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中央
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まんなか
ふりがな文庫
“
中央
(
まんなか
)” の例文
丹那という土地は四方を高い山々で取囲まれていて、窪地の
中央
(
まんなか
)
に水田があって、その周囲に農家がチラホラとあるに過ぎなかった。
丹那山の怪
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
親方の禿頭の
中央
(
まんなか
)
に
生
(
は
)
えている事実を知っていたものは、事によると吾輩一人かも知れないのだから、トテモ証拠になりそうにない。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
中央
(
まんなか
)
に腰掛けて帽子を冠っている少年が橋本の正太、これが達雄、これが実、後に
襟巻
(
えりまき
)
をして立ったのが森彦などと話して聞かせた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
部屋の
中央
(
まんなか
)
の辺りに一基の朱塗りの
行燈
(
あんどん
)
が置いてあって、
熟
(
う
)
んだ
巴旦杏
(
はたんきょう
)
のような色をした燈の光が、畳三枚ぐらいの間を照らしていた。
鸚鵡蔵代首伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
座敷の
中央
(
まんなか
)
が、取片付けられるので、何かと思つたら、
年長
(
としかさ
)
な芸妓が三人三味線を
扣
(
ひか
)
へて入口の方に列んだ。市子が立つて踊が始まる。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
真黒に塗りたてた空の書割の
中央
(
まんなか
)
を大きく
穿抜
(
くりぬ
)
いてある
円
(
まる
)
い穴に
灯
(
ひ
)
がついて、
雲形
(
くもがた
)
の
蔽
(
おお
)
いをば糸で引上げるのが
此方
(
こなた
)
からでも
能
(
よ
)
く見えた。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
整然
(
きっちり
)
片附られた座敷の正面床の脇に、淋しく立掛られてある琴が、在らぬ主の
俤
(
おもかげ
)
を哀れに
偲
(
しの
)
ばせた、春日は
中央
(
まんなか
)
でじっと
四辺
(
あたり
)
を見廻して後
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
話の波が、また
中央
(
まんなか
)
へ
復
(
かへ
)
つて来た。が、頭を青々と
剃立
(
そりた
)
てた
生若
(
なまわか
)
い坊さんは、
勿体
(
もつたい
)
ぶつた顔にちよいと微笑を浮べただけで何とも答へなかつた。
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
胸の肉が膨らんでいて下の方へ手を当ててみると
肋骨
(
あばらぼね
)
の
中央
(
まんなか
)
の一番
終
(
しま
)
いが突出て
尖
(
とが
)
って、それで柔いのは若鳥の証拠です。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
夜になって雨が降りだして珍らしい
暴風雨
(
あらし
)
になったが、その暴風雨の中で山田家のあの
中央
(
まんなか
)
の
蟻
(
あり
)
の塔のある土蔵が
潰
(
つぶ
)
れた。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
前の机には書物が伏せてあった。この円い大きなテーブルの
中央
(
まんなか
)
には、僅かに一本の
蝋燭
(
ろうそく
)
が
点
(
とも
)
っているばかりであった。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
川の
中央
(
まんなか
)
頃には二つも三つも、水が少しの音もたてずに渦を卷いてゐた。棒切れとか、紙屑のやうなものが流れてくる。
防雪林
(旧字旧仮名)
/
小林多喜二
(著)
厨房
(
だいどころ
)
は
隅
(
すみ
)
から
隅
(
すみ
)
まで
烟
(
けむり
)
で一ぱいでした、
公爵夫人
(
こうしやくふじん
)
は
中央
(
まんなか
)
の三
脚几
(
きやくき
)
に
凭
(
よ
)
つて
坊
(
ぼ
)
ッちやんに
乳
(
ちゝ
)
を
飮
(
の
)
まして
居
(
ゐ
)
ました、それから
料理人
(
クツク
)
は
圍爐裡
(
ゐろり
)
の
彼方
(
むかふ
)
で
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
すると
山内
(
さんない
)
の方から、
二人曳
(
ににんびき
)
で威勢よく
駈
(
か
)
けて来た車が、
何
(
いず
)
れ注意をしたものだろうが、私はそれが耳にも入らず
中央
(
まんなか
)
に、ぽつりと立っていたので
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
二人は恰度橋の
中央
(
まんなか
)
へ来ていた——乞食は立ちどまって、もしや銅貨一枚でも残っていはしないかと思って
衣嚢
(
かくし
)
へ手をやったが、もう空っぽだった。
幻想
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
これまで薄暗い庭の片隅で、日光に向いた一方にだけ花をもっていた山茶花を、ことしの春先に日当りのいい
中央
(
まんなか
)
どころに移し植えたことがあった。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
誰だか来て居るようで、話声がしているけれど、
其様
(
そん
)
な事に頓着しては居られない。学校道具を座敷の
中央
(
まんなか
)
へ
抛
(
ほう
)
り出して置いて台所へ飛んで行くなり
