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岸
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ぎし
ふりがな文庫
“
岸
(
ぎし
)” の例文
「もうじき
鷲
(
わし
)
の
停車場
(
ていしゃじょう
)
だよ」カムパネルラが
向
(
む
)
こう
岸
(
ぎし
)
の、三つならんだ小さな青じろい
三角標
(
さんかくひょう
)
と、地図とを見くらべて
言
(
い
)
いました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
其
(
それ
)
が
向
(
むか
)
う
岸
(
ぎし
)
へ
着
(
つ
)
いたと
思
(
おも
)
ふと、
四邊
(
あたり
)
また
濛々
(
もう/\
)
、
空
(
そら
)
の
色
(
いろ
)
が
少
(
すこ
)
し
赤味
(
あかみ
)
を
帶
(
お
)
びて、
殊
(
こと
)
に
黒
(
くろ
)
ずんだ
水面
(
すゐめん
)
に、五六
人
(
にん
)
の
氣勢
(
けはひ
)
がする、
囁
(
さゝや
)
くのが
聞
(
きこ
)
えた。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして、
川
(
かわ
)
にとびこんで
向
(
む
)
こう
岸
(
ぎし
)
へ
逃
(
に
)
げようか、
藪
(
やぶ
)
の
中
(
なか
)
にもぐりこんで、
姿
(
すがた
)
をくらまそうか、と、とっさのあいだに
考
(
かんが
)
えたのであります。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そしてやっと、水勢のゆるい
瀞
(
とろ
)
へかかった時、向こう
岸
(
ぎし
)
へはいあがって見ると、ああなんということだ!
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
少年たちは、その岩山の岸に、上陸できるような場所はないかと、注意ぶかく見はっていましたが、みな削ったようなきり
岸
(
ぎし
)
ばかりで、どこにもそんな場所は見あたりません。
新宝島
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
振返つて見ると高台にはもう
灯
(
ひ
)
が多くついて瞬間に火の都となつた様に思はれる。自分等はルウヴル宮の横の橋を渡つて北
岸
(
ぎし
)
で見物する事にしたが、待つて居るのに
丁度
(
ちやうど
)
程よい場所がない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
うつかりすつと
乳
(
ちゝ
)
ツ
岸
(
ぎし
)
までへえるやうな
深
(
ふか
)
ん
坊
(
ばう
)
の
冷
(
ひ
)
えつ
處
(
とこ
)
ぢやどうしたつて
晩稻
(
おくいね
)
でなくつちや
穫
(
と
)
れるもんぢやねえな、それから
俺
(
お
)
れ
役場
(
やくば
)
で
役人
(
やくにん
)
が
講釋
(
かうしやく
)
すつから
深
(
ふか
)
ん
坊
(
ばう
)
ぢや
斯
(
か
)
うだつち
噺
(
はなし
)
したら
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ことに
樂浪郡
(
らくろうぐん
)
の
役所
(
やくしよ
)
のあつたところは、
今日
(
こんにち
)
の
平壤
(
へいじよう
)
の
南
(
みなみ
)
、
大同江
(
だいどうこう
)
の
向
(
むか
)
う
岸
(
ぎし
)
にあつて、
古
(
ふる
)
い
城壁
(
じようへき
)
のあともありますが、
支那
(
しな
)
から
派遣
(
はけん
)
せられた
役人
(
やくにん
)
がこゝに
留
(
とゞ
)
まつて
朝鮮
(
ちようせん
)
を
治
(
をさ
)
めてゐたのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
まったく
向
(
む
)
こう
岸
(
ぎし
)
の野原に大きなまっ赤な火が
燃
(
もや
)
され、その黒いけむりは高く
桔梗
(
ききょう
)
いろのつめたそうな天をも
焦
(
こ
)
がしそうでした。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
で、
此
(
こ
)
の
沼
(
ぬま
)
は、
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いて、お
考
(
かんが
)
へに
成
(
な
)
るほど
大
(
おほき
)
なものではないのです。
然
(
さ
)
うかと
云
(
い
)
つて、
向
(
むか
)
う
岸
(
ぎし
)
とさし
向
(
むか
)
つて
聲
(
こゑ
)
が
屆
(
とゞ
)
くほどは
小
(
ちひ
)
さくない。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
不幸な子供の
魂
(
たましい
)
をとむらいながら、
可愛御堂
(
かわいみどう
)
の
堂守
(
どうもり
)
で
生涯
(
しょうがい
)
をおわろうと思っていた
菊村宮内
(
きくむらくない
)
も、むかしの主人であり、ふるさとの兵である
北国勢
(
ほっこくぜい
)
が、すぐ
向
(
むこ
)
う
岸
(
ぎし
)
の
木之本
(
きのもと
)
でやぶれ
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
家は皆それ程高くなくて、それの上半分は霧の中にぼやけてしまつて居る。帆柱が際立つた黒い
木立
(
こだち
)
のやうに見えて両
岸
(
ぎし
)
にそれぞれ寄りかたまつて居た。ひらひらと横長い旗が動いて居るのも見えた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「たしかにさようと
存
(
ぞん
)
ぜられます。
今朝
(
けさ
)
ヒームキャの
向
(
む
)
こう
岸
(
ぎし
)
でご
説法
(
せっぽう
)
のをハムラの二人の
商人
(
しょうにん
)
が
拝
(
おが
)
んで
参
(
まい
)
ったと
申
(
もう
)
します」
四又の百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
たゝつたな——
裏川岸
