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介抱
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かいほう
ふりがな文庫
“
介抱
(
かいほう
)” の例文
源太郎の
介抱
(
かいほう
)
を馬子に任せておいて、竜之助は立って前後を見る。乗って来た馬は駄馬である、
所詮
(
しょせん
)
敵を追うべき物の用には立たぬ。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何故
(
なぜ
)
先生は愛妻愛子愛女の心尽しの
介抱
(
かいほう
)
の中に、其一片と雖も先生を
吾有
(
わがもの
)
と主張し要求し得ぬものはない切っても切れぬ周囲の中に
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
介抱
(
かいほう
)
してください。それから、書生さんはいそいで電球を。警官おふたりも中にはいって、捜索してください。あとの人は厳重にここを
青銅の魔人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ところが五月に這入つてから頭の工合が相変らず善くないといふ位で毎日諸氏のかはるがはるの
介抱
(
かいほう
)
に多少の苦しみは
紛
(
まぎ
)
らしとつたが
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
併
(
しか
)
し
此
(
この
)
場を立ち上がって、あの倒れている女学生の所へ行って見るとか、それを
介抱
(
かいほう
)
して
遣
(
や
)
るとか云う事は、どうしても遣りたくない。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
けれども
六部
(
ろくぶ
)
は、あまり
働
(
はたら
)
いて
息
(
いき
)
が
切
(
き
)
れて、
気絶
(
きぜつ
)
しただけでしたから、みんなが
抱
(
だ
)
き
起
(
お
)
こして
介抱
(
かいほう
)
すると、たちまち
息
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
き
返
(
かえ
)
しました。
しっぺい太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
気に入らぬか知らぬが
片栗湯
(
かたくりゆ
)
こしらえた、
食
(
たべ
)
て見る気はないかと厚き
介抱
(
かいほう
)
有難く、へこたれたる腹にお
母
(
ふくろ
)
の愛情を
呑
(
のん
)
で知り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「毎日の御
介抱
(
かいほう
)
が、御心配といっしょになってたいへんだったでしょう。今夜だけでもゆっくりとお休みなさい。私がお付きしていますから」
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
木隠龍太郎
(
こがくれりゅうたろう
)
のために、
河原
(
かわら
)
へ投げつけられた
燕作
(
えんさく
)
は、気をうしなってたおれていたが、ふとだれかに
介抱
(
かいほう
)
されて
正気
(
しょうき
)
づくと、
鳥刺
(
とりさ
)
し
姿
(
すがた
)
の男が
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
馬
(
うま
)
を
取
(
と
)
りしずめるやら、
甲
(
こう
)
の百
姓
(
しょう
)
を
介抱
(
かいほう
)
するやら、たいへんでしたが、その
後
(
のち
)
も
甲
(
こう
)
の百
姓
(
しょう
)
は、いつまでもその
馬
(
うま
)
のために
弱
(
よわ
)
らせられました。
駄馬と百姓
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そうしてそのまわりを
小屏風
(
こびょうぶ
)
で囲んで、五人の御坊主を附き添わせた上に、大広間詰の諸大名が、代る代る来て
介抱
(
かいほう
)
した。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
黄いろい幽霊は、次に、ピート一等兵を、
介抱
(
かいほう
)
してやった。ピートは、気がつくと、きょろきょろあたりを見まわしたが
地底戦車の怪人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
弟の
介抱
(
かいほう
)
と保養の後に、チャイコフスキーは不思議に明るい「第四交響曲」を書き、「イタリー狂想曲」を書き、「第二ピアノ協奏曲」を書いた。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
それでおれが驚いて、あわててここへかつぎこんで、
介抱
(
かいほう
)
してやったんだ。どうした、どこかからだでも悪いのか。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
ですがな……どうも、これだけは
真面目
(
まじめ
)
に
介抱
(
かいほう
)
は出来かねます。娘が
煩
(
わずら
)
うのだと、
乳母
(
うば
)
が始末をする
仕来
(
しきた
)
りになっておりますがね、男のは困りますな。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と今度はご
介抱
(
かいほう
)
だ。照彦様は大の字なりに寝たまま、いくらおこしてもおきない。わざと声をたてて泣く。この騒ぎに、照常様がお部屋から出てきて
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
負傷
(
ておい
)
と見ゆるぞ、
介抱
(
かいほう
)
致せ! ……武右衛門! 武右衛門! 傷は浅い! しっかり致せ! しっかり致せ!」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そしていっしょうけんめいに
介抱
(
かいほう
)
して、ようようのことで再びお生きかえらせになりました。おかあさまは
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
六歳ばかりなるが、いと気の毒がり、女なればとて
特
(
こと
)
に拘留所を設け、
其処
(
そこ
)
に入れて
懇
(
ねんご
)
ろに
介抱
(
かいほう
)
