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にぎりこぶし
ふりがな文庫
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握拳
(
にぎりこぶし
)” の例文
と言って、
握拳
(
にぎりこぶし
)
で腰をたたくのが、突着けて、ちょうど私の胸の処……というものは、あの、急な狭い坂を、
奴
(
やつ
)
は上の方に居るんだろう。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
左の手で
握拳
(
にぎりこぶし
)
を造つてごらん。すると、指のもとのところで拇指を除いたほかの四本の指は、一つづつ高いところと低いところと出来る。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
階段の
踏石
(
ふみいし
)
が
尻
(
しり
)
に冷たく、二人は近来
稀
(
まれ
)
な空腹を感じる。
欠伸
(
あくび
)
をしたり、
心窩
(
みぞおち
)
を
握拳
(
にぎりこぶし
)
で叩いたりして、その激しさを訴える。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
この和尚の、オホホという笑い方は、
握拳
(
にぎりこぶし
)
を口の中へ入れるのと同じように、余人に真似のできない愛嬌がある。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と何うしても
肯
(
き
)
きません、酒の上で気が立って居ります、一人が
握拳
(
にぎりこぶし
)
を振って打掛るを早くも身をかわし
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
併し運命がその後私を虐待したのです。あいつは
握拳
(
にぎりこぶし
)
で私を滅茶々々にこねまはしさへしたのです。だから今は私は
護謨毬
(
ゴムまり
)
のやうに堅く
頑固
(
ぐわんこ
)
になつてる積りですよ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
さっき八っちゃんがにこにこ笑いながら小さな手に碁石を
一杯
(
いっぱい
)
握って、僕が
入用
(
いら
)
ないといったのも僕は思い出した。その小さな
握拳
(
にぎりこぶし
)
が僕の眼の前でひょこりひょこりと動いた。
碁石を呑んだ八っちゃん
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
先刻
(
さっき
)
から
田圃
(
たんぼ
)
に呼びかわす男の子の声がして居たと思うたら、
闇
(
やみ
)
の門口から小さな影が二つ三つ四つ縁先にあらわれた。小さな
握拳
(
にぎりこぶし
)
の指の間から、ちら/\
碧
(
あお
)
い光を見せて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その列の尖端、つまり血の雫の落始まった処は、屍体よりも約五
呎
(
フィート
)
程の東寄にあって、其処には同じ一点に数滴の雫が、停車中の機関車の床から落ちたらしく雪の肌に
握拳
(
にぎりこぶし
)
程の
染
(
しみ
)
を作っている。
気狂い機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
競馬好きな馬博士は、「そこだ、そこだ」とばかりで、身を
悶
(
もだ
)
えて、左の手に持った山高帽子の上へ
頻
(
しきり
)
と
握拳
(
にぎりこぶし
)
の鞭をくれる。大佐は
薄鬚
(
うすひげ
)
を
掻※
(
かきむし
)
りました。今、源は百間ばかりも進んだのでしょう。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
清君はだまって
握拳
(
にぎりこぶし
)
をぎゅっとかためた。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
赫
(
かっ
)
となった赤熊が、
握拳
(
にぎりこぶし
)
を
被
(
かぶ
)
ると
斉
(
ひと
)
しく、かんてらが飛んで、
真暗
(
まっくら
)
に桜草が転げて
覆
(
かえ
)
ると、続いて、両手で頬を抱えて、爺さんは横倒れ。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、
盲人
(
めくら
)
は、政治の話をしだす。はじめは恐る恐る、しまいには誰はばからず。言葉につかえると、彼は杖を振りまわす。ストーヴの煙突へ
握拳
(
にぎりこぶし
)
をぶつけ、あわてて引っ込める。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
と鼻をすゝって
握拳
(
にぎりこぶし
)
で涙を拭きます心を察してか、お柳も涙ぐみまして
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
進は一つ頬張り乍ら、
軈
(
やが
)
て一つの
焼餅
(
おやき
)
を見せびらかすやうにして、『省吾の馬鹿——やい、やい。』と呼んだ。省吾は
忌々敷
(
いま/\しい
)
といふ様子。いきなり駈寄つて、弟の頭を
握拳
(
にぎりこぶし
)
で打つ。弟も利かない気。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
と
振向
(
ふりむ
)
き
状
(
ざま
)
に、ぶつきら
棒
(
ぼう
)
に
立
(
た
)
つて、
握拳
(
にぎりこぶし
)
で、
額
(
ひたい
)
を
擦
(
こす
)
つたのが、
悩乱
(
なうらん
)
した
頭
(
かしら
)
の
髪
(
かみ
)
を、
掻毮
(
かきむし
)
りでもしたさうに
見
(
み
)
えて、
煙
(
けむり
)
の
靡
(
なび
)
く
天井
(
てんじやう
)
を
仰
(
あふ
)
いだ。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「腕を、拳固がまえの
握拳
(
にぎりこぶし
)
で、二の腕の見えるまで、ぬっと象の鼻のように私の目のさきへ
突出
(
つきだ
)
