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かどぐち
ふりがな文庫
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門口
(
かどぐち
)” の例文
そのうちに
馴染
(
なじみ
)
の芝居茶屋の若い者や劇場の
出方
(
でかた
)
などが番附を配って来る。それは郵便のように
門口
(
かどぐち
)
から投げ込んでゆくのではない。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
摂政家の公子 ある時の事、私が天和堂の
門口
(
かどぐち
)
に立って居りますと一人の貴族が
下僕
(
しもべ
)
を連れてこちらの方向に向いてやって来ました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
牡丹燈記の話は、
明州
(
めいしゅう
)
即ち今の
寧波
(
にんぽう
)
に
喬生
(
きょうせい
)
と云う
妻君
(
さいくん
)
を無くしたばかしの
壮
(
わか
)
い男があって、正月十五日の
観燈
(
かんとう
)
の晩に
門口
(
かどぐち
)
に立っていた。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それは、ただよその
家
(
うち
)
の
門口
(
かどぐち
)
に取りつけた小さい牛乳受けを、自分の顧客の
家
(
うち
)
の門口へおきかえるという簡単な仕事で出来たのだ。
青玉の十字架
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
私が勢のいゝ返事をすると、おふさは子供のやうな笑顏をして
下
(
お
)
りて行つたが、それから大分
經
(
た
)
つても容易に
門口
(
かどぐち
)
の
鈴
(
りん
)
の音がせぬ。
金魚
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
▼ もっと見る
もっとも私が彼女の
門口
(
かどぐち
)
を推した時には、
最早
(
もう
)
、犬は血の泡の中に頭を投げ出して、眼をウッスリと見開いているだけであったが
冗談に殺す
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
牛
(
うし
)
は、百
姓
(
しょう
)
を
乗
(
の
)
せて、
暗
(
くら
)
い
道
(
みち
)
をはうように
雪
(
ゆき
)
の
降
(
ふ
)
る
中
(
なか
)
を
歩
(
ある
)
いていきました。
夜
(
よ
)
が
更
(
ふ
)
けてから、
牛
(
うし
)
は、
我
(
わ
)
が
家
(
や
)
の
門口
(
かどぐち
)
にきて
止
(
と
)
まりました。
百姓の夢
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
どうもひとのうちの
門口
(
かどぐち
)
に立って、もしもし今晩は、私は旅の者ですが、日が暮れてひどく困ってゐます。今夜一晩泊めて下さい。
楢ノ木大学士の野宿
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
と南蛮屋の
門口
(
かどぐち
)
から、一人の小男がすべり出た。ほかでもない
早引
(
はやびき
)
の忠三、ひどく機嫌が悪いとみえ、口小言をいいながら走り出した。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さて、すっかり
身支度
(
みじたく
)
がおわると、バタバタ窓をしめて、かれもこの家を立ちかけたが、
門口
(
かどぐち
)
でフイと一つの忘れ物を思いだした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「会うも会わないもあるものか、俺にそんな見識があるわけはない。若い娘さんを岡っ引の
門口
(
かどぐち
)
に立たせておく奴があるものか」
銭形平次捕物控:147 縞の財布
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
門口
(
かどぐち
)
で別れて、瀬戸は神田の方へ
行
(
ゆ
)
く。倶楽部へ来たときから、一しょに話していた男が、跡から足を早めて追っ駈けて行った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
安井
(
やすゐ
)
は
門口
(
かどぐち
)
へ
錠
(
ぢやう
)
を
卸
(
おろ
)
して、
鍵
(
かぎ
)
を
裏
(
うら
)
の
家
(
うち
)
へ
預
(
あづ
)
けるとか
云
(
い
)
つて、
走
(
か
)
けて
行
(
い
)
つた。
宗助
(
そうすけ
)
と
御米
(
およね
)
は
待
(
ま
)
つてゐる
間
(
あひだ
)
、
二言
(
ふたこと
)
、
三言
(
みこと
)
、
尋常
(
じんじやう
)
な
口
(
くち
)
を
利
(
き
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
子供たちはいつも、水車のところから少し廻りみちして、文六ちゃんを、その家の
門口
(
かどぐち
)
まで送ってやることにしていました。
狐
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
二月の朝早くのことで、あの人が仕事に出かけようとするとちゅうで、赤んぼうの
泣
(
な
)
き
声
(
ごえ
)
を聞いて、おまえをある庭の
門口
(
かどぐち
)
で拾って来たのだ。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
ところが、大杉氏はあの通りの社会主義者なので、家にゐる時には、いつも警察の尾行巡査がやつて来て、
門口
(
かどぐち
)
で張番をする事になつてゐる。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
これを
機会
(
しお
)
に立去ろうとして、振返ると、荒物屋と
葭簀
(
よしず
)
一枚、
隣家
(
りんか
)
が
間
(
ま
)
に合わせの郵便局で。
其処
(
そこ
)
の
門口
(
かどぐち
)
