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箭
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や
ふりがな文庫
“
箭
(
や
)” の例文
ただ一つだけ床ノ間に、陰陽二張の大弓と、二十四條の
箭
(
や
)
を納めたところの、調度掛が置いてあったことが、正次の眼を驚かせた。
弓道中祖伝
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
大王猿猴の勧めに依って弓を引いて敵に向いたもうに、
弓勢
(
ゆんぜい
)
人に
勝
(
すぐ
)
れて
臂
(
ひじ
)
背中
(
はいちゅう
)
に廻る。敵、大王の弓勢を見て
箭
(
や
)
を放たざる先に
遁
(
のが
)
れぬ。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
博士は例の古語を引きて、
客人
(
まらうど
)
心地はいかなるにか、クピド(愛の神)の磨く
箭
(
や
)
にや
中
(
あた
)
り給ひしなどいひつゝ、われ等に酒を勸めたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
二人はぞっとして振返って見ると、鴉は二つの
翅
(
はね
)
をひろげ、ちょっと身を落して、すぐにまた、遠方の空に向って
箭
(
や
)
のように飛び去った。
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
これは
矢立
(
やたて
)
の杉ともいって、以前はその下を通る人々が、その木に向って
箭
(
や
)
を射こむことを、境の神を祭る作法としていたのであります。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
「
凡
(
およ
)
そ人事を
区処
(
くしょ
)
する、
当
(
まさ
)
に
先
(
ま
)
ずその結局を
慮
(
おもんぱか
)
り、
而
(
しか
)
して後に手を下すべし、
楫
(
かじ
)
無
(
な
)
きの舟を
行
(
や
)
る
勿
(
なか
)
れ、
的
(
まと
)
無
(
な
)
きの
箭
(
や
)
を発する
勿
(
なか
)
れ」
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
主人はますます
懼
(
おそ
)
れた。その家に強い男がいた。家の者を従えて騒ぎながら打って出て、石を投げ
箭
(
や
)
を飛ばして狐兵に当った。
胡氏
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼女は
顰
(
しか
)
め
面
(
つら
)
をして鼻を鳴らし始めた。明るい陽差しが、軒に出された
風露草
(
グラニヤ
)
の植木鉢に、恵み多い光りの
箭
(
や
)
をそそいでいた。
橋
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
〔譯〕凡そ人事を
區處
(
くしよ
)
するには、當さに先づ其の
結局
(
けつきよく
)
の處を
慮
(
おもんぱ
)
かりて、後に手を下すべし。
楫
(
かぢ
)
無きの舟は
行
(
や
)
る
勿
(
なか
)
れ、
的
(
まと
)
無きの
箭
(
や
)
は
發
(
はな
)
つ勿れ。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
弓弦
(
ゆづる
)
は其の張らるゝに於て
箭
(
や
)
を飛ばすのである。弛めば則ち箭の飛ぶや力無く、愈〻弛めば則ち弓箭の功倶に廢するのである。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
新しい
感激
(
かんげき
)
の涙が、四人のほおを伝わった。太陽が森のはしにあがった、光の
箭
(
や
)
が少年連盟を祝福するかのように、
河畔
(
かはん
)
の少年を照らした。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
『
夫人
(
ふじん
)
は
牢屋
(
らうや
)
に
居
(
ゐ
)
る』と
云
(
い
)
つて
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
死刑執行者
(
しけいしつかうしや
)
に、『
此處
(
こゝ
)
へ
伴
(
つ
)
れて
參
(
まゐ
)
れ』
乃
(
そこ
)
で
其
(
そ
)
の
死刑執行者
(
しけいしつかうしや
)
が
箭
(
や
)
の
如
(
ごと
)
く
走
(
はし
)
り
去
(
さ
)
りました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
それは
万弩
(
ばんど
)
の
箭
(
や
)
うなりである。たちまち絶壁は叫び、谷の岩盤はみな
吼
(
ほ
)
えた。それは敵の降らしてくる巨木大石の轟きである。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
清
(
しん
)
の
乾隆
(
けんりゅう
)
二十六年のことである。
虎邙
(
こきゅう
)
に乞食があって一頭の
狗熊
(
くゆう
)
を養っていた。熊の大きさは
川馬
(
せんば
)
のごとくで、
箭
(
や
)
のような毛が森立している。
中国怪奇小説集:16 子不語(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
与えられたものを
無暗
(
むやみ
)
に使い尽さぬと云う心がなかったら、多くの禅坊さんは皆
箭
(
や
)
より速かに地獄へ堕つることであろう。
僧堂教育論
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
岩壁の窪みには、
菫
(
すみれ
)
色をした影が拡がっていて、沖からかけての一面の波頭は、夕陽の
箭
(
や
)
をうけて黄色い縞をなしていた。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
