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坂
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ざか
ふりがな文庫
“
坂
(
ざか
)” の例文
さて、旧街道を——
庫裡
(
くり
)
を一廻り、寺の前から——路を
埋
(
うず
)
めた
浅茅
(
あさじ
)
を踏んで、横切って、石段下のたらたら
坂
(
ざか
)
を昇りかかった時であった。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少年
(
しょうねん
)
は、
坂
(
さか
)
の
上
(
うえ
)
まで
押
(
お
)
してやりました。しかし、
男
(
おとこ
)
は
下
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
にかかると
礼
(
れい
)
もいわずに、さっさといってしまいました。
石をのせた車
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
橋
(
はし
)
の
上
(
うへ
)
に立つて、
欄干
(
らんかん
)
から
下
(
した
)
を見
下
(
おろ
)
してゐたものが
二人
(
ふたり
)
あつた。金剛寺
坂
(
ざか
)
では誰にも逢はなかつた。岩崎家の高い石垣が左右から細い
坂道
(
さかみち
)
を
塞
(
ふさ
)
いでゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、幕府が
瓦解
(
がかい
)
し時勢が一変し、順風に帆を揚げたような伊藤の運勢が
下
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
に向ったのを看取すると、天性の覇気が脱線して
桁
(
けた
)
を
外
(
はず
)
れた変態生活に横流した。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
日本の七八月と思ふ程変調に暑い日の午後、だらだら
坂
(
ざか
)
に成つて居る赤土の焼けたその村の
路
(
みち
)
は、アカシヤの若葉の並木が続いて居るに
拘
(
かゝは
)
らず歩き
苦
(
ぐる
)
しかつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
飯田町
(
いいだまち
)
三丁目
黐
(
もち
)
の木
坂
(
ざか
)
下
(
した
)
向側の先考
如苞翁
(
じょほうおう
)
の家から毎日のように一番町なるわたしの家へ遊びに来た。
梅雨晴
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何故かならばいかにも空気が稀薄ですから、三途の
脱
(
のが
)
れ
坂
(
ざか
)
を二里ばかり登りますと非常に疲れて呼吸が大分苦しくなったから少しは薬なども飲むつもりで休みました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
松並木
(
まつなみき
)
が
盡
(
つ
)
きると、
石
(
いし
)
だたみのだら/\
坂
(
ざか
)
があつて、
其
(
そ
)
の
邊
(
へん
)
から
兩側
(
りやうがは
)
に
茶店
(
ちやみせ
)
が
並
(
なら
)
んでゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
ヅーッと
何処
(
どこ
)
までもつづく
山路
(
やまじ
)
……
大
(
たい
)
へん
高
(
たか
)
い
峠
(
とうげ
)
にかかったかと
思
(
おも
)
うと、
今度
(
こんど
)
は
降
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
になり、
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
にくねくねとつづらに
折
(
お
)
れて、
時
(
とき
)
に
樹木
(
じゅもく
)
の
間
(
あいだ
)
から
蒼
(
あお
)
い
海原
(
うなばら
)
がのぞきます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
仏天青
(
フォー・テンチン
)
も、人々のうしろから、柵の中にはいった。狭い
下
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
を、ついていくと、やがて、電灯のついただだっ
広
(
ぴろ
)
い部屋が見えた。ぷーんと
饐
(
す
)
えくさい空気が、彼の鼻をうった。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
旗を伏せ、
馬蹄
(
ばてい
)
をしのばせ、二宮村、池内村をすぎ、
物狂
