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失望
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しつぼう
ふりがな文庫
“
失望
(
しつぼう
)” の例文
咲耶子
(
さくやこ
)
にあわぬ
失望
(
しつぼう
)
は、そのうれしさにおぎなわれて、
朱柄
(
あかえ
)
の
槍
(
やり
)
と
鍔
(
つば
)
なしの
戒刀
(
かいとう
)
は、なんのためらいもなくその
渦巻
(
うずまき
)
のなかへおどった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かれらが
失望
(
しつぼう
)
落胆
(
らくたん
)
すべき
必然
(
ひつぜん
)
の
時期
(
じき
)
はもはや目のまえに
迫
(
せま
)
っていると思うと、はらわたが
煮
(
に
)
えかえってちぎれる心持ちがする。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「おお醤どの。ふしぎという
外
(
ほか
)
ない。しかしまだあの部屋には、かずかずの
始末道具
(
しまつどうぐ
)
があるから、まだ
失望
(
しつぼう
)
するのは早い」
大使館の始末機関:――金博士シリーズ・7――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
江戸
(
えど
)
の
民衆
(
みんしゅう
)
は、
去年
(
きょねん
)
の
吉原
(
よしわら
)
の
大火
(
たいか
)
よりも、
更
(
さら
)
に
大
(
おお
)
きな
失望
(
しつぼう
)
の
淵
(
ふち
)
に
沈
(
しず
)
んだが、
中
(
なか
)
にも
手中
(
しゅちゅう
)
の
珠
(
たま
)
を
奪
(
うば
)
われたような、
悲
(
かな
)
しみのどん
底
(
ぞこ
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだのは
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
秀吉
(
ひできち
)
は、
出
(
で
)
かけるとき、
胸
(
むね
)
に
描
(
えが
)
いた、
桃色
(
ももいろ
)
の
希望
(
きぼう
)
の
影
(
かげ
)
は、どこかへ
消
(
き
)
えて、
家
(
うち
)
へもどるときは、
失望
(
しつぼう
)
の
底
(
そこ
)
を
歩
(
ある
)
くように、
運
(
はこ
)
ぶ
足
(
あし
)
が
重
(
おも
)
かったのでした。
しいたげられた天才
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
そこでもまた同じ問いをくり返したが、やはりいい
結果
(
けっか
)
は
得
(
え
)
られなかった。でもわたしたちは
失望
(
しつぼう
)
しないで、一人ひとりたずねながらずんずん進んだ。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
そしてそれが
原因
(
げんいん
)
で
洞穴
(
ほらあな
)
の
研究
(
けんきゆう
)
をして、これを
學界
(
がつかい
)
に
發表
(
はつぴよう
)
しましたが、
當時
(
とうじ
)
誰
(
たれ
)
も
信
(
しん
)
ずる
者
(
もの
)
がなく、サウツオラは
失望
(
しつぼう
)
落膽
(
らくたん
)
し、
殘念
(
ざんねん
)
に
思
(
おも
)
ひながら
死
(
し
)
んだのです。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
と、そう
思返
(
おもいかえ
)
したものの、やはり
失望
(
しつぼう
)
は
彼
(
かれ
)
の
心
(
こころ
)
にいよいよ
募
(
つの
)
って、
彼
(
かれ
)
は
思
(
おも
)
わず
両
(
りょう
)
の
手
(
て
)
に
格子
(
こうし
)
を
捉
(
とら
)
え、
力儘
(
ちからまか
)
せに
揺動
(
ゆすぶ
)
ったが、
堅固
(
けんご
)
な
格子
(
こうし
)
はミチリとの
音
(
おと
)
もせぬ。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
積
(
つ
)
もる
苦労
(
くろう
)
、
重
(
かさ
)
なる
失望
(
しつぼう
)
、ひしひしと
骨身
(
ほねみ
)
にしみる
寂
(
さび
)
しさ……
私
(
わたくし
)
の
躯
(
からだ
)
はだんだん
衰弱
(
すいじゃく
)
してまいりました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
だが第二の
失望
(
しつぼう
)
がきた。夜は明けたが
濃霧
(
のうむ
)
が
煙幕
(
えんまく
)
