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跨
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またが
ふりがな文庫
“
跨
(
またが
)” の例文
苦情は先刻此処に
跨
(
またが
)
っていて、いまも庭をぶらついているあいつの言分なんです。その証拠には私はもう帰りかけているくらいです。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
日影なおあぶずりの
端
(
は
)
に
躊
(
た
)
ゆたうころ、川口の浅瀬を村の若者二人、はだか馬に
跨
(
またが
)
りて静かに
歩
(
あゆ
)
ます、画めきたるを見ることもあり。
たき火
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
国守は、なぜか知ら、突然京に残した
女
(
むすめ
)
の事を思い出していた。そうして馬に
跨
(
またが
)
ったまま、その森の方へいつまでも目を遣っていた。
姨捨
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
最初
(
のっけ
)
から四番目まで、湧くような歓呼の
裡
(
うち
)
に勝負が定まって、さていよいよお
鉢
(
はち
)
が廻って来ると、源は
栗毛
(
くりげ
)
に
跨
(
またが
)
って馬場へ出ました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
王都の中央にてエルベ河を横ぎる鉄橋の上より望めば、シュロス・ガッセに
跨
(
またが
)
りたる王宮の窓、こよひは殊更にひかりかがやきたり。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
見
(
み
)
よ、
頭
(
かしら
)
なき
其
(
そ
)
の
骸
(
むくろ
)
、
金鎧
(
きんがい
)
一縮
(
いつしゆく
)
して
戟
(
ほこ
)
を
横
(
よこた
)
へ、
片手
(
かたて
)
を
擧
(
あ
)
げつゝ
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り、
砂煙
(
すなけむり
)
を
拂
(
はら
)
つてトツ/\と
陣
(
ぢん
)
に
還
(
かへ
)
る。
陣中
(
ぢんちう
)
豈
(
あに
)
驚
(
おどろ
)
かざらんや。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
思想と文学との両分野に
跨
(
またが
)
って起った著明な新らしい運動の声は、食を求めて北へ北へと走っていく私の耳にも響かずにはいなかった。
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
羊歯
(
しだ
)
の生えた岩の下には、深い谷底が
開
(
ひら
)
いてゐる。一匹の毒竜はその谷底に、
白馬
(
しろうま
)
へ
跨
(
またが
)
つた聖ヂヨオヂと、もう半日も戦つてゐる。
LOS CAPRICHOS
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
釧路町は釧路川口の兩岸に
跨
(
またが
)
つて居る。停車場所在の側は平民町で、官廳、銀行、重なる商店、旅館等は、大抵橋を渡つた東岸にある。
熊の足跡
(旧字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
この中でも、眉目のすぐれていることや、
黒桃花毛
(
くろつきげ
)
と名のある名馬に
跨
(
またが
)
って鞍負けせぬ骨づくりなど、一目にもそれと知れよう。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
又
(
また
)
その
内容
(
ないよう
)
も
古今
(
ここん
)
に
亘
(
わた
)
り、
顕幽
(
けんゆう
)
に
跨
(
またが
)
り、
又
(
また
)
或
(
あ
)
る
部分
(
ぶぶん
)
は一
般的
(
ぱんてき
)
、
又
(
また
)
或
(
あ
)
る
部分
(
ぶぶん
)
は
個人的
(
こじんてき
)
と
言
(
い
)
った
具合
(
ぐあい
)
に、
随分
(
ずいぶん
)
まちまちに
入
(
い
)
り
乱
(
みだ
)
れて
居
(
お
)
ります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
おそらく快楽好きな若者の目には
器量
(
きりょう
)
よしには映るまい。自転車に
跨
(
またが
)
っている彼女の姿は
宛然
(
あたかも
)
働きものの娘さんを一枚の絵にしたようだ。
落穂拾い
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
彼は一言そう云ってヒラリと車に
跨
(
またが
)
ると、素早くクラッチを踏んだ。
自動
(
オート
)
三輪車は大きく揺れると、弾かれたように路地から走りだした。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
つづいて旗本の二百人が、騎馬あるいは徒歩で進んだ。その中央に白馬に
跨
(
またが
)
り、悠々然として打たせて行くのが、酋長
荒玉梟帥
(
あらたまたける
)
であった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「この人は今日来たばっかりなのよ。あんまりいじめないでよ。」といいながら、短いスカートをたくし上げて、その男の膝の上に
跨
(
またが
)
った。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
勝軍地蔵は日本製の地蔵で、身に甲冑を着け、軍馬に
跨
(
またが
)
って、そして
錫杖
(
しゃくじょう
)
と
宝珠
(
ほうじゅ
)
とを持ち、
後光輪
(
ごこうりん
)
を戴いているものである。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