しくれたり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
悲叫
(
ひきょう
)
とともに、お妙は
自害
(
じがい
)
して散ったのだった。壁辰は娘の
介抱
(
かいほう
)
もしたいが、刻は移る。そうしてはいられない。待っていた音松も、
泪
(
なみだ
)
をかくして
急
(
せ
)
き立てる。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私
(
わたくし
)
が
重
(
おも
)
い
枕
(
まくら
)
に
就
(
つ
)
いて、
起居
(
たちい
)
も
不自由
(
ふじゆう
)
になったと
聞
(
き
)
いた
時
(
とき
)
に、
第一
(
だいいち
)
に
馳
(
は
)
せつけて、なにくれと
介抱
(
かいほう
)
に
手
(
て
)
をつくしてくれましたのは
矢張
(
やは
)
り
鎌倉
(
かまくら
)
の
両親
(
りょうしん
)
でございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
春枝夫人
(
はるえふじん
)
の
嬋娟
(
せんけん
)
たる
姿
(
すがた
)
は
喩
(
たと
)
へば
電雷
(
でんらい
)
風雨
(
ふうう
)
の
空
(
そら
)
に
櫻花
(
わうくわ
)
一瓣
(
いちべん
)
のひら/\と
舞
(
ま
)
ふが
如
(
ごと
)
く、
一兵
(
いつぺい
)
時
(
とき
)
に
傷
(
きづゝ
)
き
倒
(
たを
)
れたるを
介抱
(
かいほう
)
せんとて、
優
(
やさ
)
しく
抱
(
いだ
)
き
上
(
あ
)
げたる
彼女
(
かのぢよ
)
の
雪
(
ゆき
)
の
腕
(
かひな
)
には
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
自分の
介抱
(
かいほう
)
を受けた妻や医者や看護婦や若い人達をありがたく思っている。世話をしてくれた
朋友
(
ほうゆう
)
やら、見舞に来てくれた
誰彼
(
たれかれ
)
やらには
篤
(
あつ
)
い感謝の念を抱いている。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
森整調以下、
殆
(
ほとん
)
ど失神の状態となり、矢野清舵手は、両手に海水をすくって戦友の背中に浴せ、
比較
(
ひかく
)
的元気な松山五番もこれに手伝い、坂本四番の
介抱
(
かいほう
)
に努めるなど
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
そして猿爺さんの病気は、猿の
介抱
(
かいほう
)
と村人達との
世話
(
せわ
)
とで、間もなくなおってしまいました。
キンショキショキ
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
母は単純に病気だということに決めてしまって、私の
変
(
かわ
)
った
症状
(
しょうじょう
)
に興味を持って
介抱
(
かいほう
)
した。
桃のある風景
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
お姉さんは家で皆なに
介抱
(
かいほう
)
されて死んだのじゃけれど、勝は他所の土地で一人で死ぬのじゃ
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
羽織
(
はをり
)
の
袂
(
たもと
)
も
泥
(
どろ
)
に
成
(
な
)
りて
見
(
み
)
にくかりしを、
居
(
ゐ
)
あはせたる
美登利
(
みどり
)
みかねて
我
(
わ
)
が
紅
(
くれない
)
の
絹
(
きぬ
)
はんけちを
取出
(
とりいだ
)
し、これにてお
拭
(
ふ
)
きなされと
介抱
(
かいほう
)
をなしけるに、
友達
(
ともだち
)
の
中
(
なか
)
なる
嫉妬
(
やきもち
)
や
見
(
み
)
つけて
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
情容赦
(
なさけようしゃ
)
もなく打ちつづけてから(
我慢
(
がまん
)
が出来ますか)と、いって訊いた。男は、顔色も
替
(
か
)
えず(出来ますとも)と、答えると、今度は前よりもほめ感じて、いろいろ
介抱
(
かいほう
)
してくれた。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
介抱
(
かいほう
)
されてようやく息をふき返しはしたが、もはや、明らかな狂気の
徴候
(
ちょうこう
)
を見せて、あらぬ
譫言
(
うわごと
)
をしゃべり出した。その言葉も、波斯語ではなくて、みんな埃及語だったということである。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それでも、手前が
介抱
(
かいほう
)
しております内にやっとお気がつきになりましたが、……もうまるで、魂がなくなったように、
空
(
うつ
)
けた顔付をなされて、ぽかんと手前の顔を
凝視
(
みつ
)
めていらっしゃいました。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「いや、それはきいてあげよう。去年の秋、僕が
蕎麦団子
(
そばだんご
)
を食べて、チブスになって、ひどいわずらいをしたときに、あれほど親身の
介抱
(
かいほう
)
を受けながら、その恩を何でわすれてしまうもんかね。」
蛙のゴム靴
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
和
(
やわ
)
らかく
贅沢
(
ぜいたく
)
な
褥
(
しとね
)
につつまれて、しんなりとした肉体を横たえ、母親こそとうに世を去ったが、
愛娘
(
まなむすめ
)
への愛には目のない、三斎はじめ、老女、女中の、隙間もない
慈
(
いつく
)
しみの
介抱
(
かいほう
)
を受けながら、その
癖
(
くせ
)
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
生蕃と光一は水を飲ませて
介抱
(
かいほう
)
した。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
きかぬ気の爺さんで、死ぬるまで
儞
(
おまえ
)
に世話はかけぬと婆さんに云い云いしたが、果して何人の
介抱
(
かいほう
)
も待たず立派に一人で往生した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
