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背
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そびら
ふりがな文庫
“
背
(
そびら
)” の例文
「御免なさいな。」となお笑いながら平気なもので、お夏は下に居て片袖の
袂
(
たもと
)
を添えて
左手
(
ゆんで
)
を膝に置いて、
右手
(
めて
)
で蔵人の
背
(
そびら
)
を
撫
(
な
)
でた。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
泉屋の隱居二人を殺した大事件を、——しかも、半刻經たないうちに知れる筈のことを、平次は教へようともせずに
背
(
そびら
)
を見せます。
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
少女は驚き感ぜしさま見えて、余が
辞別
(
わかれ
)
のためにいだしたる手を
唇
(
くちびる
)
にあてたるが、はらはらと落つる熱き
涙
(
なんだ
)
をわが手の
背
(
そびら
)
に
濺
(
そそ
)
ぎつ。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
幸なる小野さんは一つの顔しか持たぬ。
背
(
そびら
)
を過去に向けた上は、眼に映るは
煕々
(
きき
)
たる前程のみである。
後
(
うしろ
)
を向けばひゅうと北風が吹く。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その薄刈る人もあり。また負ひて下り来るもあり。下りて来て、行きすぎざまにさわさわと
背
(
そびら
)
見せゆく、さわさわの
背
(
そびら
)
の薄またかがやけり。
観想の時:――長歌体詩篇二十一――
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
わが
背
(
そびら
)
を之にむけしはたゞ
昨日
(
きのふ
)
の朝の事なり、この者かしこに戻らんとする我にあらはれ、かくてこの路により我を導いて
我家
(
わがや
)
に歸らしむ 五二—五四
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
この時上手鐘楼の角より和尚妙念
顕
(
あら
)
わる。僧徒らは中辺より下手の方にたたずみて
背
(
そびら
)
をなしたれば知らであり。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
「うん、苦もなく退治たよ。のしかかって来る一刹那を飛び違ってただ一刀、胸から
背
(
そびら
)
まで刺し貫いてな」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「何となくうら恥かしきやうに心落ちゐず。白石先生の事など憶出せば
背
(
そびら
)
に
冷汗
(
ひやあせ
)
を流す」と書いておる。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
濃い
吹雪
(
ふぶき
)
の幕のあなたに、さだかには見えないが、波の
背
(
そびら
)
に乗って四十五度くらいの角度に船首を下に向けながら、帆をいっぱいに開いて、矢よりも早く走って行く一
艘
(
そう
)
の船!
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
すがらに
眠
(
ねむ
)
られず
思
(
おもひ
)
に
疲
(
つか
)
れてとろ/\とすれば
夢
(
ゆめ
)
にも
見
(
み
)
ゆる
其人
(
そのひと
)
の
面影
(
おもかげ
)
優
(
やさ
)
しき
手
(
て
)
に
背
(
そびら
)
を
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
たかが青侍の腕だてと思い侮っていた
先手
(
せんて
)
の何人かも、算を乱しながら、
背
(
そびら
)
を見せる——中でも、
臆病
(
おくびょう
)
な
猪熊
(
いのくま
)
の
爺
(
おじ
)
は、たれよりも先に逃げかかったが、どうした拍子か、方角を誤って
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
貫一が入れば、
直
(
ぢき
)
に上ると
斉
(
ひとし
)
く
洗塲
(
ながし
)
の
片隅
(
かたすみ
)
に寄りて、色白き
背
(
そびら
)
を
此方
(
こなた
)
に向けたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
二階の八畳間に、火鉢が
唯
(
たつた
)
一個
(
ひとつ
)
、
幾何
(
いくら
)
炭をつぎ
加
(
た
)
して、青い焔の舌を
断間
(
しきり
)
なく吐く程火をおこしても、寒さが
背
(
そびら
)
から
覆被
(
おつかぶ
)
さる様で、襟元は絶えず氷の様な手で撫でられる様な気持がした。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
長六閣下が、上背のある、古武士のようなきりっとした
背
(
そびら
)
を
反
(
そ
)
らせて、しずかに、弓を引き絞っている。まっ白い
毯栗
(
いがぐり
)
の
顱頂
(
ろちょう
)
のうえに、よく晴れた秋の朝の光が、斜めに落ちかかっている。
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
左右の御手にも、みな
八尺
(
やさか
)
の
勾璁
(
まがたま
)
の
五百津
(
いほつ
)
の
御統
(
みすまる
)
の珠
三
を纏き持たして、
背
(
そびら
)
には
千入
(
ちのり
)
の
靫
(
ゆき
)
四
を負ひ、
平
(
ひら
)
五
には
五百入
(
いほのり
)
の
靫
(
ゆき
)
を附け、また
臂
(
ただむき
)
には
稜威
(
いづ
)
の
高鞆
(
たかとも
)
六
を取り佩ばして、
弓腹
(
ゆばら
)
