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除
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よ
ふりがな文庫
“
除
(
よ
)” の例文
「それから取っ組み合いが始まったが、恐ろしく強い野郎で、その上
匕首
(
あいくち
)
を持ってやがる。
切尖
(
きっさき
)
を
除
(
よ
)
けるはずみに、
鼠坂
(
ねずみざか
)
を
逆落
(
さかおと
)
しだ」
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
只今も申しまする通り夜分になれば伯父の目さえ
除
(
よ
)
ければ
憚
(
はゞか
)
るものはないんでげすから、お若さんも伊之助も
好事
(
いゝこと
)
にして引きいれる
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それは新しい鳥打帽を
眉深
(
まぶか
)
く
冠
(
かぶ
)
って、流感
除
(
よ
)
けの黒いマスクをかけた若い運転手の指であったが……私はすぐに手を振って見せた。
冗談に殺す
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私たちはときどき日を
除
(
よ
)
けるため道ばたの農家の前に立ち止まって、去年と同じように蚕を飼っている家のなかの様子を
窺
(
うかが
)
ったり
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
あんまり気負いこんだ走りかたなので、往来の人たちは吃驚して、道を
除
(
よ
)
け、路傍の家からは、とびだして来て眺める者があった。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
因ってその辺の猫は今に蚤付かず。さてこの鼠神の祭日に出す鼠
除
(
よ
)
けの守り札を貼れば鼠害なしという(『郷土研究』三巻四二八頁)。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
肋骨
(
あばら
)
へ、いきなり、
匕首
(
あいくち
)
だった。彼が
除
(
よ
)
けて仰向けに倒れるのと、外の人間がかたまって
躍
(
おど
)
りこんだのと、息一つの差がなかった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ちょうど、ぱらぱらと散って来るのが、その夕日を
除
(
よ
)
けた、
袂
(
たもと
)
へ留まったのですがね。余りに綺麗だ。これにゃ相当のワキ師があろう。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼らは、雨も雪も降らないのに、
合羽
(
かっぱ
)
を着ていた、それは寒さをも防ぐし、軽くもあるのだ。そして
飛沫
(
ひまつ
)
をも
除
(
よ
)
けることができるのだ。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
それを顔の前にあてるのである。いわばヴェールである。この「
顔当
(
かおあて
)
」は昼
野良
(
のら
)
で仕事をする時、虫を
除
(
よ
)
けるためだといわれる。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
身体を水に
濡
(
ぬ
)
らしては火の粉を
除
(
よ
)
けるという騒ぎ、何んのことはない、火責め水責めを前後に受けて生きた心地もしなかった。
幕末維新懐古談:15 焼け跡の身惨なはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
虫
除
(
よ
)
けの薬をいれる、ホドヂンと云うセロファンの薬の袋を
貼
(
は
)
っているひとたちのなかに、
眼鏡
(
めがね
)
をかけた赤い着物のおばあさんもいました。
新生の門:――栃木の女囚刑務所を訪ねて
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
隠れた恋人の家は幾つもあるはずであるが、久しぶりに帰ってきて、方角
除
(
よ
)
けにほかの女の所へ行っては夫人に済まぬと思っているらしい。
源氏物語:02 帚木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
老紳士「鶏小屋へはよく
鼬
(
いたち
)
が来たり蛇が来たりしていけませんが何か防ぐ法がありますか」中川「鼬
除
(
よ
)
けには
硝子板
(
がらすいた
)
か
鮑貝
(
あわびかい
)
のような光るものを ...