(
ものくる
)
い
坂
(
ざか
)
で、朝となった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ぼくたち
村
(
むら
)
の
子供
(
こども
)
は、
見送
(
みおく
)
るつもりでしばらく
鐘
(
かね
)
のうしろについていった。
来
(
こ
)
さん
坂
(
ざか
)
もすぎたが、
誰一人
(
だれひとり
)
帰
(
かえ
)
ろうとしなかった。
小松山
(
こまつやま
)
のそばまで
来
(
き
)
たが、まだ
誰
(
だれ
)
も
帰
(
かえ
)
るようすを
見
(
み
)
せなかった。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
その
黄泉比良坂
(
よもつひらさか
)
というのは、今の
出雲
(
いずも
)
の國のイブヤ
坂
(
ざか
)
という坂です。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
間もなく、下谷からこのやきもち
坂
(
ざか
)
までひた走りに
駈
(
か
)
けて来る途中、屋敷の近くへ来てからこの雨にやられたとみえて、全身
濡
(
ぬ
)
れ鼠になって
惨
(
みじ
)
めな幸吉のすがたが、おずおずしながら通されて来た。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
紛々たる人の
噂
(
うわさ
)
は滅多に
宛
(
あて
)
になら
坂
(
ざか
)
や
児手柏
(
このでがしわ
)
の
上露
(
うわつゆ
)
よりももろいものと
旁付
(
かたづけ
)
て置いて、さて正味の
確実
(
たしか
)
なところを
掻摘
(
かいつま
)
んで
誌
(
しる
)
せば、
産
(
うまれ
)
は
東京
(
とうけい
)
で、水道の水臭い士族の
一人
(
かたわれ
)
だと履歴書を見た者の
噺
(
はな
)
し
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
見
(
み
)
すかされ
機械仕掛
(
きかいじかけ
)
のあやつり
身上
(
しんじやう
)
松澤
(
まつざは
)
ももう
下
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
よと
囃
(
はや
)
されんは
口惜
(
くちを
)
しく
脊
(
せ
)
なる
新田
(
につた
)
は
後廻
(
あとまは
)
し
腹
(
はら
)
の
織元
(
おりもと
)
其他
(
そのほか
)
へ
有金
(
ありがね
)
大方
(
おほかた
)
取
(
とり
)
あつめて
仕拂
(
しはら
)
ひたる
噂
(
うはさ
)
こそ
耳
(
みゝ
)
よりのことなれと
平生
(
ひごろ
)
ねらひすませし
的
(
まと
)
彼方
(
かなた
)
より
延期
(
えんき
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
漸
(
ようや
)
くだらだら
坂
(
ざか
)
になって、上りきったナと思うと
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
やれ、もひとつくだれ、
下
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
だらだら
坂
(
ざか
)
の
二側
(
ふたかは
)
に
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
(○註に、けわい
坂
(
ざか
)
——実は吉原——近所だけか、おかしなことばが、うつッていたまう、)と
洒落
(
しゃ
)
れつつ敬意を表した
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二人はまただらだら
坂
(
ざか
)
の中途にある
家
(
うち
)
の前へ来た。はいる時には誰もいる
気色
(
けしき
)
の見えなかった
縁
(
えん
)
に、お
上
(
かみ
)
さんが、十五、六の娘を相手に、糸巻へ糸を巻きつけていた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
上
(
あが
)
り
坂
(
ざか
)
の街を、ぶらぶらのぼってゆくと、やがて大きな
社
(
やしろ
)
の前に出た。鳥居の間から、ひろい
境内
(
けいだい
)
が見える。太い
銀杏樹
(
いちょうのき
)
が、
百日鬘
(
ひゃくにちかずら
)
のように繁っている。彼は石段に足をかけようとした。
脳の中の麗人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
巴里
(
パリイ
)
の道ももう
此辺
(
このへん
)
はアスフワルトでもなければ
切石
(
きりいし
)
を敷いた道でもない。清水の三年
坂
(
ざか
)
程の勾配を
上
(
のぼ
)
