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駆
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か
ふりがな文庫
“
駆
(
か
)” の例文
旧字:
驅
と、
困
(
こま
)
ってべそをかきました。するうち、ふと
何
(
なに
)
か
思
(
おも
)
いついたとみえて、いきなりお
重箱
(
じゅうばこ
)
をかかえて、
本堂
(
ほんどう
)
へ
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
して行きました。
和尚さんと小僧
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「そんな
話
(
はなし
)
はどうだっていい。まあ、
早
(
はや
)
くいってこよう。」と、きつねがいったので、りすは、
一飛
(
ひとと
)
びに
谷
(
たに
)
の
方
(
ほう
)
へ
駆
(
か
)
けていきました。
深山の秋
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
甲二郎は、気が落ちつくのを待って立ち上ると、こんどは
駆
(
か
)
け足でもって、山塞へとびこんだ。そしてこの
変事
(
へんじ
)
を知らせたのである。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
肉体の苦しみを度外に置いて、物質上の不便を物とも思わず、勇猛
精進
(
しょうじん
)
の心を
駆
(
か
)
って、人道のために、
鼎鑊
(
ていかく
)
に
烹
(
に
)
らるるを面白く思う。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
泊の町から、南をさして人力車を
駆
(
か
)
れば、たちまち大小のピラミッドの二大縦列が、行く手の空を切り裂いているのに、眼を奪われる。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
▼ もっと見る
大急ぎで
駆
(
か
)
けて来るポチの足音が聞こえやしないかと思って。けれどもポチのすがたも、足音も、鳴き声も聞こえては来なかった。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
すぐさま石垣からとびおりると、ガチョウのむれのまんなかに
駆
(
か
)
けこんで、その若いガチョウの
首
(
くび
)
っ
玉
(
たま
)
にかじりついて、さけびました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
雨彦と呼ばれた少年は「ん」と云って、一目散に裏の方へ
駆
(
か
)
けて行く。他のわらべ達は一様に彼を見送って、何か心配そうにしている。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
袖
(
そで
)
は
両方
(
りやうはう
)
から
振
(
ふり
)
が
合
(
あ
)
つて、
乳
(
ちゝ
)
のあたりで、
上下
(
うへした
)
に
両手
(
りやうて
)
を
重
(
かさ
)
ねたのが、ふつくりして、
中
(
なか
)
に
何
(
なに
)
か
入
(
はい
)
つて
居
(
ゐ
)
さうで、……
駆
(
か
)
けて
行
(
い
)
つて
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
第一装
(
だいいっそう
)
のブレザァコオトに
着更
(
きが
)
え、
甲板
(
かんぱん
)
に立っていると、上甲板のほうで、「
鱶
(
ふか
)
が
釣
(
つ
)
れた」と
騒
(
さわ
)
ぎたて、みんな
駆
(
か
)
けてゆきました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
おそらくこれは衆愚を
駆
(
か
)
り立てる策士の策であったろう。これまで“五ノ宮”などという皇子の存在は世間のたれも知っていない。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
給仕の支那少年との偶然の会話が縁となって、これを知らなければならぬとの知識慾に
駆
(
か
)
られたのが、そもそもの動機であります。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
馬上旅行というものは、未だかつて経験したことがないが、冬日風に向って馬を
駆
(
か
)
るなんぞは、あまりありがたいこととは思われない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
到底行い得べくも無いような空想に
駆
(
か
)
らるるのもその一つである。のみならず岸本は自分で自分の
鞭
(
むち
)
を背に受けねば成らなかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
停車場に別れを告げて、わが家をさして車を
駆
(
か
)
りつ。ここにてはいまも
除夜
(
じょや
)
に眠らず、元旦に眠るが習いなれば、万戸寂然たり。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
けれども彼は落葉だけ明るい、もの
寂
(
さ
)
びた
境内
(
けいだい
)
を
駆
(
か
)
けまわりながら、ありありと硝煙の
匂
(
におい
)
を感じ、飛び違う砲火の
閃
(
ひらめ
)
きを感じた。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
やはり鼠が欠乏に
駆
(
か
)
り立てられて、海に出て行くことだけはこの辺の人が知っていたので、こんな話も生まれたかと私は考える。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
