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ふりがな文庫
“
已
(
すで
)” の例文
行クニノゾンデ、継イデ見ンコトヲ約シ、ソノ館舎ヲ
詢
(
と
)
ヘバ、豊陽館ナリトイフ。翌日往イテ之ヲ訪ヘバ、則チ
已
(
すで
)
ニ行ケリ矣。…………
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
断崖を見れば吹き落ち吹き落ちする濃霧が、
已
(
すで
)
に其の九分以上を埋了して、
僅
(
わずか
)
に見える頂すら、もう直ぐに隠れてしまおうとしている。
女子霧ヶ峰登山記
(新字新仮名)
/
島木赤彦
(著)
しかも
已
(
すで
)
にかたき討をしてしまった者に対しては別に
咎
(
とが
)
めるようなこともなかったから、やはりかたき討は絶えなかったのである。
かたき討雑感
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
否
(
い
)
な会はざるにあらざるべし、作者の彼を写して粋癖を
見
(
あら
)
はすや、
已
(
すで
)
に恋愛と呼べる不粋者を度外視してかゝれるを知らざる可からず。
粋を論じて「伽羅枕」に及ぶ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
八時
今市
(
いまいち
)
発の汽車に乗らぬと、今晩中に日光へ
行
(
ゆ
)
くことは出来ぬ。
一体
(
いったい
)
、塩原から日光へひと跳びというのが
已
(
すで
)
に人間
業
(
わざ
)
ではない。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
▼ もっと見る
サア、どうぞこの処を
能
(
よ
)
く
能
(
よ
)
く御考え下さいまし。否もう御熟考の時は
已
(
すで
)
に過ぎ去っております。——私どもは決心せねばなりませぬ。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
一度ありたりとて自ら
已
(
すで
)
に大悟徹底したるが如く思はば、
野狐禅
(
やこぜん
)
に
堕
(
お
)
ちて
五百生
(
ごひゃくしょう
)
の間
輪廻
(
りんね
)
を免れざるべし。
志
(
こころざし
)
は
大
(
だい
)
にすべき事なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
秦王
(
しんわう
)
後
(
のち
)
に
之
(
これ
)
を
悔
(
く
)
い、
人
(
ひと
)
をして
之
(
これ
)
を
赦
(
ゆる
)
さしむれば、
非
(
ひ
)
已
(
すで
)
に
死
(
し
)
せり。
申子
(
しんし
)
・
韓子
(
かんし
)
は
皆
(
みな
)
書
(
しよ
)
を
著
(
あら
)
はし
後世
(
こうせい
)
に
傳
(
つた
)
ふ、
(一二一)
學者
(
がくしや
)
多
(
おほ
)
く
有
(
あ
)
り。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
青幇の組織する人物に就ては
已
(
すで
)
に役人と游民とに就て記したが尚茲に差勇と称する者が居る。差勇は兵勇差役で、兵隊と人夫とである。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
前の車も
已
(
すで
)
に発車した。だが、これはどうしたことだ。確かにその車に乗った筈の幽霊男が、町を横切って走っているではないか。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
而
(
しこう
)
して彼らを送りし船は、
已
(
すで
)
に去りて
浩蕩
(
こうとう
)
の濤に
擒
(
とりこ
)
にせられ水烟
渺漫
(
びょうまん
)
の
裡
(
うち
)
に在り、腰刀、
行李
(
こうり
)
またその中に在りて行く所を知らず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
今茲に
喋々
(
てふ/\
)
する事殊に
無益
(
むえき
)
の
辯
(
べん
)
に
似
(
に
)
たれど前にも
已
(
すで
)
に
述
(
のべ
)
たるが如く此小西屋の裁判は忠相ぬし
最初
(
さいしよ
)
の
捌
(
さばき
)
にして是より
漸次
(
しだい
)
に其名を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私が馳けつけた時には、もう
已
(
すで
)
にこときれていて手の下しようもなかった。妹は冷静な女で、決して自殺するような弱い女ではありません。
鉄の処女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
我その魚沼郡の
塩沢
(
しほさは
)
に
生
(
うま
)
れ、毎年十月の
頃
(
ころ
)
より
翌年
(
よくとし
)
の三四月のころまで雪を
視
(
みる
)
事
已
(
すで
)
に六十余年、
近日
(
このごろ
)
此
雪譜
(
せつふ
)
を作るも雪に
籠居
(
こもりをる
)
のすさみなり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
四邊
已
(
すで
)
に暗く、山樹、溪流また明かに辨ずる能はざらんとする今の時に當りて、當面夕日の餘光の
微
(
かす
)
かに殘れる空の上遙かに
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
翌る朝おくみが一人四畳で目を
開
(
あ
)
くと、婆やは
已
(
すで
)
にいつの間にか起きて、板の間でこそ/\と
仄暗
(
ほのぐら
)
い水使ひの音をさせてゐた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
しかし更に深く進まんとする時、
已
(
すで
)
に得た所の者と衝突を起し、ここにまた意識的となる、意識はいつも
此
(
かく
)
の如き衝突より生ずるのである。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
