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勿體
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もつたい
ふりがな文庫
“
勿體
(
もつたい
)” の例文
新字:
勿体
それを
思
(
おも
)
ふと、
机
(
つくゑ
)
に
向
(
むか
)
つたなりで、
白米
(
はくまい
)
を
炊
(
た
)
いてたべられるのは
勿體
(
もつたい
)
ないと
云
(
い
)
つてもいゝ。
非常
(
ひじやう
)
の
場合
(
ばあひ
)
だ。……
稼
(
かせ
)
がずには
居
(
ゐ
)
られない。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
言懸
(
いひかけ
)
られお菊は
口惜
(
くやし
)
きこと限りなく
屹度
(
きつと
)
膝
(
ひざ
)
を立直し是は思ひも依ぬ事を
仰
(
おほ
)
せらるゝもの
哉
(
かな
)
云掛
(
いひかゝり
)
されるも程がある
勿體
(
もつたい
)
ない母樣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「それはもう、三年越し
患
(
わづら
)
つて居る私を、こんなにお世話して下さいます。なんの不自由も御座いません。
勿體
(
もつたい
)
ないほどで」
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
阿呆
(
あほ
)
らしい、そんな
勿體
(
もつたい
)
ないこと考へてるよつて、天滿宮さんの罰が當るんや。
道眞
(
みちざね
)
公の臣やいうて、道臣ちふ名をつけたかてあかんなア。」
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
まことに
勿體
(
もつたい
)
ない。ないがしろにされるのは無論いやだが、徒らに氣の毒なおもひをさせられるのも心苦しい。
樹木とその葉:07 野蒜の花
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
▼ もっと見る
あの
女
(
ひと
)
は
不幸
(
ふしあはせ
)
な一生で死んでしまつたが、私はあの
女
(
ひと
)
が志望を
遂
(
と
)
げてゐたらば、立派な働きをしてゐたであらうと思つて、
勿體
(
もつたい
)
ないことをしたと思つてゐる。
日本橋あたり
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
勿體
(
もつたい
)
をつけたり、幼稚な動機に大層な理由附を施してみたり、さういふ事を覺えたに過ぎないのではないか。
かめれおん日記
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
「まだ、ね」と、輕く受けて、「おれの一身を田舍婆々アのかたみ位でふん縛ることは
勿體
(
もつたい
)
ないよ。」
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
勿體
(
もつたい
)
ない
事
(
こと
)
であつたれど
知
(
し
)
らぬ
事
(
こと
)
なればゆるして
下
(
くだ
)
され、まあ
何時
(
いつ
)
から
此樣
(
こん
)
な
業
(
こと
)
して、よく
其
(
その
)
か
弱
(
よは
)
い
身
(
み
)
に
障
(
さわ
)
りもしませぬか、
伯母
(
おば
)
さんが
田舍
(
いなか
)
へ
引取
(
ひきと
)
られてお
出
(
いで
)
なされて
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『
及
(
およ
)
びもつかん
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
ります、
勿體
(
もつたい
)
ないことで
御座
(
ござり
)
ます。』と
權藏
(
ごんざう
)
は
平伏
(
へいふく
)
しました
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「いゝえ、
妖精
(
フエアリ
)
さん、でも聲を聞いて觸るだけでも
勿體
(
もつたい
)
ないくらゐだ。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「
勿體
(
もつたい
)
ない/\。」と、道臣も
菊石
(
あばた
)
のある
赭顏
(
あからがほ
)
を酒にほてらしつゝ、兩手に櫻と桃とを
翳
(
かざ
)
した喜びの色を
漲
(
みなぎ
)
らした。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
蠅
(
はへ
)
も
蛆
(
うじ