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
風を
除
(
よ
)
けて、湖の岐入の方へ流れ入ると、出崎の城の
天主閣
(
てんしゅかく
)
が
松林
(
まつばやし
)
の蔭から覗き出した。秀江の村の網手の影が眼界に
浮
(
うか
)
び上って来たのである。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その
外
(
ほか
)
には
事業
(
じぎょう
)
成功
(
せいこう
)
の
祈願
(
きがん
)
、
災難
(
さいなん
)
除
(
よ
)
けの
祈願等
(
きがんとう
)
いろいろございます。これは
何
(
いず
)
れの
神社
(
じんじゃ
)
でも
恐
(
おそ
)
らく
同様
(
どうよう
)
かと
存
(
ぞん
)
じます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
互いにからだをすりつけて、風と
陽
(
ひ
)
とを
除
(
よ
)
けているのだ。犬を見る。わたしを見る。わたしをたぶん見識っているかも知れない。こわくって飛べない。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
古マントに風を
除
(
よ
)
けながら、
漸
(
ようや
)
く私が訪れた時には、もう彼は起きていて、心からこの失業者を歓迎して呉れた。
自殺を買う話
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
村の人が背負い網を負って山から帰って来る頃で、見知った顔が何度も自動車を
除
(
よ
)
けた。そのたび私はだんだん「意志の中ぶらり」に興味を覚えて来た。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
そして、
八反
(
はったん
)
の着物を着たまま、ゴミ
除
(
よ
)
け
眼鏡
(
めがね
)
を顔につけ、部落を乗りまわしたものであった。その姿は全く異様であったが、
頓着
(
とんじゃく
)
するどころではなかった。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
ところが顔の先へ押し付けられた夕刊を
除
(
よ
)
けて、
四辺
(
あたり
)
を見廻した彼は、急におやと思わざるを得なかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
昼のうちは教室で働き、夜は出来るだけ
晩
(
おそ
)
く帰り、虫
除
(
よ
)
けの粉などを振まいて、南京虫に食はれて寝た。
南京虫日記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
今まで己が眠っている
間
(
あいだ
)
に、出て行った事があるのだろうか。そうかも知れない。どこへ行くのだろう。つい一二時間病室の陰気な空気を
除
(
よ
)
けている積りだろうか。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
沢山
(
たくさん
)
の短いトンネルと雪
除
(
よ
)
けの柱の列が、
広漠
(
こうばく
)
たる灰色の空と海とを、
縞目
(
しまめ
)
に区切って通り過ぎた。
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
Kと私とは崩壊した家屋の上を乗越え、障害物を
除
(
よ
)
けながら、はじめはそろそろと進んで行く。そのうちに、
足許
(
あしもと
)
が
平坦
(
へいたん
)
な地面に達し、道路に出ていることがわかる。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
それから、また、机の引き出しを、くしゃくしゃかきまわす。感冒
除
(
よ
)
けの黒いマスクを見つけた。
懶惰の歌留多
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そこで私は何かいい水難
除
(
よ
)
けの
呪
(
まじない
)
でもないかといろいろ考えた末庭の松の枝へ海水着の濡れたのを懸けて置こうかと思う、そして絶えず女中に水をかけさせて置くのだ
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
しばらく口を
利
(
き
)
かずに歩いた後、Sは扇に日を
除
(
よ
)
けたまま、大きい
缶
(
かん
)
づめ屋の前に立ち止った。
死後
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
五月の潮の、ふくれきった水面は、小松の枝振りの面白い、波
除
(
よ
)
けの土手に邪魔もされず、
白帆
(
しらほ
)
をかけた
押送
(
おしおく
)
り
船
(
ぶね
)
が、すぐ眼の前を
櫓
(
ろ
)
拍子いさましく通ってゆくのが見える。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「どうもこいつは驚いたな。
除
(
よ
)
けても除けても着きまとって来る。まるで俺の運命のようだ」
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
毎々の無心は
肯
(
き
)
かれないと申し聞かせますと、それならばいい工夫がある……と云うのが地蔵の踊りで、コロリ
除
(
よ
)
けと云い触らせば、きっと繁昌すると云うのでござります。
半七捕物帳:66 地蔵は踊る
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この数学の教師はまだ若い時に、暖炉の灰
除
(
よ
)
けにかかっていた女中の着物をある日見て、そのためにその女を思うようになった。ファヴォリットはその間に生まれたのである。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
麦藁帽
(
むぎわらぼう
)
の下から手拭を垂らして、日を
除
(
よ
)
けながらトボトボ歩きました。京都へ着くと、もう日が暮れていましたが、それでも歩きつづけて、石山まで行ってやっと野宿しました。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
そんなことでもして悪病の神を送るよりほかに災難の
除
(
よ
)
けようもないと聞いては、年寄役の
伏見屋金兵衛
(
ふしみやきんべえ
)
なぞが第一黙っているはずもなく、この宿でも八月のさかりに門松を立て
