トップ
>
詰
>
つめ
ふりがな文庫
“
詰
(
つめ
)” の例文
東京
天王寺
(
てんのうじ
)
にて菊の花片手に墓参りせし
艶女
(
えんじょ
)
、一週間思い
詰
(
つめ
)
しが
是
(
これ
)
も
其
(
その
)
指つきを
吉祥菓
(
きっしょうか
)
持
(
もた
)
せ
玉
(
たも
)
う
鬼子母神
(
きしぼじん
)
に写してはと工夫せしなり。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
斯
(
こ
)
う
詮
(
せん
)
じ
詰
(
つめ
)
て来ますと、どこに一つ二郎君を疑う理由も見出せないのです。如何でしょう、これでも二郎君が殺人犯人でしょうか
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これより先、猿橋の西の
詰
(
つめ
)
の茶屋の二階で郡内織の
褞袍
(
どてら
)
を着て、長脇差を傍に引きつけて酒を飲んでいた一人の男がありました。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
また歩かせられることかと、竹丸は稍拗ねかけて見たが、千代松は直ぐ其處の橋の
詰
(
つめ
)
から、今度は値切りもせずに合乘りの
人力車
(
じんりき
)
を呼んだ。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
殘念
(
ざんねん
)
に存じ
怒
(
いか
)
りの餘り
打捨
(
うちすて
)
んと思ひ
詰
(
つめ
)
たる
事由迄
(
ことがらまで
)
委細
(
ゐさい
)
に申立たり又久兵衞は己れが
惡巧
(
わるだく
)
みを
押隱
(
おしかく
)
し
是非々々
(
ぜひ/\
)
百兩の
云懸
(
いひがか
)
りを通して文右衞門を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
痴川は如何にも自分は真実を
吐露
(
とろ
)
すといわんばかりに、
恰
(
あたか
)
も何か怒るような突き
詰
(
つめ
)
た顔で
吃
(
ども
)
りがちの早口で呟いていたが、急に言葉を切った。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それは昂奮の絶頂まで昇り
詰
(
つめ
)
ていた私の感情を、一時に縮み込ませてしまった程恐ろしい、鬼のような形相であった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それまでは、あるいは義貞もまだ“
詰
(
つめ
)
の
大事
(
だいじ
)
”に迷うところもあったであろう。が、詰手は幾つもあるものではない。
徐々
(
じょじょ
)
の
緩
(
かん
)
か、電撃の急かである。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
春信
(
はるのぶ
)
の、いささか
当惑
(
とうわく
)
した
視線
(
しせん
)
は、そのまま
障子
(
しょうじ
)
の
方
(
ほう
)
へおせんを
追
(
お
)
って
行
(
い
)
ったが、やがて
追
(
お
)
い
詰
(
つめ
)
られたおせんの
姿
(
すがた
)
が、
障子
(
しょうじ
)
の
際
(
きわ
)
にうずくまるのを
見
(
み
)
ると
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
世の文学者なる者、自らは空言に非ずと信じて書くことにても、思想錯雑して前後衝突し論理的に之を
煎
(
せん
)
じ
詰
(
つめ
)
れば結局空論に化して自らも之を驚く者あり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
詰
(
つめ
)
には寛永錢が二三百枚、その眞ん中に、油紙に包んだ遺言状が一通、さして傷みもせずに交つて居ります。
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
こはかねてわがよしと思い
詰
(
つめ
)
たる
雛
(
ひな
)
のおもかげによく似たれば貴き人ぞと見き。年は姉上よりたけたまえり。
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
執着深き者共は、やにをほそき竹きせるに
詰
(
つめ
)
、紙帳を釣り、其内にて密々呑為申者共も、方々為有
レ
之由候。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
表側は、玄関から次の
間
(
ま
)
を経て、右に突き当たる西の
詰
(
つめ
)
が一番好い座敷で、床の間が附いている。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
代助は固より
斯
(
こ
)
んな
哲理
(
フヒロソフヒー
)
を
嫂
(
あによめ
)
に向つて講釈する気はない。が、段々押し
詰
(
つめ
)
られると、苦し
紛
(
まぎ
)
れに
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
若い内はとかく何事も
一図
(
いちず
)
に物を思い
詰
(
つめ
)
る癖があってそれがために往々正当な判断力を失う。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
まッ先に
咽
(
む
)
せて、語り手は亡夫の心情にせつない身悶えを覚えるのであった。この胸のいたむ感情の頂きに立つと、周囲のものは当然自分と同じ気持でなければならぬと思い
詰
(
つめ
)
るのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
麻緒
(
あさお
)
の
足駄
(
あしだ
)
の歯を
扭
(
よじ
)
って、
憎々
(
にくにく
)
しげにふり返りますと、まるで法論でもしかけそうな勢いで、『それとも竜が天上すると申す、しかとした証拠がござるかな。』と問い
詰
(
つめ
)
るのでございます。
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は先の程より台所に
