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ふりがな文庫
“
様
(
さま
)” の例文
旧字:
樣
こんなに何事にも力の尽きたやうな今の
様
(
さま
)
がみじめでならなくも思はれるのであつた。二人の記者は
何時
(
いつ
)
の間にか席に居なくなつた。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
いわんや酒を飲みたることなきは勿論、婦人に
戯言
(
ざれごと
)
を吐きたることなきは勿論、遊廓などに足蹈みしたる
様
(
さま
)
は一向に見受け申さず候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
女が肩肌抜ぎで化粧をしている
様
(
さま
)
やら、狭い勝手口の
溝板
(
どぶいた
)
の上で行水を使っているさままでを、すっかり見下して仕舞う事がある。
銀座界隈
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
だんだん
地震
(
じしん
)
も
静
(
しず
)
まった
時分
(
じぶん
)
、みんなはめいめいの
家
(
うち
)
へはいりました。よっちゃんも
家
(
うち
)
へはいって
内
(
うち
)
の
有
(
あ
)
り
様
(
さま
)
を
見
(
み
)
てびっくりしました。
時計とよっちゃん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
父は
往来
(
わうらい
)
の左右を見ながら、「昔はここいらは原ばかりだつた」とか「
何
(
なん
)
とか
様
(
さま
)
の裏の田には鶴が下りたものだ」とか話してゐた。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
問『では
今
(
いま
)
までただお
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
せないという
丈
(
だけ
)
で、あなた
様
(
さま
)
は
私
(
わたくし
)
の
狂乱
(
きょうらん
)
の
状態
(
じょうたい
)
を
蔭
(
かげ
)
からすっかり
御覧
(
ごらん
)
になっては
居
(
お
)
られましたので……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
黒
(
くろ
)
い
髪
(
かみ
)
と、
淡紅色
(
ときいろ
)
のリボンと、それから黄色い
縮緬
(
ちりめん
)
の帯が、
一時
(
いちじ
)
に風に吹かれて
空
(
くう
)
に流れる
様
(
さま
)
を、
鮮
(
あざや
)
かに
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
に刻み込んでゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
三郎は、ほっとため息をつきながら、すばやく身じたくをし、それから釣床の中を片づけて交替の艇夫がすぐ
様
(
さま
)
ねられるように用意をした。
大宇宙遠征隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
第三、不尽の高く
壮
(
さかん
)
なる
様
(
さま
)
を詠まんとならば今少し力強き歌ならざるべからず、この歌の姿弱くして到底不尽に
副
(
そ
)
い申さず候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
番「
打
(
ぶ
)
たいでも
宜
(
え
)
え、
私
(
あたい
)
は理の当然をいうのや、お嬢
様
(
さま
)
を殺して
金子
(
かね
)
を取ったという訳じゃないが、
然
(
そ
)
う思われても是非がないと云うのや」
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
恥
(
はず
)
かしがるにゃァ
当
(
あた
)
らねえ。
何
(
なに
)
もこっちから、
血道
(
ちみち
)
を
上
(
あ
)
げてるという
訳
(
わけ
)
じゃなし、おめえに
惚
(
ほ
)
れてるな、
向
(
むこ
)
う
様
(
さま
)
の
勝手次第
(
かってしだい
)
だ。——おせん。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
住人は、窮してくると、天井から雨戸障子まで焚いてしまう類であったから、一間しかない座敷のなかの、貧しい一家団欒の
様
(
さま
)
がむきだしだ。
烏恵寿毛
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
妻
(
かない
)
が
窓
(
まど
)
から、あなた
様
(
さま
)
のラプンツェルをのぞきまして、
食
(
た
)
べたい、
食
(
た
)
べたいと
思
(
おも
)
いつめて、
死
(
し
)
ぬくらいになりましたのです。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
ぼんやりうつむいている多津吉を
打撞
(
ぶつか
)
ったように見ると、眉はきりりとしたが優しい目を、驚いた
様
(
さま
)
に
睜
(
みは
)
りながら、
後退
(
あとじさ
)
りになって隠れたが。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼が自動車を買ったかと思うと、すぐ
様
(
さま
)
芙蓉が殺されたのでは、少々危険だと考えたのである。だが、これは寧ろ
杞憂
(
きゆう
)
であったかも知れない。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
風呂屋に行った時着物を脱ぐ拍子にそれを板間にばら
蒔
(
ま
)
いて黒い皮膚をした大きな裸の同君がそれを掻き集めた
