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躍
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おど
ふりがな文庫
“
躍
(
おど
)” の例文
「……そうして
切
(
きり
)
の舞台に
閻魔
(
えんま
)
さまでも
躍
(
おど
)
らして地獄もこの頃はひまだという有様でも見せるかな……なるほど、これは面白そうだ」
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
勿論、
兇器
(
きょうき
)
は離さない。
上
(
うわ
)
の
空
(
そら
)
の足が
躍
(
おど
)
つて、ともすれば局の袴に
躓
(
つまず
)
かうとする
状
(
さま
)
は、
燃立
(
もえた
)
つ
躑躅
(
つつじ
)
の花の
裡
(
うち
)
に、
鼬
(
いたち
)
が狂ふやうである。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
もしか
敵役
(
かたきやく
)
でも出ようものなら熱誠を
籠
(
こ
)
めた
怒罵
(
どば
)
の声が場内に
充満
(
いっぱい
)
になる不秩序な
賑
(
にぎ
)
やかさが心も
躍
(
おど
)
るように思わせたのに違いない。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
まれには、
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
が、
波
(
なみ
)
の
上
(
うえ
)
を
静
(
しず
)
かに
照
(
て
)
らす
夜
(
よる
)
になってから、
感
(
かん
)
がきわまって、とつぜん
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
に
身
(
み
)
を
躍
(
おど
)
らしたものもあったのです。
明るき世界へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
自分の命令に従う小さなのでもありはすまいかと思って、胸を
躍
(
おど
)
らせながら横目で
窺
(
うかが
)
った。しかし雲は平然と左の方へ飛びつづけた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
薄暗がりの中に、たゞ灰一色に充満していた職工たちが——その集団が——悍しい肩と肩が、瞬間にクッキリと
躍
(
おど
)
り上った。誰かゞ
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
広い縁の向うに
泉水
(
せんすい
)
の見える部屋だ。庭いっぱい、
黄金
(
こがね
)
いろの液体のような日光が
躍
(
おど
)
って、
霜枯
(
しもが
)
れの草の葉が
蒼穹
(
あおぞら
)
の色を映している。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
米友はついに、後ろへ向けた籠の戸を充分にあけ払ってやると、はばたきをして、丸くなって、外の闇へ
躍
(
おど
)
り出してしまった鷲の子。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
牛丸平太郎が、
躍
(
おど
)
りあがってよろこんでいる姿を見つけて少年探偵団の、小玉、横光、田畑の三君が、
何事
(
なにごと
)
ならんとかけつけてきた。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
考えて考えて考え抜いた兄さんの頭には、血と涙で書かれた宗教の二字が、最後の手段として、
躍
(
おど
)
り叫んでいる事を知っていました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
藪入
(
やぶい
)
りの
小僧
(
こぞう
)
さん、学校帰りの
腕白
(
わんぱく
)
、中には色気盛りの若い衆までが「ここはお国を何百里」と、喜び勇んで、お馬の背中で
躍
(
おど
)
るのだ。
木馬は廻る
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこから赤裸になって
躍
(
おど
)
り出したところに、いかばかり特色のある山岳景を作り出したか、私は次にこれを言って見たいのである。
日本山岳景の特色
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
襖
(
ふすま
)
一つ隔てた隣室に眠っていた大川氏はこの声に目をさましいきなり枕元においてあったピストルを携えて隣室に
躍
(
おど
)
りこんだのである。
黄昏の告白
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
わたしは絶えず何ものかを心待ちにし、絶えず何ものかにびくびくし、見るもの聞くものに心を
躍
(
おど
)
らし、全身これ待機の姿勢にあった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
告示板を利用して女優が自分の名前を宣伝していた。妹が見合をするのに、もうお嫁に行った姉さんの方が、よけい胸を
躍
(
おど
)
らせていた。
橋
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
この口唱が一しきり済んで、娘達のまぼろしの一めぐりしたあとへ、屋敷内のありとあらゆる倉々の
俤
(
おもかげ
)
が彼の眼の前で
躍
(
おど
)
り始めた。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
ここまで読みかけると、万吉の胸が処女のように
躍
(
おど
)
った。彼にも足かけ十年
臥薪甞胆
(
がしんしょうたん
)
