トップ
>
羽衣
>
はごろも
ふりがな文庫
“
羽衣
(
はごろも
)” の例文
天人が
羽衣
(
はごろも
)
の箱や薬の壺を持ってくる。一人の天人が、地上の食を取って心地悪いであろう、壺の中の不死の薬を召せ、とすすめる。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
針
(
はり
)
の
稱
(
な
)
に、
青柳
(
あをやぎ
)
、
女郎花
(
をみなへし
)
、
松風
(
まつかぜ
)
、
羽衣
(
はごろも
)
、
夕顏
(
ゆふがほ
)
、
日中
(
ひなか
)
、
日暮
(
ひぐれ
)
、
螢
(
ほたる
)
は
光
(
ひか
)
る。(
太公望
(
たいこうばう
)
)は
諷
(
ふう
)
する
如
(
ごと
)
くで、
殺生道具
(
せつしやうだうぐ
)
に
阿彌陀
(
あみだ
)
は
奇
(
き
)
なり。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
僕はたびたび見たが、
雛
(
ひな
)
を
養
(
やしな
)
っている
雌鶏
(
めんどり
)
の
傍
(
かたわら
)
に、
犬猫
(
いぬねこ
)
がゆくと、その時の
見幕
(
けんまく
)
、全身の筋肉に
籠
(
こ
)
める力はほとんど
羽衣
(
はごろも
)
を
徹
(
てっ
)
して現れる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
でも
水
(
みず
)
の中に
居
(
い
)
る
少女
(
おとめ
)
たちがどうするか、
様子
(
ようす
)
を
見届
(
みとど
)
けて行きたいと
思
(
おも
)
って、
羽衣
(
はごろも
)
をそっとかかえたまま、木の
陰
(
かげ
)
にかくれて
見
(
み
)
ていました。
白い鳥
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
羽衣
(
はごろも
)
がなければ、
天
(
てん
)
へ
帰
(
かえ
)
れぬとお
聞
(
き
)
きしては、あなたを、いつまでもおとめしたいばかりに、
羽衣
(
はごろも
)
をお
返
(
かえ
)
しすることができなくなりました。
羽衣物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
後でその説明を聞いたら、
三保
(
みほ
)
の
松原
(
まつばら
)
だの
天女
(
てんにょ
)
の
羽衣
(
はごろも
)
だのが出て来る所は
嫌
(
きら
)
いだと云うのです。兄さんは妙な頭をもった人に
違
(
ちがい
)
ありません。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
言いかけると、羅真人は、鶴の
羽衣
(
はごろも
)
のような
袂
(
たもと
)
をぱっとひらいて、その
法冠
(
かむり
)
の星よりするどい眸をきらと三人の上へ射向けた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
予章
新喩
(
しんゆ
)
県のある男が田畑へ出ると、田のなかに六、七人の女を見た。どの女もみな鳥のような
羽衣
(
はごろも
)
を着ているのである。
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
謡曲の『
羽衣
(
はごろも
)
』でお馴染の松は沖合の鼻にありまして、富士山の眺望は全国一、日本新三景の一つとして元帥東郷閣下様御自筆の碑が立っております。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
謡曲
(
ようきょく
)
羽衣
(
はごろも
)
の一節、
柄
(
がら
)
になく風流なところのある男で、大迫玄蕃が、余念なくおさらいに
耽
(
ふけ
)
っていると、夜は
戌
(
いぬ
)
の
上刻
(
じょうこく
)
、五ツどき、今でいう午後八時だ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この地尻に、長左衛門という寄席がありましたっけ。有名な
羽衣
(
はごろも
)
せんべいも、加賀屋横町にあったので、この辺はゴッタ返しのてんやわんやの
騒
(
さわぎ
)
でした。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
妙音清調会衆は
皆
(
み
)
な天国に遊びし
心地
(
ここち
)
せしが主人公もまた多年の
嗜
(
たしな
)
みとて観世流の謡曲
羽衣
(
はごろも
)
を
謡
(
うた
)
い出しぬ。客の中には覚えず声に和して手拍子を取るもあり。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
あれには樗牛が月夜か何かに、
三保
(
みほ
)
の松原の
羽衣
(
はごろも
)
の松の下へ行って、大いに感慨
悲慟
(
ひどう
)
するところがあった。
樗牛の事
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
最初は連れとであつたが、此頃は松田はよくひとりでやつて来て、
羽衣
(
はごろも
)
と云ふ女を買ひなじんだ。もう女としての見所もない大あばずれだと私達はきいて居た。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
下界の人は山頂も均しく
長閑
(
のどか
)
ならんと思うなるべし、
彼
(
か
)
の三保の松原に
羽衣
(
はごろも
)
を落して
飛行
(
ひぎょう
)
の術を失いし
天人
(
てんにん
)
は、空行く
雁
(
かり
)
を見て天上を
羨
(
うらや
)
みしに
引
(
ひき
)
かえ、我に飛行の術あらば
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
……それは、もち月のかがやく美しい夜じゃ。天人達は、空を飛ぶ月の車に乗ってこの現し世に舞い下りて来るのじゃ。天の
羽衣