のごとくとざして、一寸先も見えない、むろん陸地の影など、見分くべくもない。しかもいぜんとして風はやまぬ。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
容易
(
ようい
)
に
胸隔
(
きようかく
)
を
開
(
ひら
)
かぬ
日本人
(
にほんじん
)
は
容易
(
ようい
)
に
胸隔
(
きようかく
)
を
閉
(
と
)
つる
日本人
(
にほんじん
)
に
候
(
そろ
)
、
失望
(
しつぼう
)
の
相
(
さう
)
ならざるなしと、
甞
(
かつ
)
て
内村
(
うちむら
)
先生申され
候
(
そろ
)
。
然
(
しか
)
り
小生
(
せうせい
)
も
日本人
(
にほんじん
)
に
候
(
そろ
)
拒
(
こば
)
まざるが
故
(
ゆゑ
)
に
此言
(
このげん
)
を
為
(
な
)
し
候
(
そろ
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
だからその
點
(
てん
)
において、そのお
歌
(
うた
)
が、
第一番
(
だいゝちばん
)
のものでなくとも、
何
(
なに
)
も
失望
(
しつぼう
)
する
必要
(
ひつよう
)
はありません。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
氏の
為
(
た
)
めに苦戦し氏の
為
(
た
)
めに戦死したるに、首領にして
降参
(
こうさん
)
とあれば、たとい同意の者あるも、不同意の者は
恰
(
あたか
)
も見捨てられたる姿にして、その
落胆
(
らくたん
)
失望
(
しつぼう
)
はいうまでもなく
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
あゝ、
天上
(
てんじやう
)
から
地獄
(
ぢごく
)
の
底
(
そこ
)
へ
蹴落
(
けおと
)
されたとて、
人間
(
にんげん
)
は
斯
(
か
)
く
迄
(
まで
)
失望
(
しつぼう
)
するものではあるまい。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
多分
(
たぶん
)
彼等
(
かれら
)
に
取
(
と
)
つては
楽
(
たの
)
しい一
夜
(
や
)
であるべき
筈
(
はず
)
だつたのであらうが
唖
(
おし
)
のやうに
黙
(
だま
)
りこくつた
我々
(
われ/\
)
の
苦
(
にが
)
い
表情
(
へうぜう
)
と
無愛相
(
ぶあいそう
)
な
態度
(
たいど
)
とが、
如何
(
いか
)
に
彼等
(
かれら
)
を
失望
(
しつぼう
)
させたかは、
想像
(
そうぞう
)
に
余
(
あま
)
りあるものであつた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
けれども
壺穴
(
つぼあな
)
の
標本
(
ひょうほん
)
を見せるつもりだったが思ったくらいはっきりはしていないな。多少
失望
(
しつぼう
)
だ。岩は何という円くなめらかに
削
(
けず
)
られたもんだろう。
水苔
(
みずごけ
)
も
生
(
は
)
えている。
滑
(
すべ
)
るだろうか。滑らない。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ふたりは、ちょっと
失望
(
しつぼう
)
しました。
いぼ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
で、
彼
(
かれ
)
ももう
思慮
(
かんが
)
えることの
無益
(
むえき
)
なのを
悟
(
さと
)
り、すっかり
失望
(
しつぼう
)
と、
恐怖
(
きょうふ
)
との
淵
(
ふち
)
に
沈
(
しず
)
んでしまったのである。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
三
人
(
にん
)
は、
学者
(
がくしゃ
)
の
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
いて
失望
(
しつぼう
)
しました。けれど、あるいは、この
箱
(
はこ
)
の
中
(
なか
)
に、なにかはいっていはしないかという
一筋
(
ひとすじ
)
の
希望
(
きぼう
)
を
持
(
も
)
ちながら、
出
(
で
)
かけてゆきました。
三つのかぎ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
するとかれはわたしの
欲
(
ほっ
)
していたありったけの
同情
(
どうじょう
)
をわたしに
注
(
そそ
)
いだ。かれはどうにかしてわたしをなぐさめようと
努力
(
どりょく
)
した。そして
失望
(
しつぼう
)
してはいけないと言った。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
と、お
時
(
とき
)
は手のうちの
玉
(
たま
)
をとられたように、あッけにとられて
失望
