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聴
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き
ふりがな文庫
“
聴
(
き
)” の例文
旧字:
聽
実際また王生は、仲の
好
(
い
)
い友人の
趙生
(
ちょうせい
)
と一しょに、自由な生活を送っていた。
戯
(
ぎ
)
を
聴
(
き
)
きに行く事もある。
博
(
はく
)
を打って暮らす事もある。
奇遇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「いえ、まだ
私
(
わたし
)
は、だれにもあいませんでした。
今度
(
こんど
)
あったら、みんなに
聴
(
き
)
かしてやろうと
思
(
おも
)
っています。」と、ぶとが
答
(
こた
)
えました。
太陽とかわず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ただいずこともなく誇れる
鷹
(
たか
)
の
俤
(
おもかげ
)
、
眉宇
(
びう
)
の間に動き、
一搏
(
いっぱく
)
して南の空遠く飛ばんとするかれが離別の詞を人々は耳そばだてて
聴
(
き
)
けど
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
クリストフはある晩彼女の演奏を
聴
(
き
)
いて、その演奏振りに驚かされた。音楽会が終わって握手をしに行った。彼女はそれを感謝した。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
十三絃
(
じゅうさんげん
)
を南部の
菖蒲形
(
しょうぶがた
)
に張って、
象牙
(
ぞうげ
)
に置いた
蒔絵
(
まきえ
)
の
舌
(
した
)
を
気高
(
けだか
)
しと思う
数奇
(
すき
)
も
有
(
も
)
たぬ。宗近君はただ漫然と
聴
(
き
)
いているばかりである。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
妻の七夕の止めるのも
聴
(
き
)
かず、そこに
生
(
な
)
っている瓜を食べようと思って、二つに
竪
(
たて
)
に瓜を割ったら、それがたちまち天の川になった。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
どうぞ
是非
(
ぜひ
)
一つ
聴
(
き
)
いて
頂
(
いただ
)
きたい、と
云
(
い
)
うのは、
実
(
じつ
)
はそう
云
(
い
)
う
訳
(
わけ
)
であるから、
寧
(
むしろ
)
君
(
きみ
)
は
病院
(
びょういん
)
に
入
(
はい
)
られた
方
(
ほう
)
が
得策
(
とくさく
)
であろうと
考
(
かんが
)
えたのです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
妻
(
さい
)
の出た跡で、更に酒を呼んだ宗右衛門は、気味の悪い
笑顔
(
えがお
)
をして五百を迎える。五百は
徐
(
しずか
)
に
詫言
(
わびごと
)
を言う。主人はなかなか
聴
(
き
)
かない。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そのうち、正ちゃんがどこからか帰って来て、僕のそばへ坐って、今
聴
(
き
)
いて来た世間のうわさ話をし出す。お君さんは茶を出して来る。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
基督の信は、常に
衷
(
うち
)
に神を見、神の声を
聴
(
き
)
けるより来たり、ポーロの信は、其のダマスコ途上驚絶の天光に接したるより
湧
(
わ
)
き出でたり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
お天気のこと、恋愛のこと、文学のこと、彼は女の喋る言葉に
聴
(
き
)
き
惚
(
ほ
)
れることもあったが、何かがパッタリ滑り堕ちるような気もした。
火の唇
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
何
(
ど
)
うしても
分
(
わか
)
らんかつた。うるさくいつたらしまひにやお
前
(
まへ
)
には
分
(
わか
)
らない、とさうおいひであつた、また
推返
(
おしかへ
)
して
聴
(
き
)
いたら、やつぱり
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして、ほかのが、どれもこれも、よく言うことを
聴
(
き
)
くといったらない。この親鳥にしてこの子ありである。一つとして動かない。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「座敷へ上がり込んじゃ興が
醒
(
さ
)
める。
弾
(
ひ
)
く
方
(
ほう
)
も、
聴
(
き
)
く方も、外でこそ流しの味、
金襖
(
きんぶすま
)
では
野暮
(
やぼ
)
になる。そうおっしゃっておくんなさい」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
このたびの我が旅故郷の閑古鳥
聴
(
き
)
かんがためとも人に云ひぬ。塵ばみたる都の若葉
忙
(
せは
)
しさ限りもなき
陋巷
(
ろうかう
)
の住居に倦み果てゝとも云ひぬ。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
みなさんが私のこういう話を
聴
(
き
)
いてくださるのは、仏教に対してかなり久しい間の関心をもっておられる熱心なかたであると思いますし
生活と一枚の宗教
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