弩
(
いしゆみ
)
に発すべき機がある故に、射る者これを発すれば直ちに
箭
(
や
)
が動く。未だ発現しないで可能性としてかすかに存するすがたが微であり、機である。
親鸞
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
そして、太陽は、かくれたる所から、水のやうな光線の
箭
(
や
)
で以つて、空を
條
(
すぢ
)
づけてゐた。彼女は、ゆきくれた旅人のやうな、たよりなさを感じた。
幸福への道
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
だが、それらの用語は天から降る金の
箭
(
や
)
のように扱われ、古代・中世・近世日本の文学におけるそれらの基準の概括の背景と内容は説き明されない。
今日の文学の展望
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
何ゆえぞと問いたまいそ、貴嬢もしよくこれを解し
得
(
う
)
る少女ならんにはいかで暗き穴よりかの無残なる
箭
(
や
)
を放たんや。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
そういう時には、金色の
燭台
(
しょくだい
)
の一点が燈明に鋭く輝いて、その光点から金色の
箭
(
や
)
が八方にさしているのを、
唯一
(
ゆいいつ
)
のすがりどころとじっとみつめていた。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
泥酔した一人の老人が、彼等の持つ恐怖すべき毒矢を入れた
箭
(
や
)
筒を見せ、別の男が彼に「気をつけろ」といった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
雪を
欺
(
あざ
)
むく白い顔は前を
見詰
(
みつめ
)
たまま、
清
(
すず
)
しい眼さえも黒く動かさない、ただ、
筬
(
おさ
)
ばかりが
紺飛白
(
こんがすり
)
木綿の上を
箭
(
や
)
の
如
(
よう
)
に、シュッシュッと巧みに
飛交
(
とびこ
)
うている。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
最初は矢文は飛んで來たさうですよ、何處からともなく白羽の
箭
(
や
)
が一と筋、眞夜中に濠を越え、塀を越え、庭を
銭形平次捕物控:246 万両分限
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
文教を
楯
(
たて
)
として天下を治めんとしたる徳川政府は、早くも文教を
箭
(
や
)
として、
己
(
おのれ
)
に向い弓を
挽
(
ひ
)
くものを見出しぬ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
(
簪
(
かんざし
)
の
箭
(
や
)
を取って授けつつ)
楊弓
(
ようきゅう
)
を射るように——
釘
(
くぎ
)
を打って
呪詛
(
のろ
)
うのは、一念の届くのに、
三月
(
みつき
)
、
五月
(
いつつき
)
、三
年
(
ねん
)
、五年、日と月と
暦
(
こよみ
)
を待たねばなりません。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あとで、みんな
大騒
(
おおさわ
)
ぎをしました。
氷
(
こおり
)
がとつぜん二つに
割
(
わ
)
れて、しかもそれが、
箭
(
や
)
を
射
(
い
)
るように
沖
(
おき
)
の
方
(
ほう
)
へ
流
(
なが
)
れていってしまうことは、めったにあるものでない。
黒い人と赤いそり
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ヒヤリと
剃刀
(
かみそり
)
で撫でたような言葉。それはさきほどから隅の方に黙々としていた机竜之助の声でしたから、一同の眼先は
箭
(
や
)
を合せたように竜之助の
面
(
かお
)
に注ぐと
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこで
母
(
おっか
)
さんの神様が、皆でそのA山を欲しがっているから、どうかしてその末の妹にやりたいと思って、三人に、今夜お前達が寝ているうちに、
箭
(
や
)
を射るから
北国の人
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
まず彼の心底を知りたかったから……しかし、盲人の全身から発する殺気は、眼に見えぬ一万の
箭
(
や
)
を射かけるように、伊兵衛の神経を
妖
(
あや
)
しく縛りつけてしまった。
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
吾が国に
雪吹
(
ふゞき
)
といへるは、
猛風
(
まうふう
)
不意
(
ふい
)
に
起
(
おこ
)
りて
高山平原
(
かうざんへいげん
)
の雪を
吹散
(
ふきちら
)
し、その風四方にふきめぐらして
寒雪
(
かんせつ
)
百万の
箭
(
や
)
を
飛
(
とば
)
すが如く、
寸隙
(
すんげき
)
の
間
(
あひだ
)
をも
許
(
ゆる
)
さずふきいるゆゑ
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
創造的勢力は未だ其の
弦
(
つる
)
を張つて
箭
(
や
)
を交ふに至らず、
却
(
かへ
)
つて過去の勢力と、外来の勢力とが、勢を較して、陣前馬
頻
(
しき
)
りに
嘶
(
いなゝ
)
くの声を聞く、戦士の意気甚だ昂揚して
国民と思想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
此の東人は常に云はく、額に
箭
(
や
)
は立つとも、背に矢は立たじと云ひて、君を一つ心を以て護るものぞ。
本州における蝦夷の末路
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