)
も、とは、まさか
言
(
い
)
ひはしなかつたけれども、
此
(
こ
)
の
場合
(
ばあひ
)
……きれい
汚
(
きたな
)
いなんぞ
勿體
(
もつたい
)
ないと、
立
(
たち
)
のき
場所
(
ばしよ
)
の
周圍
(
しうゐ
)
から
説
(
せつ
)
が
出
(
で
)
て、
使
(
つかひ
)
が
代
(
かは
)
つて、もう
一度
(
いちど
)
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
送らんも
勿體
(
もつたい
)
なし明日よりは
餠
(
もち
)
を
背負
(
せおひ
)
てお屋敷や又は
町中
(
まちぢう
)
を賣ながら父を尋ね度
存
(
ぞん
)
ずるなり此上のお
情
(
なさけ
)
に此儀を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
斯ういふ上酒は何年振とかだ、
勿體
(
もつたい
)
ない/\といひながら、いつの間にか醉つて來たと見え、固くしてゐた膝をも崩し、段々
圍爐裡
(
ゐろり
)
の側へもにぢり出して來た。
山寺
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「だつて、路地の花道はやけに長いぜ、これほどの
大手柄
(
おほてがら
)
を默つて舞臺にかゝつちや
勿體
(
もつたい
)
ない」
銭形平次捕物控:159 お此お糸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
相手の口調に多少の
勿體
(
もつたい
)
がついてゐなかつたか知らんと考へて、如何に筆の上に權威があるにしても、洋服を拵らへて貰つたり旅費を出させたりする不體裁を返り見ないではゐられなかつた。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
私
(
わたくし
)
をば
母親
(
はゝおや
)
似
(
に
)
の
面
(
おも
)
ざし
見
(
み
)
るに
肝
(
かん
)
の
種
(
たね
)
とて
寄
(
よ
)
せつけも
致
(
いた
)
されず、
朝夕
(
あさゆふ
)
さびしうて
暮
(
くら
)
しましたるを、
嬉
(
うれ
)
しき
縁
(
こと
)
にて
今
(
いま
)
斯
(
か
)
く
私
(
わたくし
)
が
我
(
わが
)
まゝをも
免
(
ゆる
)
し
給
(
たま
)
ひ、
思
(
おも
)
ふ
事
(
こと
)
なき
今日此頃
(
けふこのごろ
)
、それは
勿體
(
もつたい
)
ないほどの
有難
(
ありがた
)
さも
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
河の中へ
歸
(
けへ
)
しておけよ、
勿體
(
もつたい
)
ねえぢや困るぜ、と
佃のわたし
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
取
(
とり
)
勿體
(
もつたい
)
無い何事ぞや
失禮
(
しつれい
)
なるも
顧
(
かへり
)
みず御意見なせしお
叱
(
しか
)
りも
無
(
なき
)
のみ成ず
速
(
すみや
)
かに御志ざしを御改め下さらんとは
有難
(
ありがた
)
く夫にて安心仕つりぬと
悦
(
よろこ
)
び云ば千太郎は
猶
(
なほ
)
手
(
て
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「いゝとも、十疊に一人ぢや
勿體
(
もつたい
)
ない。二人でも三人でも、案内して來るがいゝ」
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
勿體
(
もつたい
)
ないが、
俗
(
ぞく
)
に
言
(
い
)
ふ
上潮
(
あげしほ
)
から
引上
(
ひきあ
)
げたやうな
十錢紙幣
(
じつせんしへい
)
が
蟇口
(
がまぐち
)
に
濕々
(
じめ/\
)
して、
金
(
かね
)
の
威光
(
ゐくわう
)
より、
黴
(
かび
)
の
臭
(
にほひ
)
を
放
(
なは
)
つた
折
(
をり
)
から、
當番
(
たうばん
)
の
幹事
(
かんじ
)
は
決
(
けつ
)
して
剩錢
(
つりせん
)
を
持出
(
もちだ
)
さず、
會員
(
くわいゐん
)
は
各自
(
かくじ
)
九九九
(
くうくうくう
)
の
粒
(
つぶ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
久し振だ、
勿體
(
もつたい
)
ない樣だと言ひながら三人の人たちが盃をあげてゐるところへ
樹木とその葉:34 地震日記
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
家藏持參
(
いへくらぢさん