そのほかにも母には一つ一つ思出がありそうでしたが、私はたいていのところで、
聴
(
き
)
くのをやめて外へ遊びに出て了うのでした。
虫干し
(新字新仮名)
/
鷹野つぎ
(著)
「こんどのおかあさんもいいおかあさんだから、
亡
(
な
)
くなったおかあさんと
同
(
おな
)
じように、だいじにして、いうことを
聴
(
き
)
くのだよ。」
松山鏡
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
何の見る物もなく
風情
(
ふぜい
)
もないので、夫人が
怪
(
あや
)
しんで質問したところ、ヘルンは耳を指して、『お
聴
(
き
)
きなさい。なんぼ楽しいの歌でしょう』
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
君
(
きみ
)
、ちょっと
聴
(
き
)
き
給
(
たま
)
え。
君
(
きみ
)
はずいぶん
見
(
み
)
っともないね。だから
僕達
(
ぼくたち
)
は
君
(
きみ
)
が
気
(
き
)
に
入
(
い
)
っちまったよ。
君
(
きみ
)
も
僕達
(
ぼくたち
)
と
一緒
(
いっしょ
)
に
渡
(
わた
)
り
鳥
(
どり
)
にならないかい。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
春琴は常に我が居間の
床脇
(
とこわき
)
の窓の所にこの箱を
据
(
す
)
えて
聴
(
き
)
き入り天鼓の美しい声が
囀
(
さえず
)
る時は
機嫌
(
きげん
)
がよかった故に奉公人共は精々水を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
おめえがここでたった
一言
(
ひとこと
)
。おなつかしゅうござんす、とかなんとかいってくれさえすりァ、おいらの
頼
(
たの
)
みァ
聴
(
き
)
いてもらえようッてんだ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
身にしみて
聴
(
き
)
ける浪子は、答うるまでもなくただ涙の顔を上げつ。幾が新たにくめる茶をすすりて、老婦人は再び
談緒
(
だんちょ
)
をつぎぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「もっと、とっぷりと
浸
(
つ
)
かるような
飲
(
のみ
)
ものはない?」「しとしとと、こう手で
触
(
ふ
)
れるような
音曲
(
おんぎょく
)
が
聴
(
き
)
き
度
(
た
)
いなあ。」母は
遂々
(
とうとう
)
、
匙
(
さじ
)
を投げた。
桃のある風景
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
気がつくと、私の傍で妻もその小鳥の啼くのを一しょに
聴
(
き
)
いていたと見え、それがそのまま啼き止んでしまうと、私の方へ顔を上げながら
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
豚はこれをすっかり
聴
(
き
)
いた。そして又大へんいやになった。楊子のときと同じだ。折角のその阿麻仁も、どうもうまく
咽喉
(
のど
)
を通らなかった。
フランドン農学校の豚
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
何という懐かしい、久しぶりに
聴
(
き
)
く女の声であろう。振り
顧
(
かえ
)
って考えると、それは去年の五月から八、九カ月の間も聴かなかった声である。
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
父はベンチに
腰掛
(
こしか
)
けて、
鞭
(
むち
)
の先で砂に何やら書きながら、半ばは注意ぶかく、半ばは放心のていで、わたしの話を
聴
(
き
)
いていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
何と云われても仕方はないわ、ああッ火も小さくなって寒うなった、もうもう寝てでもしまおうよ、と
聴
(
き
)
けば一々道理の述懐。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
庸三も彼女も固くなってしまったところで、葉子を照れさせないために彼は蓄音機を
聴
(
き
)
きに、裏にある子供の家へ案内した。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
丁度夏の
午
(
ひる
)
前の事で、女客は顔の汗を拭き/\感心したやうに
幾度
(
いくたび
)
か首を
掉
(
ふ
)
つて
聴
(
き
)
き
惚
(
と
)
れてゐたが、暫くすると発明家の顔を振り向いて訊いた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
イエス天を仰ぎて言いけるは、父よ、すでにわれに
聴
(
き
)
けり、われこれをなんじに謝す。われなんじが常に聴くことを知る。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
一、幼少の折、学校で学問の大事なことを
聴
(
き
)
いて、よし学者にならなくとも、勉学読書は
暇
(
いとま
)
あるごとに
怠
(
おこた
)
るまいと思った。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
然れども幸か不幸か、余は今なほ畳の上に
両脚
(
りょうきゃく
)
を折曲げ乏しき
火鉢
(
ひばち
)
の
炭火
(
すみび
)
によりて
寒
(
かん
)
を
凌
(
しの
)
ぎ、
簾
(
すだれ
)
を動かす
朝
(
あした
)
の風、
廂
(
ひさし
)
を打つ
夜半
(
やはん
)
の雨を
聴
(
き
)
く人たり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
