはつきすでに十二地球ちきう周圍まはりまはりたれども
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
それと、ねたんでるやつにお世辞せじを使うのさ。だけど、僕たちは、金持ちだってことは、ちゃんとわかってるんだ。毎月まいげつじつには、父さんが一人っきりでしばらく自分の部屋へひっこんでる。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
晩年には毎月まいげつ説文会を催して、小島成斎、森枳園きえん、平井東堂、海保竹逕ちくけい喜多村栲窓きたむらこうそう、栗本鋤雲じょうん等をつどえた。竹逕は名を元起げんき、通称を弁之助べんのすけといった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
毎月まいげつ小遣こづかいも多分は上げられないが、友之助に話して月々五両ずつ送らせるようにするからうか得心して下さい
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たゞ地味ぢみ生活せいくわつをしなれた結果けつくわとして、らぬ家計くらしるとあきらめるくせいてゐるので、毎月まいげつきまつて這入はいるものゝほかには、臨時りんじ不意ふい工面くめんをしてまで
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ほんむのがすきでありましたので、こちらへきてからも毎月まいげつのおづかいのなかから雑誌ざっしって、おしごとのおわったあととか、ひまのときにはとりして
朝の公園 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ええそれァ、大抵じゃありませんよ。何しろ、あなた、月謝ばかりが毎月まいげつ一円、本代だって試験の度々たんびに二、三円じゃききませんしね、それに夏冬ともに洋服を
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
の第壱号を出したのが明治十八年の五月二日です、毎月まいげつ壱回いつくわい発行はつかう九号くがうまで続きました、すると、社員は続々ぞく/″\ゑる、川上かはかみ同級どうきふりましたので、此際このさい入社したのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今日きょうは三十にん患者かんじゃければ、明日あすは三十五にんる、明後日あさっては四十にんってく、かく毎日まいにち毎月まいげつ同事おなじこと繰返くりかえし、打続うちつづけてはくものの、市中まち死亡者しぼうしゃすうけっしてげんじぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かはり、といただけでがふるへたではありませんか。——えゝ、かはり。……なにそれだつて、と年紀上としうへかたまた、たゞ毎月まいげつ一度いちどづゝ、ちついたくるしいおもひをするだけなんですツて——
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
毎月まいげつ二十五日には北野の天神へ怠らず参詣まゐつてゐたが、或日雨の降るなかを弟子が訪ねてくと、五雲は仰向あふむけに寝て、両手を組んで枕に当てがひ、両足をあげて地面ぢべたを踏むやうな真似をしてゐる。
茝庭は毎月まいげつ一、二次、抽斎、枳園、柏軒、舟庵、海保漁村らをここつどえた。諸子は環坐して古本こほんを披閲し、これが論定をなした。会ののちには宴を開いた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
健三は彼らの食料を毎月まいげつ送ってるという条件のもとに、また昔のような書生生活に立ち帰れた自分を喜んだ。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
毎月まいげつやらうとふ事に相成あひなり蜀山人しよくさんじんあるひ数寄屋河岸すきやがし真顔まがほでございますの、談洲楼焉馬だんしゆうろうえんばなどゝすぐれた狂歌師きやうかしつて、たゞ落語らくごこしらへたまゝひらいても面白おもしろくないから
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
なにしろ、あなた、月謝げつしやばかりが毎月まいげつ一円、本代だつて試験の度々たんびに二三円ぢやきゝませんしね、れに夏冬なつふゆともに洋服を着るんでせう、靴だつて年に二足は穿いてしまひますよ。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
子爵家に行ってからも毎月まいげつ欠かさなかった。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それには、しかる上は健三離縁本籍と引替に当金——円御渡し被下くだされ、残金——円は毎月まいげつ三十日限り月賦にて御差入おさしいれのつもり御対談云々うんぬんと長たらしく書いてあった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
孝「毎月まいげつ二十一日は殿様お泊番の事は、お隣の御次男様もよく御存じでいらっしゃいますに、殿様のお留守の処へおいでに成って、御用が足りるとはこりゃア変でございますな」
毎月まいげつ僅少わづかな下宿代は新聞に投書する斷片的の評論によつても得られるので、創作の感興來らざれば、詩集を懷にして公園の靜な樹下にさまよひ、さて感興來ればも眠らずに筆を執つて
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
彼が結婚後家計膨脹ぼうちょうという名義のもとに、毎月まいげつの不足を、京都にいる父から填補てんぽしてもらう事になった一面には、盆暮ぼんくれの賞与で、その何分なんぶんかを返済するという条件があった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
孝「毎月まいげつ二十一日のお泊番は知っています」
利子の安い高いは別問題として、比田から融通してもらうという事が、健三にはとても真面目まじめに考えられなかった。彼は毎月まいげついくらかずつの小遣を姉に送る身分であった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ことに彼はこの点においてお延から軽蔑けいべつされるのを深く恐れた。堀に依頼して毎月まいげつ父からけてもらうようにしたのも、実は必要以外にこんな魂胆が潜んでいたからでもあった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「君は私がなぜ毎月まいげつ雑司ヶ谷ぞうしがやの墓地にうまっている友人の墓へ参るのか知っていますか」
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
津田の言葉にいつわりはなかった。彼の父はよし富裕でないまでも、毎月まいげつ息子むすこ夫婦のためにその生計の不足を補ってやるくらいの出費に窮する身分ではなかった。ただ彼は地味な人であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「お友達のお墓へ毎月まいげつお参りをなさるんですか」
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)