から、すらりと出たのが例のその人。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
門口
(
かどぐち
)
の方からがや/\といふ人声がするので行つて見ると、新進作家の矢車凡太と波野大吉と、早稲田と帝大の学生である谷口三治、小原一郎
五月六日
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
搗てて加へて、どの家の
門口
(
かどぐち
)
からもおつそろしく
不快
(
いや
)
な惡臭が流れて來るので、おれは鼻を押へて大急ぎに駈け拔けた。
狂人日記
(旧字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
彼は、
門口
(
かどぐち
)
を出ると母屋と土蔵との間の、かびくさい路地に這入って、暫くそこに
佇
(
たたず
)
んだ。それから路を更に奥にぬけて、庭の築山のかげに出た。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
親類呼ばわりをして来たものを
門口
(
かどぐち
)
から追い返すものもあれば、赤の他人でもずいぶん
因縁
(
いんねん
)
ずくで力にもなったりなられたりするものもあります。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
向いの家の
門口
(
かどぐち
)
には、女中が二三人出て、何か話して笑っている。向いの家の窓が明いて、若い上さんが、自分と同じように顔を出して外を見る。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
浅ましとは思へど、
逐
(
お
)
ひて去らしむべきにあらず、又
門口
(
かどぐち
)
に居たりとて人を騒がすにもあらねば、とにもかくにも手を着けかねて
棄措
(
すておか
)
るるなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
と
間
(
ま
)
もなく
横山町辺
(
よこやまちょうへん
)
の提灯をつけた
辻駕籠
(
つじかご
)
一梃
(
いっちょう
)
、飛ぶがように
駈来
(
かけきた
)
って
門口
(
かどぐち
)
に
止
(
とどま
)
るや否や、中から
転出
(
まろびいづ
)
る
商人風
(
あきうどふう
)
の男
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼の家の
門口
(
かどぐち
)
へ駈けこんだ時、良平はとうとう大声に、わつと泣き出さずにはゐられなかつた。その泣き声は彼の
周囲
(
まはり
)
へ、一時に父や母を集まらせた。
トロツコ
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
もう三時過ぎていたのに、近所のかみさんたちがぞろぞろ起きてきて、いつのまにか、
門口
(
かどぐち
)
に黒山を築いていた。
夏の夜の冒険
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
暗い外で客と話している
俥夫
(
しゃふ
)
の大きな声がした。間もなく、
門口
(
かどぐち
)
の
八
(
や
)
つ
手
(
で
)
の葉が
俥
(
くるま
)
の
幌
(
ほろ
)
で揺り動かされた。俥夫の持った
舵棒
(
かじぼう
)
が玄関の石の上へ降ろされた。
赤い着物
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
それにまた「すぐ忘れてしまう」という先祖伝来の宝物が利き目をあらわし、ぶらぶら歩いて酒屋の
門口
(
かどぐち
)
まで来た時にはもうすこぶる元気なものであった。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
八月も半ばになりますと、つばめは
木曾谷
(
きそだに
)
の空を帰って行きます。姉の家の
門口
(
かどぐち
)
へもつばめはあいさつに来て
力餅
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私は
其
(
その
)
日のお昼飯を平生の半分の時間も使はず済ませて、急いで加賀田さんの
門口
(
かどぐち
)
まで行きますと、もうおみきさんは
先刻
(
さつき
)
から待つて居たと云ふのでした。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
肩
(
かた
)
に
掛
(
かけ
)
門口
(
かどぐち
)
へ出る所へ獨りの
男
(
をとこ
)
木綿
(
もめん
)
の
羽織
(
はおり
)
に
千種
(
ちくさ
)
の
股引
(
もゝひき
)
風呂
(
ふろ
)
しき
包
(
づつ
)
みを
脊負
(
せおひ
)
し人立止りて思はずも
店
(
みせ
)
に
並
(
なら
)
べし水菓子の
價
(
あたひ
)
を聞ながら
其所
(
そこ
)
に居たりし道之助を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
山田の
門口
(
かどぐち
)
まで迎いに来ていたのは進藤孝子という仲のよい友達で、その女の生家も、鶴岡市の医者だった。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それから二タ月ほど経って、いよいよ重態となったと聞いて
門口
(
かどぐち
)
まで見舞に行ったが、その時は最うドッと
枕
(
まくら
)
に
就
(
つ
)
いて普通の見舞人には面会を謝絶していた。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そのとき
門口
(
かどぐち
)
に人の声がし、お豊が出ていった。三平という(いつかの)男らしい。
暫
(
しばら
)
く低い声でなにか話していたが、そのうちに小さな子供の声がまじった。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
皆のものが期せずして
門口
(
かどぐち
)
まで駈け出しました。そして、暗い町の左右を眺めながら、あちらへ逃げた、こちらへ逃げたと、下らない
評定
(
ひょうじょう
)
に時を移したものです。
盗難