様
(
さま
)
などがまだ目に残っている。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
口は炎の息を出し、顔は異様な
様
(
さま
)
に変わり、人間の形が保たれることはできないかのようで、戦士らは皆燃え上がっていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そら、ばけものはチブスになって
死
(
し
)
ぬだろう。そこでぼくはでてきてあんずのおひめ
様
(
さま
)
をつれてお
城
(
しろ
)
に
帰
(
かえ
)
るんだ。そしておひめ
様
(
さま
)
をもらうんだよ。
いちょうの実
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「約束通りメヂューサの首をお目にかけよう」といひ
様
(
さま
)
、不意に王の目に前に差し出すと、王の五体は立ち所に
竦
(
すく
)
んでそのまゝ石と化して了つた。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
何でこれ程の
思
(
おもい
)
を己はせねばならぬのか。何で死が現われて来て、こうまざまざと世の
様
(
さま
)
を見せてくれねばならぬのか。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
「嘘をいえ」と、叱って、「そちの容子は、なんとなくいぶかしいぞ。その眼の暗さはなんだ。その挙動のそわそわしている
様
(
さま
)
はなんだ。去れっ」
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その運動の
様
(
さま
)
を了解せしむるには足るべしといえども、これによりて徳心の発育を促すの効用いかんにおいては、いささか足らざるものあるが如し。
読倫理教科書
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
其れを非人・かたひ・ゑたなど、人まじろひもせぬ同じ
様
(
さま
)
のものなれば、紛らかして非人の名を穢多に付けたるなり。
エタ源流考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
その
証拠
(
しょうこ
)
にはあの
狐噲
(
こんかい
)
の唄の文句なども、子が母を慕うようでもあるが、「来るは
誰故
(
だれゆえ
)
ぞ、
様
(
さま
)
故」と云い、「君は帰るか恨めしやのうやれ」と云い
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「住友さんだの
鴻池
(
こうのいけ
)
さんだのと金持を
様
(
さま
)
づけにして
然
(
そ
)
う有難そうに言うところを見ると、
最早
(
もう
)
大分出来ているね?」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お常は三十日の芝居を、十八日まで
続
(
つゞ
)
け
様
(
さま
)
に、通ひ詰めたが
何
(
ど
)
うしても徳三郎と言葉を
交
(
か
)
はす事が出来なかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
源叔父はこの
様
(
さま
)
見るや、眠くば寝よと
優
(
やさ
)
しくいい、みずから床敷きて
布団
(
ふとん
)
かけてやりなどす。紀州の
寝
(
いね
)
し後、翁は一人炉の前に坐り、眼を閉じて動かず。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
中にも美しい小舟に乗った二人の男は、女の舟の側を
摺
(
す
)
れ違い
様
(
さま
)
に、帽を脱いで、
微笑
(
ほほえ
)
みながら丁寧に礼をした。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
そこで私の買い集めた貧しい参考品を資料として勝手な方法を種々工夫して見たのでありますがなかなか思う
様
(
さま
)
絵具がのびなかったり、
乾
(
かわ
)
きにくかったり
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
受けて
無言
(
だまっ
)
て居るのですか覚えが
無
(
ない
)
と言切てお仕舞いなさい貴方に限て其様な事の無いのは私しが知て居ますと泣きつ
口説
(
くどき
)
つする
様
(
さま
)
に一同涙を
催
(
もよお
)
しました
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
七一 この話をしたる老女は熱心なる念仏者なれど、世の常の念仏者とは
様
(
さま
)
かわり、一種邪宗らしき信仰あり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
堯
(
たかし
)
の窓からは、地盤の低い家々の庭や門辺に立っている木々の葉が、一日ごと
剥
(
は
)
がれてゆく
様
(
さま
)
が見えた。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
壮い男は思い出したように小さな声で、「お
月灘桃色
(
つきなだももいろ
)
、だれが云うた、
様
(
さま
)
が云うた、様の口を引き裂け」
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
公は漸く其処迄辿り着き、気息
奄々
(
えんえん
)
たる
様
(
さま
)
でとっつきの一軒に匍い込む。扶け入れられ、差出された水を一杯飲み終った時、到頭来たな! という太い声がした。
盈虚
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その従僕茶屋の台所にいると、有名な妓女が来て二階へ上らんとして
笄
(
