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鴨
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かも
ふりがな文庫
“
鴨
(
かも
)” の例文
「もしわたしのようなものはおしどりにしていただけないなら、
鴨
(
かも
)
にでも
鳰
(
にお
)
にでもしていただいてあなたのおそばにまいりましょう。」
おしどり
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
「
売僧
(
まいす
)
、ちん
鴨
(
かも
)
の
座興
(
ざきょう
)
にしては
折檻
(
せっかん
)
が過ぎようぞ、眉間傷が夜鳴き致して
見参
(
けんざん
)
じゃ。大慈大悲の
衣
(
ころも
)
とやらをかき合せて出迎えせい」
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
……そこへおまえさんという
鴨
(
かも
)
がかかったから、早速、馴じみの与力衆から手を廻して、今、わたしの出て来る前に、
離室
(
はなれ
)
でその取引さ
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
西風の夜のこの獲物は、
鴨
(
かも
)
が
葱
(
ねぎ
)
を背負ってきたようなものだった。うっかり
居睡
(
いねむ
)
りでもしていようものなら、逃げられてしまう
筈
(
はず
)
だった。
人間灰
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、
花簪
(
はなかんざし
)
が傾いたり、だらりの帯が動いたり、
舞扇
(
まひあふぎ
)
が光つたりして、
甚
(
はなはだ
)
綺麗
(
きれい
)
だつたから、
鴨
(
かも
)
ロオスを
突
(
つつ
)
つきながら、面白がて眺めてゐた。
京都日記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
いつのまにか、十五六羽の
鴨
(
かも
)
がおりていて、池の面を泳ぎまわったり、枯れた蓮のあいだから、けたたましく飛びたったりした。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかしその企ては何時までも実現されなかった。冬になると
鴨
(
かも
)
が
下
(
お
)
りるから、今度は一つ捕ってやろうなどといっていた。……
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あゝ、あの、
手遊
(
てあそ
)
びの
青首
(
あをくび
)
の
鴨
(
かも
)
だ、と
見
(
み
)
ると、
續
(
つゞ
)
いて、
追
(
お
)
ひ
状
(
さま
)
に
袖
(
そで
)
の
下
(
した
)
を
拔
(
ぬ
)
けたのは、
緋
(
ひ
)
に
黄色
(
きいろ
)
に、
艶々
(
つや/\
)
とした
鴛鴦
(
をしどり
)
である。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
御蛇
(
おんじゃ
)
が
池
(
いけ
)
にはまだ
鴨
(
かも
)
がいる。
高部
(
たかべ
)
や小鴨や大鴨も見える。冬から春までは幾千か
判
(
わか
)
らぬほどいるそうだが、今日も何百というほど遊んでいる。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
誰もゐない後の部屋では、からからと扇風機が鳴つてゐる。富岡に命じられて、ニウが冷いビールと
鴨
(
かも
)
の冷肉を大皿に盛りあはせて持つて来た。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
わりに正直な男で、
葱
(
ねぎ
)
を背負つて来た
鴨
(
かも
)
みたやうなはなし。こんな偶然事がまひこんで来ようとは、たつた今しがたまで予感もしなかつたことだ。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
石州はかつて湖沼の草木を思わせるように水盤に水草を生けて、上の壁には
相阿弥
(
そうあみ
)
の描いた
鴨
(
かも
)
の空を飛ぶ絵をかけた。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
池は心の字の形なり。
雁
(
がん
)
鴨
(
かも
)
鸂鶒
(
けいせき
)
群集し鯉鮒游泳して人の足声を聞て浮み出づ。島ありて雁の巣ありといふ。三橋を架す。社地は古の安楽寺の地なり。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
田の中の小道を行けば冬の溝川水少く草は大方に枯れ尽したる中に
蓼
(
たで
)
ばかりの
赤
(
あこ
)
う残りたる、とある処に古池の
蓮
(
はちす
)
枯れて
雁
(
がん
)
鴨
(
かも
)
の
蘆間
(
あしま
)
がくれに
噪
(
さわ
)
ぎたる
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
鴨
(
かも
)
のような羽色をしたひとつがいのほかに、純白の
雌
(
めす
)
が一羽、それからその「白」の
孵化
(
ふか
)
したひなが十羽である。
あひると猿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
一升、それに
鴨
(
かも
)
一羽などの手土産をさげて、よう! と言ってあらわれた時には、うれしいからな。本当に、この人生で最もたのしい瞬間かも知れない。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
鴨
(
かも
)
の流れは水音もなく、河原の小石を洗いながら、南に向かって流れていたが、取り忘れられた
晒
(
さら
)
し布が、二
筋
(
すじ
