嫁入よめい)” の例文
うちとき齋藤さいとうむすめ嫁入よめいつては原田はらだ奧方おくがたではないか、いさむさんのやうにしていへうちおさめてさへけばなん子細しさい
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
太郎たろうは、きつねの嫁入よめいりのはなしをいていました。いまあちらの野原のはらで、その宴会えんかいひらかれているのでないかとおもいました。
大きなかに (新字新仮名) / 小川未明(著)
木乃伊が英国につくなりウ氏はこれを他家に嫁入よめいっている妹に送ったが、妹の家には受取った日から不幸が続いた。
怪談綺談 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
そして体の調子のよい折を見ては、夜、妻と三番目の娘が、嫁入よめいりの仕度したくに着物を縫っているかたわらで胡弓を奏でた。
最後の胡弓弾き (新字新仮名) / 新美南吉(著)
わしも、いまおもへば、そもじとおなほど年齡としごろ嫁入よめいって、そもじをまうけました。まんでへば、うぢゃ、あのパリス殿どのがそもじを内室うちかたにしたいといの。
わたくし三浦家みうらけへの嫁入よめいりにつきましてはべつふか仔細しさいはございませぬ。良人おっとわたくしちち見込みこんだのでございます。
がみにした女隠居おんないんきょが一人、嫁入よめいまえの娘が一人、そのまた娘の弟が一人、——あとは女中のいるばかりである。Nさんはこのうちへ行った時、何か妙に気の滅入めいるのを感じた。
春の夜 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「はははは、わしぐらいの年のばあさまじゃ、お目出たい事いの。位牌になって嫁入よめいりにござらっしゃる、南無妙。戸は閉めてきたがの、開けさっしゃりませ、掛金かけがねも何にもない、南無妙、」
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もうあまの心に成つて居ますと云つて泣き伏したが、もう朗然和上と夫婦との間に縁談がきまつて居つたあとだから、親の心に従つてつひに其年の十一月、娘は十五荷ので岡崎御坊へ嫁入よめいつて来た。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
いさちゃんのお婿むこさんなども、日露戦争にも出て、何処どこやらあかぬけのした在郷ざいごう軍人ぐんじんである。奉公に出た女にも、東京に嫁入よめいる者もあるが、田舎に帰ってとつぐ者が多い。何を云うても田舎は豊かである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
のこらずつむいでしまったら、あたしのいちばん上のむすこのおよめさんにしてあげますよ。おまえは貧乏びんぼうですけど、そんなことはかまいません。いっしょうけんめいせいだしてはたらくことが、なによりの嫁入よめいりじたくですからね。
嫁入よめいりなされ。(伊勢)
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
すれば、かうなってしまうたうへは、あの若殿わかとの嫁入よめいらッしゃるがいっ分別ふんべつぢゃ。おゝ、ほんに可憐かはいらしいおかた彼方あなたくらべてはロミオどのは雜巾ざふきんぢゃ。
処女時代むすめじだいけたわたくし教育しつけというのは大体だいたいそんなもので、馬術ばじゅつのち三浦家みうらけ嫁入よめいりしてからならいました。
ふくろ田舍いなか嫁入よめいつたあねところ引取ひきとつてもらひまするし、女房にようぼをつけて實家さともどしたまゝ音信不通いんしんふつうをんなではありしいともなんともおもひはしませぬけれど
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ほどへだたったまち酒屋さかやに、嫁入よめいりがありました。その評判ひょうばんは、このむらでもたいしたものでありました。
赤いガラスの宮殿 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まっくらな家の中を、人々は盲のように手でさぐりながら、水甕みずがめや、石臼いしうす大黒柱だいこくばしらをさぐりあてるのであった。すこしぜいたくな家では、おかみさんが嫁入よめいりのとき持って来た行燈あんどんを使うのであった。
おじいさんのランプ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
それからわたくしわれるままに、鎌倉かまくら実家じっかのこと、嫁入よめいりした三浦家みうらけのこと、北條ほうじょうとの戦闘たたかいのこと、落城後らくじょうご侘住居わびすまいのことなど、りのままにおはなししました。
ひとふなり温順おとなしう嫁入よめいつてわたしを、自然しぜん此樣こんうんこしらへていて、盲者めくらたにつきおとすやうなことあそばす、神樣かみさまといふのですかなんですか、其方そのかたじつうらめしい
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これらのむすめたちは、としごろになると、たいていは近傍きんぼうむらへ、もしくは、おなむらうち嫁入よめいりをしましたのに、どうしたまわわせであるか、おせんは、とおいところへゆくようになったのです。
北の不思議な話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
嫁入よめいりてより七ねんあひだ、いまだにりてきやくしこともなく、土産みやげもなしに一人ひとり歩行あるきしてるなど悉皆しつかいためしのなきことなるに、おもひなしか衣類いるいいつもほどきらびやかならず
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
嫁入よめいりのばん
三か月 (新字新仮名) / 小川未明(著)
醫學士いがくし細井ほそゐといふ色白いろじろひとにもまりかゝつたに、引違ひきちがへて旦那樣だんなさまのやうな無口むくちさまへ嫁入よめいつてたはうかいふ一時いちじ間違まちがひでもあらう、此間違このまちがひをこのまゝにとほして
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
嫁入よめいりのばん
あかい雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
此家こゝ嫁入よめいりせぬ以前いぜん、まだ小室こむろ養女やうぢよ實子じつしつたときに、いろ/\のひと世話せわをしてれて、種々いろ/\口々くち/″\申込まうしこんでれた、なかには海軍かいぐん潮田うしほだといふ立派りつぱかたもあつたし
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さはへどりがたきがなかなれば令孃ひめにもわろむしなどありて、其身そのみきたくおやりたけれど嫁入よめいりのせき落花らつくわ狼藉らうぜき萬一もしづかへば、むすめはぢはぢ流石さすが子爵ししやくどのくして
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ましてむこむかへんの嫁入よめいりせんのと、ひとめかしきのぞすこしもなし、たゞそなたさへ見捨みすてずは、御身おんみさへいとはせたまはずは、生涯しやうがい幸福かうふくぞかしとて嫣然につことばかりうちめば、松野まつのじり/\とひざすゝめて
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)