振り立てて
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
人には
背
(
そびら
)
を見せて月に心を寄せるように、すすき尾花の中に立っていました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そつと、闇のなかにと
降
(
お
)
りてゆく、年の
背
(
そびら
)
。
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
さみしき彼らが
背
(
そびら
)
を見るにも慣れてあれ
故郷の花
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
背
(
そびら
)
を向け 遠ざかり行く姿に眼ですがり
日記:09 一九二三年(大正十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
背
(
そびら
)
の創は癒えずして
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
壁に
背
(
そびら
)
をもたせつつ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
鼻
蠢
(
うごめ
)
かして世話人は御者の
背
(
そびら
)
を指もて
撞
(
つ
)
きぬ。渠は
一言
(
いちごん
)
を発せず、世話人はすこぶる得意なりき。美人は戯るるがごとくに
詰
(
なじ
)
れり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少女は驚き感ぜしさま見えて、余が
辭別
(
わかれ
)
のために出したる手を唇にあてたるが、はら/\と落つる熱き涙を我手の
背
(
そびら
)
に濺ぎつ。
舞姫
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ガラツ八は
背
(
そびら
)
を向けました。茶店の姐さんが、客の無い怠屈さに、顏見知りの自分へ聲を掛けたのだらうと思つたのです。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あゝアンニバールがその士卒と共に
背
(
そびら
)
を敵にみせし時、シピオンを譽の
嗣
(
よつぎ
)
となせし
有爲
(
うゐ
)
の溪間に 一一五—一一七
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
「神保帯刀様ご
嫡男
(
ちゃくなん
)
、同姓市之丞様に物申す。いざ尋常にご覚悟あって、その
御手
(
おんて
)
背
(
そびら
)
にお廻わしあれや!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
下
(
くだ
)
り来て、行きすぎざまに、さわさわと
背
(
そびら
)
見せゆく、さわさわの背の薄、またかがやけり。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
社會
(
しやくわい
)
の
方
(
はう
)
で
彼等
(
かれら
)
を
二人
(
ふたり
)
限
(
ぎり
)
に
切
(
き
)
り
詰
(
つ
)
めて、
其
(
その
)
二人
(
ふたり
)
に
冷
(
ひやゝ
)
かな
背
(
そびら
)
を
向
(
む
)
けた
結果
(
けつくわ
)
に
外
(
ほか
)
ならなかつた。
外
(
そと
)
に
向
(
むか
)
つて
生長
(
せいちやう
)
する
餘地
(
よち
)
を
見出
(
みいだ
)
し
得
(
え
)
なかつた
二人
(
ふたり
)
は、
内
(
うち
)
に
向
(
むか
)
つて
深
(
ふか
)
く
延
(
の
)
び
始
(
はじ
)
めたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
靜
(
しづ
)
かに
足
(
あし
)
を
淨
(
きよ
)
め
了
(
をは
)
りていざとばかりに
誘
(
いざな
)
はれぬ、
流石
(
さすが
)
なり
商賣
(
しやうばい
)
がら
燦
(
さん
)
として
家内
(
かない
)
を
照
(
て
)
らす
電燈
(
でんとう
)
の
光
(
ひか
)
りに
襤褸
(
つゞれ
)
の
針
(
はり
)
の
目
(
め
)
いちじるく
見
(
み
)
えて
時
(
とき
)
は
今
(
いま
)
極寒
(
ごくかん
)
の
夜
(
よ
)
ともいはず
背
(
そびら
)
に
汗
(
あせ
)
の
流
(
なが
)
るぞ
苦
(
くる
)
しき
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
依志子のものいうをながめてあれど、妙念もこれを
背
(
そびら
)
にしたれば知ることなし。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
入替
(
いりかは
)
りて一番手の弓の折は貫一の
背
(
そびら
)
を
袈裟掛
(
けさがけ
)
に打据ゑければ、起きも得せで、
崩折
(
くづを
)
るるを、畳みかけんとする
隙
(
ひま
)
に、手元に
脱捨
(
ぬぎす
)
てたりし
駒下駄
(
こまげた
)
を取るより早く、彼の
面
(
おもて
)
を望みて投げたるが
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
二三度煙をくぐつたと見る間に、
背
(
そびら
)
をめぐらして、一散に逃げ出いた。
奉教人の死
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
背
(
そびら
)
叩
(
たた
)
きて面撫でて
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
少女は驚き感ぜしさま見えて、余が
辞別
(
わかれ
)
のために
出
(
いだ
)
したる手を唇にあてたるが、はら/\と落つる熱き
涙
(
なんだ
)
を我手の
背
(