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ルーテルの幼きや、胡弓を人の
門口
(
かどぐち
)
に弾じて以て
自
(
みずか
)
ら給す、弾じ終りて家人の物を与えんとするや、彼れ
乍
(
たちま
)
ち赤面して
遁
(
のが
)
れ去れり。彼
何
(
な
)
んぞかくの如く小心なる。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
車上
(
しやじやう
)
の
人
(
ひと
)
は
目早
(
めばや
)
く
認
(
みと
)
めて、オヽ
此處
(
こゝ
)
なり
此處
(
こゝ
)
へ
一寸
(
ちよつと
)
と
俄
(
にはか
)
の
指圖
(
さしづ
)
に
一聲
(
いつせい
)
勇
(
いさ
)
ましく
引入
(
ひきい
)
れる
車
(
くるま
)
門口
(
かどぐち
)
に
下
(
お
)
ろす
梶棒
(
かぢぼう
)
と
共
(
とも
)
にホツト
一息
(
ひといき
)
内
(
うち
)
には
女共
(
をんなども
)
が
口々
(
くち/″\
)
に
入
(
い
)
らつしやいまし。
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と、
門口
(
かどぐち
)
に一人の青年がまじまじと突っ立っていた。例の鼠の
裸児
(
はだかご
)
がそのまま生長して大きくなったような顔の皮膚の
薄紅
(
うすあか
)
であった。黄の軍服に紺の軍帽をかぶっていた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
下の入口から中は暗くて見
透
(
す
)
かされないが、やはり小さい卓の
四
(
よ
)
つ
五
(
いつ
)
つは土間に置かれてあるやうである。それから
門口
(
かどぐち
)
に藤棚のやうにして藪からしが
沢山
(
たくさん
)
這
(
は
)
はせてある。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
鼻の
尖頭
(
あたま
)
へ汗をかき、
天窓
(
あたま
)
からポツポと
煙
(
けむ
)
を出し、
門口
(
かどぐち
)
へ
突立
(
つツた
)
つたなり物も
云
(
い
)
ひません。女房
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「今月はいかがでした」などと、
門口
(
かどぐち
)
でお目にかかるとお話をしました。兄から、「お前も小出さんへ伺って御覧」などといわれて、一、二度お訪ねしたことがありました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
屏風
(
びょうぶ
)
を立てたるが如き処を
安々
(
やすやす
)
と登りて、医師の
門口
(
かどぐち
)
まで来りて掻き消すが如くに失せたり。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
するとある日、多分村に帰ってから四、五日経った頃だったろう、ぼんやりと大家の
門口
(
かどぐち
)
に立っていると、以前の学校友達が二、三人、
籠
(
かご
)
を背負って
鎌
(
かま
)
をもって登って来た。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
綺麗
(
きれい
)
な着物を着て、そのお家の
門口
(
かどぐち
)
に出て、お得意そうに長い
袂
(
たもと
)
をひらひらさせて遊んでいるのに、うちの子供たちは、いい着物を戦争中に皆焼いてしまったので、お盆でも
おさん
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そして靴を
履
(
は
)
いて一旦
門口
(
かどぐち
)
へ出たが、なにを思ったかまた部屋に引返してきて、押入の中をゴソゴソやっていたが、やがて妙な金具のついた太くて真黒な
洋杖
(
ステッキ
)
をひっぱりだすと
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
垢染んだ黒羽二重の袷を前下がりに着、へちまなりの図ぬけて大きな顎をぶらぶらさせ、
門口
(
かどぐち
)
に立ちはだかって、
白痴
(
こけ
)
が物乞するようなしまりのない声で呼んでいるのが、顎十郎。
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
吉岡も早速助役の後に続いたんですが、
門口
(
かどぐち
)
を出しなにチラッと奥を見ると、あの感じの陰気なその癖妙に可愛らしい娘は、まだ相変らず顔だけ出して、表の方を覗いていました。
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
いつも
門口
(
かどぐち
)
に来ると、杖のさきでぱっ/\と
塵
(
ごみ
)
を掃く真似をする。其
響
(
おと
)
を聞いたばかりで、安さんと
分
(
わか
)
った。「おゝそれながら……」と中音で
拍子
(
ひょうし
)
をとって戸口に立つこともある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「門標」の妻は、しばし立ちどまってそれを
眺
(
なが
)
めた。ひとりの男の命とすりかえられた小さな「名誉」を。その名誉はどこの家の
門口
(
かどぐち
)
をもかざって、恥をしらぬようにふえていった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
と云い云い立って幾らかの金を渡せば、それをもって
門口
(
かどぐち
)
に出で何やらくどくど押し問答せし末こなたに来たりて、
拳骨
(
げんこつ
)
で額を抑え、どうも済みませんでした、ありがとうござりまする
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
“門口”の意味
《名詞》
門口(かどぐち)
門から家の入り口まで。
物事の始まり。
(出典:Wiktionary)
門
常用漢字
小2
部首:⾨
8画
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
“門”で始まる語句
門
門出
門並
門司
門前
門附
門扉
門違
門跡
門松