詰
(
つめ
)
きりて、
中入
(
なかいり
)
の食物の
指図
(
さしづ
)
などしてゐたるなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
併し岩や恋は思案の
外
(
ほか
)
という諺もあって、是ばかりは解りませんよ、そんならば
宅
(
うち
)
にいて
気振
(
けぶり
)
でも有りそうなものだったが、少しも気振を見せない、
尤
(
もっと
)
も
主
(
しゅう
)
家来だから気を
詰
(
つめ
)
るところもあり
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
蟻群の甘きにつくがごとく、
投網
(
とあみ
)
の口をしめるように、手に手に銀磨き自慢の十手をひらめかして、
詰
(
つめ
)
るかと見れば浮き立ち、
退
(
しりぞ
)
くと思わせてつけ入り……
朱総
(
しゅぶさ
)
紫総
(
しぶさ
)
を
季
(
とき
)
ならぬ花と咲かせて。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
奧の
詰
(
つめ
)
なる室には、少年紳士等打寄りて
撞球戲
(
たまつき
)
をなせり。婦人も
幾人
(
いくたり
)
か立ち
雜
(
まじ
)
りたるに、紳士中には上衣を脱ぎたるあり。われは初め此社會の風儀のかくまで亂れたるをば想ひ
測
(
はか
)
らざりしなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
一人の顔の赤い
体格
(
たいかく
)
のいい
紺
(
こん
)
の
詰
(
つめ
)
えりを
着
(
き
)
たほうの役人が
云
(
い
)
いました。
二人の役人
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
詰
(
つめ
)
いよよ張りて堪へたる
右手
(
めて
)
の
肱
(
ひぢ
)
矢頃はよろしひようとはなしつ
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
だが、この警官達の
詰
(
つめ
)
かけている部屋の、どこに犯人がいるのだろう。隠れる様な場所のないことは、さい前からの調査で、充分解っているのだ。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
御用部屋、
控
(
ひかえ
)
部屋、書院、
詰
(
つめ
)
の
間
(
ま
)
、奥、お表、どんな所にも、冬は火の気があったし、大きな
炉
(
ろ
)
も切ってあった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ええ、何を
愚図
(
ぐず
)
々々、もうお
前様方
(
めえさまがた
)
のように思い
詰
(
つめ
)
りゃ、これ、人一人殺されねえことあねえ
筈
(
はず
)
だ。吾、はあ、自分で腹あ突いちゃあ、旦那様に済まねえだ。
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
西の
詰
(
つめ
)
から幔幕を
潜
(
くぐ
)
って場へ出て見ると、もはやいずれの席もギッシリ剣士が詰め切って、
衣紋
(
えもん
)
の折目を正し、口を結び目を
据
(
す
)
えて
物厳
(
ものおごそ
)
かに控えております。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
分
(
うつ
)
し願は
輕羅
(
うすもの
)
と成て君が
細腰
(
こし
)
にまつはりたしなどと
凝塊
(
こりかたま
)
り養父五兵衞が病氣にて見世へ
出
(
いで
)
ぬを幸ひに若い者等を
欺
(
だま
)
しては
日毎
(
ひごと
)
夜毎に通ひ
詰
(
つめ
)
邂逅
(
たまさか
)
宅
(
うち
)
に
寢
(
ねる
)
夜
(
よ
)
には外を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
何かの宣告のような……地獄の
音
(
おと
)
づれのような……この世のおわりのような……自分の心臓に直接に触れるようなそのノックの音を睨み
詰
(
つめ
)
て
聾唖者
(
おし
)
のように
藻掻
(
もが
)
き
戦
(
おのの
)
いた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こちらは西の
詰
(
つめ
)
が小さい
間
(
ま
)
になっている。その次が
稍
(
や
)
や広い。この二間が表側の床の間のある座敷の裏になっている。表側の次の間と玄関との裏が、半ば土間になっている台所である。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
定めしおれの
所業
(
しわざ
)
をば不審もして居たろうがまあ聞け、手前の母に別れてから二三日の間実は張り
詰
(
つめ
)
た心も恋には
緩
(
ゆる
)
んで、
夜深
(
よふか
)
に一人月を
詠
(
なが
)
めては人しらぬ露
窄
(
せま
)
き
袖
(
そで
)
にあまる陣頭の
淋
(
さび
)
しさ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
が、本屋の店先で私の耳に「それだ。それだ。」と囁いた何物かは、その度にまた
嘲笑
(
あざわら
)
って、「では
何故
(
なぜ
)
お前は妻を殺した事を口外する事が出来なかったのだ。」と、問い
詰
(
つめ
)
るのでございます。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と
詰
(
つめ
)
かけました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そういたしますると、東の
詰
(
つめ
)
で、山に近い対孝館あたりが、右の徳利一件で、地震の源かとも思われまする。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
詰
(
つめ
)
て
聞居
(
きゝゐ
)
たり斯くとも知らず
元來
(
もとより
)
お菊は
愚
(
おろか
)
