)” の例文
ただ一つだけ床ノ間に、陰陽二張の大弓と、二十四條のを納めたところの、調度掛が置いてあったことが、正次の眼を驚かせた。
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大王猿猴の勧めに依って弓を引いて敵に向いたもうに、弓勢ゆんぜい人にすぐれてひじ背中はいちゅうに廻る。敵、大王の弓勢を見てを放たざる先にのがれぬ。
博士は例の古語を引きて、客人まらうど心地はいかなるにか、クピド(愛の神)の磨くにやあたり給ひしなどいひつゝ、われ等に酒を勸めたり。
二人はぞっとして振返って見ると、鴉は二つのはねをひろげ、ちょっと身を落して、すぐにまた、遠方の空に向ってのように飛び去った。
(新字新仮名) / 魯迅(著)
これは矢立やたての杉ともいって、以前はその下を通る人々が、その木に向ってを射こむことを、境の神を祭る作法としていたのであります。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
およそ人事を区処くしょする、まさずその結局をおもんぱかり、しかして後に手を下すべし、かじきの舟をなかれ、まときのを発するなかれ」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
主人はますますおそれた。その家に強い男がいた。家の者を従えて騒ぎながら打って出て、石を投げを飛ばして狐兵に当った。
胡氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彼女はしかつらをして鼻を鳴らし始めた。明るい陽差しが、軒に出された風露草グラニヤの植木鉢に、恵み多い光りのをそそいでいた。
(新字新仮名) / 池谷信三郎(著)
〔譯〕凡そ人事を區處くしよするには、當さに先づ其の結局けつきよくの處をおもんぱかりて、後に手を下すべし。かぢ無きの舟はなかれ、まと無きのはなつ勿れ。
弓弦ゆづるは其の張らるゝに於てを飛ばすのである。弛めば則ち箭の飛ぶや力無く、愈〻弛めば則ち弓箭の功倶に廢するのである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
新しい感激かんげきの涙が、四人のほおを伝わった。太陽が森のはしにあがった、光のが少年連盟を祝福するかのように、河畔かはんの少年を照らした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
夫人ふじん牢屋らうやる』とつて女王樣ぢよわうさま死刑執行者しけいしつかうしやに、『此處こゝれてまゐれ』そこ死刑執行者しけいしつかうしやごとはしりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それは万弩ばんどうなりである。たちまち絶壁は叫び、谷の岩盤はみなえた。それは敵の降らしてくる巨木大石の轟きである。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しん乾隆けんりゅう二十六年のことである。虎邙こきゅうに乞食があって一頭の狗熊くゆうを養っていた。熊の大きさは川馬せんばのごとくで、のような毛が森立している。
与えられたものを無暗むやみに使い尽さぬと云う心がなかったら、多くの禅坊さんは皆より速かに地獄へ堕つることであろう。
僧堂教育論 (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
岩壁の窪みには、すみれ色をした影が拡がっていて、沖からかけての一面の波頭は、夕陽のをうけて黄色い縞をなしていた。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
いしゆみに発すべき機がある故に、射る者これを発すれば直ちにが動く。未だ発現しないで可能性としてかすかに存するすがたが微であり、機である。
親鸞 (新字新仮名) / 三木清(著)
そして、太陽は、かくれたる所から、水のやうな光線ので以つて、空をすぢづけてゐた。彼女は、ゆきくれた旅人のやうな、たよりなさを感じた。
幸福への道 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
だが、それらの用語は天から降る金ののように扱われ、古代・中世・近世日本の文学におけるそれらの基準の概括の背景と内容は説き明されない。
今日の文学の展望 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
何ゆえぞと問いたまいそ、貴嬢もしよくこれを解しる少女ならんにはいかで暗き穴よりかの無残なるを放たんや。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そういう時には、金色の燭台しょくだいの一点が燈明に鋭く輝いて、その光点から金色のが八方にさしているのを、唯一ゆいいつのすがりどころとじっとみつめていた。
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
泥酔した一人の老人が、彼等の持つ恐怖すべき毒矢を入れた筒を見せ、別の男が彼に「気をつけろ」といった。
雪をあざむく白い顔は前を見詰みつめたまま、すずしい眼さえも黒く動かさない、ただ、おさばかりが紺飛白こんがすり木綿の上をように、シュッシュッと巧みに飛交とびこうている。
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
最初は矢文は飛んで來たさうですよ、何處からともなく白羽のが一と筋、眞夜中に濠を越え、塀を越え、庭を
文教をたてとして天下を治めんとしたる徳川政府は、早くも文教をとして、おのれに向い弓をくものを見出しぬ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