る靴はかなり迷惑な土ぼこりを
身体
(
からだ
)
に上げる。八月の中頃であるから
未
(
ま
)
だ暑さも
一通
(
ひととほ
)
りではない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
やれ、もひとつあがれ、
上
(
のぼ
)
り
坂
(
ざか
)
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
もちの
木
(
き
)
坂
(
ざか
)
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兩側
(
りやうがは
)
に
大藪
(
おほやぶ
)
があるから、
俗
(
ぞく
)
に
暗
(
くら
)
がり
坂
(
ざか
)
と
稱
(
とな
)
へる
位
(
ぐらゐ
)
、
竹
(
たけ
)
の
葉
(
は
)
の
空
(
そら
)
を
鎖
(
とざ
)
して
眞暗
(
まつくら
)
な
中
(
なか
)
から、
烏瓜
(
からすうり
)
の
花
(
はな
)
が
一面
(
いちめん
)
に、
白
(
しろ
)
い
星
(
ほし
)
のやうな
瓣
(
はなびら
)
を
吐
(
は
)
いて、
東雲
(
しのゝめ
)
の
色
(
いろ
)
が
颯
(
さつ
)
と
射
(
さ
)
す。
山の手小景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
麻布の松は、くらがり
坂
(
ざか
)
の上にかくれて、まだ見えない。道の右手に、寺の
石磴
(
いしだん
)
がすっくと高い。心なしか、この磴が金沢の松の
上
(
あが
)
り口にそっくり似ている。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
日は
午
(
ご
)
なり。あらら
木
(
ぎ
)
のたらたら
坂
(
ざか
)
に樹の蔭もなし。寺の門、植木屋の庭、花屋の店など、坂下を
挟
(
さしはさ
)
みて町の入口にはあたれど、のぼるに従いて、ただ
畑
(
はた
)
ばかりとなれり。
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その袖の香を心当てに、
谷中
(
やなか
)
のくらがり
坂
(
ざか
)
の
宵暗
(
よいやみ
)
で、愛吉は定子(山の井夫人)を殺そう。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今
(
いま
)
は
然
(
さ
)
る
憂慮
(
きづかひ
)
なし。
大塚
(
おほつか
)
より
氷川
(
ひかは
)
へ
下
(
お
)
りる、たら/\
坂
(
ざか
)
は、
恰
(
あたか
)
も
芳野世經氏宅
(
よしのせいけいしたく
)
の
門
(
もん
)
について
曲
(
まが
)
る、
昔
(
むかし
)
は
辻斬
(
つじぎり
)
ありたり。こゝに
幽靈坂
(
いうれいざか
)
、
猫又坂
(
ねこまたざか
)
、くらがり
坂
(
ざか
)
など
謂
(
い
)
ふあり、
好事
(
かうず
)
の
士
(
し
)
は
尋
(
たづ
)
ぬべし。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
浜辺は煮えて
賑
(
にぎや
)
かに、町は寂しい
樹蔭
(
こかげ
)
の細道、たらたら
坂
(
ざか
)
を下りて来た、
前途
(
ゆくて
)
は石垣から折曲る、しばらくここに
窪
(
くぼ
)
んだ処、ちょうどその寺の
苔蒸
(
こけむ
)
した青黒い段の下、
小溝
(
こみぞ
)
があって、しぼまぬ月草
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
(
か
)
う
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
る
間
(
あひだ
)
、
件
(
くだん
)
のだら/″\
坂
(
ざか
)
は
大分
(
だいぶ
)
長
(
なが
)
かつた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
闇
(
くら
)
がり
坂
(
ざか
)
を通った時だよ。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“坂”の意味
《名詞》
(さか)一方が高く、一方が低く傾斜して勾配のある道。さかみち。
(さか)難渋して進みがたい過程。
(出典:Wiktionary)
“坂”の解説
坂(さか、en: slope)は、一方は高く一方は低い(つまり)傾斜のある道(坂道)。また傾斜のある場所(傾斜地、坂地)。またその傾斜。
(出典:Wikipedia)
坂
常用漢字
小3
部首:⼟
7画
“坂”を含む語句
坂下
胸突坂
下坂
坂上
忍坂
相坂
大坂町
逢坂
逢坂山
坂路
大坂
上坂
飯坂
黄泉比良坂
小坂
香坂
九段坂上
神楽坂
御坂
坂東
...