(
はごろも
)
を持ってこの現し世に舞い下りて来るのじゃ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
悲劇を書けばいいんだろう、と僕が言ってやったら、たぬきは、いや
羽衣
(
はごろも
)
だよ、と言う。へんな事を言うなあと思ったら、ベルが鳴った。僕は、白紙を、たぬきに手渡して廊下に出た。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
其のスラリとした
撫
(
な
)
で肩の姿を、
田子
(
たご
)
の浦へ
羽衣
(
はごろも
)
を着て舞ひ下りた天人が
四邊
(
あたり
)
を明るくした如く、この名も知れぬ
寂
(
さ
)
びしい神の森を輝かすやうに、
孔雀
(
くじやく
)
の如き歩みを小池に近く運びながら
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その頃には、透谷君や一葉女史の短い活動の時はすでに過ぎ去り、柳浪にはやや早く、
蝸牛庵主
(
かぎゅうあんしゅ
)
は「新
羽衣
(
はごろも
)
物語」を書き、紅葉山人は「
金色夜叉
(
こんじきやしゃ
)
」を書くほどの熟した創作境に達している。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
古
(
いにしえ
)
の
猶太
(
ユダヤ
)
の神は万物創造の終りにあたってすべての色よい鳥の羽の残りをつづって
羽衣
(
はごろも
)
とし、蜜のような愛のいぶきにその胸をふくらませて汝らめおとづれの游牧者をこしらえたのであろう。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
天の
羽衣
(
はごろも
)
撫で
盡
(
つく
)
すらんほど永き悲しみに、只〻
一時
(
ひととき
)
の望みだに
得
(
え
)
協
(
かな
)
はざる。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
例の
羽衣
(
はごろも
)
のような衣装を脱ぐと、——いや、たとえ平気でなくても、部屋が丸見えのところにあつかましく坐り込んでいる私の眼から隠れて脱ぐことはできないわけだが、——踊り子たちは
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
自分の
白衣
(
びゃくえ
)
も、鶴の羽のような白いかがやきに見えますが、お雪ちゃんのその衣裳は、百練の絹と言おうか、天人の
羽衣
(
はごろも
)
といおうか、何とも言いようのない
白無垢
(
しろむく
)
の振袖で、白無垢と見ていると
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
翁
(
おきな
)
が
留
(
と
)
めようとあがくのを
姫
(
ひめ
)
は
靜
(
しづ
)
かにおさへて、
形見
(
かたみ
)
の
文
(
ふみ
)
を
書
(
か
)
いて
翁
(
おきな
)
に
渡
(
わた
)
し、また
帝
(
みかど
)
にさし
上
(
あ
)
げる
別
(
べつ
)
の
手紙
(
てがみ
)
を
書
(
か
)
いて、それに
月
(
つき
)
の
人々
(
ひと/″\
)
の
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
た
不死
(
ふし
)
の
藥
(
くすり
)
一壺
(
ひとつぼ
)
を
添
(
そ
)
へて
勅使
(
ちよくし
)
に
渡
(
わた
)
し、
天
(
あま
)
の
羽衣
(
はごろも
)
を
着
(
き
)
て
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
何処やらでは、のうのうと、声をそろえて
羽衣
(
はごろも
)
を
謡
(
うた
)
っていた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
或はまた
衣掛
(
きぬか
)
け岩、
羽衣
(
はごろも
)
の松という伝説もあります。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
天女
(
てんによ
)
が
羽衣
(
はごろも
)
を
失
(
うしな
)
ひたる
心地
(
こゝち
)
もしたりき。
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いつ
羽衣
(
はごろも
)
の
落
(
お
)
ち
沈
(
しづ
)
み
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
といいながら、手を
出
(
だ
)
して
羽衣
(
はごろも
)
をうけ
取
(
と
)
ろうとしました。けれど
伊香刀美
(
いかとみ
)
はふと
羽衣
(
はごろも
)
をかかえていた手を、うしろに
引
(
ひ
)
っ
込
(
こ
)
めてしまいました。
白い鳥
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
傍
(
そば
)
へ寄るまでもなく、
大
(
おおき
)
な其の障子の
破目
(
やれめ
)
から、立ちながら
裡
(
うち
)
の
光景
(
ようす
)
は、
衣桁
(
いこう
)
に掛けた
羽衣
(
はごろも
)
の手に取るばかりによく見える。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これからさきを聞くと、せっかくの
趣向
(
しゅこう
)
が
壊
(
こわ
)
れる。ようやく仙人になりかけたところを、誰か来て
羽衣
(
はごろも
)
を帰せ帰せと
催促
(
さいそく
)
するような気がする。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
志村金五郎
(
しむらきんごろう
)
のワキで
羽衣
(
はごろも
)
を舞った老公のすがたが、あざやかに橋がかりから鏡の間へかくれ、つづいて
囃子方