かんざしを取って授けつつ)楊弓ようきゅうを射るように——くぎを打って呪詛のろうのは、一念の届くのに、三月みつき五月いつつき、三ねん、五年、日と月とこよみを待たねばなりません。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あとで、みんな大騒おおさわぎをしました。こおりがとつぜん二つにれて、しかもそれが、るようにおきほうながれていってしまうことは、めったにあるものでない。
黒い人と赤いそり (新字新仮名) / 小川未明(著)
ヒヤリと剃刀かみそりで撫でたような言葉。それはさきほどから隅の方に黙々としていた机竜之助の声でしたから、一同の眼先はを合せたように竜之助のかおに注ぐと
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そこでおっかさんの神様が、皆でそのA山を欲しがっているから、どうかしてその末の妹にやりたいと思って、三人に、今夜お前達が寝ているうちに、を射るから
北国の人 (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
まず彼の心底を知りたかったから……しかし、盲人の全身から発する殺気は、眼に見えぬ一万のを射かけるように、伊兵衛の神経をあやしく縛りつけてしまった。
夜明けの辻 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
吾が国に雪吹ふゞきといへるは、猛風まうふう不意ふいおこりて高山平原かうざんへいげんの雪を吹散ふきちらし、その風四方にふきめぐらして寒雪かんせつ百万のとばすが如く、寸隙すんげきあひだをもゆるさずふきいるゆゑ
創造的勢力は未だ其のつるを張つてを交ふに至らず、かへつて過去の勢力と、外来の勢力とが、勢を較して、陣前馬しきりにいなゝくの声を聞く、戦士の意気甚だ昂揚して
国民と思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
此の東人は常に云はく、額には立つとも、背に矢は立たじと云ひて、君を一つ心を以て護るものぞ。
本州における蝦夷の末路 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
空を行く長きの、一矢毎に鳴りを起せば数千の鳴りは一と塊りとなって、地上にうごめく黒影の響に和して、時ならぬ物音に、沖の鴎を驚かす。狂えるは鳥のみならず。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
試みに帝大文学の初の数十冊を始として、同時に出た博文館の太陽以下の諸雑誌、東京の諸新聞を見たならば、鴎外と云う名に幾条のあたっているかが知れるだろう。
鴎外漁史とは誰ぞ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
依つてカルの太子が畏れて大前小前おおまえおまえの宿禰の大臣の家へ逃げ入つて、兵器を作り備えました。その時に作つた矢はその矢の筒を銅にしました。その矢をカルといいます。
「まだ早い。事のついでじゃ。一条流秘芸の重ねを見せてとらそうぞ。的替えい」
「それ全能者のわが身に入りわがたましいその毒を飲めり、神の畏怖おそれわれを襲い攻む」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
あずさの神、うからやからの諸精霊、弓ととのつがいの親、一郎どのより三郎どの、人もかわれ、水もかわれ、かわらぬものは五尺の弓、一打うてば寺々の仏壇に響くめり、穴とうとしや
パアナツサスの山のふもとに住んだパイソンといふ恐ろしき蛇をアポローが銀の弓ともつて殺す話、アポローの子にして楽人なるオルフユーズの愛妻ユーリヂシーが毒蛇に脚をかまれて死に
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
もとより承諾を得たりとは、その場合われと心をあざむける答えなりしが、果ては質問のの堪えがたなく、とど苦しき胸を押さえひたいさすりて、眩暈めまい托言ことよせ、くわしくはいずれ上陸のうえと
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
川上を見ると、獅子飛ししとび、米漉こめかしなど云う難所にいじめられて来た宇治川は、今山開けさわるものなき所に流れ出て、いしゆみをはなれたの勢を以て、川幅一ぱいの勾配こうばいある水を傾けて流して来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
衝立ついたてかげで朝の化粧をしてゐた明子は、彼の叫声さけびごえおどろいて飛び出して来た。白いシイツに血が鋭く鮮紅のを射てゐた。はじめ彼女は村瀬が何か鋭利な刃物で自殺をはかつたのだと信じた。
青いポアン (新字旧仮名) / 神西清(著)
的なきにを放つのではない。男といはず女といはず、既に十三、十四、十五、十六、といふ年齢としの五十幾人のうら若い胸、それが乃ち火を待つ許りに紅血の油を盛つた青春の火盞ひざらではないか。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
の折れたのも流れて來た。若しや大阪の殘黨でも隱れてゐるのではないかと土地の代官か何かゞ大勢を引率してその上流を探して行つた。果して思ひもかけぬ山の蔭に四五十人の人が住んでゐた。
さてこそ王子は己れが光りの数多あまたなる郎党も召従えず
光箭 (新字新仮名) / 今野大力(著)
はれ、此方こなた目懸めがけけて
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
をさみだ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
面白くてその夜もそこに宿って三日目にまた戦うて青竜例の通りというところを、猟師めて赤竜に射中いあてると海中に入って
舟はおの/\二客をへさきともとに載せて、漕手こぎては中央に坐せり。舟の行くことの如く、ララと我との乘りたるは眞先に進みぬ。