卑劣ひれつ)” の例文
取出し夫見よ酒も肴も幾許いくらでも出せ喰倒しをするやうな卑劣ひれつの武士と思ふかこゝ盲目めくらめと云ながら百兩餘りもあらんと思はるゝ胴卷どうまき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なんとでもいいたまえ、ぼくは卑劣ひれつなことはしたくないからふだんに苦しんで勉強してるんだ、きみらはなまけて楽をして試験を
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
『えゝ、無責任むせきにんなる船員せんいん! 卑劣ひれつなる外人くわいじん! 海上かいじやう規則きそくなんためぞ。』と悲憤ひふんうでやくすと、夫人ふじんさびしきかほわたくしむかつた、しづんだこゑ
そういう卑劣ひれつな風説を打ち消すために、養子秀勝を、お迎えに上げたが、これを取って、質子ちしと召され、安心して、御通過をねがいたい。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ええ、荒田さんの卑劣ひれつな計画にちがいないんです。荒田さんは、軍の名で塾の指導精神をぶちこわそうとしているんです。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
目的のためにはいかに卑劣ひれつな手段も辞せず、だんだんに堕落だらくし、ついに虫類むしけら同然のものに身を変えて幾分かその目的を遂げた。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
こんな卑劣ひれつな根性は封建時代から、養成したこの土地の習慣なんだから、いくら云って聞かしたって、教えてやったって、到底とうてい直りっこない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
マーキュ おゝ、柔弱てぬるい、不面目ふめんもくな、卑劣ひれつ降參かうさん! 此上このうへけんあるのみぢゃ。(劍を拔く)。チッバルト、いやさ、猫王ねこまたどの、おきゃらうか?
『ではわたくしなどはいたずらくるしみ、不満ふまんならし、人間にんげん卑劣ひれつおどろいたりばかりしていますから、白痴はくちだと有仰おっしゃるのでしょう。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
卑劣ひれつ盗人ぬすっとでも恥じるような手段をめぐらして、唐沢家を迫害し、不倫ふりんな結婚を遂げようと云うような、浅ましいやり方を、恥ずかしいとは思わないのですか。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
四十年来の閲歴えつれき聞人達もんじんたち気風きふう呑込のみこみたれば、たゞ諸名家しよめいか御休息所ごきうそくじよを作り、御褒美ごほうびにはうめぽんづゝうゑくだされと、かね卑劣ひれついでざる名案めいあんうめぽん寄附主きふぬし
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
もとはとえば自分の方で呼還よびかえすようにくわだてゝ置きながら、うわべに人をあざむくと云うのは卑劣ひれつ至極なやつだ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
美濃守殿みののかみどののことから、其方そち潔白けつぱくいて、ひどく感心かんしんしたのだつたな。まつた其方そち卑劣ひれつな、強慾がうよくな、恥知はぢしらずの人間にんげんばかりおほ土地とちで、めづらしい潔白けつぱく高尚かうしやう人間にんげんだ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「しかし卑劣ひれつにも責任を負わない。復興資金として五百円寄附したばかりだ。学園は彼奴の為めに五千円、その中五百円入れたから、四千五百円取り片附けの費用を負担している」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
預かった憶えは、ないと言えばよかったのですが、言われた途端とたん、ハッとしたものがあって、——卑劣ひれつなぼくは、「村川君に、じゃなかったのですか」と苦しまぎれにうそきました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
ポチは、れいによって上品ぶった態度を示し、何を騒いでいるのかね、とでも言いたげな蔑視べっしをちらとその赤毛の犬にくれただけで、さっさとその面前を通過した。赤毛は、卑劣ひれつである。
……で、恩人おんじんふ、おんじやうじ、なさけ附入つけいるやうな、いやしい、あさましい、卑劣ひれつな、下司げすな、無禮ぶれいおもひが、うしてもこゝろはなれないものですから、ひとり、みづかはゞかられたのでありました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
だ篠田の為めに一臂いつぴの労をることを無上の満足として居たのです——しかるに段々彼の内状をつまびらかにすると、実に其の裏面に驚くべき卑劣ひれつの野心を包蔵することがいさゝうたがひないので——御両君
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
それだけかれは不屈不撓ふくつふとう気魄きはくをもっているのだが、ときとして負けるのがいやさにずいぶん卑劣ひれつ手段しゅだんを用うることがある。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
君等きみら其時そのとき擧動ふるまひ賞讃しようさんするのをるにつけても、じつ斷膓だんちやうねんえなかつたです——なに、あの卑劣ひれつなる船長等せんちやうら如何どうしたとはるゝか。