四方
(
よも
)
の
波風
(
なみかぜ
)
靜
(
しづか
)
にして、世は
盛
(
さか
)
りとこそは見ゆれども、入道相國が多年の非道によりて、天下の望み
已
(
すで
)
に離れ、敗亡の機はや熟してぞ見えし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「酒どころかよ、兄貴が死んだンだ、本当に」と来た時から
已
(
すで
)
に真赤な顔して居た辰爺さん——勘さんの弟——が怒鳴る。皆がドッと笑う。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼らが清教徒として
基督
(
キリスト
)
教徒中最も厳格なる生活を営み、最も熱烈なる信仰を有するものなることは
已
(
すで
)
に我々の知るところ。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
老人、言下ニオイテ大悟シ、作礼シテイウ、ソレガシ
已
(
すで
)
ニ野狐ノ身ヲ脱ス。山後ニ在住セン。敢エテ和尚ニ告ゲ、乞ウ、亡僧ノ事例ニヨレト。
野狐
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
せり上げの間は
已
(
すで
)
に柱に歌を書きをはり、
立身
(
たちみ
)
にてやや下手に向き、
墨斗
(
やたて
)
の紐を巻き居る体なり。笠は水盤によせかけあり。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
さるに妾不幸にして、いひ
甲斐
(
がい
)
なくも病に打ち
臥
(
ふ
)
し、
已
(
すで
)
に絶えなん玉の緒を、
辛
(
から
)
く
繋
(
つな
)
ぎて漸くに、今この児は産み落せしか。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
一径
(
いっけい
)
互
(
たがい
)
に
紆直
(
うちょく
)
し、
茅棘
(
ぼうきょく
)
亦
(
また
)
已
(
すで
)
に
繁
(
しげ
)
し、という句がありまするから、曲がりくねった
細径
(
ほそみち
)
の
茅
(
かや
)
や
棘
(
いばら
)
を分けて、むぐり込むのです。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
然
(
しか
)
し
已
(
すで
)
に
監獄
(
かんごく
)
だとか、
瘋癲病院
(
ふうてんびやうゐん
)
だとかの
存在
(
そんざい
)
する
以上
(
いじやう
)
は、
誰
(
たれ
)
か
其中
(
そのうち
)
に
入
(
はひ
)
つてゐねばなりません、
貴方
(
あなた
)
でなければ、
私
(
わたくし
)
、でなければ、
他
(
ほか
)
の
者
(
もの
)
が。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
或日周禎は嗣子周策を連れて渋江氏を
訪
(
と
)
い、
束脩
(
そくしゅう
)
を納めて周策を保の門人とせんことを請うた。周策は
已
(
すで
)
に二十九歳、保は
僅
(
わずか
)
に十七歳である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
年は
已
(
すで
)
に三十歳になりますが、まだ
家
(
いえ
)
をなす
訳
(
わけ
)
にも行かないので、今だにぐずぐずと父が屋敷の一室に閉居しております。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
昭和
(
せうわ
)
五
年度
(
ねんど
)
の
豫算
(
よさん
)
に
於
(
おい
)
ても
府縣
(
ふけん
)
では
已
(
すで
)
に七千
萬圓
(
まんゑん
)
の
節減
(
せつげん
)
を
行
(
おこな
)
つたのであるが、
市町村
(
しちやうそん
)
の
分
(
ぶん
)
を
假
(
かり
)
に
昭和
(
せうわ
)
四
年度
(
ねんど
)
の
豫算
(
よさん
)
と
略
(
ほゞ
)
同額
(
どうがく
)
の
整理節約
(
せいりせつやく
)
と
見
(
み
)
れば
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
私はすぐ悟ったが、我々の間には
已
(
すで
)
に悲しむべき厚い障壁が出来てしまっているのであった。私も何も話し出さなかった。
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
芸術家でさえ
已
(
すで
)
に用意しているのだから、大阪の金持ちの懐中にはこの袋が最早行き渡っているのではないかと思われる。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
山岸さんに教えられて、やがて立派な詩集を出し、世の達識の士の
推頌
(
すいしょう
)
を得ている若い詩人が
已
(
すで
)
に二、三人あるようだ。
散華
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
已
(
すで
)
にその瞬間、僕は鋭い叫び声をきいたのみで、偉大なる博士の姿は蹴飛ばされた扉の向う側に見失っていた。僕はびっくりして追跡したのである。
風博士
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
食事時に鶯が
啼
(
な
)
くという全体の趣向からいっても、
已
(
すで
)
に元禄にこの句がある以上、蕪村の手柄はやや少いわけである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
終
(
つい
)
に大夫の命婦としてこれに報いるということになったので、府君が本司にくだして、今
已
(
すで
)
に之を
福籍
(
ふくせき
)
に
著
(
あら
)
わした
富貴発跡司志
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
晉
(
しん
)
の
石崇
(
せきそう
)
は
字
(
あざな
)
を