こういうとき、私は強い衝動に
駆
(
か
)
られて、
若
(
も
)
し許さるるなら私は大声
挙
(
あ
)
げて「タロー! タロー!」と野でも山でも
叫
(
さけ
)
び
廻
(
まわ
)
り度い気がする。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
かれはもう一度挙手の礼を送り、まわれ右をして、
駆
(
か
)
け
足
(
あし
)
で隊の
右翼
(
うよく
)
に帰って行き、そこではじめて「休め」の号令をかけた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
ただの百姓や
商人
(
あきゅうど
)
など
鋤鍬
(
すきくわ
)
や帳面のほかはあまり手に取ッたこともないものが「サア軍だ」と
駆
(
か
)
り集められては親兄弟には涙の水杯で
暇乞
(
いとまご
)
い。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
やがて、長者の家の人達が、
正気
(
しょうき
)
づいて
駆
(
か
)
けつけてみますと、庭の中が黒こげになっていて、長者は姿も見えませんでした。
雷神の珠
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
彼が水の上を雌に求め寄ってゆく、それは人間の子供が母親を見つけて甘え泣きに泣きながら
駆
(
か
)
け寄って行くときと少しも変ったことはない。
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
もしなんですな、貧困がソフィヤ・セミョーノヴナを
駆
(
か
)
って、かかる行為をさせたものとすれば、わたしも同情を惜しむわけじゃありません。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
あれあれ
薄
(
うす
)
い
鼠色
(
ねずみいろ
)
の
男
(
おとこ
)
の
竜神
(
りゅうじん
)
さんが、
大
(
おお
)
きな
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
けて、二
本
(
ほん
)
の
角
(
つの
)
を
振
(
ふ
)
り
立
(
た
)
てて、
雲
(
くも
)
の
中
(
なか
)
をひどい
勢
(
いきおい
)
で
駆
(
か
)
けて
行
(
ゆ
)
かれる……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
むしろ研究というものはこういうものと初めから思い込んで、唯面白いという念だけに
駆
(
か
)
られて、実験に打ち込んでいた。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「猫の子!」と、ジナイーダは
叫
(
さけ
)
ぶと、ぱっと椅子から立ち上がって、毛糸の
毬
(
まり
)
をわたしの
膝
(
ひざ
)
へほうり出したまま、部屋から
駆
(
か
)
け出して行った。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
と
診察室
(
しんさつしつ
)
へ案内した。照彦様と正三君は防水布の手術着をまとった。なんとなくものものしい。そこへ安斉先生が
駆
(
か
)
けつけた。奥様へ一礼の後
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
船中で鼠を
駆
(
か
)
り、また消毒をするために亜硫酸瓦斯を用うる事があるが、その効験に関する詳細な調査の結果に拠れば
話の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そしてその年の冬、母の帰京すると共に、わたくしもまた船に乗った。公園に馬車を
駆
(
か
)
る支那美人の
簪
(
かざし
)
にも既に菊の花を見なくなった頃であった。
十九の秋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
大軌電車沿線のS女学校生徒だと知ったので、その日の午後授業をサボって上本町六丁目の大軌電車構内へ
駆
(
か
)
けつけた。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
初恋の少女コンスタンティアに近づく勇気を欠いた
懊悩
(
おうのう
)
は、二十歳のショパンを
駆
(
か
)
り
立
(
た
)
てて、ついに「帰ることなき旅」へと出発させたのである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
七八
間先
(
けんさき
)
を
小
(
こ
)
きざみに
往
(
い
)
く
渋蛇
(
しぶじゃ
)
の
目
(
め
)
の
横
(
よこ
)
を、一
文字
(
もんじ
)
に
駆脱
(
かけぬ
)
けたのも
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
、やがて
踵
(
くびす
)
を
返
(
かえ
)
すと、
鬼
(
おに
)
の
首
(
くび
)
でも
取
(
と
)
ったように、
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
んで
駆
(
か
)
け
戻
(
もど
)
った。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そして、不意に半分手を差し出している米の傍から、
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
した。米は、三、四
間
(
けん
)
後を追いかけたが急に
真蒼
(
まっさお
)
