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とびら
ふりがな文庫
“
扉
(
とびら
)” の例文
そしてこんどは自分がうとうとしていると、車室の
扉
(
とびら
)
が開く音に眼を覚ました……。パリーだ!……。隣席の人々は降りかけていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
これはむしろ当然なことである。私はただわずかに前句の壁の
扉
(
とびら
)
を一つくぐったすぐ向こう側の隣の庭をさまよっているからである。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
私
(
わたし
)
は
雪籠
(
ゆきごも
)
りの
許
(
ゆるし
)
を
受
(
う
)
けようとして、たど/\と
近
(
ちか
)
づきましたが、
扉
(
とびら
)
のしまつた
中
(
なか
)
の
樣子
(
やうす
)
を、
硝子窓越
(
がらすまどごし
)
に、ふと
見
(
み
)
て
茫然
(
ばうぜん
)
と
立
(
た
)
ちました。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
新館の上層たる望楼は、屋根裏の一種の大広間で、三重の
鉄格子
(
てつごうし
)
がはめてあり、大
鋲
(
びょう
)
をうちつけた二重鉄板の
扉
(
とびら
)
でしめ切ってあった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
土蔵の中には、広い廊下があつて、その左右に、幾つも
扉
(
とびら
)
がありました。そしていちばん奥の
扉
(
とびら
)
には、金の猫の模様がついてゐました。
金の猫の鬼
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
別当は客の長靴を
沓脱
(
くつぬぎ
)
の石の上に直して置いて、主人の長靴を持つて自分の部屋に帰つたが、又すぐに出て来て、門の
扉
(
とびら
)
を締めた。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
眼の下には夢で見たとおりのルフィノ寺院が
暁闇
(
あかつきやみ
)
の中に厳かな姿を見せていた。クララは
扉
(
とびら
)
をあけて柔かい春の空気を快く吸い入れた。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
タイチは髪をばちやばちやにして口をびくびくまげながら前からはひつぱられうしろからは押されてもう
扉
(
とびら
)
の外へ出さうになりました。
氷河鼠の毛皮
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「箏の裏板へ大きな
扉
(
とびら
)
をつけて、あの開閉で、響きや、
音色
(
ねいろ
)
の具合を見ようという試みね、
巧
(
うま
)
くいってくれればようござんすね。」
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
彼の
背後
(
うしろ
)
から静かに静かに閉まって行った重たい
扉
(
とびら
)
が、忽ち、
轟然
(
ごうぜん
)
たる大音響を立てて、深夜の大邸宅にどよめき渡りつつ消え失せた。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
船長が、そのダイアモンドのピンを、ネクタイに「優雅」にさそうとしている時に、純白の服を着けたボーイは船長室の
扉
(
とびら
)
をたたいた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「……さて、いよいよあれなる二つの
檻
(
おり
)
を、ピッタリと密着いたし、あいだの
扉
(
とびら
)
をひらきまして、
虎
(
とら
)
と熊とを一つにいたしまする」
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ととつぜん、暴風にそなえるように、うろたえた手下どもは、
扉
(
とびら
)
へ手をかけて、ドーンという
響
(
ひび
)
きとともに、
間道門
(
かんどうもん
)
を
閉
(
し
)
めてしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
午後七時になるとレストラントの
扉
(
とびら
)
が
一斉
(
いっせい
)
に開く。誰が決めたか知らない
食道
(
しょくどう
)
法律が、この時までフランス人の
胃腑
(
いのふ
)
に休息を命じている。
異国食餌抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ところがわかい王さまは、この
扉
(
とびら
)
のところだけは、
忠義者
(
ちゅうぎもの
)
のヨハネスがいつもすどおりしてしまうのに気がつきました。そして
忠義者のヨハネス
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
とどなりながら、ドン、ドン、
扉
(
とびら
)
をたたきました。
鬼
(
おに
)
はその
声
(
こえ
)
を
聞
(
き
)
くと、ふるえ
上
(
あ
)
がって、よけい
一生懸命
(
いっしょうけんめい
)
に、中から
押
(
お
)
さえていました。
桃太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「こりや
恐
(
おそ
)
ろしいもんだ」と云ひながら、与次郎は鉄の
扉
(
とびら
)
をうんと
推
(
お
)
したが、錠が卸りてゐる。「
一寸
(
ちよつと
)
御待ちなさい聞いてくる」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
新吉は、曲馬団のファットマンのことを思い出し、門の
鉄格子
(
てつごうし
)
の
扉
(
とびら
)
につかまって、中のようすをいっしんにのぞいていました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
