日暮ひぐ)” の例文
あくるから、日暮ひぐがたになって夕焼ゆうやけが西にしそらいろどるころになると、三郎さぶろうほうへとあこがれて、ともだちのれからはなれてゆきました。
空色の着物をきた子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いた日暮ひぐれに寶田村を立出猿島さるしま河原まで來りしが手元のくらければ松明をともさんとて火打道具を見るに火打いしわすれたり是れより昌次郎はお梅を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
畝傍山うねびやま。それには、やまが、ひるは、くもがかゝつてゐるように、ぢっとしづまつてゐて、日暮ひぐれがると、かぜすといふので、そのさわいでゐる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
清作は、さあ日暮ひぐれだぞ、日暮れだぞといながら、ひえの根もとにせっせと土をかけていました。
かしわばやしの夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
やがて日暮ひぐがたかれすぼらしい小屋こやまえましたが、それはいまにもたおれそうで、ただ、どっちがわたおれようかとまよっているためにばかりまだたおれずにっているよういえでした。
右の八幡の神楽組かつて附馬牛村に行きて日暮ひぐれ宿を取り兼ねしに、ある貧しき者の家にてこころよくこれをめて、五升ますを伏せてその上にゴンゲサマをえ置き、人々はしたりしに
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
雪のせいか、その日の午後の郵便物は二時間もおくれて、日暮ひぐれ近くに配達された。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
花前は一めんあわれむべき人間には相違そういないが、主人も花前を見るにつけ、みずからかえりみると、確信かくしんなきわが生活の、精神上せいしんじょうにその日暮ひぐらしであるずかしさをうち消すことができなかった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
盲目めくら父親ちちおやいて、十二、三さいのあわれな少年しょうねんは、日暮ひぐがたになると、どこからかにぎやかなまちほうへやってきました。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
日暮ひぐれからすっかり雪になりました。
耕耘部の時計 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
日暮ひぐれのもりだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そして、毎日まいにち日暮ひぐがたになると、城跡しろあとにいって、いつもおじいさんのこしかけるいしのそばにって、おじいさんのくるのをっていました。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
すすぎのそご日暮ひぐれかだ
鹿踊りのはじまり (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そして、日暮ひぐがたから、幾分いくぶんうみうえが、おだやかになったので、英吉えいきちは、よろこんで、りくほうへ、あらんかぎり、うでちかられてこぎだしました。
海の踊り (新字新仮名) / 小川未明(著)
すすぎのそこ日暮ひぐれかだ
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
日暮ひぐがたわしは、また、ここへやってくる。それまでによくかんがえたがいい。」と、おじいさんはいって、どこへか姿すがたしてしまいました。
銀のつえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
まつわかれた、いすかは、若者わかもの無事ぶじるとこころからしゅくして、日暮ひぐがたまえに、ふねうえぎて、とおくへんでゆきました。
海の踊り (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして二人ふたりのものは、終日しゅうじつこのまちなかをむなしくあるきまわって、つかれて空腹をかんじて、日暮ひぐがたになると、どこへともなくかえってゆくのでした。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あねは、使つかいのおとこにつれられて、いかめしい馬車ばしゃりました。馬車ばしゃは、ひづめのおと砂地すなじうえにたてて、日暮ひぐがたそらしたをかなたにりました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただ、けると太陽たいようひがしほうからがりました。また、日暮ひぐがたになると、かなたの地平線ちへいせんほのおのようにえて、太陽たいよううみしずみました。
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから、二人ふたりは、小屋こやなかでむつまじくかたらいました。やがて、だんだん日暮ひぐちかくなったのであります。
いろいろと、がりがまちから、おくほうをのぞいてなぐさめました。きんさんは、うれしくおもいました。日暮ひぐがたには、りょうちゃんのおかあさんが、みまいにきました。
春風の吹く町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
朝早あさはやくから、日暮ひぐがたまで、まどしたや、ごみなどをあさって、やかましくきたてていました。
温泉へ出かけたすずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
とりわけ、西にしそら夕焼ゆうやけけをする、日暮ひぐがたねつるというのであります。そして、近所きんじょ医者いしゃてもらったけれど、なんの病気びょうきかわからないというのでした。
海が呼んだ話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なつがきても、またおなじでありました。しずかな自然しぜんには、わりがないのです。日暮ひぐがたになると、うみのかなたが夕焼ゆうやけして、そのもついにるるのでした。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて、かれは、いえかえって、日暮ひぐがたちかづいて店頭みせさきへくるきゃくに、石油せきゆはかってわたしていたのです。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
みちばたでありますから、かや、はえがよくきて、そのはなうえや、またうえにもとまりました。はなは、毎日まいにち日暮ひぐがたになると、ブンブンとく、かのおときました。
くもと草 (新字新仮名) / 小川未明(著)
明日あしたばかりは、ものをいっておともだちになろうと、いろいろ空想くうそうえがきました。やがて、西にしそらあかくなって、日暮ひぐがたになりましたから、太郎たろううちなかはいりました。
金の輪 (新字新仮名) / 小川未明(著)
日暮ひぐがたになると、ねこは、まったくだれもあたりにいないのをすましてからりてきました。こうして、このくろねこは、そのからおばあさんのうちやしなわれたのでした。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
日暮ひぐがたすこしまえに、このかさをかぶった、わらじをはいてきゃはんをけた労働者ろうどうしゃは、むらをまわりつくしてまちようとして、ある神社じんじゃのそばにさしかかり、そこにろして
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねんは、そのおもいもらぬたくさんなかねを、人々ひとびとからもらいました。そして、日暮ひぐれに木賃宿きちんやどかえってきてまりました。かれは、ほかにいってまるところがなかったからです。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、もう、日暮ひぐがたになった。また、あしたにしよう。」といって、かれらは、仕事しごとをきりあげて、れだって、野道のみちはなしながら、てんでにいえをさしてかえってゆくのでありました。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、そのとしなつ日暮ひぐがたのことであります。どこからとなく、たくさんのこうもりがんできて、毎晩まいばんのようにりんごばたけうえびまわって、わるむしをみんなべたのであります。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太陽たいようは、そのことにはづかずに、日暮ひぐがたまで下界げかいらしていました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、日暮ひぐがたからかぜてきて、天気てんきわりかけたのであります。
はてしなき世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
日暮ひぐまえに、一つの丸木橋まるきばしいだしましたので、彼女かのじょは、よろこんでそのはしわたりますと、ちていたとみえて、はしなかからぽっきり二つにれて、むすめみずなかにおぼれてしまいました。
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
日暮ひぐがたげる、からすのこえが、とおくのもりほうこえていました。
赤い手袋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
日暮ひぐがたげるからすが、あちらのはやしほういていました。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから三、四日よっかたって、やはり日暮ひぐがたのことでした。
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)