した事があるんだからね。」
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
殊に人立の中のこと、
凹
(
へこ
)
まされた
面
(
つら
)
は
握拳
(
にぎりこぶし
)
へ
凸
(
なかだか
)
になって
顕
(
あら
)
われ、支うる者を三方へ振飛ばして、正面から門附の胸を
掴
(
つか
)
んだ。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「はっ、」と、
突掛
(
つっかか
)
る八ツ口の手を引張出して、
握拳
(
にぎりこぶし
)
で口の
端
(
はた
)
をポン、と
蓋
(
ふた
)
をする、トほっと
真白
(
まっしろ
)
な息を大きく吹出す……
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「来やがれ、さあ、
戸外
(
おもて
)
へ歩べ。
生命
(
いのち
)
を取るんじゃねえからな、
人通
(
ひとどおり
)
のある処が
可
(
い
)
いや、
握拳
(
にぎりこぶし
)
で坊主にして、お立合いにお目に掛けよう。来やがれ、」
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雪枝
(
ゆきえ
)
は
老爺
(
ぢゞい
)
に
此
(
これ
)
を
語
(
かた
)
る
時
(
とき
)
、
濠端
(
ほりばた
)
の
草
(
くさ
)
に
胡座
(
あぐら
)
した
片膝
(
かたひざ
)
に、
握拳
(
にぎりこぶし
)
をぐい、と
支
(
つ
)
いて
腹
(
はら
)
に
波立
(
なみた
)
つまで
気兢
(
きほ
)
つて
言
(
い
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
飛ぶやら
刎
(
は
)
ねるやら、やあ!と
踏張
(
ふんば
)
って両方の
握拳
(
にぎりこぶし
)
で押えつける者もあれば、いきなり三宝
火箸
(
ひばし
)
でも火吹竹でも宙で振廻す人もある——まあ一人や二人は
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真顔で言うのを聞きながら、判事は二ツばかり
握拳
(
にぎりこぶし
)
を横にして火鉢の
縁
(
ふち
)
を軽く
圧
(
おさ
)
えて、確めるがごとく
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「コリャ」とまた怒鳴って、満面の痘痕を
蠢
(
うごめ
)
かして、
堪
(
こら
)
えず、
握拳
(
にぎりこぶし
)
を挙げてその
横頬
(
よこづら
)
を、ハタと
撲
(
ぶ
)
った。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何處
(
どこ
)
から
繰出
(
くりだ
)
したか——まさか
臍
(
へそ
)
からではあるまい——
蛙
(
かへる
)
の
胞衣
(
えな
)
のやうな
管
(
くだ
)
をづるりと
伸
(
の
)
ばして、
護謨輪
(
ごむわ
)
に
附着
(
くツつ
)
けたと
思
(
おも
)
ふと、
握拳
(
にぎりこぶし
)
で
操
(
あやつ
)
つて、ぶツ/\と
風
(
かぜ
)
を
入
(
い
)
れる。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「これから、これへ、」と作平は
垢
(
あか
)
じみた細い
皺
(
しわ
)
だらけの
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
を
露出
(
むきだ
)
して、
握拳
(
にぎりこぶし
)
で仕方を見せる。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「へ、どんなもんで、」と今度は
水洟
(
みずばな
)
をすすり上げた
握拳
(
にぎりこぶし
)
、元気かくのごとくにしてかつ
悄然
(
しょうぜん
)
たり。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
其
(
そ
)
の
握拳
(
にぎりこぶし
)
で、
己
(
おの
)
が
膝
(
ひざ
)
を
礑
(
はた
)
と
打
(
う
)
つたが、
力
(
ちから
)
余
(
あま
)
つて
背後
(
うしろ
)
へ
蹌踉
(
よろ
)
ける、と
石垣
(
いしがき
)
も
天守
(
てんしゆ
)
も
霞
(
かすみ
)
に
揺
(
ゆ
)
れる。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
(不孝者!)といって、
握拳
(
にぎりこぶし
)
で
突然
(
いきなり
)
環をぶとうとしたから、私も
屹
(
きっ
)
となって、片膝立てて
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
紳士の
身体
(
からだ
)
は靴を刻んで、
揺上
(
ゆりあ
)
がるようだったが、ト松崎が留めたにもかかわらず、かッと
握拳
(
にぎりこぶし
)
で耳を
圧
(
おさ
)
えて、横なぐれに倒れそうになって、たちまち射るがごとく町を飛んだ。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すかりと
握拳
(
にぎりこぶし
)
の手を抜くと
斉
(
ひと
)
しく、列車の内へすっくと立って、日に焼けた
面
(
つら
)
は
瓦
(
かわら
)
の
黄昏
(
たそが
)
るるごとく色を変えながら、決然たる態度で、同室の御婦人、紳士の方々、と室内に向って
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
きょろんと立った
連
(
つれ
)
の男が、
一歩
(
ひとあし
)
返して、
圧
(
おさ
)
えるごとくに、
握拳
(
にぎりこぶし
)
をぬっと突出すと、今度はその顔を
屈
(
かが
)
み腰に仰向いて見て、それにも、したたかに笑ったが、またもや目を教授に向けた。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
旅僧
(
たびそう
