悲鳴ひめい)” の例文
うん。……まごまごしてゐるうちに自轉車は速くなる、ころぼたつて、もうころぶわけにもいかない、そこで助けてくれえと悲鳴ひめい
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
そのうちに、またたちまち悲鳴ひめいをあげて、せまいかごのなかくるした。あちらで、はやぶさが、こまどりをにらんでいたからです。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)
はたはたとスカートのひざをはらい、一足うしろにさがったとたん、きゃあっと悲鳴ひめいをあげてたおれた。落とし穴に落ちこんだのだ。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
とそこで、蛾次郎が大声おおごえばわったので、竹童はぎょッとして、かれの悲鳴ひめいをふせぐべく、思わず、おどしにつかんでいた火独楽ひごま
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こゝへつたお救小屋すくひごやへ、やみのは、わあツと泣聲なきごゑ、たすけて——と悲鳴ひめいが、そこからきこえて、幽靈いうれいあらはれる。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
でも、あの悲鳴ひめいは、はっきりありありとわたしには聞えたのですが。——そういうことは、まえにも一二度はあったのでした。
防空壕の人々の中からは、一せいに悲鳴ひめいと祈りとが起った。と、あまり遠くないところで、轟然ごうぜんたる爆発音が聞え、大地はびしびしと鳴った。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
海蛇うみへびは次郎を小わきにかかえて洞のなかから走りでた。それを、とりかえそうとケートは悲鳴ひめいをあげて海蛇にとりすがる。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
巡査じゅんさがシャツめがけてとびついていく。ヘンフリイはうしろからせまっていったが、したたか耳たぶのあたりをなぐりつけられて、悲鳴ひめいをあげた。
一声ひとこえするどい悲鳴ひめいをあげますと、そのまま、石のあいだにぱったりたおれて、じっと動かなくなってしまいました。
「いたいよう。ごめんなさいよう」とあげる田螺たにし悲鳴ひめい。それをやぶにゐた四十からがききつけて
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
これが毎日続いてきたんですから、丹波も悲鳴ひめいをあげて、これが口癖になるわけ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ある日庭を歩いて居ると、突然東の方からあらしの様な羽音はおとを立てゝ、おびただしい小鳥のむれ悲鳴ひめいをあげつゝ裏の雑木林ぞうきばやしに飛んで来た。と思うと、やがて銃声がした。小鳥はうまいものである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
悲鳴ひめいをあげて、へやのすみへ、ちぢこまってしまいました。
怪人と少年探偵 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
轟然ごうぜん一發いつぱつ彈丸だんぐわん悲鳴ひめいをあげて、前檣ぜんしやうかすつた。
八五郎は到頭悲鳴ひめいをあげてしまひました。
あとで、おやがらすがかえってきたが、留守るすあいだに、かわいい子供こどもを一、さらわれたとわかると、悲鳴ひめいをあげて大騒おおさわぎをしました。
高い木と子供の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、不意ふいをくったとんぼぐみ小姓こしょうたちは、旋風つむじにまかれたの葉のように、睥睨へいげいする大鷲おおわしはらの下で、こけつ、まろびつ、悲鳴ひめいをあげて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あひだ婦人ふじん心痛しんつう恐怖きようふはそも、をしぼるあせつて、くれなゐしづく垂々たら/\ちたとふ。くるしみまたきはまつて、ほとん狂亂きやうらんして悲鳴ひめいげた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
銃声がとどろく。硝子ガラスこわれる音。悲鳴ひめい途端とたんに又もや腰掛がぶうんとうなりを生じて美女の顔を目懸めがけて飛ぶ。これは美貌の男の防禦手段だった。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
するとふいに、あたりの深いしずけさのうちに、わたしははっきりと、「おおかみがきたよう!」という悲鳴ひめいを聞きました。
いっしょに悲鳴ひめいをあげたもの、げらげら笑いながら近よってくるもの、手をたたいてよろこぶもの、おどろいて声をのんでいるもの、そのさわぎのなかから
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
入口の酒場さかばにより集まって、がやがやとさわいでいた村の連中に、ホール、それからお手伝てつだいのミリーがけたたましい悲鳴ひめいをあげて、玄関げんかんのとびらをおしあけて
しかも、この芸当げいとうを七回もくりかえすのです。ニールスは悲鳴ひめいをあげ、ガンたちはさけびました。
