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こよひ
ふりがな文庫
“
今宵
(
こよひ
)” の例文
おもふ事なき身もと、すゞろに鼻かみわたされて、日記のうちには
今宵
(
こよひ
)
のおもふこと
種々
(
くさ/″\
)
しるして、やがて哀れしる人にとおもふ。
すゞろごと
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と云ふ詩なぞを
掲
(
かか
)
げてゐるが、此れ等は何処となく、黙阿弥劇中に散見する
台詞
(
せりふ
)
「
今宵
(
こよひ
)
の事を知つたのは、お月様と
乃公
(
おれ
)
ばかり。」
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ヂュリ
夜
(
よる
)
といふ
假面
(
めん
)
を
附
(
つ
)
けてゐればこそ、でなくば
恥
(
はづ
)
かしさに
此
(
この
)
頬
(
ほゝ
)
が
眞赤
(
まっか
)
にならう、
今宵
(
こよひ
)
言
(
い
)
うたことをついお
前
(
まへ
)
に
聽
(
き
)
かれたゆゑ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
話し
御油斷
(
ごゆだん
)
有
(
ある
)
べからずと云ふにより又七
點頭
(
うなづき
)
今宵
(
こよひ
)
若
(
もし
)
菊が來たらば
我
(
われ
)
直
(
ぢき
)
に取て
押
(
おさ
)
へ
繩
(
なは
)
を掛くべし其時其方は
早々
(
さう/\
)
加賀屋長兵衞を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
何の御用と問はれて稍〻、
躊躇
(
ためら
)
ひしが、『
今宵
(
こよひ
)
の御宴の
終
(
はて
)
に春鶯囀を舞はれし
女子
(
をなご
)
は、何れ中宮の
御内
(
みうち
)
ならんと見受けしが、名は何と言はるゝや』
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
▼ もっと見る
順徳院の御製に(承久のみだれに佐渡へ遷幸の時なり)「
都
(
みやこ
)
をばさすらへ
出
(
いで
)
し
今宵
(
こよひ
)
しもうき身
名立
(
なだち
)
の月を見る
哉
(
かな
)
」▲
直江津
(
なほえのつ
)
今の高田の
海浜
(
かいひん
)
をいふ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
給仕
(
きふじ
)
はお
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
りの
紀
(
こつな
)
が
一人
(
ひとり
)
で
引受
(
ひきう
)
けて
辨
(
べん
)
ずるのであるが、それにしても、
今宵
(
こよひ
)
は
何
(
な
)
んだか
寂
(
さび
)
し
過
(
す
)
ぎて、
百物語
(
ひやくものがたり
)
の
夜
(
よ
)
といふやうな
氣
(
き
)
がしてならなかつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
四幕目にキニゼイと云ふ妙な名の若侍が彌五郎の娘である
許嫁
(
いひなづけ
)
の愛情に
絆
(
ほだ
)
されて、
今宵
(
こよひ
)
に迫る
仇打
(
かたきうち
)
の
首途
(
かどで
)
に随分思ひ切つて非武人的に未練な所を見せる。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
今宵
(
こよひ
)
来て泊つてゐる赭顔の
安中
(
あんなか
)
大佐も、小男の宇都宮中佐も、主人の流義が好いと云ふので、内でも人の処に泊つても、服装一切は
傍
(
そば
)
を離さないのである。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
来月二十六夜ならば、このお光に
疾翔大力
(
しっしょうたいりき
)
さまを拝み申すぢゃなれど、
今宵
(
こよひ
)
とて又拝み申さぬことでない、みなの衆、ようくまごゝろを以て仰ぎ奉るぢゃ。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
今宵
(
こよひ
)
しも上野
鶯渓
(
うぐいすだに
)
なる
鍛工
(
かじこう
)
組合事務所の楼上に組合員臨時会開かれんとするなり、寒風
膚
(
はだ
)
を裂いて、雪さへチラつく夕暮より集まりたるもの既に三百余名
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
今宵
(
こよひ
)
汝
(
なんぢ
)
の霊魂とらるべし、然らば、汝の備へたるものは、誰がものとなるべきぞ……。富岡は、祈つてゐるうちに、こんな言葉を思ひ出した。不吉な気がした。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
ほと/\と板戸を
敲
(
たゝ
)
き、「この執念深き奥方、何とて
今宵
(
こよひ
)
に泣きたまはざる」と
打笑
(
うちわら
)
ひけるほどこそあれ、
生温
(
なまぬる
)
き風一陣吹出で、腰元の
携
(
たづさ
)
へたる
手燭
(
てしよく
)
を消したり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今宵
(
こよひ
)
もおなじ
樣
(
やう
)
に、
白
(
しろ
)
い
窓掛
(
まどかけ
)
の
搖
(
ゆる
)
ぐほとりに
倚子
(
ゐす
)
を
並
(
なら
)
べた
時
(
とき
)
、
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
は
稍
(
や
)
や
眞面目
(
まじめ