なれば小袖金子を見て
忽
(
たちま
)
ち
心迷
(
こゝろまよ
)
ひ何の
思慮
(
しりよ
)
もなく承知をぞなしたりける又長助は
篤
(
とく
)
と樣子を
聞濟
(
きゝすま
)
し早々又七に右の
事故
(
ことがら
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一面から見れば日本の文化程度は、形而上だけでも婦人の貞操に就いて進歩している、純愛の原則に合致し得る迄に突き
詰
(
つめ
)
られ、理想化されていると云ってよろしいでしょう。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
にじり足に
詰
(
つめ
)
あひ候ふて、たがひに声ばかり数十度も交し、やがては、押太鼓も耳には聞えず、わが声も人のもわかたず、眼くらみ、槍もつ手は
硬
(
こは
)
ばり、身心地も候はず、一瞬
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
竹藪の奥の
詰
(
つめ
)
まで来た。ここからは障子を
脱
(
はづ
)
してある八畳の間が見える。ランプの光は、裏の畠の
界
(
さかひ
)
になつてゐる、
臭橘
(
からたち
)
の垣を照して、
蜘
(
くも
)
の
網
(
い
)
に溜まつた雨の
雫
(
しづく
)
がぴかぴかと光つてゐる。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
呼び上げられて東の
詰
(
つめ
)
から、幔幕をかき上げて姿を現わした机竜之助は、
黒羽二重
(
くろはぶたえ
)
に
九曜
(
くよう
)
の定紋ついた小袖に、
鞣皮
(
なめしがわ
)
の襷、
仙台平
(
せんだいひら
)
の袴を
穿
(
は
)
いて、寸尺も文之丞と同じことなる木刀を携えて進み出る。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
こは
予
(
かね
)
てわがよしと思ひ
詰
(
つめ
)
たる
雛
(
ひな
)
のおもかげによく似たれば
貴
(
とうと
)
き人ぞと見き。年は姉上よりたけたまへり。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
相伴
(
しょうばん
)
には、
丹羽
(
にわ
)
五郎左衛門と
長谷川
(
はせがわ
)
丹波守。それに、医師の
道三
(
どうさん
)
がお
詰
(
つめ
)
という顔ぶれ。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
如何なる名目の下に
斯様
(
かよう
)
な棺桶に
詰
(
つめ
)
て、この部屋へ運び込ませたものか……のみならずその奇怪な少女の仮死体を、こうしてタッタ一人で極秘密裡にいじくりまわしているというのは
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
竜之助が万年橋の
詰
(
つめ
)
のところまで来かかると、ふと
摺違
(
すれちが
)
ったのが
六郷下
(
ろくごうくだ
)
りの
筏師
(
いかだし
)
とも見える、旅の
装
(
よそお
)
いをした男で、振分けの荷を肩に、何か鼻歌をうたいながらやって来ましたが、竜之助の姿を見て
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それから
畚
(
びく
)
に入れてある、あのしめじ
蕈
(
たけ
)
が釣った、
沙魚
(
はぜ
)
をぶちまけて、
散々
(
さんざ
)
悪巫山戯
(
わるふざけ
)
をした挙句が、橋の
詰
(
つめ
)
の浮世床のおじさんに
掴
(
つか
)
まって、額の毛を
真四角
(
まっしかく
)
に
鋏
(
はさ
)
まれた
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
階下の
厠
(
かわや
)
へ降りてゆく。——と、すぐ
詰
(
つめ
)
の
間
(
ま
)
の者が
紙燭
(
ししょく
)
を掲げて板縁にひざまずいた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
橋
(
はし
)
の
詰
(
つめ
)
に、——
丹後行
(
たんごゆき
)
、
舞鶴行
(
まひづるゆき
)
——
住
(
すみ
)
の
江丸
(
えまる
)
、
濱鶴丸
(
はまづるまる
)
と
大看板
(
おほかんばん
)
を
上
(
あ
)
げたのは
舟宿
(
ふなやど
)
である。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
何しろ古い様式の建物で、中の
屋
(
おく
)
、北の屋、東の屋、と棟もべつに、中庭から
橋廊下
(
はしろうか
)
をへだてているので、これ以上なことがあっても、滅多に客間や
詰
(
つめ
)
侍の部屋までは分るはずがない。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
橋
(
はし
)
の
詰
(
つめ
)
の
浮世床
(
うきよどこ
)
のおぢさんに
掴
(
つか
)
まつて、
顔
(
ひたひ
)
の
毛
(
け
)
を
真四角
(
まつしかく
)
に
鋏
(
はさ
)
まれた、それで
堪忍
(
かんにん
)
をして
追放
(
おつぱな
)
したんださうなのに、
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けて
見
(
み
)
ると、また
平時
(
いつも
)
の
処
(
ところ
)
に
棒杭
(
ぼうぐひ
)
にちやんと
結
(
ゆわ
)
へてあツた。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「よしよし。お
汝
(
こと
)
たちも、早寝せよ。——
詰
(
つめ
)
の者にもそう申せ」
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
詰
常用漢字
中学
部首:⾔
13画
“詰”を含む語句
腸詰
引詰
詰問
行詰
重詰
詰寄
押詰
差詰
追詰
見詰
後詰
鑵詰
橋詰
大詰
壜詰
敷詰
鮨詰
詰合
問詰
相詰
...