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つぶ
ふりがな文庫
“
潰
(
つぶ
)” の例文
ゆるい
粥
(
かゆ
)
と、
茹
(
ゆ
)
で
潰
(
つぶ
)
した
蔬菜
(
そさい
)
であるが、この頃では
顎
(
あご
)
がうまく動かないとみえ、口からこぼしたりするので、ずいぶん時間がかかる。
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この本能を
潰
(
つぶ
)
して正論を掴みだすには確かに悪魔的な眼が必要で、女房や娘を
人身御供
(
ひとみごくう
)
にあげるくらいの決意がないと言いきれない。
咢堂小論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そして、
艶
(
なまめ
)
かしい
囁
(
ささや
)
きを囁きあったが、和尚の態度は夫人以上に醜悪なるものであった。李張はまず和尚を踏み
潰
(
つぶ
)
してやりたかった。
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
やってみるがいい。
請合
(
うけあ
)
い乗り
潰
(
つぶ
)
すから。柱が腐っているし、木戸もボロボロだ。よほど身軽な奴でも、この上に乗ると、大きな音を
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
二三人が押したら、すぐ
潰
(
つぶ
)
れそうな所であったが、甲陽鎮撫が、防禦陣地に関所の無いのは、格式にかかわるという風に考えていた。
近藤勇と科学
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
▼ もっと見る
なかでも、
波止場
(
はとば
)
の
人混
(
ひとご
)
みのなかで、押し
潰
(
つぶ
)
されそうになりながら、
手巾
(
ハンカチ
)
をふっている老母の姿をみたときは
目頭
(
めがしら
)
が熱くなりました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
スイスの一部では最後の
稈
(
わら
)
一
攫
(
つか
)
みを苅り取った人を麦の山羊と名付け、山羊然とその頸に鈴を付け、行列して伴れ行き酒で盛り
潰
(
つぶ
)
す。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そうしておれはいつのまにか好い気になって、お前の事よりも、おれの詰まらない夢なんぞにこんなに時間を
潰
(
つぶ
)
し出しているのだ……
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
私は
胆
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
しましたが、ひょっとすると、これはこの装置で見たことのある赤外線男ではないかしらと考えると、ゾーッとしました。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は半日を
丸善
(
まるぜん
)
の二階で
潰
(
つぶ
)
す覚悟でいた。私は自分に関係の深い部門の書籍棚の前に立って、隅から隅まで一冊ずつ点検して行った。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と屏風を開けて入り、其の人を見ると、秋月喜一郎という重役ゆえ、源兵衞は
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し、胸にぎっくりと
応
(
こた
)
えたが、
素知
(
そし
)
らぬ
体
(
てい
)
にて。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
癇癖
(
かんぺき
)
の強い、とても残忍な性質の家老があって、人を殺すことなぞ、虫ケラ一匹ひねり
潰
(
つぶ
)
すほどにも感じてはいなかったというのです。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
大方遊んでばかりいやがったのだろう、この
食
(
く
)
い
潰
(
つぶ
)
し
野郎
(
やろう
)
めッてえんでもって、釣竿を
引奪
(
ひったく
)
られて、
逃
(
に
)
げるところを
斜
(
はす
)
に
打
(
ぶ
)
たれたんだ。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
……
何處
(
どこ
)
ともなしに
見
(
み
)
る
内
(
うち
)
に、
潰
(
つぶ
)
しの
島田
(
しまだ
)
に
下村
(
しもむら
)
の
丈長
(
たけなが
)
で、
白
(
しろ
)
のリボンが
何
(
なん
)
となく、
鼈甲
(
べつかふ
)
の
突通
(
つきとほ
)
しを、しのぎで
卷
(
ま
)
いたと
偲
(
しの
)
ばれる。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此頃の
旱
(
ひでり
)
に
亀甲形
(
きつかふがた
)
に
亀裂
(
ひヾ
)
の
入
(
い
)
つた
焼土
(
やけつち
)
を踏んで、
空池
(
からいけ
)
の、日が
目
(
め
)
を
潰
(
つぶ
)
す計りに
反射
(
はんしや
)
する、白い大きな
白河石
(
しらかはいし
)
の橋の上に腰を
下
(
おろ
)
した。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
「や!」ときよろ/\して、「氣が變になるんじやないか。しつかりしろ、何でも
圧
(
お
)
し
潰
(
つぶ
)
せ!此様なことでへたばつて耐るか。こら。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
