)” の例文
いえば、われわれがんでいる地球は今、われら人類だけによって支配されているが、それが近頃他から脅威をうけんとしているのだ
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
鱶のむ恐しい海。南洋に近いとはいえ、夜の波はつめたい。……いやないやな死神の手が、わが清君をつかむのではないだろうか?
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
野生やせいけものだけでも、二百六十八種にひやくろくじゆうはつしゆうしうまそのほか家畜かちく動物どうぶつ十六種じゆうろくしゆもゐますが、こゝではやま動物どうぶつについてすこしくおはなししませう。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
相当そうとう修行しゅぎょうんだら、一しょむとか、まないとかもうすことは、さして苦労くろうにならないようになってしまうのではないでしょうか。
遠近おちこちの森にむ、きつねたぬきか、と見るのが相応ふさわしいまで、ものさびて、のそ/\と歩行あるく犬さへ、はりを走る古鼠ふるねずみかと疑はるゝのに——
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
桜田見附から日比谷へ行く濠の底に大きい亀がんでいたということで、この亀が浮き出すと濠一杯になったと言い伝えられています。
江戸の化物 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
日本にむ動物としては、これより以上の猛獣は無い。その子熊をこのままにしてせつけた日には、後患のほどが思いやられる。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
頭ではいいと考へることが、心ではほんとにいいと感じられないのはどうしたことでせう。私のどこかに悪魔がんでゐるのでせうか?
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
あの夜以来、範宴のひとみにも、心にも、常に一人の佳人かじんんでいた。追おうとしても、消そうとしても、佳人はそこから去らなかった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
特に海中にむ動物には団体生活を営むものがすこぶる多い、また池沼などの淡水中にむ動物にもいくらかかような例がある。
理想的団体生活 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
「それはお前達のむ世の中の、人もけだものも木も草も、鳥も虫もみんなそこから生れて、またかならずそこへ帰って行く国なのだ」
トシオの見たもの (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
自分の村を流れてゐる川といふ川の水源みなもとで、誰も知らぬ者の無い魔所であつて、何がむでゐるのか、昔からそれを知ツてゐる者が無いが
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
今の人間とは違った・更に高い存在——それは他の遊星の上にむものであろうと、あるいは我々の眼に見えない存在であろうと、または
狼疾記 (新字新仮名) / 中島敦(著)
南米アマゾンの秘境、人界から遠く隔絶された「失われた世界」に、ジュラ紀時代から生き残っている巨大爬虫類はちゅうるいんでいる世界がある。
鳥が空にむごとく、魚が地球をめぐる水の中に呼吸するごとく、花が大地に根をおろしているごとく、人間の児童は真理の国に生活する。
『グリム童話集』序 (新字新仮名) / 金田鬼一(著)
てんで人のところでないらしく考えられるので、移民がすくないらしい、甲州の野呂川谷などから見ると非常に美事みごとな処である
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
「例え閨は共にせずとも、夫婦して同じ家の内にめば良人の気が籠って妻は身籠ると、——下世話にも申してござりまする」
入婿十万両 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しかし、この、「長い黒の外套がいとう」を着て闇黒あんこくむ妖怪は、心願しんがんのようにその兇刃きょうじんを街路の売春婦にのみ限定してふるったのだ。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
私は彼女のために食を求め、衣を求め、敵を防ぎ、あの雌を率いるけだもののごとくに山を越え、谷をわたり、淋しき森影にともにみたい。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
ことに浪子のために八畳一間六畳二間四畳一間の離家はなれを建て、逗子よりうばのいくを呼び寄せて、浪子とともにここにましつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
勿論むじなは、神武東征の昔から、日本の山野にんでいた。そうして、それが、紀元千二百八十八年になって、始めて人を化かすようになった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
さかなや、また底深そこぶかうみなかんでいる、あらい、いろいろな獣物けものなどとくらべたら、どれほど人間にんげんのほうに、こころ姿すがたているかしれない。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
抑え難い好奇心に駆られ、犬が路上のにおいをぎつつ自分のみ家へ帰るように、私は又其処から見当をつけて走り出した。
秘密 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そして三千年さんぜんねん五千年ごせんねんまへから日本につぽん島々しま/″\には人間にんげんんでゐて、石器時代せつきじだい文明ぶんめいながくつゞけてゐたといふことがわかつてたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
あくまでも我らと同じ大地にみ、我らと同じ生活をたたかい続け、我らの隣人のような親しみを感じさせるものがあるだろう。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
万一、ほかの仲間に、この屋敷を先き駆けられちゃあ、つい鼻の先にんでいる、黒門町の、お初姐御はつあねごのつらがつぶれてしまうじゃあないか?