(
うらがし
)
の
土藏
(
どざう
)
の
腰
(
こし
)
にくつ
付
(
つ
)
いて、しよんぼりと
立
(
た
)
つたつけ。
晩方
(
ばんがた
)
ぢやああつたが、あたりがもう/\として、
向
(
むか
)
う
岸
(
ぎし
)
も、ぼつと
暗
(
くら
)
い。
折
(
をり
)
から
一杯
(
いつぱい
)
の
上汐
(
あげしほ
)
さ。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そしてそこは、黄河の
畔
(
ほとり
)
の——黄土層の低い
断
(
き
)
り
岸
(
ぎし
)
であった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その時
向
(
む
)
こう
岸
(
ぎし
)
ちかくの少し
下流
(
かりゅう
)
の方で、見えない天の川の水がぎらっと光って、
柱
(
はしら
)
のように高くはねあがり、どおとはげしい音がしました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
私
(
わし
)
は
其
(
その
)
まゝ
目
(
め
)
を
外
(
そ
)
らしたが、
其
(
そ
)
の一
段
(
だん
)
の
婦人
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
が
月
(
つき
)
を
浴
(
あ
)
びて、
薄
(
うす
)
い
煙
(
けぶり
)
に
包
(
つゝ
)
まれながら
向
(
むか
)
ふ
岸
(
ぎし
)
の
潵
(
しぶき
)
に
濡
(
ぬ
)
れて
黒
(
くろ
)
い、
滑
(
なめら
)
かな、
大
(
おほき
)
な
石
(
いし
)
へ
蒼味
(
あをみ
)
を
帯
(
お
)
びて
透通
(
すきとほ
)
つて
映
(
うつ
)
るやうに
見
(
み
)
えた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「来るよ、きっと。大てい
向
(
むこ
)
う
岸
(
ぎし
)
のあの草の中から出て来ます。兵隊だって
誰
(
だれ
)
だって
気持
(
きも
)
ちのいい所へは来たいんだ。」
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
大手筋
(
おほてすぢ
)
を
下切
(
おりき
)
つた
濠端
(
ほりばた
)
に——まだ
明果
(
あけは
)
てない、
海
(
うみ
)
のやうな、
山中
(
さんちゆう
)
の
原
(
はら
)
を
背後
(
うしろ
)
にして——
朝虹
(
あさにじ
)
に
鱗
(
うろこ
)
したやうに
一方
(
いつぱう
)
の
谷
(
たに
)
から
湧上
(
わきあが
)
る
向
(
むか
)
ふ
岸
(
ぎし
)
なる
石垣
(
いしがき
)
越
(
ごし
)
に、
其
(
そ
)
の
天守
(
てんしゆ
)
に
向
(
むか
)
つて
喚
(
わめ
)
く……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
馬の
蹄
(
ひづめ
)
の
底
(
そこ
)
の
砂利
(
じゃり
)
をふむ音と水のばちゃばちゃはねる音とが遠くの遠くの
夢
(
ゆめ
)
の中からでも来るように、こっち
岸
(
ぎし
)
の水の音を
越
(
こ
)
えてやって来ました。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
処
(
ところ
)
が
其
(
そ
)
の
小船
(
こぶね
)
は、
何
(
なん
)
の
時
(
とき
)
か、
向
(
むか
)
ふ
岸
(
ぎし
)
から
此
(
この
)
岸
(
きし
)
へ
漕寄
(
こぎよ
)
せたものゝ
如
(
ごと
)
く、
艫
(
とも
)
を
彼方
(
かなた
)
に、
舳
(
みよし
)
を
蘆
(
あし
)
の
根
(
ね
)
に
乗据
(
のつす
)
えた
形
(
かたち
)
に
見
(
み
)
える、……
何処
(
どこ
)
の
捨小船
(
すてをぶね
)
にも、
恁
(
か
)
う
逆
(
ぎやく
)
に
攬
(
もや
)
つたと
言
(
い
)
ふのは
無
(
な
)
からう。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それからしばらくたって、ふと私は川の
向
(
むこ
)
う
岸
(
ぎし
)
を見ました。せいの高い二本のでんしんばしらが、
互
(
たがい
)
によりかかるようにして一本の
腕木
(
うでぎ
)
でつらねられてありました。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「
御意
(
ぎよい
)
、」と
一同
(
いちどう
)
川岸
(
かはぎし
)
に
休息
(
きうそく
)
する。
向
(
むか
)
ふ
岸
(
ぎし
)
へのそ/\と
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たものがあつた。
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
向
(
むか
)
ふ
岸
(
ぎし
)
は
又
(
また
)
一
坐
(
ざ
)
の
山
(
やま
)
の
裾
(
すそ
)
で、
頂
(
いたゞき
)
の
方
(
はう
)
は
真暗
(
まつくら
)
だが、
山
(
やま
)
の
端
(
は
)
から
其
(
その
)
山腹
(
さんぷく
)
を
射
(
い
)
る
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らし
出
(
だ
)
された
辺
(
あたり
)
からは
大石
(
おほいし
)
小石
(
こいし
)
、
栄螺
(
さゞえ
)
のやうなの、六
尺角
(
しやくかく
)
に
切出
(
きりだ
)
したの、
剣
(
つるぎ
)
のやうなのやら
鞠
(
まり
)
の
形
(
かたち
)
をしたのやら
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“岸”の意味
《名詞》
(きし)海、湖沼、川などに接した陸地部分。
(出典:Wiktionary)
岸
常用漢字
小3
部首:⼭
8画
“岸”を含む語句
彼岸
対岸
河岸
河岸縁
海岸
川岸
河岸通
両岸
向岸
對岸
前岸
此岸
御厩河岸
彼岸桜
菖蒲河岸
海彼岸
代地河岸
海岸通
彼岸所
魚河岸
...