この本堂の内陣の土蔵の
扉
(
とびら
)
にも椿岳の
麒麟
(
きりん
)
と
鳳凰
(
ほうおう
)
の画があったそうだが、惜しい
哉
(
かな
)
、十数年前修繕の際に
取毀
(
とりこぼ
)
たれてしまった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「ウエタミニ。今、踏み台へ乗るから。」間もなく、窓の
扉
(
とびら
)
が動き、そして
眉毛
(
まゆげ
)
と眼との間の恐ろしく暗い彼れの顔が其処へ表れるのだつた。
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
つゞいて
飛込
(
とびこ
)
まんとする
獅子
(
しゝ
)
を
目掛
(
めが
)
けて、
私
(
わたくし
)
は
一發
(
いつぱつ
)
ドガン、
水兵
(
すいへい
)
は
手鎗
(
てやり
)
て
突飛
(
つきと
)
ばす、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
素早
(
すばや
)
く
身
(
み
)
を
跳
(
をど
)
らして、
入口
(
いりくち
)
の
扉
(
とびら
)
をピシヤン。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
牢屋
(
ろうや
)
の
扉
(
とびら
)
にかかっている
錠
(
じょう
)
もそのままであれば、なにひとつあたりに、かわったこともなかったのに、
男
(
おとこ
)
ばかりは、いなくなったのであります。
おけらになった話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
花屋敷をまわって、
観音堂
(
かんのんどう
)
に出て、
扉
(
とびら
)
の閉ってしまった堂へ上って拝んでみた。私の横にはゲートルをはいた
請負師
(
うけおいし
)
風の男が少時おがんでいた。
貸家探し
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
老僧はしずかに
厨子
(
ずし
)
の
扉
(
とびら
)
をひらいた。立ちあらわれた救世観音は、くすんだ黄金色の肉体をもった
神々
(
こうごう
)
しい野人であった。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
たとえば女中が通り過ぎ、人のいないらしいその部屋の
扉
(
とびら
)
をしめてゆくと、彼はしばらくしてから立ち上がり、それをまたあけてみるのだった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
たとい京都までは行かないまでも、最も手近な尾州藩に地方有志の声を進めるだけの狭い
扉
(
とびら
)
は半蔵らの前に開かれていた。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
扉
(
とびら
)
はすべて閉じたままで、どこから出入りしたか判らない。門の外は
嶮
(
けわ
)
しい峰つづきで、眼さきも見えない闇夜にはどこへ追ってゆくすべもない。
中国怪奇小説集:07 白猿伝・其他(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
金庫のかたい
扉
(
とびら
)
のまん中に大穴があいた。怪人は、その中から、蜂矢のたいせつにしていた茶釜の破片をつかみだした。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と、おりと婆さんはそう語ってから、ふと思い出したように、立って
仏壇
(
ぶつだん
)
の
扉
(
とびら
)
を開いて、
位牌
(
いはい
)
の傍に飾ってあった
一葉
(
いちよう
)
の写真を持って来て示した。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
されども、彼は未だ恋の甘きを知らざるが
故
(
ゆゑ
)
に、心狭くもこの面白き世に偏屈の
扉
(
とびら
)
を閉ぢて、
詐
(
いつはり
)
と軽薄と利欲との外なる楽あるを
暁
(
さと
)
らざるならん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
柵を開き、拜殿の
大海老錠
(
おほえびぢやう
)
を拔くと、中には立派な
壇
(
だん
)
が据ゑてあり、
扉
(
とびら
)
を開くと、等身よりやや小さいと言ふ、
歡喜天
(
くわんきてん
)
の像が安置してあるのでした。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「神秘の
扉
(
とびら
)
は俗人の思うほど、
開
(
ひら
)
き難いものではない。むしろその恐しい
所以
(
ゆえん
)
は
容易
(
ようい
)
に閉じ難いところにある。ああ云うものには手を
触
(
ふ
)
れぬが
好
(
よ
)
い」
保吉の手帳から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
便所の
扉
(
とびら
)
が乱暴に開かれて、ネルの寝巻を着た女が出てきた。素っ裸の上に寝巻をひっかけていると、ひと目で分る。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
困って右を押すと、突然、闇が破れて
扉
(
とびら
)
があいた。室内が見えるというほどではないが、そことなく星明りがして、前にガラス窓があるのがわかる。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
ぼくは内田さんの
女
(
セックス
)
に
圧倒
(
あっとう
)
されて居たたまれない気持で、早々にノオトを渡し、
扉
(
とびら
)
を開けて出るのと
殆
(
ほとん
)
ど同時でした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
その中央に古代の城門に似た鉄の黒い
扉
(
とびら
)