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
独りむ中は社界の一分子なる要素全く成立せず、双個相合して始めて社界の一分子となり、社界に対する己れをば明らかに見る事を得るなり。
厭世詩家と女性 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
そこは奇獣珍虫が群をなしてみ、まだ、学者はおろか、“Mattacoマツタコ印度人インディアンでさえも、奥地へは往ったことがないというほどの場所だ。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
これはただチベット国内だけでなくて、チベットとネパールの間のヒマラヤ山脈の間にも沢山んで居る。しかし最も多いのはチベットである。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
……彼はそのことを手紙にしるして、その街にんでいる友人に送った。そうして、そこの街を立去り、遠方へ旅立った。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
平家の殘黨のかくれんだといふ説も或は眞に近い、よく檢べたら必ずその子孫が存在して居るに相違ないとも言つた。
古い村 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
政府の方針が開拓に向けられてるのであるならば、まだほとんど手をつけていないひろいこの蝦夷地えぞちに、彼らの恰好かっこうの土地が無いはずはなかった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
すべてを奪はれたお葉は慘忍な健康者の態度を見入りつつ、海底にむといふ人魚の樣に、似るべくもない四肢の醜さをなげき悲しんだのである。
三十三の死 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
私の故郷の村は、利根川のがけの上にある。その崖に続いた雑木林のなかには、私の幼いときまで随分狸がんでゐた。
たぬき汁 (新字旧仮名) / 佐藤垢石(著)
聴水は虚々うかうかと、わがへ帰ることも忘れて、次第にふもとかたへ来りつ、ある切株に腰うちかけて、霎時しばし月を眺めしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
ヂュリ おゝ、パリスどのと祝言しうげんをせうほどなら、あのたふうへからんでい、山賊やまだち跳梁はびこ夜道よみちけ、へびくさむらひそめいともはッしゃれ。
スマ子女史は英介氏と結婚して東京の郊外に文化住宅を借りてんだところ、最初に彼女を煩悶さす事件があった。
職業婦人気質 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
かつてそこにんでいた牛の家族を、野にはもう見ることができない。ただ、幾匹かの馬が、草原に残されている。
俺がそこにむのをよろこんだ部屋。あのなかには俺の一切の所持品が——ふとするとその日その日の生活の感情までが内蔵されているかもしれない。
冬の日 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
多分は村の外の林にふくろうのしわざだったろう。屋根の板をはがし割って夜の中に荒して行ったのである。大屋も店子たなこも共にこの危険には無智であった。
この計画のために、抽斎は二階の四室を明けて、宗右衛門夫妻、けいせんの二女、女中一人いちにん丁稚でっち一人をまわせた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
猛狒ゴリラや、獅子しゝや、とらるい數知かずしれずんでつて、わたくしやう無鐵砲むてつぽう人間にんげんでも、とてもおそろしくつてけぬほどだから、誰人たれだつて足踏あしふみ出來できませない。
ずつと往昔むかしは江戸の両国川にはなまづといふものは一ぴきむでゐなかつたのを、いつの年か大水が出て、それからのちは鯰があの川でれるやうになつた。
むもの、野にむもの、しぎは四十八ひんと称しそろとかや、僕のも豈夫あにそ調てうあり、御坐ございます調てうあり、愚痴ぐちありのろけあり花ならば色々いろ/\あくたならば様々さま/″\
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
例えばきりんの首の長いのは高い樹の実を食するために伸びたので、もぐらの眼の小さいのは地面の下の暗いところにばかりんでいるからだと考えました。
チャールズ・ダーウィン (新字新仮名) / 石原純(著)
うれしや、偃松の林裂けて、幅十間長さ四十間ばかりの小池あり。蛙の子のめるを見て、毒水にあらざるを知る。偃松の余したる処、一面の御花畑也。
層雲峡より大雪山へ (新字新仮名) / 大町桂月(著)
木にみ穴にいて生れながらに色の黒いくろんぼうの国。長人国。小人国。昼のない国。夜のない国。さては、百万の大軍がいま戦争さいちゅうの曠野。
地球図 (新字新仮名) / 太宰治(著)
かの僧が褐色の衣を着たる死人の殆どおのれとおなじさまなると共にめること、かの僧があまたの尊き人の上を語り、あまたの不思議のあとを話すこと
どういう顔をしていただろうか。日常のゆるんだ心にも主のほかむことはできなかったのだろうか。そして肉体の中にも?——私には分らないのである。
篠笹の陰の顔 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
ゼロを見たんですよ。この通りは狸穴といって、たぬきばかりんでいたらしいんだが、それがいつの間にか、人間も棲むようになって、この通りですからね。
微笑 (新字新仮名) / 横光利一(著)