の事件がある。それへ一
縷
(
る
)
の
曙光
(
しょこう
)
を見出したのだ。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
池
(
いけ
)
のきれいな
藻
(
も
)
の
中
(
なか
)
へ、
女蛙
(
をんなかへる
)
が
子
(
こ
)
をうみました。
男蛙
(
をとこかへる
)
がそれをみて、
俺
(
おれ
)
のかかあ は
水晶
(
すいしやう
)
の
玉
(
たま
)
をうんだと
躍
(
おど
)
り
上
(
あが
)
つて
喜
(
よろこ
)
びました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
林泉奥深うして水
碧
(
あお
)
く砂白きほとり、鳥
啼
(
な
)
き、魚
躍
(
おど
)
つて、念仏、念法、念僧するありさま、
真
(
まこと
)
に
末世
(
まっせ
)
の
奇特
(
きどく
)
、
稀代
(
きたい
)
の浄地とおぼえたり。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
竿立ちになって
躍
(
おど
)
り上った二頭の早馬は、なんと剛気なことにも、二頭共々々揃いに揃って、あやかに
悩
(
なや
)
ましい
牝馬
(
めうま
)
なのでした。
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
と、どこから登って来たか、
爛々
(
らんらん
)
と眼を光らせた
虎
(
とら
)
が一匹、
忽然
(
こつぜん
)
と岩の上に
躍
(
おど
)
り上って、杜子春の姿を
睨
(
にら
)
みながら、一声高く
哮
(
たけ
)
りました。
杜子春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
月光
(
げつくわう
)
其
(
その
)
滑
(
なめ
)
らかなる葉の
面
(
おも
)
に落ちて、葉は
宛
(
さ
)
ながら
碧玉
(
へきぎよく
)
の
扇
(
あふぎ
)
と
照
(
て
)
れるが、
其上
(
そのうへ
)
にまた黒き
斑点
(
はんてん
)
ありてちら/\
躍
(
おど
)
れり。
李樹
(
すもゝ
)
の影の
映
(
うつ
)
れるなり。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
(とうとうまぎれ
込
(
こ
)
んだ、人の
世界
(
せかい
)
のツェラ高原の空間から天の空間へふっとまぎれこんだのだ。)私は
胸
(
むね
)
を
躍
(
おど
)
らせながら
斯
(
こ
)
う思いました。
インドラの網
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
異様なそうして貧弱な肉塊が突然土方に
躍
(
おど
)
りかかった。それが禅僧と分るまで、若者達の誰一人禅僧の存在に気付いた者がいなかったのだ。
禅僧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ミチは一気に浴槽から
躍
(
おど
)
り出し、薔薇色の肉体を夜明けの電燈の光に
晒
(
さ
)
らし、湯気に包まれた自分の腹を見下ろして、刺青の唐子を指さす。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
しかし、お竜ちゃんは、大きな、
無恰好
(
ぶかっこう
)
な数字が一めんに
躍
(
おど
)
っているような私の帳面の方は
偸見
(
ぬすみみ
)
さえもしようとはしなかった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
津村はその期待に胸を
躍
(
おど
)
らせつつ、晴れた十二月のある日の朝、
上市
(
かみいち
)
から
俥
(
くるま
)
を
雇
(
やと
)
って、今日私たちが歩いて来たこの街道を国栖へ急がせた。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
円道はじめ
一山
(
いっさん
)
の僧徒も
躍
(
おど
)
りあがって
歓喜
(
よろこ
)
び、これでこそ感応寺の五重塔なれ、あら嬉しや、我らが頼む師は当世に肩を比すべき人もなく
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
すると、腹をうたれたらしい一匹がもがいていると、他が危険をおかしてそれに
躍
(
おど
)
りかかり、
滅茶滅茶
(
めちゃめちゃ
)
に角で突いて殺してしまったのである。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
広巳は円木棒を
揮
(
ふ
)
って松山に
躍
(
おど
)
りかかった。松山はその
勢
(
いきおい
)
に
辟易
(
へきえき
)
して後すさりした。半ちゃんは半身を起しただけであった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
あたかも日本画が
僅少
(
きんしょう
)
の線を
以
(
もっ
)
て描きて自然物を
躍如
(
やくじょ
)
たらしむるが如く、数語を以て各動物を読者の前に
躍
(
おど
)
らせるのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
髪のある僧侶として自分を考えるには、彼の胸に
躍
(
おど
)
る血潮はあまりに
生々
(
なまなま
)
しく、彼の歩いて来た道はあまりに罪が深かった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
だから、非常にひよわなさかなのように思われているが、その実、鮎は
俎上
(
そじょう
)
にのせて頭をはねても、ぽんぽん
躍
(
おど
)
り上がるほど元気
溌剌
(
はつらつ
)
たる魚だ。
鮎の食い方