空を行く長き
箭
(
や
)
の、一矢毎に鳴りを起せば数千の鳴りは一と塊りとなって、地上に
蠢
(
うごめ
)
く黒影の響に和して、時ならぬ物音に、沖の鴎を驚かす。狂えるは鳥のみならず。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
試みに帝大文学の初の数十冊を始として、同時に出た博文館の太陽以下の諸雑誌、東京の諸新聞を見たならば、鴎外と云う名に幾条の
箭
(
や
)
が
中
(
あた
)
っているかが知れるだろう。
鴎外漁史とは誰ぞ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
依つてカルの太子が畏れて
大前小前
(
おおまえおまえ
)
の宿禰の大臣の家へ逃げ入つて、兵器を作り備えました。その時に作つた矢はその矢の筒を銅にしました。その矢をカル
箭
(
や
)
といいます。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
「まだ早い。事のついでじゃ。一条流秘芸の重ね
箭
(
や
)
を見せてとらそうぞ。的替えい」
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「それ全能者の
箭
(
や
)
わが身に入りわが
魂
(
たましい
)
その毒を飲めり、神の
畏怖
(
おそれ
)
われを襲い攻む」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
梓
(
あずさ
)
の神、うからやからの諸精霊、弓と
箭
(
や
)
とのつがいの親、一郎どのより三郎どの、人もかわれ、水もかわれ、かわらぬものは五尺の弓、一打うてば寺々の仏壇に響くめり、穴とうとしや
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
パアナツサスの山の
麓
(
ふもと
)
に住んだパイソンといふ恐ろしき蛇をアポローが銀の弓と
箭
(
や
)
を
以
(
もつ
)
て殺す話、アポローの子にして楽人なるオルフユーズの愛妻ユーリヂシーが毒蛇に脚を
噛
(
かま
)
れて死に
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
固
(
もと
)
より承諾を得たりとは、その場合われと心を
欺
(
あざむ
)
ける答えなりしが、果ては質問の
箭
(
や
)
の堪えがたなく、
最
(
い
)
とど苦しき胸を押さえ
額
(
ひたい
)
を
擦
(
さす
)
りて、
眩暈
(
めまい
)
に
托言
(
ことよ
)
せ、
委
(
くわ
)
しくはいずれ上陸のうえと
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
川上を見ると、
獅子飛
(
ししと
)
び、
米漉
(
こめかし
)
など云う難所に
窘
(
いじ
)
められて来た宇治川は、今山開け
障
(
さわ
)
るものなき所に流れ出て、
弩
(
いしゆみ
)
をはなれた
箭
(
や
)
の勢を以て、川幅一ぱいの
勾配
(
こうばい
)
ある水を傾けて流して来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
衝立
(
ついたて
)
の
蔭
(
かげ
)
で朝の化粧をしてゐた明子は、彼の
叫声
(
さけびごえ
)
に
愕
(
おどろ
)
いて飛び出して来た。白いシイツに血が鋭く鮮紅の
箭
(
や
)
を射てゐた。はじめ彼女は村瀬が何か鋭利な刃物で自殺をはかつたのだと信じた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
的なきに
箭
(
や
)
を放つのではない。男といはず女といはず、既に十三、十四、十五、十六、といふ
年齢
(
とし
)
の五十幾人のうら若い胸、それが乃ち火を待つ許りに紅血の油を盛つた青春の
火盞
(
ひざら
)
ではないか。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
箭
(
や
)
の折れたのも流れて來た。若しや大阪の殘黨でも隱れてゐるのではないかと土地の代官か何かゞ大勢を引率してその上流を探して行つた。果して思ひもかけぬ山の蔭に四五十人の人が住んでゐた。
樹木とその葉:02 草鞋の話旅の話
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
さてこそ王子は己れが光りの
箭
(
や
)
を
数多
(
あまた
)
なる郎党も召従えず
光箭
(新字新仮名)
/
今野大力
(著)
はれ、
此方
(
こなた
)
を
目懸
(
めがけ
)
けて
箭
(
や
)
を
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
梭
(
をさ
)
と
飛
(
と
)
び
交
(
か
)
ひ
箭
(
や
)
と
亂
(
みだ
)
れ
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
面白くてその夜もそこに宿って三日目にまた戦うて青竜例の通りというところを、猟師
箭
(
や
)
を
矯
(
た
)
めて赤竜に
射中
(
いあ
)
てると海中に入って
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
舟はおの/\二客を
舳
(
へさき
)
と
艫
(
とも
)
とに載せて、
漕手
(
こぎて
)
は中央に坐せり。舟の行くこと
箭
(
や
)
の如く、ララと我との乘りたるは眞先に進みぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
“箭”の意味
《名詞》
(や)矢。
(出典:Wiktionary)
“箭(
矢
)”の解説
矢(や)は、弓の弾力を利用して発射される武具(狩猟具)。箭の字も用いられる。
(出典:Wikipedia)
箭
漢検準1級
部首:⽵
15画
“箭”を含む語句
弓箭
火箭
征箭
一箭
白羽箭
急箭
三叉箭
乱箭
飛箭
没羽箭
金箭
毒箭
銀箭
鉄箭
没羽箭張清
弓箭鉾槊
箭風
箭先
箭矧
鬼箭
...