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「あら! お危うございますわ。」と赤い前垂掛の女中姿をした芸者達に、追ひ纏はれながら、荘田勝平は庭の丁度
中央
(
まんなか
)
にある丘の上へ、登つて行つた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
圓道右に爲右衞門左に朗圓上人
中央
(
まんなか
)
に坐したまふて、圓道言葉おごそかに、此度
建立
(
こんりふ
)
なるところの生雲塔の一切工事川越源太に任せられべき筈のところ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
あの男の頸がその
中央
(
まんなか
)
辺に落ちれば、
否応
(
いなおう
)
なくちょうど
絞索
(
こうさく
)
のような形が、そこに出来上がってしまうでしょう。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それでまた引き返してもう一度俥屋にいってもっと委しく訊くと、その三軒の平家の
中央
(
まんなか
)
の家がそれだという。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
上に坂あり、登りて
住職
(
じゆうしよく
)
の墓所あり。かの
淵
(
ふち
)
より
出
(
いだ
)
したる
円石
(
まるいし
)
を
人作
(
じんさく
)
の石の
台
(
だい
)
の
脚
(
あし
)
あるにのせて
墓
(
はか
)
とす。
中央
(
まんなか
)
なるを
開山
(
かいさん
)
とし、左右に
次第
(
しだい
)
して廿三
基
(
き
)
あり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
そして、署長はじめ一同が唖然としている中を、部屋の
中央
(
まんなか
)
まで進んで来ると、両手をひろげながら云った。
海浜荘の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼処
(
あすこ
)
のうちの台所は、とても立派な、調理用ストーブが並んでいるし、井戸は坐っていて
酌
(
く
)
めるように、台所の
中央
(
まんなか
)
にあるし、料理は赤堀先生の高弟で、洋食は
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
もう一里も前に行つて居るといふ有様、若い者などがよく村の
中央
(
まんなか
)
で
邂逅
(
でつくは
)
して、石などを
投
(
はふ
)
りつけて
遣
(
や
)
る事が
幾度
(
いくたび
)
もある相だすが、中々一人や二人では
敵
(
かな
)
はない。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
真っ黒な人馬の横列が、
喊声
(
とき
)
をあげて、関ヶ原の
中央
(
まんなか
)
を掃きながら、
此方
(
こなた
)
へ殺到して来るのだった。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中央
(
まんなか
)
に庭を囲んで、そのまわりに、
桝型
(
ますがた
)
に、部屋が並んでいる様な作り方でしたから、随って屋根裏も、ずっとその形に続いていて、
行止
(
ゆきどま
)
りというものがありません。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
膝摩
(
ひざさす
)
り」というのは、
丑満
(
うしみつ
)
頃、人が四人で、床の間なしの八畳座敷の
四隅
(
よすみ
)
から、
各
(
おのおの
)
一人ずつ同時に
中央
(
まんなか
)
へ出て来て、
中央
(
まんなか
)
で四人出会ったところで、
皆
(
みんな
)
がひったり座る
一寸怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中央
(
まんなか
)
から取って
矮鶏
(
ちゃぼ
)
の
尾
(
おしり
)
の様な
形
(
なり
)
に致して
粋
(
すい
)
だという、
團十郎刈
(
だんじゅうろうがり
)
が
宜
(
よ
)
いとか
五分刈
(
ごぶがり
)
が
彼
(
あれ
)
が宜しいと、
粋
(
いき
)
な様だが團十郎が致したから團十郎刈と云うと、大層名が
善
(
よ
)
いが
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
額の両側から禿上って行く禿頭の、黒い髪が
中央
(
まんなか
)
に残っている前額部の形だった。併しそれも長続きはしなかった。赭い触角は両側から次第に黒い地帯を抱込んで行った。
黒い地帯
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
そして
中央
(
まんなか
)
の
所
(
ところ
)
がちょっと
折
(
お
)
れ
曲
(
まが
)
って、
斜
(
なな
)
めに
外
(
そと
)
に
出
(
で
)
るようになって
居
(
お
)
ります。
岩屋
(
いわや
)
の
所在地
(
しょざいち
)
は、
相当
(
そうとう
)
に
高
(
たか
)
い、
岩山
(
いはやま
)
の
麓
(
ふもと
)
で、
山
(
やま
)
の
裾
(
すそ
)
をくり
抜
(
ぬ
)
いて
造
(
つく
)
ったものでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
でも一番たまらなかったのは、夫人の
旦那
(
だんな
)
様がじっと夫人のベットと赤ちゃんのベットとの
中央
(
まんなか
)
に石像か何かのようにつったって、二人の顔を見くらべてらしたときの顔ですわ。
或る探訪記者の話
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
若い腰元は庵室を覗いて見ますと、かの僧は室の
中央
(
まんなか
)
に静かに坐禅を組んでいました。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
三藏は道の