季倫
(
きりん
)
と
云
(
い
)
ふ。
季倫
(
きりん
)
の
父
(
ちゝ
)
石苞
(
せきはう
)
、
位
(
くらゐ
)
已
(
すで
)
に
司徒
(
しと
)
にして、
其
(
そ
)
の
死
(
し
)
せんとする
時
(
とき
)
、
遺産
(
ゐさん
)
を
頒
(
わか
)
ちて
諸子
(
しよし
)
に
與
(
あた
)
ふ。たゞ
石崇
(
せきそう
)
には
一物
(
いちもつ
)
をのこさずして
云
(
い
)
ふ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
第三学年にもこの講義の稿を続くべかりしを種々の事情に
遮
(
さえ
)
ぎられて果さず、
已
(
すで
)
に講述せる部分の意に満たぬ所、足らざる所を書き直さんとしてまた果さず
『文学論』序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
朝少し早く出かけて、
茅舎
(
ほうしゃ
)
林園の、尚
紫色
(
むらさき
)
、
濛気
(
もや
)
に包まれてる、清い世界を見ながら、田圃道を歩く心地の好いこと、それだけでも、獲物は
已
(
すで
)
に十分なのです。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
愛
(
あい
)
ちやんが
紅鶴
(
べにづる
)
を
捕
(
とら
)
へて
持
(
も
)
ち
歸
(
かへ
)
つた
時
(
とき
)
には、
已
(
すで
)
に
鬪
(
たゝか
)
ひが
終
(
を
)
へて
居
(
ゐ
)
て、二
疋
(
ひき
)
の
針鼠
(
はりねずみ
)
の
姿
(
すがた
)
は
見
(
み
)
えませんでした
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
たまたまこの事を述べてもとかく誤解を来し
勝
(
がち
)
であるために遠慮をしておった位な事であるが、吾輩の所信は
已
(
すで
)
に数多き著書の
中
(
うち
)
にあちらこちらに漏らしてある。
平民道
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
処が、延喜式などを見ると、
已
(
すで
)
に変な所が見える。天皇が、神に対して、非常に丁寧である。天皇が、祝詞を下されるといふ考へが、変化して来てゐるのである。
呪詞及び祝詞
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「
遇
(
あ
)
ひ難くして今遇ふことを得たり、聞き難くして
已
(
すで
)
に聞くことを得たり。」(
教行信証
(
きょうぎょうしんしょう
)
)といった邂逅の歓喜は、苦悩の長い漂泊なくては得られないであろう。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
ブルジョワさえこれと同じことを
已
(
すで
)
にやってるんだ。工場主たちは「三々会」だとか、「水曜会」だとか、そんな名称でチャンとお互の連絡と結束を計ってるんだ。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
十六章二十二節は「数年過ぎ去らば我は還らぬ旅路に往くべし」と言うた。そして十七章一節は言う「わが
息
(
いき
)
は
已
(
すで
)
に腐り、わが日すでに尽きなんとし、墓われを待つ」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
臨死
(
みまから
)
むとする時、長歎息して曰く、伝へ聞く
仮合
(
けがふ
)
の身滅び易く、
泡沫
(
はうまつ
)
の命
駐
(
とど
)
め難し。
所以
(
ゆゑ
)
に千聖
已
(
すで
)
に去り、百賢留らず、況して凡愚の
微
(
いや
)
しき者、何ぞも
能
(
よ
)
く逃避せむ。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
北村透谷君の事に就ては、これまでに折がある毎に少しずつ自分の意見を発表してあるから、私の見た北村君というものの大体の輪廓は、
已
(
すで
)
に世に紹介した積りである。
北村透谷の短き一生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
技やよしあしの何は問はず、黒人は存外まづいものなり、下手なものなり、いやでも黒人となりて、
其処
(
そこ
)
に衣食するに及べば、
已
(
すで
)
に早く一生の相場は定まれるものなり。
青眼白頭
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
烟にまかれて死ぬのは、不完全燃焼で出来る一酸化炭素を、肺に吸込んで其中毒で死ぬので、
已
(
すで
)
に
呼吸
(
いき
)
の無い屍体を、烟や火の中に抛り込んでも、此中毒は起しません。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
名を求めぬどころか、蘭学書生と云えば世間に悪く云われるばかりで、
既
(
すで
)
に
已
(
すで
)
に焼けに
成
(
なっ
)
て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
玩具及び人形は単に一時の娯楽品や、好奇心を満足せしむるを
以
(
も
)
ってやむものでない事は、人類最古の文明国たりし
埃及
(
エジプト
)
時代に
已
(
すで
)
に見事なものが存在したのでも知られる。
土俗玩具の話
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
が彼の言葉を言い切るまでに
已
(
すで
)
に彼の頭の何処かで、彼の此の考察を引き留めるものがあった。
決闘場
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
已
漢検1級
部首:⼰
3画
“已”を含む語句
已前
而已
已来
不得已
已下
已來
已上
已後
生滅滅已
已達
漢防已
而已歟
而已成
族而已
身子已是酥麻了
逝者已如水
我而已
成法已講
怨親已作平等心
已矣
...