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
お代は腹立たしさに
躍
(
おど
)
り
込
(
こ
)
んで大原にしがみ付かんと思いしが
外
(
ほか
)
に立派なる老人の客あり、若き娘もその席に見ゆるとて心に幾分か
憚
(
はばか
)
る処あり。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
左内坂の近くへくると、ひどく胸が
躍
(
おど
)
って、思うように歩かれない。心では、飛んで行きたいほどに思うのだが、足のほうがいうことをきかない。
キャラコさん:09 雁来紅の家
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
(
視
(
み
)
よ、わが愛する者の姿みゆ。視よ、山をとび、
丘
(
おか
)
を
躍
(
おど
)
りこえ来る。わが愛する者は
獐
(
しか
)
のごとく、また小鹿のごとし)
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
國藏と森松は気も
顛倒
(
てんどう
)
して、物をも云わず
躍
(
おど
)
り上って飛出し、文治の顔を見るより、あッと腰を抜かしてしまいました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
陳字も少くはないが、皆先きを争い、遅るるを恐れるように彼の眼の中に
躍
(
おど
)
り上って来た。しかしそれに繋がっているのは士成の二字ではなかった。
白光
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
そして、その一夜こそは、どんなに好奇の心を
躍
(
おど
)
らせながら、灯の
瞬
(
またた
)
くキャンプの中に、一同とともに眠られぬ一夜を明かしたことであったろうか。
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
しかもその繊細さ、精妙さのうちに「もちあそび」といってしまえない「生命感」がやどっていた。堅実なしみ/″\した「生命感」が
躍
(
おど
)
っていた。
雷門以北
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
『もしかあの女は遠からず死ぬるのじゃアあるまいか』という一念が
電
(
いなずま
)
のように僕の心中最も暗き底に
閃
(
ひらめ
)
いたと思うと僕は思わず
躍
(
おど
)
り上がりました。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
眼
(
め
)
を
躍
(
おど
)
らせて四方を見廻した菊弥の眼に入ったのは、蔵の壁に沿って、こんもりと茂っている漆らしい藪であった。
鸚鵡蔵代首伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
真黒
(
まっくろ
)
く
日
(
ひ
)
に
焦
(
や
)
けた
躯
(
からだ
)
を
躍
(
おど
)
り
狂
(
くる
)
わせて
水
(
みず
)
くぐりをしているところはまるで
河童
(
かっぱ
)
のよう、よくあんなにもふざけられたものだと
感心
(
かんしん
)
される
位
(
くらい
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
旅への
誘
(
いざな
)
いが、次第に私の
空想
(
ロマン
)
から消えて行った。昔はただそれの表象、汽車や、汽船や、見知らぬ他国の町々やを、イメージするだけでも心が
躍
(
おど
)
った。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
その時背に負はれたるわれは、風に吹き
捲
(
ま
)
く
燄
(
ほのお
)
の偉大なる美に浮かれて、バイバイ(提灯のこと)バイバイと
躍
(
おど
)
り上りて喜びたり、と母は語りたまひき。
わが幼時の美感
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そこには黒い雲のような物があって飛ぼうとしていた。万は刀を以て
躍
(
おど
)
りかかってその一方の足を斬りおとした。
五通
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「紅子戯語」には当時の硯友社の生活が
活
(
い
)
けるが如くに描かれ、幹部の八人の
風丰
(
ふうぼう
)
動作が紙上に
躍
(
おど
)
り出している。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
お庄は芝居の書割りのなかに
誘
(
おび
)
き入れられたような心持で、走る俥の上にじッと坐っていられなくなった。ふわふわするような胸の血が軽く
躍
(
おど
)
っていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
黄金色
(
こがねいろ
)
に藻の花の咲く
入江
(
いりえ
)
を出ると、広々とした沼の
面
(
おも
)
、絶えて久しい
赤禿
(
あかはげ
)
の駒が岳が忽眼前に
躍
(
おど
)
り出た。東の肩からあるか無いかの
煙
(
けぶり
)
が
立上
(
のぼ
)
って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
この映画の
頂点
(
やま
)
はヒロインが舞台で衣裳をかなぐり捨てブロンドのかつらを叩きつけて煩わしい虚偽の世界から自由な真実の天地に
躍
(
おど
)
り出す場面であって
映画雑感(Ⅴ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
躍
常用漢字
中学
部首:⾜
21画
“躍”を含む語句
跳躍
雀躍
躍上
躍出
踴躍
踊躍
躍起
一躍
小躍
躍気
躍如
勇躍
躍込
活躍
躍入
躍蒐
遊躍
飛躍
欣喜雀躍
暗躍
...