そう
言
(
い
)
って、
扉口
(
とぐち
)
を
出
(
で
)
る
拍子
(
ひょうし
)
に、ドシーン! と
鳥
(
とり
)
が
石臼
(
いしうす
)
を
頭
(
あたま
)
の
上
(
うえ
)
へ
落
(
おと
)
したので、おかあさんはぺしゃんこに
潰
(
つぶ
)
れてしまいました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
そうするには大学も何も
潰
(
つぶ
)
してしまって、世間をくら闇にしなくてはならない。
黔首
(
けんしゅ
)
を
愚
(
ぐ
)
にしなくてはならない。それは不可能だ。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
口を開けた古靴の群れの中に転げたマンゴ、光った石炭、
潰
(
つぶ
)
れた卵、膨れた魚の気胞の中を、
纏足
(
てんそく
)
の婦人がうろうろと廻っていた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
『
此
(
この
)
家
(
うち
)
を
燒
(
や
)
き
潰
(
つぶ
)
せ!』と
兎
(
うさぎ
)
の
聲
(
こゑ
)
。
愛
(
あい
)
ちやんは
精
(
せい
)
一ぱい
大
(
おほ
)
きな
聲
(
こゑ
)
で、『
其麽
(
そんな
)
事
(
こと
)
をすれば
玉
(
たま
)
ちやんを
使嗾
(
けしか
)
けるから
可
(
い
)
いわ!』と
叫
(
さけ
)
びました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
盜
(
と
)
らつた
上
(
うへ
)
に
恁
(
か
)
うして
暇
(
ひま
)
潰
(
つぶ
)
して、おまけに
分署
(
ぶんしよ
)
へ
出
(
で
)
て
怒
(
おこ
)
られたり
何
(
なに
)
つかすんぢや、こんな
詰
(
つま
)
んねえこたあ
滅多
(
めつた
)
ありあんせんかんね
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ドウしたってこの幕府と云うものは
潰
(
つぶ
)
さなくてはならぬ。
抑
(
そ
)
も今の幕政の
様
(
ざま
)
を見ろ。政府の御用と云えば、
何品
(
なにしな
)
を買うにも御用だ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
青年が色を変えて
駭
(
おどろ
)
いたことが、美奈子にもハッキリと感ぜられた。美奈子でさえ、あまりの駭きのために、胸が
潰
(
つぶ
)
れてしまった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
折くべ居る時しも此方の
納戸
(
なんど
)
共覺しき所にて何者やらん
夥多
(
おびたゞ
)
しく
身悶
(
みもだ
)
えして苦しむ音の聞ゆるにぞ友次郎は
膽
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し何事成んと耳を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
いま、多年
苛烈
(
かれつ
)
な
鞭
(
むち
)
の下に農奴を泣かせて富み栄えてきた祝家をここにぶッ
潰
(
つぶ
)
したのも、天に代ってしたものとしなければなりません。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし物を見たりする方は、いくらも時間のやり繰りが出来るので、正味の時間が
潰
(
つぶ
)
れることはないので、大変助かるのである。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
しかし、それでもまだ
棄
(
す
)
てられるほどではなかったが、間もなく
瘡
(
おでき
)
が出来て、それが
潰
(
つぶ
)
れて
牀席
(
ねどこ
)
をよごしたので、とうとう
逐
(
お
)
い出された。
翩翩
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
赤沢病院が
潰
(
つぶ
)
れようと潰れまいとそのようなことにはとんとお構いなく、狭い垣の中で毎日それぞれの営みにせっせと励んでいたのだが
三狂人
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
いずれも表の構えは押し
潰
(
つぶ
)
したように
軒
(
のき
)
が
垂
(
た
)
れ、
間口
(
まぐち
)
が
狭
(
せま
)
いが、暖簾の向うに中庭の
樹立
(
こだ
)
ちがちらついて、離れ家なぞのあるのも見える。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
……いくら他人の秘密を預るのが商売の精神病医でも、これ程の秘密を
握
(
にぎ
)
り
潰
(
つぶ
)
すのは、容易な事であるまいと思いましたからね。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鳥の
喉
(
のど
)
から空気を吹込んで一時は空気枕のように
膨
(
ふく
)
れても口を離せば再び空気はシューと出てしまってちょうど
潰
(
つぶ
)
れた空気枕同様になる。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
堀を埋めまたは
潰
(
つぶ
)
れるに任せておいて後に水田に編入し、ついには後世の思想によって狭い館址ばかりの地名と考うるに至った。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
晴れた日の午後一時頃と記憶しているが、これも
随分
(
ずいぶん
)
ひどい揺れ方で、市内に
潰
(
つぶ
)