)
はそういって、
握拳
(
にぎりこぶし
)
を両方
枕
(
まくら
)
に乗せ、それで額を支えながら
俯向
(
うつむ
)
いた。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「やれやれ
綺麗
(
きれい
)
な姉さんが台なしになったぞ。あてこともねえ、どうじゃ、切ないかい、どこぞ痛みはせぬか、お
肚
(
なか
)
は苦しゅうないか。」と自分の胸を頑固な
握拳
(
にぎりこぶし
)
でこツこツと叩いて見せる。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
旅僧
(
たびそう
)
は
然
(
さ
)
ういつて、
握拳
(
にぎりこぶし
)
を
両方
(
りやうはう
)
枕
(
まくら
)
に
乗
(
の
)
せ、
其
(
それ
)
で
額
(
ひたひ
)
を
支
(
さゝ
)
へながら
俯向
(
うつむ
)
いた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
答うる声も震えながら、「何がなし一件じゃ、これなりこれなり。」と、
握拳
(
にぎりこぶし
)
を鼻の上にぞ
重
(
かさね
)
たる、乞食僧の人物や、これを
痴
(
ち
)
と
言
(
いわ
)
むよりはたまた狂と言むより、もっとも魔たるに適するなり。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けばけばしく
真赤
(
まっか
)
な
禅入
(
ぜんにゅう
)
を、
木兎引
(
ずくひき
)
の木兎、で三寸ばかりの
天目台
(
てんもくだい
)
、すくすくとある上へ、大は
小児
(
こども
)
の
握拳
(
にぎりこぶし
)
、小さいのは
団栗
(
どんぐり
)
ぐらいな処まで、ずらりと乗せたのを、その
俯目
(
ふしめ
)
に、ト
狙
(
ねら
)
いながら
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その爺さんがね、見ると……その時、角兵衛という風で、頭を動かす……
坐睡
(
いねむ
)
りか、と思うと
悶
(
もが
)
いたんだ。
仰向
(
あおむ
)
けに
反
(
そ
)
って、両手の
握拳
(
にぎりこぶし
)
で、肩を
敲
(
たた
)
こうとするが、ひッつるばかりで手が動かぬ。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
丸官の
握拳
(
にぎりこぶし
)
が、時に、
瓦
(
かわら
)
の
欠片
(
かけら
)
のごとく、群集を打ちのめして
掻分
(
かきわ
)
ける。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
慶造は
言効
(
いいがい
)
なしとや、
握拳
(
にぎりこぶし
)
を膝に置き、
面
(
おもて
)
を犯さんず、意気組見えたり。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お船頭、御苦労じゃ、御苦労じゃ、お船頭と、
皆
(
みんな
)
握拳
(
にぎりこぶし
)
で拝んだだがね。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と言いかけて、無邪気に、
握拳
(
にぎりこぶし
)
で目を
圧
(
おさ
)
えて、
渠
(
かれ
)
は
落涙
(
らくるい
)
したのである。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
突懸
(
つっかか
)
り、端に居た
奴
(
やつ
)
は、くたびれた
麦藁帽
(
むぎわらぼう
)
を
仰
(
のけ
)
ざまに
被
(
かぶ
)
って、
頸窪
(
ぼんのくぼ
)
へ
摺
(
ず
)
り落ちそうに天井を
睨
(
にら
)
んで、
握拳
(
にぎりこぶし
)
をぬっと上げた、
脚絆
(
きゃはん
)
がけの
旅商人
(
たびあきんど
)
らしい風でしたが、
大欠伸
(
おおあくび
)
をしているのか、と見ると
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雪枝
(
ゆきえ
)
は
満面
(
まんめん
)
に
紅
(
くれなゐ
)
を
濯
(
そゝ
)
いで、
天守
(
てんしゆ
)
に
向
(
むか
)
つて
峯
(
みね
)
より
高
(
たか
)
く
握拳
(
にぎりこぶし
)
を
衝
(
つ
)
と
上
(
あ
)
げた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此方
(
こなた
)
は
屹
(
きっ
)
と二の腕から
条
(
すじ
)
を入れた
握拳
(
にぎりこぶし
)
を、一文字に
衝
(
つ
)
と
伸
(
の
)
した。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あ!」と一つ
握拳
(
にぎりこぶし
)
を口に突込むがごとく
言
(
ことば
)
を遮る。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
行詰った鼻の下へ、
握拳
(
にぎりこぶし
)
を
捻込
(
ねじこ
)
むように
引擦
(
ひっこす
)
って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いきなり鼻の先へ大きな
握拳
(
にぎりこぶし
)
を
突出
(
つきだ
)
した
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
弦光は猫板に
握拳
(
にぎりこぶし
)
を、むずと出して
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
握拳
(
にぎりこぶし
)
で、猫板ドンとやって
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
握
常用漢字
中学
部首:⼿
12画
拳
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
“握”で始まる語句
握
握飯
握手
握太
握緊
握〆
握り
握力
握占
握鮓