中央
(
まんなか
)
を通り乍ら左右を振返つて其行燈を見る。三味線の
音
(
ね
)
がところ/″\で響く。人がぞろ/\と其行燈の蔭を歩いてゐる。表を覗いてゐる女の影が櫺子の内からほのめく。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
何者かの手によってこうした室内の
中央
(
まんなか
)
に引き上げられて、下に見えるものは、初太郎の部屋から、開いている雨戸一枚の幅に黄色く流れ出て
庭上
(
にわ
)
に倒れている行燈の焔影だけである。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
さうして
厚
(
あつ
)
い
笠蒲團
(
かさぶとん
)
の
赤
(
あか
)
い
切
(
きれ
)
が
丸
(
まる
)
く
白
(
しろ
)
い
笠
(
かさ
)
の
中央
(
まんなか
)
に
黒
(
くろ
)
い
絎紐
(
くけひも
)
と
調和
(
てうわ
)
を
保
(
たも
)
つのである。おつぎの
笠蒲團
(
かさぶとん
)
は
赤
(
あか
)
や
黄
(
き
)
や
青
(
あを
)
の
小
(
ちひ
)
さな
切
(
きれ
)
を
聚
(
あつ
)
めて
縫
(
ぬ
)
つたのであつた。
然
(
しか
)
しおつぎの
帶
(
おび
)
だけは
古
(
ふる
)
かつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
其処で田園の
中央
(
まんなか
)
に家がある、構造は
極
(
きわ
)
めて粗末だが一見米国風に出来ている、
新英洲
(
ニューイングランド
)
殖民地時代そのままという風に出来ている、屋根がこう
急勾配
(
きゅうこうばい
)
になって物々しい煙突が横の方に一ツ。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
何の気もなく見ると、
中央
(
まんなか
)
の
華奢
(
きゃしゃ
)
な車に盛装した高谷千代子がいる。地が雪のようなのに、
化装
(
よそおい
)
を
凝
(
こ
)
らしたので顔の輪廓が分らない、ちょいと私の方を見たと思うとすぐ顔をそむけてしもうた。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
疲れた様な足つきの婆さんに
中央
(
まんなか
)
を歩かせて私はわきの草中を行く。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
不意に何か吾輩の
食指
(
ひとさしゆび
)
の
中央
(
まんなか
)
にポタリと落ちた冷たいものがある。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
人間の樹の
中央
(
まんなか
)
につけた
性
(
せい
)
の
果
(
このみ
)
を
蔽
(
おほ
)
ふのは
南洋館
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
揮
(
ふる
)
って
厚切
(
あつぎ
)
りの
一片
(
いっぺん
)
を
中央
(
まんなか
)
から切断した。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
廣間
(
ひろま
)
の
中央
(
まんなか
)
よりは
噴水
(
ふんすゐ
)
迸
(
ほとばし
)
り
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
老爺
(
おやぢ
)
はやをら
中央
(
まんなか
)
の
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
二階へ上ってみると六畳ばかりの床の間附の部屋の
中央
(
まんなか
)
に、花模様のメリンスの布団を敷いて、半裸体の女が大の字に寝かしてある。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それに、宿から借りて居た自炊の道具も皆返して了ふし、机も何もなくなつてるし、薄暗い室の
中央
(
まんなか
)
に此不具な僕が一人坐つてるのでせう。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ヒュウと悲しい音を立てて、
空風
(
からかぜ
)
が吹いて通る。跡からカラカラに乾いた往来の
中央
(
まんなか
)
を、
砂烟
(
すなけぶり
)
が
濛
(
ぼっ
)
と力のない渦を巻いて、
捩
(
よじ
)
れてひょろひょろと行く。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ドロドロになった時火から
卸
(
おろ
)
してアイスクリームの器械がなければ半斤入位の茶筒へ入れて
蓋
(
ふた
)
をピタリとして、
米磨桶
(
こめとぎおけ
)
のような深い桶の
中央
(
まんなか
)
へ置いて
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
見物が
又
(
また
)
騒
(
さわ
)
ぐ。
真黒
(
まつくろ
)
に
塗
(
ぬ
)
りたてた空の
書割
(
かきわり
)
の
中央
(
まんなか
)
を大きく
穿抜
(
くりぬ
)
いてある
円
(
まる
)
い穴に
灯
(
ひ
)
がついて、
雲形
(
くもがた
)
の
蔽
(
おほ
)
ひをば糸で
引上
(
ひきあ
)
げるのが
此方
(
こなた
)
からでも
能
(
よ
)
く見えた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そこは奥行約二十メートル、高さ二メートルほどの可成り広い
室
(
へや
)
だったが、その
中央
(
まんなか
)
に、素足に
木履
(
サボ
)
を穿いて革服を着こんだモッフが黙然と突立っていた。
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
央
常用漢字
小3
部首:⼤
5画
“中央”で始まる語句
中央部
中央線
中央公論
中央火口丘
中央程
中央公園
中央新聞
中央墓地
中央支那
中央政府