風もなく、冬枯れの牧場には空気がうらうらと
陽炎
(
かげろう
)
めいていた。紀久子と敬二郎とは馬に
跨
(
またが
)
って、静かに放牧場の枯草の上を歩き回っていた。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
しかのみならず、地を賜はること、実にたゞ一、二
畝
(
せ
)
あるも、これにより峰をこえ谷に
跨
(
またが
)
りて
浪
(
みだ
)
りに境界となす、自今以後更に然ることを得ざれ
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
框
(
フレーム
)
の上を給水タンクの梯子と向合う処まで歩くと、ウンと力んで片足を給水タンクの足場へ掛け、機関車と給水タンクとの間へ大の字に
跨
(
またが
)
った。
気狂い機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
ほら、あたしが背中へ
跨
(
またが
)
って、
手拭
(
てぬぐ
)
いを手綱にして、ハイハイドウドウって
云
(
い
)
いながら、部屋の中を廻ったりして、———
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
人も又久しくちゞめたる足をのばさせんとて
厩
(
むまや
)
をひきいだせばよろこびてはねあがりなどするを、
胴縄
(
どうなは
)
ばかりの
躶馬
(
はだかうま
)
に
跨
(
またが
)
り雪消の所にはしらす。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
衝
(
つい
)
て猛然とハンドルを握ったまではあっぱれ
武者
(
むしゃ
)
ぶりたのもしかったがいよいよ
鞍
(
くら
)
に
跨
(
またが
)
って
顧盻
(
こけい
)
勇を示す一段になるとおあつらえ
通
(
どお
)
りに参らない
自転車日記
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と優しい女の声がして、私の眼の前に、ついそこの岩陰から姿を現したのは、立派な白馬に
跨
(
またが
)
った、洋装の若い女です。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
これは
唐人
(
とうじん
)
の姿をした男が、腰に
張子
(
はりこ
)
で作った馬の首だけを
括
(
くく
)
り付け、それに
跨
(
またが
)
ったような格好で
鞭
(
むち
)
で尻を叩く真似をしながら、
彼方此方
(
あっちこっち
)
と駆け廻る。
梵雲庵漫録
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
鯛は太股に
跨
(
またが
)
られたまま薔薇色の女のように観念し、鮪は計画を貯えた砲弾のように、落ちつき払って並んでいた。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
かくて、てんやわんやの野上駅の騒ぎをあとにして、米友一人はまた馬に
跨
(
またが
)
って、関ヶ原へ向けて出発しました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
金太郎は路傍の道しるべの石に片足をかけて、自轉車に
跨
(
またが
)
つたまゝ憩みながら、今
晩
(
ばん
)
たつといふ
返
(
へん
)
事をした。
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
すると、小一郎は急に帯刀の膝から立ちあがり、伯父さんは酒臭いからいやだと云って、隼人の膝へ
跨
(
またが
)
った。
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ある場所では雑誌の表紙にでも応用するのか、
亜拉比亜
(
アラビア
)
人が槍を振って躍り上る黒馬に
跨
(
またが
)
っている絵を、石版刷のようにはっきり写している中年の女がいる。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それあ君等としちゃ
癪
(
しゃく
)
に
触
(
さわ
)
ったろう。特に司法関係の仕事は
内鮮
(
ないせん
)
に
跨
(
またが
)
った問題が多いんだからね。一々その手で撥ねられちゃあ遣り切れないだろうよ。成る程。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
此馬がもっと、毛並みのよい純白の馬で、
跨
(
またが
)
って居る自身も亦、若々しい二十代の貴公子の気がして来る。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
重陽
(
ちょうよう
)
の日も旅にあって馬に
跨
(
またが
)
りつつあることを、「馬の背の高きに登り」と登高に擬して興じたのである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
過般
(
かはん
)
来朝したジョルダン博士は、昔は農民の上に貴族が
跨
(
またが
)
ってこれに
鞭
(
むちう
)
ち、今は農民の上に兵士が跨り
世界平和の趨勢
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
目隠しをする代りに壁にもたれ、また
四
(
よ
)
つん
這
(
ば
)
いになって、その背に
跨
(
またが
)
って、指を立てて問う例もある。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そして、二人はおもちゃの様な驢馬の
背
(
せな
)
に
跨
(
またが
)
って、奥底の知れぬ、闇の森へと進み入るのでありました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
森鴎外先生はその頃から団子坂上の藪下という所に居られて馬に
跨
(
またが
)
って通って居られるのを見かけた。
美術学校時代
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