)
三筋河原に残って、白く月光を吸っていた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
鴨
(
かも
)
の河原には、
丸葉柳
(
まるはやなぎ
)
が芽ぐんでいた。その
礫
(
こいし
)
の間には、自然咲の
菫
(
すみれ
)
や、
蓮華
(
れんげ
)
が各自の小さい春を領していた。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
たいの
頭
(
かしら
)
があったり、
蒲鉾
(
かまぼこ
)
があったり、
鴨
(
かも
)
があったり、いろいろな材料がちらちら目について、大皿に盛られたありさまが、はなやかで、あれを食べよう
鍋料理の話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
「歌を詠む参考に水鳥の声をよく聞いときなさい。もう、
鴨
(
かも
)
も
雁
(
がん
)
も
鵜
(
う
)
も北の方へ帰る時分だから」と言った。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そういえば、毎年おりるお堀の
鴨
(
かも
)
が今年は一羽も浮かんでいない、これは
公方
(
くぼう
)
さまの凶事をしらせるものだ。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「そうね。また
鴨
(
かも
)
にしようというんだろうが、おれも家内のいるうちは、どじばかり踏んで
叱
(
しか
)
られたもんだが、このごろ少し性格に変化が来たようなんで。」
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
樹だちの幹の間から、源吉爺さんが、ふと池の面を眺めると、水の上には季節外れの
鴨
(
かも
)
が三羽降りていた。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
バタバタやってるのをわけもなく捉えたが、
鴨
(
かも
)
や
雉
(
きじ
)
と
異
(
ちが
)
って、真っ黒な烏じゃ、煮て食うわけにも行かねえ
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
鴨
(
かも
)
、
小鴨
(
こがも
)
、
山鳩
(
やまばと
)
、
兎
(
うさぎ
)
、
鷺
(
さぎ
)
、
五位鷺
(
ごいさぎ
)
、
鴛鴦
(
おしどり
)
なぞは五日目ないし六日目を食べ頃としますがその
中
(
うち
)
で鳩は腐敗の遅い鳥ですから七、八日目位になっても構いません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
此村に
潟
(
かた
)
あるゆゑ、水鳥
潟
(
かた
)
を
慕
(
した
)
ひてきたり、山の
凹
(
くぼみ
)
を
飛
(
とび
)
きたり、かならず天の網にかゝる。大抵は
𪃈
(
あぢ
)
といふ
鴨
(
かも
)
に
似
(
に
)
たる鳥也、
美味
(
びみ
)
なるゆゑ赤塚の
冬至鳥
(
とうじとり
)
とて
遠
(
とほ
)
く
称美
(
しようび
)
す。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
馬
(
うま
)
の
他
(
ほか
)
動物
(
どうぶつ
)
の
像
(
ぞう
)
には、
牛
(
うし
)
だとか
猿
(
さる
)
だとか
猪
(
ゐのしゝ
)
だとか、また
鴨
(
かも
)
や
鷄
(
にはとり
)
などもあり、なか/\
面白
(
おもしろ
)
いです。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
水鳥
(
みづどり
)
の
鴨
(
かも
)
の
羽
(
は
)
の
色
(
いろ
)
の
青馬
(
あをうま
)
を
今日
(
けふ
)
見
(
み
)
る
人
(
ひと
)
はかぎり
無
(
な
)
しといふ 〔巻二十・四四九四〕 大伴家持
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
鴨
(
かも
)
は列をつくって空高く飛びはじめ、
栗鼠
(
りす
)
の鳴く声が
山毛欅
(
ぶな
)
や
胡桃
(
くるみ
)
の林から聞えてくるし、
鶉
(
うずら
)
の笛を吹くようなさびしい声もときおり近くの麦の刈株の残った畑から聞えてきた。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ほら、この湖には、白鳥や、
雁
(
がん
)
や、
鴨
(
かも
)
が棲んでいましたし、土地の古老の話によると、あらゆる種類の鳥が無慮無数に
群棲
(
ぐんせい
)
していて、まるで雲のように空を飛んでいたそうです。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ひろいひろい大うねりの黒い波間には、小さな
鴨
(
かも
)
ほどの
海鴫
(
うみしぎ
)
が揺られ揺られて浮いたり沈んだり、
辷
(
すべ
)
ったり、落ちたりしている影も見た。何という落ちついた叡智の持主であったろう。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
大政
(
おほまつりごと
)
しげくして、西なる京へ君はしも、
御夢
(
みゆめ
)
ならでは
御幸
(
みゆき
)
なく、
比叡
(
ひえい
)
の朝は
霞
(
かす
)
む共、
鴨
(
かも
)
の夕風涼しくも、
禁苑
(
きんゑん
)
の月
冴
(
さ
)
ゆとても、鞍馬の山に雪降るも、御所の
猿辻
(
さるつじ
)
猿の
頬
(
ほ
)
に朝日は照れど
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
都は彼のよい
鴨
(
かも
)
で、せっかく所持品を奪ってみても中身がつまらなかったりするとチェッこの田舎者め、とか土百姓めとか