こうがい
)
を落した。従僕拾うて渡すと芸子
憚
(
はばか
)
り
様
(
さま
)
と言いざまその僕の手とともに握って戴き取った。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
仰向
(
あおむ
)
けになって
鋼線
(
はりがね
)
のような脚を伸したり縮めたりして
藻掻
(
もが
)
く
様
(
さま
)
は命の薄れるもののように見えた。
暫
(
しばら
)
くするとしかしそれはまた器用に
翅
(
はね
)
を使って起きかえった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
此帝都
(
このていと
)
を去りて
絶海無人
(
ぜつかいむじん
)
の
島
(
たう
)
をさして去りぬ、
此
(
こ
)
の
壮
(
さか
)
んなる
様
(
さま
)
を目撃したる
数萬
(
すうまん
)
の人、
各々
(
めい/\
)
が思ふ
事々
(
こと/″\
)
につき、いかに
興奮感起
(
こうふんかんき
)
したる、ことに
少壮
(
せうさう
)
の人の
頭脳
(
づなう
)
には
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
それで是非共に、あれを、御自由のきく
此方
(
こなた
)
様
(
さま
)
の御手で御取返しを願いに、必死になって出ました訳。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
苛
(
さいな
)
まれしと見ゆる
方
(
かた
)
の髪は
浮藻
(
うきも
)
の如く乱れて、着たるコートは
雫
(
しづく
)
するばかり雨に
濡
(
ぬ
)
れたり。その人は起上り
様
(
さま
)
に男の顔を見て、
嬉
(
うれ
)
しや、
可懐
(
なつか
)
しやと心も
空
(
そら
)
なる
気色
(
けしき
)
。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
と、続いてそこには、まさに、見る眼を覆わしめるような、およそ現実の怪奇としては極端かとも思われる——それは、血を与え肉を授けた地獄絵の
様
(
さま
)
なのであった。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
嘉門次は、今年六十三歳だ、が三貫目余の荷物を負うて先登する
様
(
さま
)
は、壮者と少しも変りはない。
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
これはお
稲荷
(
いなり
)
様
(
さま
)
の下さった鯛だと云って、直ぐに料理をして、
否唯
(
いやおう
)
なしに箕村に食わせたそうだ。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
靄然
(
あいぜん
)
たる君子の風、温雅なる淑女の
様
(
さま
)
は我得んと欲して得る能わず、貧は我を社会より放逐せしむるものなり、貧より来る苦痛の中に寒固孤独の念これ悲歎の第五なり。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
あきれ顔に口を
噤
(
つぐ
)
めるも
可笑
(
おか
)
しく、かつは世の人の心の
様
(
さま
)
も見え
透
(
す
)
きて、言うばかりなく浅まし。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
春装を取り乱したまま土盛りの上にヒレ伏して『あなたは
何故
(
なにゆえ
)
に
妾
(
わたし
)
を振り棄てて死んだのですか』と
掻
(
か
)
き
口説
(
くど
)
く様子を見ると、いか
様
(
さま
)
、相思の男の死を
怨
(
うら
)
む風情である。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
身をやつす、
賤
(
しず
)
が思いを、夢ほど
様
(
さま
)
に知らせたや、えい、そりゃ、夢ほど様に知らせたや……
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
物を案ずる
様
(
さま
)
にて部屋の内をあちこち歩き、何かそこらの物を手に取りては置き、また外の物を手に取りては置き、紙巻を一本取りて火を付け、
一吸
(
ひとすい
)
吸い、
忽
(
たちま
)
ちそれを投げ捨て
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
赤塚
(
あかつか
)
ドクトルも見舞に見え給ひしかど
御
(
おん
)
顔をわづかに見参らせしのみ、
御身体
(
おんからだ
)
はセルロイドの上
軽
(
かろ
)
く足重く作られし人形の
様
(
さま
)
して戸口より帰らせ給ふを
御
(
お
)
気の毒に見申せしに
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
あみだ上りはみなつづら笠、どれが
様
(
さま
)
やら
主
(
ぬし
)
じゃやら——この文珠屋も、
葛籠笠
(
つづらがさ
)
をかぶっていたから、あの時は
顔容
(
かおかたち
)
は見えなかったが、こうして素面に日光を受けたところは——。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
広太郎にとってはこの部屋の
様
(
さま
)
は、一生忘れることが出来なかった。とはいえ、それとて一口にいえば、城之介の奉ずるイスラエル教の、単なる道場に過ぎなかったのではあるが。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
様
常用漢字
小3
部首:⽊
14画
“様”を含む語句
母様
父様
其様
斯様
爺様
此様
何様
彼様
左様
仕様
前様
如何様
異様
兄様
婆様
祖父様
奥様
貴様
坊様
嬢様
...