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國元
加ゆると雖も
勿々用ひる
面色もなく言ば言程
猶々募りて多分の金子を
遣ひ
捨るにより忠兵衞も持餘せし故
國元へ歸りて母親へ右の段を
其時分には
丁度舊の
正月が
來るので、
一先國元へ
歸つて、
古い
春を
山の
中で
越して、
夫から
又新らしい
反物を
脊負へる
丈脊負つて
出て
來るのだと
云つた。
國元から
母さんを
呼んで
此處の
家で二
月も
介抱をさせたのだけれど、
終ひには
何が
何やら
無我無中になつて、
思ひ
出しても
情ない、
言はゞ
狂死をしたのだね、
私は
夫れを
見て
居た
故