稲妻
(
いなずま
)
の如く迅速に飛んで来て魚容の翼を
咥
(
くわ
)
え、
颯
(
さっ
)
と引上げて、呉王廟の廊下に、
瀕死
(
ひんし
)
の魚容を寝かせ、涙を流しながら
甲斐甲斐
(
かいがい
)
しく
介抱
(
かいほう
)
した。
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
大した
創
(
きず
)
ではないが
容体
(
ようだい
)
が思わしくないから、お浜が引続き郁太郎を
介抱
(
かいほう
)
している間に、竜之助は一室に
閉籠
(
とじこも
)
ったまま
咳
(
せき
)
一つしないでいるから
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
どんなに知らぬ人の
介抱
(
かいほう
)
を受けてきたのかと思うと恥ずかしく、そしてしまいには今のように
蘇生
(
そせい
)
をしてしまったのであると思われるのが残念で
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
さっそく
医者
(
いしゃ
)
をよんで、
関係者
(
かんけいしゃ
)
たちは
介抱
(
かいほう
)
しましたが、
診断
(
しんだん
)
の
結果
(
けっか
)
は、
急性脳溢血
(
きゅうせいのういっけつ
)
ということがわかって、もはや
手
(
て
)
の
下
(
くだ
)
しようがなかったのです。
天女とお化け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
間もなく、街道の方から、ガヤガヤと人声が聞えて、数名の百姓が駈けつけ、口々に勝手なことをわめきながら、彼を抱き上げて
介抱
(
かいほう
)
し始めました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それが困るので甚だ
我儘
(
わがまま
)
な遣り方ではあるが、左千夫、碧梧桐、虚子、
鼠骨
(
そこつ
)
などいう人を急がしい中から煩わして一日代りに
介抱
(
かいほう
)
に来てもらう事にした。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
お前そんなことも思はねえで、べんべんと
支那兵
(
チャンチャン
)
の
介抱
(
かいほう
)
をして、お礼をもらつて、恥かしくもなく、のんこのしやあで、唯今帰つて来はどういふ了見だ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
気絶
(
きぜつ
)
したがために、さいわいとあの
毒水
(
どくみず
)
を
呑
(
の
)
まなかった
竹童
(
ちくどう
)
は、多少の
傷
(
きず
)
や
痛
(
いた
)
みはあったが、やがて
真心
(
まごころ
)
の
介抱
(
かいほう
)
をうけて、かなりしっかりと気がついた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一彦は塩田大尉の手あつい
介抱
(
かいほう
)
をうけ、さらに元気になり、そこで一体どうして一彦ひとりが怪塔から抜け出たか、そのあらましを語りだしたのでありました。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
尚、ご老師のご同勢の一人、神保市之丞と申される仁をこれまた偶然の事情によってその行方を知りましたれば、
慇懃
(
いんぎん
)
にご
介抱
(
かいほう
)
申し上げ連れ参りましてござります。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
國元
(
くにもと
)
から
母
(
はゝ
)
さんを
呼
(
よ
)
んで
此處
(
こゝ
)
の
家
(
いゑ
)
で二
月
(
つき
)
も
介抱
(
かいほう
)
をさせたのだけれど、
終
(
つ
)
ひには
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やら
無我無中
(
むがむちう
)
になつて、
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
しても
情
(
なさけ
)
ない、
言
(
い
)
はゞ
狂死
(
きようし
)
をしたのだね、
私
(
わたし
)
は
夫
(
そ
)
れを
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
た
故
(
ゆゑ
)
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「娘のお君は十八、少し淋しいけれど、可愛い娘ですよ、でも、気の変になった母親の
介抱
(
かいほう
)
をして、
降
(
ふ
)
るほどの縁談にも首を縦に振らないのが、あっしに逢いたいというから面白いでしょう」
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
といいながら、そこに
倒
(
たお
)
れているお
姫
(
ひめ
)
さまを
抱
(
だ
)
き
起
(
お
)
こして、しんせつに
介抱
(
かいほう
)
しました。お
姫
(
ひめ
)
さまがすっかり
正気
(
しょうき
)
がついて、
立
(
た
)
ち
上
(
あ
)
がろうとしますと、すそからころころと
小
(
ちい
)
さな
槌
(
つち
)
がころげ
落
(
お
)
ちました。
一寸法師
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
僕は大急ぎで下におりて、
介抱
(
かいほう
)
して見ましたが、最早や
蘇生
(
そせい
)
の見込みはありません。考えて見れば可哀相な男です。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
おばあさんのお
父
(
とう
)
さんも、しんせつに
介抱
(
かいほう
)
してやった
一人
(
ひとり
)
であります。
外国人
(
がいこくじん
)
は、やっと
元気
(
げんき
)
を
回復
(
かいふく
)
しました。
青いランプ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“介抱”の意味
《名詞》
介 抱(かいほう)
病人や負傷者の世話をすること。
(出典:Wiktionary)
介
常用漢字
中学
部首:⼈
4画
抱
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
“介抱”で始まる語句
介抱人