)
に
私
(
わたくし
)
に
向
(
むか
)
つて。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
子供はさう云はれて大きい眼を丸田の方に向けた。
然
(
しか
)
し実は丸田も此の子供と同じであつた。
今宵
(
こよひ
)
は彼女といふ人の前に一個の好もしい下宿人であらねばならなかつたから。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
しかしその安らかさも、思ひの
外
(
ほか
)
急に尽きる時が来た。やつと春の返つた或夜、男は姫君と二人になると、「そなたに会ふのも
今宵
(
こよひ
)
ぎりぢや」と、云ひ
悪
(
に
)
くさうに口を切つた。
六の宮の姫君
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
稲
(
いね
)
舂
(
つ
)
けば
皹
(
かが
)
る
我
(
あ
)
が
手
(
て
)
を
今宵
(
こよひ
)
もか
殿
(
との
)
の
稚子
(
わくご
)
が
取
(
と
)
りて
嘆
(
なげ
)
かむ 〔巻十四・三四五九〕 東歌
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
少くとも
今宵
(
こよひ
)
だけは、私は、自然のお客になれるだらう、私は自然の子だから。お金無しで、報酬無しで、私の母は、私を泊めてくれるだらう。私は、未だ一片のパンを持つてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
近侍
(
きんじ
)
のもの。侍「ハアー。殿「
今宵
(
こよひ
)
は十五
夜
(
や
)
で
有
(
あ
)
るの。侍「
御意
(
ぎよい
)
に
御座
(
ござ
)
ります。殿 ...
昔の大名の心意気
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
源氏がまた
躬恒
(
みつね
)
が「淡路にてあはとはるかに見し月の近き
今宵
(
こよひ
)
はところがらかも」
源氏物語:18 松風
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
更に驚くべきはその醜き堆積の中より育て上げられしし
今宵
(
こよひ
)
の清き華よ。
愛は、力は土より
(新字旧仮名)
/
中沢臨川
(著)
死んでも誰にも祭られず……故郷では
影膳
(
かげぜん
)
をすえて待ッている人もあろうに……「ふる
郷
(
さと
)
に
今宵
(
こよひ
)
ばかりの命とも知らでや人のわれをまつらむ」……露の底の松虫もろとも
空
(
むな
)
しく
怨
(
うら
)
みに
咽
(
むせ
)
んでいる。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
今宵
(
こよひ
)
の失策のし
初
(
ぞ
)
めと、独
頭
(
あたま
)
かく/\猶も入り来る人々を眺め居たり。
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
四辺
(
あたり
)
はしんとして、しつとりとして、折々何とも形容の出来ない涼しい好い風が、がさ/\と前の
玉蜀黍
(
たうもろこし
)
の大きな葉を動かすばかり、いつも聞えるといふ虫の声さへ
今宵
(
こよひ
)
は
何
(
ど
)
うしてか音を絶つた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
今宵
(
こよひ
)
まくら神にゆづらぬやは手なりたがはせまさじ白百合の夢
みだれ髪
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
尾根づたふほそき
山火
(
やまび
)
の幾つづりつぎつぎ赤し
今宵
(
こよひ
)
冷
(
ひ
)
ゆべみ
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
今宵
(
こよひ
)
と
明日
(
あす
)
とのさかひめに、ひとつ
介
(
はさ
)
まるこの時よ……
カンタタ
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
今宵
(
こよひ
)
さしぐむ
月代
(
つきしろ
)
のまみの
濕
(
うる
)
みに
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
あのやうにゆつたりと
今宵
(
こよひ
)
一夜
(
ひとよ
)
を
曇つた秋
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
雲にただ
今宵
(
こよひ
)
の月をまかせてむ
生活と一枚の宗教
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
春や
今宵
(
こよひ
)
歌つかまつる御姿
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
琴は
今宵
(
こよひ
)
の土と朽つ。
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
今宵
(
こよひ
)
忍ぶは
のきばすずめ
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
もう
今宵
(
こよひ
)
は
晩
(
おそ
)
うござる、
女
(
むすめ
)
は
降
(
お
)
りては
參
(
まゐ
)
るまいぢゃまで。
貴下
(
こなた
)
がござったればこそ、さもなくば
吾等
(
われら
)
とても、一
時
(
とき
)
も
前
(
さき
)
に、
臥床
(
やす
)
んだでござらう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