私は終日、たった独り馬に
跨
(
またが
)
って怪しく荒れ果てた田舎路を通って行った。そうして日脚が傾いた時分に、ようよう陰鬱なアッシャアの邸が見える所まで辿り着いた。
アッシャア家の覆滅
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
引拔
(
ひきぬき
)
無殘
(
むざん
)
にも娘を
刺殺
(
さしころ
)
せども猶立石は前後も知らず
醉臥
(
ゑひふし
)
居
(
ゐ
)
たるを直助は
直樣
(
すぐさま
)
上
(
うへ
)
に
跨
(
またが
)
り
咽喉
(
のどもと
)
を
突貫
(
つきとほ
)
し一ゑぐりに殺して
又
(
また
)
箪笥
(
たんす
)
の方へ
行
(
ゆか
)
んとせしに女房は
密
(
そつ
)
と續いて來るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
不意に橋の上に味方の騎兵が
顕
(
あらわ
)
れた。藍色の軍服や、赤い筋や、鎗の穂先が
煌々
(
きらきら
)
と、一隊
挙
(
すぐ
)
って五十騎ばかり。隊前には
黒髯
(
くろひげ
)
を
怒
(
いか
)
らした一士官が
逸物
(
いちもつ
)
に
跨
(
またが
)
って進み行く。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
あくる日
飯
(
めし
)
を食うと見物に出た。釧路町は釧路川口の両岸に
跨
(
またが
)
って居る。停車場所在の
側
(
かわ
)
は平民町で、官庁、銀行、重なる商店、旅館等は、大抵橋を渡った東岸にある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あの人の一生の念願とした晴れの姿は、この老いぼれた驢馬に
跨
(
またが
)
り、とぼとぼ進むあわれな景観であったのか。私には、もはや、
憐憫
(
れんびん
)
以外のものは感じられなくなりました。
駈込み訴え
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
黄金
(
こがね
)
作りの武田
菱
(
びし
)
の
前立
(
まえだて
)
打ったる兜をいただき、黒糸に緋を打ちまぜて
縅
(
おど
)
した鎧を着、紺地の
母衣
(
ほろ
)
に金にて経文を書いたのを負い、
鹿毛
(
かげ
)
の馬に
跨
(
またが
)
り采配を振って激励したが
川中島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
男湯と女湯との境界に
跨
(
またが
)
って共同の水槽があった。私は何気なくその水面を眺めながら洗っていると、そこへゆらゆらと美女の倒影がいくつもいくつも現われるのであった。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
ノラは足台を見付けて坐り、ドウナルド(ギイ・クラアレンスのこと)は皮の敷物の飾りについている虎の頭に
跨
(
またが
)
っていました。少年はかなり乱暴に頭をゆすっていました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
鯨の屍骸に
跨
(
またが
)
ったまま、潮流に押流され、急速力で氷山に近づき、ドカンと衝突したまでは覚えているが、そのとき、氷山の一角に五体を強く打突けて人事不省に陥ったまま
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
と千吉君はいきなり馬に
跨
(
またが
)
った。安子夫人に隠し芸を見せる積りだったが、馬は何ういう気紛れか、ガクリと前脚を折って突っ伏しざま、千吉君を大地へドサリと投げ落した。
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
來
(
き
)
てくんねえか」と
彼
(
かれ
)
は
簡單
(
かんたん
)
にさういつて、
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
したやうに
又
(
また
)
雪
(
ゆき
)
を
蹴
(
け
)
つて
走
(
はし
)
つた。
慌
(
あわ
)
てた
彼
(
かれ
)
は
閾
(
しきゐ
)
も
跨
(
またが
)
なかつた。
南
(
みなみ
)
の
家
(
いへ
)
の
亭主
(
ていしゆ
)
は
勘次
(
かんじ
)
の
容子
(
ようす
)
を
見
(
み
)
て
尋常
(
じんじやう
)
でないことを
知
(
し
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それは
小児
(
こども
)
が牛の背中に
跨
(
またが
)
って、長い槍を振りまわして疱瘡神を退治している図で、みんな絵草紙屋の前に突っ立って、めずらしそうに口をあいて其の絵を眺めていたものです。
半七捕物帳:56 河豚太鼓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
列
(
れつ
)
の
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
つ
日章旗
(
につしやうき
)
、
揚々
(
やう/\
)
として
肥馬
(
ひま
)
に
跨
(
またが
)
る
将軍
(
しやうぐん
)
たち、
色蒼
(
いろざ
)
ざめ
疲
(
つか
)
れ
果
(
は
)
てた
兵士
(
へいし
)
の
群
(
むれ
)
—
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
手錠を
箝
(
は
)
められた囚人や其を護送する劍を光らせる巡査や、または肥馬に
跨
(
またが
)
ツた聯隊長や、其の馬の尻にくツついて行く馬丁や、犬に乘つた猿や、其の犬を
追立
(
おツた
)
てて行く
猿𢌞
(
さるまはし
)
や
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
跨
漢検準1級
部首:⾜
13画
“跨”を含む語句
踏跨
大跨
一跨
打跨
蹈跨
引跨
小跨
跨下
跨倉
跨有
跨込