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埋
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うも
ふりがな文庫
“
埋
(
うも
)” の例文
越前
(
ゑちぜん
)
の
府
(
ふ
)
、
武生
(
たけふ
)
の、
侘
(
わび
)
しい
旅宿
(
やど
)
の、
雪
(
ゆき
)
に
埋
(
うも
)
れた
軒
(
のき
)
を
離
(
はな
)
れて、二
町
(
ちやう
)
ばかりも
進
(
すゝ
)
んだ
時
(
とき
)
、
吹雪
(
ふゞき
)
に
行惱
(
ゆきなや
)
みながら、
私
(
わたし
)
は——
然
(
さ
)
う
思
(
おも
)
ひました。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
我邦の山岳信仰の、是は普通の型とも見られようが、それをシラ山と名づけたのには、或いは
埋
(
うも
)
れたる古い意味があるのかもしれぬ。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
一山
(
いっさん
)
の
蝉
(
せみ
)
の声の中に
埋
(
うも
)
れながら、自分は昔、春雨にぬれているこの墓を見て、感に堪えたということがなんだかうそのような心もちがした。
樗牛の事
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
むかしは樹がしげった渓谷だったでしょうが、
地辷
(
じすべ
)
りもあってすっかり
埋
(
うも
)
れた。そこへ、ピルコマヨが流路を求めてきた。
人外魔境:05 水棲人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その才の故にかえって四方に敵を作り
空
(
むな
)
しく
埋
(
うも
)
れ果てたのは自業自得ではあるけれどもまことに不幸と云わねばならぬ。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
今少し
經
(
た
)
てば、
己
(
おれ
)
の中の人間の心は、獸としての習慣の中にすつかり
埋
(
うも
)
れて消えて了ふだらう。恰度、古い宮殿の礎が次第に土砂に埋沒するやうに。
山月記
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
おまけに
先刻
(
さつき
)
の
手早
(
てばや
)
き
藝當
(
げいたう
)
が
其
(
その
)
效果
(
きゝめ
)
を
現
(
あら
)
はして
來
(
き
)
たので、
自分
(
じぶん
)
は
自分
(
じぶん
)
と
腹
(
はら
)
が
定
(
き
)
まり、
車窓
(
しやさう
)
から
雲霧
(
うんむ
)
に
埋
(
うも
)
れた
山々
(
やま/\
)
を
眺
(
なが
)
め
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
天下には、
可惜
(
あたら
)
、そういう
角
(
かど
)
が取れないために、折角の偉材名石でありながら、野に
埋
(
うも
)
れている石が限りなくある。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お妙は、客へこう言いながら、長火鉢の
埋
(
うも
)
れ火を掻き起した。そうして、火箸を扱いながら、ちらとその男を見た。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
とうとうおれも
埋
(
うも
)
れ
木
(
ぎ
)
になってしまった。これから地面の下で湿気を食いながら生きて行くよりほかにはない。——おれは負け惜しみをいうはきらいだ。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
雪に
埋
(
うも
)
れんとする奥信濃の路とは違い、ここは明るい南国の伊豆、熱海街道の
駕籠
(
かご
)
の中に納まって、
女軽業
(
おんなかるわざ
)
の親方のお
角
(
かく
)
が、駕籠わきについている、いつも
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私はまた想像した、雪に
埋
(
うも
)
れ、氷に閉され、伸びては枯れ、枯れては
生
(
お
)
うる林相の無常を。またその光明を。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
したが、マンチュアへは
改
(
あらた
)
めて
書送
(
かきおく
)
り、ロミオがお
來
(
き
)
やるまでは、
姫
(
ひめ
)
を
庵室
(
あんじつ
)
にかくまっておかう。
不便
(
ふびん
)
や、
生
(
い
)
きた
骸
(
むくろ
)
となって、
死人
(
しにん
)
の
墓
(
はか
)
の
中
(
なか
)
に
埋
(
うも
)
れてゐやる!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
今日は塾へ出ようとして、青葉に
埋
(
うも
)
れた石垣の間を通つて、久し振で城門前の踏切へ出た。並行したレールは初夏の日を受けて
磨
(
と
)
ぎすましたやうに光つて居た。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
仲之町夜桜の
盛
(
さかり
)
とても彼は貧しげなる
鱗葺
(
こけらぶき
)
の屋根をば
高所
(
こうしょ
)
より見下したる
間
(
あいだ
)
に桜花の
梢
(
こずえ
)
を示すに
止
(
とど
)
まり、
日本堤
(
にほんづつみ
)
は雪に
埋
(
うも
)
れし低き人家と行き悩む駕籠の
往来
(
おうらい
)
に
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
……のみならず、この
夥
(
おびただ
)
しい
排泄
(
はいせつ
)
物の腐れた臭ひに半ばは
埋
(
うも
)
れて一万二千の小舟が動き廻り、三万余りの男女がその中に「生きて」ゐるのを私たちは知つてゐる。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
かれは日記帳に、「あゝわれつひに
堪
(
た
)
へんや、あゝわれつひに
田舎
(
いなか
)
の一教師に
埋
(
うも
)
れんとするか。明日! 明日は万事定まるべし。村会の夜の集合!