主人が声援せいえんしたので、デカは思切ってワンと噛みにかゝったら、口か舌かをされたと見え、一声いっせい悲鳴ひめいをあげて飛びのき、それから限なく口から白泡しらあわを吐いて、一時は如何どうなる事かと危ぶんだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「アッ」と悲鳴ひめいとともに、船長があけにそまって倒れた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
それどころか、自分じぶんでぐるぐるとなわをなにかのえだきつけて、くるしまぎれに、ウエー、ウエーと悲鳴ひめいげているのでした。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
悲鳴ひめい! 叫喚きょうかん! 子をかばい、親をだいて、砂けむりをあげる人情地獄にんじょうじごく。それはおもても向けられない砂ほこりであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
病人びやうにんは七てんたうして悲鳴ひめいげるのが、むすめ背中せなかへぴつたりとむねをあてゝかたおさへてると、我慢がまん出来できる、といつたやうなわけであつたさうな。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ヒトミも東助も、悲鳴ひめいをあげるばかりであったが、そのうちに、二人のまわりは草と木とでとりまかれ、日光もさえぎられてしまった。密林の中にとじこめられたんだ。
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おかみさんは悲鳴ひめいをあげて、にげまどった。いすはおかみさんの背中せなかにぴたっとくっついた。
ゾーリンゲンはお父さんが買ってきたものだった。もしも、お母さんが笑っていなかったなら、日ごろ、こわいと教えられているゾーリンゲンである。大吉たちは悲鳴ひめいをあげたかもしれない。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「助けて、助けて!」ときぬをさく悲鳴ひめい
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
奥様おくさまやあ、』とんだ。ヒイとこれ悲鳴ひめいげるやうで、家内かない絞殺しめころされるさけびにこえる、たまりません。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれ足音あしおとをききつけると、くら物置ものおきなかから、うったえるように、すすりなくいぬ悲鳴ひめいがしました。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこへ向こうの草むらから、かんかーンとかねの音がひびき、ううッとうなられると、すっかり身の毛がよだって、骸骨の方が「たすけてくれ」と悲鳴ひめいをあげたくなるというのだった。
骸骨館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
悲鳴ひめいをあげて来たな、彼も遂に」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御殿ごてんづくりでかしづいた、が、姫君ひめぎみ可恐おそろしのみぎらひで、たゞぴきにも、よるひる悲鳴ひめいげる。かなしさに、別室べつしつねやつくつてふせいだけれども、ふせれない。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
子供こどもたちは、びっくりしてをみはったが、つぎにおそろしさのあまり、悲鳴ひめいをあげて
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
けたたましい悲鳴ひめいとともに、その放送はばたりとたえてしまったのである。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
却説さて大雷たいらいあと希有けうなる悲鳴ひめいいたよるきやくしとみけようとしたとき人々ひと/″\かほは……年月としつきながても眼前まのあたりるやうな、いづれもいしもつきざみなしたごときものであつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どこでていたか、ふいにくろねこがして、すずめをさらってげようとするのを、すばやく青服あおふくは、そのねこをねらってちました。ねこは悲鳴ひめいをあげ、屋根やねをつたって、姿すがたしました。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
「待ってくれ、待ってくれ」と雁金検事が悲鳴ひめいに近い声をあげた。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ひいツ、と魂消たまぎつて悲鳴ひめいげた、いとのやうなをんなこゑこだまかへしてぬまひゞいた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あっという悲鳴ひめいとともに、何やらゴトリと床に落ちる音がした。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
悲鳴ひめいににたケンのさけび声に、一同はおどろかされた。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
戸山少年の機械人間は、ついに悲鳴ひめいをあげたのである。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
突如、絹を裂くような悲鳴ひめい一声いっせい
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)