いかれる獅子ししのまえにはなにものの阻害そがいもない。忍剣はいま、さながら羅刹らせつだ、夜叉やしゃだ、奸譎かんけつ非武士ひぶし卑劣ひれつ忿怒ふんぬする天魔神てんましんのすがただ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぬすむなどと云卑劣ひれつ武士さふらひにあらず是にても疑ひははれぬかと云ふに久兵衞は大口おほぐちあい打笑うちわらひイヤサ盜人ぬすびとたけ/″\しいとは貴殿きさまの事なり此品々を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なるほど、自分はあのころ、虚言きょげん策略さくりゃく、暴力、偽善ぎぜん、そのほかありとあらゆる卑劣ひれつな手段を毎日もてあそんでいた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
『ではわたくしなどはいたづらくるしみ、不滿ふまんならし、人間にんげん卑劣ひれつおどろいたりばかりしてゐますから、白癡はくちだと有仰おつしやるのでせう。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おれはこれでも山嵐に一銭五厘奮発ふんぱつさせて、百万両より尊とい返礼をした気でいる。山嵐は難有ありがたいと思ってしかるべきだ。それに裏へ廻って卑劣ひれつ振舞ふるまいをするとはしからん野郎やろうだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
他人を踏台ふみだいとしたり甚だしきは友人までも売って位地をめんとしたら、これまた勝利にあらずして敗北はいぼくなりと心得こころえ、よし名を挙げるにしても、卑劣ひれついやしき方法によりて得たならば
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
人の秘密を立ち聞きするほど卑劣ひれつな行為はない、しかも主人兄弟の秘密である。さりとて聞いてしまったうえは、もはやとりかえしがつかぬ。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ヨハンは自分の主人ながら、その卑劣ひれつさをいきどおろしく感じて、ひたすら、面と向って言葉を交わす日を、今に今にと待ちかまえていたのです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上流社会じょうりゅうしゃかいでも卑劣ひれつなこと以上いじょうにはその教育きょういく程度ていどのぼらんのですから、まった下等社会かとうしゃかいすこしもことならんのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ふとまなこつたのは、いまこのふね責任せきにん双肩さうけんになへる船長せんちやうが、卑劣ひれつにも此時このとき舷燈げんとうひかり朦朧もうろうたるほとりより、てんさけび、ける、幾百いくひやく乘組人のりくみにんをば此處ここ見捨みすてゝ
我利々々亡者がりがりもうじゃれんが他の者の事業を妨害ぼうがいしたり、競争者を中傷ちゅうしょうしたり、人身攻撃じんしんこうげきをしたり、捏造説ねつぞうせつをはいたり、その他卑劣ひれつな方法によりて得る利益は、僕のいう最良の利益とはあい反するものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
赤シャツの依頼がなければ、ここで山嵐の卑劣ひれつをあばいて大喧嘩をしてやるんだが、口外しないと受け合ったんだから動きがとれない。人がこんなに真赤まっかになってるのにふんという理窟りくつがあるものか。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ジャップは卑劣ひれつだ、有色人種は卑劣だといったから、ぼくはちょっとジャップの腕前うでまえはどんなものかを見せてやっただけだ
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ふつうの武技ぶぎでは、どういう敗辱はいじょくをまねこうも知れずと、大久保長安おおくぼながやすらが、わざと相手をこまらそうとたくらんだ卑劣ひれつ心事しんじがあきらかに読めている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上流社會じやうりうしやくわいでも卑劣ひれつなこと以上いじやうには其教育そのけういく程度ていどのぼらんのですから、まつた下等社會かとうしやくわいすこしもことならんのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いかに逆徒ぎゃくと遺族いぞくとはいえ、卑劣ひれつな武人への見せしめのためとはいえ、それは余りに厳しい惨刑さんけいであったようだ。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其意味そのいみつながらぬ、辻妻つじつまはぬはなしは、所詮しよせんふでにすること出來できぬのであるが、かれところつまんでへば、人間にんげん卑劣ひれつなること、壓制あつせいりて正義せいぎ蹂躙じうりんされてゐること
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なぜといえば官兵衛は、主命をおびて、伊丹城いたみじょうおもむき、村重が卑劣ひれつなる奸計かんけいに陥ちて幽囚ゆうしゅうされたもの。正邪な歴々、天下の衆目、誰か彼を曲として憎まぬものあろうや。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その意味いみつながらぬ、辻妻つじつまわぬはなしは、所詮しょせんふでにすることは出来できぬのであるが、かれところつまんでえば、人間にんげん卑劣ひれつなること、圧制あっせいりて正義せいぎ蹂躙じゅうりんされていること
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
われら梁山泊のうちではそんな不義卑劣ひれつはゆるされない。天に代って良民の塗炭とたんの苦しみを救うのが梁党の目的だ。もし君がわが党へ来るなれば、よろこんで迎えたい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
各〻、足ずりして、村重の卑劣ひれつののしった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)