噫
(
ああ
)
! 一語以て
後日
(
ごじつ
)
に寄す」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
薄く流れる河の厚さは
昨日
(
きのう
)
と同じようにほとんど二三寸しかないが、その真中に鉄の
樋竹
(
といだけ
)
が、砂に
埋
(
うも
)
れながら首を出しているのに気がついたので、あれは何だいと下女に聞いて見た。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
待
(
ま
)
てども/\
遣
(
や
)
つて
來
(
こ
)
ぬので、ハンマーを
持
(
も
)
つて
往還
(
わうくわん
)
をコツ/\
穿
(
うが
)
ち、
打石斧
(
だせきふ
)
の
埋
(
うも
)
れたのなど
掘出
(
ほりだ
)
して
居
(
ゐ
)
たが、それでも
來
(
こ
)
ない。
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
いので
此方
(
こつち
)
の
二人
(
ふたり
)
は、
先
(
さ
)
きへ
寺
(
てら
)
の
中
(
なか
)
に
入
(
はい
)
つた。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
馬爪
(
ばづ
)
のさし
櫛
(
ぐし
)
も
世
(
よ
)
にある
人
(
ひと
)
の
本甲
(
ほんかう
)
ほどには
嬉
(
うれ
)
しがりし
物
(
もの
)
なれども、
見
(
み
)
る
人毎
(
ひとごと
)
に
賞
(
ほ
)
めそやして、これほどの
容貌
(
きりよう
)
を
埋
(
うも
)
れ
木
(
ぎ
)
とは
可
(
あたら
)
惜しいもの、
出
(
で
)
て
居
(
い
)
る
人
(
ひと
)
で
有
(
あら
)
うなら
恐
(
おそ
)
らく
島原
(
しまばら
)
切
(
き
)
つての
美人
(
びじん
)
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
このまま
埋
(
うも
)
らせてしまうのは残念だ、もう少し書かせてみないか、発表の雑誌の世話をしてあげる、というような事を、もったいない
叮嚀
(
ていねい
)
なお言葉で、まじめにおっしゃっているのでした。
千代女
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それが氷でもれ上っていた。沼の向う側には雪に
埋
(
うも
)
れて二三の民屋が見えた。
雪のシベリア
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
眼の上の眉のひさしがやや眼にのしかかり気味でそれが眼に陰影を与える。眼と嘴と額との国境のような
凹
(
へこ
)
んだ三角地帯に、
剛
(
こわ
)
い毛に半ば
埋
(
うも
)
れるように鼻孔がこの辺のこなしを引締めている。
木彫ウソを作った時
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
右馬の頭はもういうこともなく、
点頭
(
うなず
)
いて見せた。このままのなりわいを続けて行ったら、
生絹
(
すずし
)
は泥くさい
田舎
(
いなか
)
女になり果て和歌の才能すら難波の
蓬生
(
よもぎう
)
のあいだに
埋
(
うも
)
れてしまわねばならない。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
審美書院
(
しんびしょいん
)
の自慢の
木版摺
(
もくはんずり
)
の色でみると、千年の間土に
埋
(
うも
)
れていて、今また陽光を浴びた八戒は、
鮮
(
あざや
)
かな
朱
(
しゅ
)
と黄色との着物を着て、一、二年前に描かれたような色彩のまま保存されていたのである。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
カトリックに通い、あんまを習い、すべての
遍歴
(
へんれき
)
は年月の底に
埋
(
うも
)
れて
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
こういう職業に
埋
(
うも
)
れて行くにはあたら惜しいような男である。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
「
埋
(
うも
)
れたる過去」の一切の力がお光を引きしめた。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
雪に
埋
(
うも
)
れ、雪の下に身を
埋
(
うず
)
めながら生きていた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
春
生
(
お
)
ふる草に
埋
(
うも
)
るるがごと
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
埋
(
うも
)
れた墓を洗ひ出し
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
空知川
(
そらちがわ
)
雪に
埋
(
うも
)
れて
田舎がえり
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
うつくしき人の胸は、もとのごとく
傍
(
かたわら
)