な顔をして走り止まると大声で泣いた。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
柔らかい生白い、たえずろくろのように廻っているような首すじ、その喉笛のしたにぽっちりついた傷が男には忌わしい妄念を
駆
(
か
)
らせたのであった。
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
本所へ通ずる別の道を、これは乾雲をひっつかんだ諏訪栄三郎が、おなじく鈴川屋敷を指してひた走りに
駆
(
か
)
けていた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
自己の希望がものの
理
(
り
)
と
符合
(
ふごう
)
すればよいが、なかなかそう
甘
(
うま
)
くゆくことが
少
(
すく
)
ないから、結局感情に
駆
(
か
)
られて
為
(
な
)
すことは、
理
(
り
)
に
背
(
そむ
)
くこととなりやすい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
興奮した心の状態、奔放な情と悲哀の快感とは、極端までその力を発展して、一方痛切に
嫉妬
(
しっと
)
の念に
駆
(
か
)
られながら、一方冷淡に自己の状態を客観した。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
彼はその半ば夢心地の状態に倦きてくると、動き出して音をたてたい欲求に
駆
(
か
)
られた。すると、音楽を作り出して、それをあらんかぎりの声で歌った。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そうなりさえすれば、どうにかまた方法が立つであろうという考えにばかり
駆
(
か
)
られつつ待って居りますと、大王は二月の七日頃に首府に帰られたです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そうしているところへちょうど都合よく道を通る者が来合わしたから、私はそれからいっさんに
駆
(
か
)
けて戻りました
雪の日
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
心
(
こころ
)
は
不覚
(
そぞろ
)
、
気
(
き
)
は
動顛
(
どうてん
)
して、いきなり、
室
(
へや
)
を
飛出
(
とびだ
)
したが、
帽
(
ぼう
)
も
被
(
かぶ
)
らず、フロックコートも
着
(
き
)
ずに、
恐怖
(
おそれ
)
に
駆
(
か
)
られたまま、
大通
(
おおどおり
)
を
真
(
ま
)
一
文字
(
もんじ
)
に
走
(
はし
)
るのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
この二つの生き物は、まるでその持つ力以上の力といふやうなものに
駆
(
か
)
られてゐる風に、走り、浮き、旋回し、沈みしつゞけてゐた。手早く網ですくふ。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
神話やユトーピアが人間の感情を
刺戟
(
しげき
)
して、現実の行動に
駆
(
か
)
り立てる力がたいせつなので、政治にとって問題となるのはあくまでその現実の力なのである。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
事情に
駆
(
か
)
られて婚礼を急ぐほど不幸なる者はなけん。さりながら今の世には聞く人もまたかかる事情を
怪
(
あやし
)
まず。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それからというもの、私は夕方にさえなれば路地を
駆
(
か
)
け出して行って表の人通りを
眺
(
なが
)
めた。それは父が迎えに来てくれているように思われたからであった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「この頃ここらに妖邪の
祟
(
たた
)
りがあるのを、おまえたちも知らぬはずはあるまい。早くここへ
駆
(
か
)
り出して来い」
世界怪談名作集:18 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
瞿佑
(著)
この男は、ほかの男の子たちといっしょに
駆
(
か
)
けまわっていた小さいころから、もうプルチネッラでした。自然がこの男をそういうふうにつくっていたのです。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
広川氏は
停車場
(
ステーシヨン
)
から一息に駿河台の自宅へ帰つて来た。そして窮屈な洋服を
褞袍
(
どてら
)
に脱ぎかへるなり、二階へ
駆
(
か
)
け
上
(
あが
)
つて、肘掛窓から下町辺をずつと
見下
(
みおろ
)
した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お客は、いきなり
飛
(
と
)
び起きると、あわてて着物を引っかけ、
荷物
(
にもつ
)
をかき集めてはしご
段
(
だん
)
を
駆
(
か
)
け下りました。
神様の布団
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
「死体が橇を
駆
(
か
)
る。ふわふわと魂がはしらせる幻の橇なんて、そりゃ君みたいな馬鹿文士の書くことだ。あくまで、冷たくなったエスキモー人の死体。どうだ」
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
駆
常用漢字
中学
部首:⾺
14画
“駆”を含む語句
先駆
追駆
前駆
駆使
駆歩
駆込
駆使部
疾駆
駆落
駆競
駆廻
駆引
遠駆
馳駆
駆逐
長駆
駆出
駆逐艦
烏啼天駆
先駆者
...