そびら
)
に
濺
(
そゝ
)
ぎつ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ガラッ八は
背
(
そびら
)
を向けました。茶店の
姐
(
ねえ
)
さんが、客の無い怠屈さに、顔見知りの自分へ声を掛けたのだろうと思ったのです。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
海の方を
背
(
そびら
)
にして安からぬ
状
(
さま
)
に附添った、廉平の足許に、見得もなく腰を落し、
裳
(
もすそ
)
を投げて
崩折
(
くずお
)
れつつ、両袖に
面
(
おもて
)
を
蔽
(
おお
)
うて、ひたと打泣くのは夫人であった。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かゝりけれども
猶
(
な
)
ほ一
片
(
ぺん
)
誠忠
(
せいちう
)
の
心
(
こゝろ
)
は
雲
(
くも
)
ともならず
霞
(
かすみ
)
とも
消
(
き
)
えず、
流石
(
さすが
)
に
顧
(
かへ
)
りみるその
折々
(
をり/\
)
は、
慚愧
(
ざんぎ
)
の
汗
(
あせ
)
背
(
そびら
)
に
流
(
なが
)
れて
後悔
(
かうくわい
)
の
念
(
ねん
)
胸
(
むね
)
を
刺
(
さし
)
つゝ、
是
(
こ
)
は
魔神
(
ましん
)
にや
見入
(
みい
)
れられけん、
有
(
あ
)
るまじき
心
(
こゝろ
)
なり
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ところへ過去が押し寄せて来た。二十七年の長い夢と
背
(
そびら
)
を向けて、西の国へさらりと流したはずの昔から、一滴の
墨汁
(
ぼくじゅう
)
にも
較
(
くら
)
ぶべきほどの暗い
小
(
ちさ
)
い点が、明かなる都まで押し寄せて来た。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見てのみや泣きてこらへし筑波嶺を君いまはのぼる人が
背
(
そびら
)
にて
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
言放ちて貫一は例の
背
(
そびら
)
を差向けて、
遽
(
にはか
)
に
打鎮
(
うちしづま
)
りゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
幸ひ有明の行燈の灯がまだ消えず、
背
(
そびら
)
に迫る焔は、時々
紅蓮
(
ぐれん
)
の舌を吐いて、咄嗟の間ながら、疊の目まで讀めさうです。
銭形平次捕物控:215 妾の貞操
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
高坂は語りつつも、
長途
(
ちょうと
)
に
苦
(
くるし
)
み、
雨露
(
あめつゆ
)
に
曝
(
さら
)
された当時を思い起すに付け、今も、気弱り、
神
(
しん
)
疲れて、ここに
深山
(
みやま
)
に
塵
(
ちり
)
一つ、心に
懸
(
かか
)
らぬ折ながら、なおかつ
垂々
(
たらたら
)
と
背
(
そびら
)
に汗。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
柏軒はこれを聞いて、汗出でて
背
(
そびら
)
に
浹
(
とほ
)
つた。此日の燕集が何のために催されたかは、その毫も測り知らざる所であつた。柏軒は此より節を折つて書を読んだと云ふのである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
社会の方で彼らを二人ぎりに切りつめて、その二人に冷かな
背
(
そびら
)
を向けた結果にほかならなかった。外に向って生長する余地を見出し得なかった二人は、内に向って深く延び始めたのである。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
現身
(
うつしみ
)
は春も
背
(
そびら
)
の
経絡
(
けいらく
)
に火をつづらせて
愛
(
かな
)
しがるなり
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
よく目の覺めきらない孫三郎のムニヤムニヤ言ふのを
背
(
そびら
)
に聞いた、老支配人の孫六は裏口からそつと外へ出た樣子です。
銭形平次捕物控:128 月の隈
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一刷
(
ひとはけ
)
黒き愛吉の
後姿
(
うしろつき
)
、
朦朧
(
もうろう
)
として幻めくお夏の
背
(
そびら
)
に
蔽
(
おお
)
われかかって、玉を
伸
(
の
)
べたる襟脚の、手で掻い上げた
後毛
(
おくれげ
)
さえ、一筋一筋見ゆるまで、ものの余りに白やかなるも
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
山のぼる人の
背
(
そびら
)
ゆもの言ひて筑波根草は君が教へし
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
よく目の覚めきれない孫三郎のムニャムニャ言うのを
背
(
そびら
)
に聞いた、老支配人の孫六は裏口からそっと外へ出た様子です。
銭形平次捕物控:128 月の隈
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“背”の意味
《名詞》
背(せ、せい)
背中。胴の後ろ側のうち、腰より頭に近(ちか)い部分。胸と腹の反対側。
ものを人や動物(の胴)に見立ときの背中に当たる部分。刃の切(き)れない方の縁。
服や道具の中で、人の背中に接する部分。
身長。
(出典:Wiktionary)
背
常用漢字
小6
部首:⾁
9画
“背”を含む語句
背負
背後
背丈
背嚢
背高
背向
背景
山背
背中
引背負
背反
背延
背屈
背負梯子
違背
背恰好
中背
背負上
背伸
刀背
...