にあおむきいて、わが鼻は、いたずらにおのが
膚
(
はだ
)
にぬくまりたる、柔き蒲団に
埋
(
うも
)
れて、おかし。
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
生涯
埋
(
うも
)
れ
木
(
ぎ
)
で暮らすばっかりやいいなさって、自分は死んでもあんな男と結婚せエへん、どうぞ助ける思てあの男と手エ切れるようにしてくれへんか
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
今少し
経
(
た
)
てば、
己
(
おれ
)
の中の人間の心は、獣としての習慣の中にすっかり
埋
(
うも
)
れて消えて
了
(
しま
)
うだろう。ちょうど、古い宮殿の
礎
(
いしずえ
)
が次第に土砂に埋没するように。
山月記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
藤原有範が
子飼
(
こがい
)
の家来、
侍従介
(
じじゅうのすけ
)
は、
築地
(
ついじ
)
の外の流れが、草に
埋
(
うも
)
って、下水が吐けないので、めずらしく、熊手をもって、掃除をし、
落葉焼
(
おちばやき
)
をやっていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幸いにしてこれは人情の古今に一貫した願望である故に、今でもまだ眼に立たぬ人々の言葉や行いの中から久しく
埋
(
うも
)
れていたものを発見し得る望みはある。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「紀州の
歳
(
とし
)
ほど
推
(
すい
)
しがたきはあらず、
垢
(
あか
)
にて歳も
埋
(
うも
)
れはてしと
覚
(
おぼ
)
ゆ、十にやはた十八にや」
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「いや、僕はそう思うねえ、僕はこれっきり
埋
(
うも
)
れてしまうような気がしてならないよ」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
いたずらに羞かしい労働に
埋
(
うも
)
れて行くことを悲しんだ。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
朽
(
く
)
ちはてし
熔岩
(
ラヴア
)
に
埋
(
うも
)
るるポンペイを、わが
幻
(
まぼろし
)
を。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
砂に
埋
(
うも
)
れし青き
玉
(
たま
)
。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
空知川
(
そらちがは
)
雪に
埋
(
うも
)
れて
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
雪難之碑
(
せつなんのひ
)
。——
峰
(
みね
)
の
尖
(
とが
)
つたやうな、
其處
(
そこ
)
の
大木
(
たいぼく
)
の
杉
(
すぎ
)
の
梢
(
こずゑ
)
を、
睫毛
(
まつげ
)
にのせて
倒
(
たふ
)
れました。
私
(
わたし
)
は
雪
(
ゆき
)
に
埋
(
うも
)
れて
行
(
ゆ
)
く………
身動
(
みうご
)
きも
出來
(
でき
)
ません。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
日
(
ひ
)
は
暮
(
く
)
れかゝつて
雨
(
あめ
)
は
益〻
(
ます/\
)
強
(
つよ
)
くなつた。
山々
(
やま/\
)
は
悉
(
こと/″\
)
く
雲
(
くも
)
に
埋
(
うも
)
れて
僅
(
わづ
)
かに
其麓
(
そのふもと
)
を
現
(
あらは
)
すばかり。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
そんならそなたは姉さんのために一生を
埋
(
うも
)
れ
木
(
ぎ
)
にしてしまいなさるのか
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
というようなものは、決して町にも山沢にも
埋
(
うも
)
れていなかった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さしもまた
埋
(
うも
)
れて
顫
(
ふる
)
ふ
妄念
(
まうねん
)
の
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
砂に
埋
(
うも
)
れて顔を出す
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
が、その影が
映
(
さ
)
すと、半ば
埋
(
うも
)
れた私の
身体
(
からだ
)
は、ぱっと紫陽花に包まれたように、青く、
藍
(
あい
)
に、
群青
(
ぐんじょう
)
になりました。
雪霊続記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
埋
常用漢字
中学
部首:⼟
10画
“埋”を含む語句
埋葬
生埋
埋合
溝埋
埋火
降埋
埋木
埋没
埋立
穴埋
埋蔵
埋葬地
埋尽
埋伏
埋立地
埋兵
埋草
埋地
仮埋葬
埋堀
...