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その
怖
(
おそろ
)
しい勢を見て、
体
(
からだ
)
を
道傍
(
みちばた
)
へ
除
(
よ
)
けようとしましたが、牡牛はかえって一郎次の方へ
真直
(
まっす
)
ぐに突き進んで来て、アット思う
間
(
ま
)
もなく、一郎次を二つの角で引っかけたかと思うと
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
先に
除
(
よ
)
けてか林の
傍
(
わき
)
の
草原
(
くさはら
)
を濡れつゝ
來
(
きた
)
る
母子
(
おやこ
)
あり
母
(
をや
)
は三十四五ならんが貧苦に
窶
(
やつ
)
れて四十餘にも見ゆるが脊に
三歳
(
みつ
)
ばかりの子を負ひたり
後
(
うしろ
)
に歩むは
六歳
(
むつ
)
ばかりの女の子にて下駄を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
この地形は航海者にとっても、また陸岸の網引にとってもともに重大なる関係がある。フクラの端はすなわちミサキであり、その陰は風を
除
(
よ
)
け舟を泊することができるからである。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼女は、それを
除
(
よ
)
けるために、からだを
斜
(
はす
)
にして、いつとき道ばたに立ちすくんだ。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
母親は、押入れの
葛籠
(
つづら
)
のなかから、子供の冬物を引っ張り出して見ていた。田舎から
除
(
よ
)
けて持って来てた、丹念に始末をしておいた手織物が、東京でまた役に立つ時節が近づいて来た。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
とにかく
鏡
(
かゞみ
)
は
昔
(
むかし
)
支那
(
しな
)
でも
顏
(
かほ
)
を
寫
(
うつ
)
すばかりのものではなく、これを
持
(
も
)
つてゐると、
惡魔
(
あくま
)
を
除
(
よ
)
けるといふような
考
(
かんが
)
へがあつたので、
墓
(
はか
)
に
收
(
をさ
)
めたのもさういふ
意味
(
いみ
)
があつたかも
知
(
し
)
れないのです。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
其
(
そ
)
れでゐて
足音
(
あしおと
)
は
極
(
ご
)
く
靜
(
しづか
)
で、
歩
(
ある
)
く
樣子
(
やうす
)
は
注意深
(
ちゆういぶか
)
い
忍足
(
しのびあし
)
のやうである。
狹
(
せま
)
い
廊下
(
らうか
)
で
人
(
ひと
)
に
出遇
(
であ
)
ふと、
先
(
ま
)
づ
道
(
みち
)
を
除
(
よ
)
けて
立留
(
たちどま
)
り、『
失敬
(
しつけい
)
』と、さも
太
(
ふと
)
い
聲
(
こゑ
)
で
云
(
い
)
ひさうだが、
細
(
ほそ
)
いテノルで
然
(
さ
)
う
挨拶
(
あいさつ
)
する。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その
声
(
こえ
)
を
聞
(
き
)
くと、
坊
(
ぼう
)
さんは、さてこそ
鬼婆
(
おにばばあ
)
が
追
(
お
)
っかけて
来
(
き
)
たとがたがたふるえながら、
耳
(
みみ
)
をふさいでどんどん
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
して行きました。そして
心
(
こころ
)
の中で
悪鬼
(
あくき
)
除
(
よ
)
けの
呪文
(
じゅもん
)
を
一生懸命
(
いっしょうけんめい
)
唱
(
とな
)
えていました。
安達が原
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
新庄以北、釜淵・
及位
(
のぞき
)
あたり、山手にかかっては雪がますます深く、山の斜面には
雪崩
(
なだれ
)
の跡が所々に見える。駅の前は
吹雪
(
ふぶき
)
除
(
よ
)
けの
葦簀
(
よしず
)
の垣根が作られている。同車の客の土木請負師らしい人は言う。
春雪の出羽路の三日
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
「それは、
瓦斯
(
ガス
)
マスクですよ。毒瓦斯
除
(
よ
)
けに使うマスクなんです」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
薯がらの
小積
(
こづみ
)
のかげだ吸ふ煙草だ早春の出洲の烈風を
除
(
よ
)
けて
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「いゝえ。私が行者に頼んで
除
(
よ
)
けをしたからですわ」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
飛込んだガラツ八、絡み付くお喜代に手が伸びると、平次はそれに引かれるやうに、僅かに身をかはして辛くも匕首の
尖
(
さき
)
を
除
(
よ
)
けます。
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし又、それだけ不良に慣れ切っているから、滅多な不良は寄せ付けぬと同時に、不良
除
(
よ
)
けの不良を飼っておくような処もある。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
私たちはときどき日を
除
(
よ
)
けるため道ばたの農家の前に立ち止って、去年と同じように蚕を飼っている家のなかの様子を
窺
(
うかが
)
ったり
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
日あたりを
除
(
よ
)
けて来て、且つ汗ばんだらしい、
姉
(
あね
)
さん
被
(
かぶ
)
りの
手拭
(
てぬぐい
)
を取って、額よりは
頸脚
(
えりあし
)
を軽く
拭
(
ふ
)
いた。やや
俯向
(
うつむ
)
けになった
頸
(
うなじ
)
は雪を欺く。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
除
常用漢字
小6
部首:⾩
10画
“除”を含む語句
取除
掃除
祓除
拭掃除
除夜
除外
庭掃除
蠅除
日除
魔除
厄除
削除
芟除
雷除
風除
除去
刪除
雨除
除目
大掃除
...