れ家もたくさんあった。百六、七十人の死傷者もあった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ふん。こいつらがざわざわざわざわ
云
(
い
)
っていたのは、ほんの昨日のようだったがなあ。
大抵
(
たいてい
)
雪に
潰
(
つぶ
)
されてしまったんだな。」
若い木霊
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
据えつけたんだから、どうしてもそれでやらなけりゃ面目が
潰
(
つぶ
)
れるって云うんで、幾度も幾度もなおすんだがね——無理なのさ
海浜一日
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
思い
懸
(
がけ
)
なく
閉籠
(
とじこめ
)
て
黒白
(
あやめ
)
も分かぬ
烏夜玉
(
うばたま
)
のやみらみっちゃな小説が出来しぞやと我ながら肝を
潰
(
つぶ
)
してこの書の巻端に序するものは
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
しかしながら、
独逸
(
ドイツ
)
の為すところを見れば、あたかも自己の武器を以て自己の命を
叩
(
たた
)
き
潰
(
つぶ
)
そうという発狂、
瘋癲
(
ふうてん
)
の境遇である。
大戦乱後の国際平和
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
絞殺したうえ顔面がめちゃめちゃに
叩
(
たた
)
き
潰
(
つぶ
)
してあって人相は分からないが、推定年齢二十四、五歳、身長五尺二寸、頭髪の濃い色白の女で
宝石の序曲
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
私は溝に落ちたときには
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
したが、その驚きもしずまると、こうして助ちゃんといっしょに湯に入ったことが珍らしくて
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
それだによって、己が暗い中から起きて、忙しい手間を一日
潰
(
つぶ
)
して、こうしてお前を馬に乗せて、連れて行くとこじゃねえか。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「生意気なことを言やあがる、手前見たような奴だ、こんなところで押し
潰
(
つぶ
)
される玉は! あんまり
強吐張
(
ごうつくば
)
りを言やあがると
後生
(
ごしょう
)
がないぞ」
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
吾人の住む社会は
暗澹
(
あんたん
)
たるものである。成功することこそ、まさに
潰
(
つぶ
)
れんとする腐敗より一滴また一滴としたたる教えである。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼はそれを嘴の中であっちこっち転がし回り、押しつけてみたり、
潰
(
つぶ
)
してみたり、まるで歯抜け
爺
(
じい
)
さんみたいに、
頻
(
しき
)
りに首をひねっている。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
故
(
ゆえ
)
にこれを改めて「汝らは友を敵に
交付
(
わた
)
して
掠奪
(
かすめ
)
に逢わしむ、しかして彼ら(友)の
子等
(
こども
)
は目
潰
(
つぶ
)
るべし」と訳する学者がある。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
映画館でたっぷり時間を
潰
(
つぶ
)
したりしたが、ある時は子供を
折檻
(
せっかん
)
するように
蒲団
(
ふとん
)
にくるくる
捲
(
ま
)
かれて、酒を呑んでいる
傍
(
そば
)
に
転
(
ころ
)
がされたりした。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
胆
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
したのは奥村八左衛門、「こんなべら棒ってあるもんか。白をもちながら先手を打ちおる」こうは思ったが相手が悪い。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
先頃の地震でいっそ一思いに
潰
(
つぶ
)
れるか、焼けるかしたら、借金してもバラック位新築せねばならなかったでしょうが、無理さすまいとてか
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
私達はしばらくそこで目を
潰
(
つぶ
)
っていた、目をつぶると、まるでここが深海の底でもあるかのように、何んの音もしなかった。
蝱の囁き:――肺病の唄――
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
近いうちに
潰
(
つぶ
)
れます、いま甲府では飛ぶ鳥を落すほどの御支配様だけれど、遠からず、お家をつぶされて、お預けになるか
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ひょっとすると、彼の通俗な魂は
勢逞
(
いさ
)
ましいだけに、智子が自分の大切にしている一つの性情を、幸福の形で圧し
潰
(
つぶ
)
してしまいそうに思われた。
明暗
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
潰
常用漢字
中学
部首:⽔
15画
“潰”を含む語句
崩潰
打潰
虱潰
潰走
胃潰瘍
押潰
潰瘍
目潰
暇潰
決潰
鋳潰
酔潰
隙潰
潰島田
眼潰
喰潰
潰裂
潰家
手間潰
全潰
...