罵
(
ののし
)
ったもので、つまり彼は都に就てはそれだけが知識の全部で
桜の森の満開の下
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
住むべき家もないゆえ
鴨
(
かも
)
のように迷ってきてこの島に宿をもとめたのである。寂しいといえば都会の喧噪のうちにすこしの理解もない人びとの群にまじってるよりも寂しいことがあろうか。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
詩人
鴨
(
かも
)
ちやん。いゝかげんに話を切りあげて、こつちへいらつしやい。
世帯休業
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
かゝる
孤島
(
はなれじま
)
の
事
(
こと
)
だから、
御馳走
(
ごちさう
)
は
無
(
な
)
いがと
大佐
(
たいさ
)
の
言譯
(
いひわけ
)
だが、それでも、
料理方
(
れうりかた
)
の
水兵
(
すいへい
)
が
大奮發
(
だいふんぱつ
)
の
由
(
よし
)
で、
海鼈
(
すつぽん
)
の
卵子
(
たまご
)
の
蒸燒
(
むしやき
)
や、
牡蠣
(
かき
)
の
鹽煑
(
しほに
)
や、
俗名
(
ぞくめう
)
「イワガモ」とかいふ
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
澤山
(
たくさん
)
居
(
を
)
る
鴨
(
かも
)
に
似
(
に
)
て
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
九州のムダと同じ語であるらしい。
根子掘
(
ねこぼり
)
と称して泥炭を採る習慣、坂鳥または坂網といって
鴨
(
かも
)
を猟する生活なども、海岸の淡水漁業とともに、かくのごとくにして潟の周囲の地に起ったのである。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「
一体
(
いったい
)
君
(
きみ
)
はどういう
種類
(
しゅるい
)
の
鴨
(
かも
)
なのかね。」
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
今朝もまた、青首(
鴨
(
かも
)
)が来ている。
暴風雨に終わった一日
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
鴨
(
かも
)
の中の一つの鴨を見てゐたり
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
水鳥
(
みずとり
)
の
鴨
(
かも
)
が
降
(
お
)
り
著
(
つ
)
く島で
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
遠いところで
鴨
(
かも
)
が
啼
(
な
)
き
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「
鴨
(
かも
)
だよ、あれは」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
これは窮鳥どころか願ってもない
鴨
(
かも
)
がかかって来たわい——と馬春堂は一も二もなく承知して、思わずその晩の酒を過ごしました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうなんですが、その
鴨
(
かも
)
艇長がきょうは姿を見せなかったのですから、ふしぎです。かれは病気でも、こんな重大なときには、われわれを
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「もうやめだやめだ、こんなこといってると、
鴨
(
かも
)
に笑われる。おとよさん省さん、さあさあ蛇王様へ
詣
(
まい
)
ってきましょう」
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
僕「これですか? これは『
方丈記
(
はうぢやうき
)
』ですよ。僕などよりもちよつと偉かつた
鴨
(
かも
)
の
長明
(
ちやうめい
)
と云ふ人の書いた本ですよ。」
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「みんな貰っておこう」妻のほうへ聞えるようにかれはそう云った、「……それから弥五、おまえ正月の
鴨
(
かも
)
を持って来なかったようだがどうしたのだ」
日本婦道記:尾花川
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
廿二日 雪雲
終
(
つい
)
に雪を
醸
(
かも
)
してちらちらと夜に入る。
虚舟
(
きょしゅう
)
鴨
(
かも
)
を風呂敷に包みて持て来る。
盥
(
たらい
)
に浮かせて室内に置く。
雲の日記
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
全く死滅しないまでも
山椒魚
(
さんしょううお
)
か
鴨
(
かも
)
の
嘴
(
はし
)
のような珍奇な存在としてかすかな生存をつづけるに過ぎないであろう。
俳句の型式とその進化
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“鴨(カモ)”の解説
カモ(鴨、鳧、en: Duck)とは、カモ目カモ科の鳥類のうち、雁(カリ)に比べて体が小さく首があまり長くないものの総称。分類学上のまとまった群ではない。冬羽(繁殖羽)では雄と雌で色彩が異なるが、カルガモのようにほとんど差がない種もある。
(出典:Wikipedia)
鴨
漢検準1級
部首:⿃
16画
“鴨”を含む語句
鴨跖草
鴨緑江
家鴨
真鴨
鴨居
鴨川
野鴨
小鴨
鴨東
鴨頭草
鴨緑
黒鴨
鴨下
鴨嘴
黒鴨仕立
鴨脚
秋沙鴨
味鴨
間鴨
巣鴨
...