がいつもぴったりと
閉
(
しま
)
っているのを梶はしばしば通って見たことがあった。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
寄木細工
(
モザイク
)
の広い廻り階段を導かれて登り、一つの部屋に到ると、開かれた
扉
(
とびら
)
から、その部屋の
類
(
たぐい
)
なき壮麗さが全くぎらぎらと
燦
(
きらめ
)
いて突然眼前に現われ
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
縁側
(
えんがわ
)
に小さき
泥
(
どろ
)
の
足跡
(
あしあと
)
あまたありて、だんだんに座敷に入り、オクナイサマの
神棚
(
かみだな
)
のところに
止
(
とどま
)
りてありしかば、さてはと思いてその
扉
(
とびら
)
を開き見れば
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
庸三の裏の家に片着けてあった彼女の荷物——二人で一緒に池の
畔
(
はた
)
で買って来たあの
箪笥
(
たんす
)
と鏡台、それに
扉
(
とびら
)
のガラスに桃色の
裂
(
きれ
)
を縮らした本箱や
行李
(
こうり
)
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その竹町と
唱
(
となう
)
るは佐竹邸の西門の
扉
(
とびら
)
は竹を以て作れるに依りその近傍を竹門と称したれば右に
因
(
ちな
)
みて町名となせり。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それからさらに二日
経
(
た
)
った日の夕方、すでに夕飯を終えてからあわただしく病室の
扉
(
とびら
)
が開かれ、先に立った看守が太田に外へ出ることを命じたのである。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
そう思うと私は、頭の中の血が、サッと心臓に引き揚げたように感じて、クラクラと
扉
(
とびら
)
によろめきかかりました。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
……云わばここは我々が幸運の星にめぐり逢うと云う
秘
(
ひ
)
められたる場所だ。天が我々に与えたもうた
恵
(
めぐ
)
みの
扉
(
とびら
)
だ。……扉は今や開け放たれねばならない。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
横腹に思いッ切り打ち当る波の音や、絶えずならしている不吉な警笛が、風の工合で遠くなったり、すぐ頭の上に近くなったり、鉄の
扉
(
とびら
)
を隔てて聞えていた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
何処
(
どこ
)
か病身らしい歩み
振
(
ぶり
)
をして昇つて来たが、僕達に軽い会釈を無言でして物静かに
扉
(
とびら
)
の奥へ
入
(
はひ
)
つて行つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
伊留満喜三郎 (突然門扉の内に
屈
(
かが
)
みて)やいの、やいの、
皆
(
みな
)
の衆よ。ここの門の
扉
(
とびら
)
に細い隙がおぢやつたぞや。はれ、見られい。や、何とまあ美しい絵ぢや。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
金庫
(
きんこ
)
の
足
(
あし
)
の
車止
(
くるまど
)
めを
確
(
たし
)
かにして
置
(
お
)
くこと。
地震
(
ぢしん
)
のとき
金庫
(
きんこ
)
が
動
(
うご
)
き
出
(
だ
)
し、
扉
(
とびら
)
がしまらなくなつた
例
(
れい
)
が
多
(
おほ
)
い。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
門柱
(
もんちゅう
)
その
他
(
た
)
はすべて
丹塗
(
にぬ
)
り、
別
(
べつ
)
に
扉
(
とびら
)
はなく、その
丸味
(
まるみ
)
のついた
入口
(
いりぐち
)
からは
自由
(
じゆう
)
に
門内
(
もんない
)
の
模様
(
もよう
)
が
窺
(
うかが
)
われます。あたりには
別
(
べつ
)
に
門衛
(
もんえい
)
らしいものも
見掛
(
みか
)
けませんでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
彼は
扉
(
とびら
)
のそばへ近づいて、それをさっとあけ放しながら、囚人に向かって、『さあ、出て行け、そしてもう来るな……二度と来るな……どんなことがあっても!』
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
飛違
(
とびちが
)
へ未だ
生若
(
なまわか
)
き腕ながら一
生
(
しやう
)
懸命
(
けんめい
)
切捲
(
きりまく
)
れば流石に武士の
働
(
はたら
)
きには敵し難くや駕籠舁ども是は
叶
(
かな
)
はじと
逃出
(
にげいだ
)
すを
何國迄
(
いづくまで
)
もと
追行
(
おひゆく
)
中
(
うち
)
豫
(
かね
)
て
相※
(
あひづ
)
やなしたりけん地藏堂の
扉
(
とびら
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
“扉”の意味
《名詞》
(とびら)片方を蝶つがいなどで固定して、それを軸に回転させることにより開け閉めを行う戸。
(出典:Wiktionary)
“扉”の解説
扉(とびら、en: door、ドア)とは、建物や部屋などの入口などにつけられ、開口部を閉じたり、外部と遮断する機能をもつ部分。
(出典:Wikipedia)
扉
常用漢字
中学
部首:⼾
12画
“扉”を含む語句
硝子扉
扉口
大扉
鎧扉
鉄扉
門扉
開扉
車扉
土扉
両扉
石扉
格子扉
二重扉
小扉
閉扉
玻璃扉
片扉
樫扉
諸扉
御扉
...