預けてある
剥
(
は
)
げっちょろけたお椀に、飯や汁を一緒に盛って食いながら、私の読む講談に
聴
(
き
)
き
惚
(
ほ
)
れるのが習慣であった。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
神
(
かみ
)
さま、
何
(
ど
)
うぞ
私
(
わたくし
)
の一
生
(
しょう
)
の
願
(
ねが
)
いをお
聴
(
き
)
き
届
(
とど
)
け
下
(
くだ
)
さいませ……。
私
(
わたくし
)
の
女房奴
(
にょうぼうめ
)
が
入水
(
にゅうすい
)
すると
申
(
もう
)
して、
家出
(
いえで
)
をしたきり
皆目
(
かいもく
)
行方
(
ゆくえ
)
が
判
(
わか
)
らないのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
あたしは暇にあかしてそうして見たかった。彼女の日常起居、生れてからの一切を
聴
(
き
)
いて、それを忠実な自叙伝ふうな書き方にしてゆきたいと願った。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「もういっさい何も聞かせないようにしてくれ。あれに関した話を
聴
(
き
)
けばまた悲しみが
湧
(
わ
)
くばかりだから、かえってあれの行く道を妨げることになる」
源氏物語:36 柏木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ただ、彼は、彼にとって全く無意味だとしか思われない言葉を、いつまでも
聴
(
き
)
いているのがばかばかしかった。
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
これは充分
聴
(
き
)
いて頂きたい……私は今度、主任の役をお受けしたのでありますが、馬上の楠公というので、差し当って馬の製作に取り掛からねばなりません。
幕末維新懐古談:69 馬専門の彫刻家のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
この夜ヨハンの案内してくれた場所は料亭で、食事をしてから後に、最少は五歳、最年長は二十歳の二十数人からなるジプシイ楽団のヴァイオリンを
聴
(
き
)
いた。
罌粟の中
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
人々はかれの語るを
聴
(
き
)
いていてもすこぶるまじめでない。彼らはかれを信じたらしく見えない。かれはその
背後
(
うしろ
)
で彼らがこそこそ話をしているらしく感じた
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
差当
(
さしあた
)
りこの病を医すべき適切なる
薬餌
(
やくじ
)
を得、なお引続き
滞岳
(
たいがく
)
して加養せんことを
懇請
(
こんせい
)
したれども、
聴
(
き
)
かれざりしかば、再挙の保証として大に
冀望
(
きぼう
)
する所あり
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
この一言を弟子たちの口から
聴
(
き
)
かんがために、これまで親しく薫陶し給うたのでありました。イエスは決して御自分のことを弟子たちに吹き込み給わなかった。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
涼しい、生き返るような風が一としきり長峰の方から吹き
颪
(
おろ
)
して、汗ばんだ顔を撫でるかと思うと、どこからともなく
蜩
(
ひぐらし
)
の声が金鈴の雨を
聴
(
き
)
くように聞えて来る。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
左様
(
さやう
)
であらう、ソラ
此器
(
これ
)
で
脈搏
(
みやくはく
)
を
聴
(
き
)
くんだ、
何
(
ど
)
うだグウ/\
鳴
(
な
)
るだらう。登「エヘヽヽヽくすぐつたうござりますな、
左様
(
さやう
)
横
(
よこ
)
ツ
腹
(
ぱら
)
へ
器械
(
きかい
)
をお
当
(
あて
)
あそばしましては。 ...
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
僕は毎晩のように鉱石の上を針でさぐりながら、銚子局の出す
報時信号
(
タイム・シグナル
)
のリズムに
聴
(
き
)
き
惚
(
ほ
)
れたものです。
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もう寝たふりをして置こうと、夜着をかぶり、
聴
(
き
)
きたくもない話なので、耳を塞いでいると、そのうち、また
眠
(
ねむ
)
ってしまったようです。あの頃は、よく眠りました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
狐が軍人に化けて火薬庫の衛兵を脅かそうとしたというのである。
赤羽
(
あかばね
)
や宇治の火薬庫事件が頭に残っている際であるから、私は一種の興味を以てその話を
聴
(
き
)
いた。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すこぶる才走った女で、政治
向
(
むき
)
の事にまで
容喙
(
ようかい
)
するが、霊公はこの夫人の言葉なら
頷
(
うなず
)
かぬことはない。霊公に
聴
(
き
)
かれようとする者はまず南子に取入るのが例であった。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
聴
常用漢字
中学
部首:⽿
17画
“聴”を含む語句
聴聞
聴衆
聴許
聴取
吹聴
聴耳
立聴
聴者
聴診器
聴入
聴手
傾聴
傍聴
謹聴
聴牌
道聴途説
盗聴
拝聴
聴納
聴知
...