)
の
業平男
(
なりひらをとこ
)
に
見
(
み
)
せ
給
(
たま
)
ふ
顏
(
かほ
)
我等
(
われら
)
づれに
勿體
(
もつたい
)
なしお
退
(
の
)
きなされよ
見
(
み
)
たくもなしとつれなしや
後
(
うしろ
)
むき
憎
(
にく
)
らしき
事
(
こと
)
の
限
(
かぎ
)
り
並
(
なら
)
べられても
口惜
(
くちを
)
しきはそれならず
解
(
と
)
けぬ
心
(
こゝろ
)
にあらはれぬ
胸
(
むね
)
うらめしく
君樣
(
きみさま
)
こそは
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
……
朝餉
(
あさげ
)
を
濟
(
す
)
ますと、
立處
(
たちどころ
)
に
床
(
とこ
)
を
取直
(
とりなほ
)
して、
勿體
(
もつたい
)
ない
小春
(
こはる
)
のお
天氣
(
てんき
)
に、
水
(
みづ
)
を
二階
(
にかい
)
まで
輝
(
かゞや
)
かす
日當
(
ひあた
)
りのまぶしさに、
硝子戸
(
がらすど
)
と
障子
(
しやうじ
)
をしめて、
長々
(
なが/\
)
と
掻卷
(
かいまき
)
した、これ
此
(
こ
)
の
安湯治客
(
やすたうぢきやく
)
、
得意
(
とくい
)
の
處
(
ところ
)
。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ザラの人間と一緒にするには、
勿體
(
もつたい
)
ない位、良い女でしたよ、親分」
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
濡れた地べたにくつ着いたまゝ、
勿體
(
もつたい
)
ない清らかな色に咲いてゐる。
樹木とその葉:25 或る日の昼餐
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
生甲斐
(
いきがひ
)
なや
五尺
(
ごしやく
)
の
身
(
み
)
に
父母
(
ふぼ
)
の
恩
(
おん
)
荷
(
にな
)
ひ
切
(
き
)
れずましてや
暖簾
(
のれん
)
の
色
(
いろ
)
むかしに
染
(
そ
)
めかへさんはさて
置
(
お
)
きて
朝四暮三
(
てうしぼさん
)
のやつ/\しさにつく/″\
浮世
(
うきよ
)
いやになりて
我身
(
わがみ
)
捨
(
す
)
てたき
折々
(
をり/\
)
もあれど
病勞
(
やみつか
)
れし
兩親
(
ふたおや
)
の
寢顏
(
ねがほ
)
さし
覗
(
のぞ
)
くごとに
我
(
われ
)
なくば
何
(
なん
)
とし
給
(
たま
)
はん
勿體
(
もつたい
)
なしと
思
(
おも
)
ひ
返
(
かへ
)
せど
沸
(
わ
)
くは
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
女紅場
(
ぢよこうば
)
で、お
師匠
(
ししやう
)
さんをなさります、
其
(
そ
)
のお
心
(
こゝろ
)
の
中
(
うち
)
を
存
(
ぞん
)
じながら、
勿體
(
もつたい
)
ない、
引張
(
ひつぱ
)
りの
地獄宿
(
ぢごくやど
)
で、
鮹
(
たこ
)
の
脚
(
あし
)
を
噛
(
かじ
)
りながら、
袖崎
(
そでさき
)
の
御新姐
(
ごしんぞ
)
が
直傳
(
ぢきでん
)
だ、と
紀伊國
(
きいのくに
)
は
音無瀬川
(
おとなせがは
)
の
狐
(
きつね
)
が
憑
(
つ
)
いた
人畜
(
にんちく
)
が
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「まあ、
勿體
(
もつたい
)
ないわねえ、
私達
(
わたしたち
)
に
何
(
なん
)
のお
前
(
まへ
)
さん……」といひかけて、つく/″\
瞻
(
みまも
)
りながら、お
品
(
しな
)
はづツと
立
(
た
)
つて、
與吉
(
よきち
)
に
向
(
むか
)
ひ
合
(
あ
)
ひ、
其
(
そ
)
の
襷懸
(
たすきが
)
けの
綺麗
(
きれい
)
な
腕
(
かひな
)
を、
兩方
(
りやうはう
)
大袈裟
(
おほげさ
)
に
振
(
ふ
)
つて
見
(
み
)
せた。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
毎日
(
まいにち
)
の
事
(
こと
)
は
勿體
(
もつたい
)
ない、
殿樣
(
とのさま
)
に
擬
(
まが
)
ふほどなのです。
其
(
そ
)
の
代
(
かは
)
り——
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
勿
漢検準1級
部首:⼓
4画
體
部首:⾻
23画
“勿體”で始まる語句
勿體無