(
しつぼう
)
したが、その目のまえに、すぐと、また同じような少年がひとり、
月
(
つき
)
ノ
宮
(
みや
)
の
境内
(
けいだい
)
から
勢
(
いきお
)
いよくかけだしてきて
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
失望
(
しつぼう
)
の
苦
(
く
)
も
慰
(
なぐさ
)
むところがあるにちがいないだろうが、それがいまの自分にはほとんど
望
(
のぞ
)
みがないばかりでなく、かえって
夫婦間
(
ふうふかん
)
におこるべきいやな、いうにいわれない
苦痛
(
くつう
)
のために
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
まあ/\、
失望
(
しつぼう
)
しないで、
生命限
(
いのちかぎ
)
り
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
だ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
こう
看護婦
(
かんごふ
)
がいったとき、
若
(
わか
)
い
婦人
(
ふじん
)
の
顔色
(
かおいろ
)
は、
落胆
(
らくたん
)
と
失望
(
しつぼう
)
のために、
変
(
か
)
わりました。
彼女
(
かのじょ
)
は、どうしていいかわからなかったからです。しばらく
黙
(
だま
)
って
考
(
かんが
)
えていました。
世の中のこと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
わたしが自分にはうちがないと思って、あれほど悲しがって
泣
(
な
)
いていたじぶん、こうしてうちができた今日かえってこれほどの
失望
(
しつぼう
)
におちいろうとはだれが思ったろう。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
自分の
落胆
(
らくたん
)
や
失望
(
しつぼう
)
が、どれほど
忠節
(
ちゅうせつ
)
な人々の
胸
(
むね
)
に
反映
(
はんえい
)
するかをよく知っている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それをききたいばかりに、わざわざここまで
旅行
(
たび
)
をしたお
嬢
(
じょう
)
さまの
失望
(
しつぼう
)
を
思
(
おも
)
ったからです。
谷にうたう女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そういうわけでむすこに
失望
(
しつぼう
)
した母親の心には、
絶
(
た
)
え
間
(
ま
)
のない物思いがあった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
若者
(
わかもの
)
は、そんなことには
気
(
き
)
にもとめずに、
口笛
(
くちぶえ
)
を
鳴
(
な
)
らして、このかぎりない
美
(
うつく
)
しい
景色
(
けしき
)
に
見
(
み
)
とれていましたが、トム
吉
(
きち
)
は、
失望
(
しつぼう
)
と
悔恨
(
かいこん
)
とくやしさとで、
顔
(
かお
)
の
色
(
いろ
)
は、すっかり
青
(
あお
)
ざめていました。
トム吉と宝石
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
君
(
きみ
)
は、あの
谷川
(
たにがわ
)
のほとりのほおのきを
知
(
し
)
っているだろう。
二人
(
ふたり
)
がやまばとの
巣
(
す
)
を
捕
(
と
)
りにいって、もう
先
(
さき
)
にだれかに
捕
(
と
)
られてしまって
失望
(
しつぼう
)
したことがあったね。
僕
(
ぼく
)
は、あのあたりの
景色
(
けしき
)
が
好
(
す
)
きだ。
風雨の晩の小僧さん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いつも、
頭
(
あたま
)
のはげあがった
番頭
(
ばんとう
)
が、
上目
(
うわめ
)
を
使
(
つか
)
って、じろりと
平三
(
へいぞう
)
の
顔
(
かお
)
をにらむように
見
(
み
)
て、一
合
(
ごう
)
ますに
酒
(
さけ
)
をはかっていれて
渡
(
わた
)
しました。
彼
(
かれ
)
は、
毎日
(
まいにち
)
毎日
(
まいにち
)
失望
(
しつぼう
)
して、
家
(
いえ
)
へ
帰
(
かえ
)
ってきたのであります。
赤いガラスの宮殿
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“失望”の意味
《名詞》
失 望(しつぼう)
期待が外れて希望を失うこと。
(出典:Wiktionary)
失
常用漢字
小4
部首:⼤
5画
望
常用漢字
小4
部首:⽉
11画
“失望”で始まる語句
失望湾
失望的
失望落胆
失望落膽