(
はやしかた
)
、
地謡
(
じうたい
)
が静かに
退
(
ひ
)
いたあとである。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私
(
わたし
)
の
持
(
も
)
ちますものは、すべて、この
羽衣
(
はごろも
)
のように、にじやかすみを
織
(
お
)
って
作
(
つく
)
ったものだけに、
人間
(
にんげん
)
の
手
(
て
)
にわたれば、いつまでも、
形
(
かたち
)
となって
残
(
のこ
)
ったことはありません。
羽衣物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
われわれが理想とするところはいかに小なりとするも、その全体を実現することはできずともいく分かすることはできる。昔から
天女
(
てんにょ
)
を見ると、
羽衣
(
はごろも
)
を着て自由自在に空中を飛び歩いている。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
天人
(
てんにん
)
の
羽衣
(
はごろも
)
脱
(
ぬ
)
ぎて
袈裟
(
けさ
)
懸
(
か
)
けしとて斯くまで美しからじなど罵り合へりし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
もう何もかもみんなお
終
(
しま
)
いなのよ! あの人達は天の
羽衣
(
はごろも
)
を持って来るの! あたしに着せようと思って天の羽衣を持って来るの! それを着せられてしまったら、あたしはもう、あんたのことも
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
天女が
羽衣
(
はごろも
)
を失ひたる心地もしたりき。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
紫
(
むらさき
)
深
(
ふか
)
き
羽衣
(
はごろも
)
は
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
少女
(
おとめ
)
は
羽衣
(
はごろも
)
にひかれて、とうとう
伊香刀美
(
いかとみ
)
のうちまで行きました。そして
伊香刀美
(
いかとみ
)
といっしょに、そのおかあさんのそばで
暮
(
く
)
らすことになりました。
白い鳥
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「この
天女
(
てんにょ
)
は御気に入りませんか」と迷亭がまた一枚出す。見ると天女が
羽衣
(
はごろも
)
を着て
琵琶
(
びわ
)
を
弾
(
ひ
)
いている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この一巻と、三、四通の文章とを、
帛紗
(
ふくさ
)
につつみ、しかと、そちが肌身につけて持っておれ。——そして予が、
羽衣
(
はごろも
)
を舞うて、舞い終る頃、午の
中食
(
ちゅうじき
)
の休みとなろう。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若者
(
わかもの
)
は、
片言
(
かたこと
)
も
聞
(
き
)
きもらすまいと、
耳
(
みみ
)
をかたむけていましたが、
天女
(
てんにょ
)
が、
羽衣
(
はごろも
)
を
着
(
き
)
なければ
天
(
てん
)
に
帰
(
かえ
)
れぬといったので、これはなんたる
自分
(
じぶん
)
にとって、しあわせなことであろう。
羽衣物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
奇
(
き
)
なる
哉
(
かな
)
、
更
(
さら
)
に
一時間
(
いちじかん
)
いくらと
言
(
い
)
ふ……
三保
(
みほ
)
の
天女
(
てんによ
)
の
羽衣
(
はごろも
)
ならねど、
身
(
み
)
にお
寶
(
たから
)
のかゝる
其
(
そ
)
の
姉
(
ねえ
)
さんが、
世話
(
せわ
)
になつた
禮
(
れい
)
かた/″\、
親類
(
しんるゐ
)
へ
用
(
よう
)
たしもしたいから、お
差支
(
さしつか
)
へなくば
御一所
(
ごいつしよ
)
に
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
やむをえず、好い加減に
領承
(
りょうしょう
)
した。そこで
羽衣
(
はごろも
)
の
曲
(
くせ
)
を謡い出した。
春霞
(
はるがすみ
)
たなびきにけりと半行ほど来るうちに、どうも出が好くなかったと後悔し始めた。はなはだ無勢力である。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
靜岡
(
しづをか
)
から、すぐに
江尻
(
えじり
)
へ
引返
(
ひきかへ
)
して、
三保
(
みほ
)
の
松原
(
まつばら
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んで、
天人
(
てんにん
)
に
見參
(
けんざん
)
し、きものを
欲
(
ほ
)
しがる
連
(
つれ
)
の
女
(
をんな
)
に、
羽衣
(
はごろも
)
、
瓔珞
(
えうらく
)
を
拜
(
をが
)
ませて、
小濱
(
こはま
)
や
金紗
(
きんしや
)
のだらしなさを
思知
(
おもひし
)
らさう、ついでに
萬葉
(
まんえふ
)
の
印
(
いん
)
を
結
(
むす
)
んで
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“羽衣”の意味
《名詞》
羽 衣(うい)
鳥の体を覆う羽毛。
天人などが着る鳥の羽で作った衣。
はごろも 参照。
(出典:Wiktionary)
羽
常用漢字
小2
部首:⽻
6画
衣
常用漢字
小4
部首:⾐
6画
“羽衣”で始まる語句
羽衣町
羽衣松
羽衣草
羽衣譚
羽衣石山
羽衣肩掛
羽衣霓裳