物語れば忠八は
驚
(
おどろ
)
き
歎
(
たん
)
じ此處に夫程
御滯留
(
ごたいりう
)
有とも知らず所々方々尋ね廻りしこそ愚なれ併し
今宵
(
こよひ
)
此家に泊らずば御目にも
掛
(
かゝ
)
らず江戸迄行んものを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私はもう
今宵
(
こよひ
)
かぎりどうしても帰る事は致しませぬとて、断つても断てぬ子の
可憐
(
かわゆ
)
さに、奇麗に言へども詞はふるへぬ。
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
扨も世を無常と觀じては斯かる侘しき住居も、大梵高臺の樂みに換へらるゝものよと思へば、
主
(
あるじ
)
の貴さも
彌増
(
いやま
)
して、
今宵
(
こよひ
)
の我身やゝ
愧
(
はづ
)
かしく覺ゆ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
順徳院の御製に(承久のみだれに佐渡へ遷幸の時なり)「
都
(
みやこ
)
をばさすらへ
出
(
いで
)
し
今宵
(
こよひ
)
しもうき身
名立
(
なだち
)
の月を見る
哉
(
かな
)
」▲
直江津
(
なほえのつ
)
今の高田の
海浜
(
かいひん
)
をいふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
篠田は
起
(
た
)
つて聖書を読み、
祈祷
(
きたう
)
を捧げ、
扨
(
さ
)
て
今宵
(
こよひ
)
の珍客なる少年少女に
向
(
むかつ
)
て勧話の口を開けり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
かゝる
優
(
やさ
)
しき
振舞
(
ふるまひ
)
を
妨
(
さまた
)
ぐるは、
心
(
こゝろ
)
なき
業
(
わざ
)
と
思
(
おも
)
つたから、
私
(
わたくし
)
は
態
(
わざ
)
と
其處
(
そこ
)
へは
行
(
ゆ
)
かず、
少
(
すこ
)
し
離
(
はな
)
れてたゞ
一人
(
ひとり
)
安樂倚子
(
アームチエヤー
)
の
上
(
うへ
)
へ
身
(
み
)
を
横
(
よこた
)
へて、
四方
(
よも
)
の
風景
(
けしき
)
を
見渡
(
みわた
)
すと、
今宵
(
こよひ
)
は
月
(
つき
)
明
(
あきら
)
かなれば
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
月天子
(
ぐわってんし
)
山のはを
出
(
い
)
でんとして、光を放ちたまふとき、
疾翔大力
(
しっしょうたいりき
)
、
爾迦夷
(
るかゐ
)
波羅夷
(
はらゐ
)
の三尊が、東のそらに出現まします。
今宵
(
こよひ
)
は月は異なれど、まことの心には又あらはれ給はぬことでない。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
怨
(
うら
)
みをなさんと一念此身をはなれず
今宵
(
こよひ
)
かの家にゆかんと思へど
主
(
あるじ
)
つねづね観音を信じ、
門戸
(
もんこ
)
に
二月堂
(
にぐわつだう
)
の
牛王
(
ごわう
)
を押し置きけるゆゑ、
死霊
(
しりやう
)
の近づくことかなはず(中略)牛王をとりのけたまはらば
案頭の書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
良夜
(
れうや
)
とは
今宵
(
こよひ
)
ならむ。今宵は
陰暦
(
いんれき
)
七月十五夜なり。
月清
(
つきゝよ
)
く、
風
(
かぜ
)
涼
(
すゞ
)
し。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
今宵
(
こよひ
)
ことに月明らかに海原の底のことごとはつきりと見ゆ
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
枕
(
まくら
)
結
(
ゆ
)
ふ
今宵
(
こよひ
)
ばかりの露けさを
深山
(
みやま
)
の
苔
(
こけ
)
にくらべざらなん
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
四歳
(
よんさい
)
の
茂太
(
しげた
)
をつれて
大浦
(
おおうら
)
の洋食くひに
今宵
(
こよひ
)
は来たり
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
水漬
(
みづ
)
く
火
(
ひ
)
や、——
今宵
(
こよひ
)
も
星
(
ほし
)
は
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
青く沈み
入
(
い
)
る
今宵
(
こよひ
)
の心ぞ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
今宵
(
こよひ
)
は昔たえはてし
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
私
(
わたし
)
はもう
今宵
(
こよひ
)
かぎり
何
(
ど
)
うしても
歸
(
かへ
)
る
事
(
こと
)
は
致
(
いた
)
しませぬとて、
斷
(
た
)
つても
斷
(
た
)
てぬ
子
(
こ
)
の
可憐
(
かわゆ
)
さに、
奇麗
(
きれい
)
に
言
(
い
)
へども
詞
(
ことば
)
はふるへぬ。
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
今
常用漢字
小2
部首:⼈
4画
宵
常用漢字
中学
部首:⼧
10画
“今宵”で始まる語句
今宵限
今宵深更