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護
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まも
ふりがな文庫
“
護
(
まも
)” の例文
一生懸命にこの家を
護
(
まも
)
つたのだから、急にどいてくれと云はれても、どくところはないし、そんな事は、道に
外
(
は
)
づれてゐると云つた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
七、日軍肉迫すモンテ・カルロの
堅塁
(
けんるい
)
。金
鍍金
(
めっき
)
とルネッサンス式の唐草と、火・風・水・土の四人に神々に
護
(
まも
)
られた
華麗
(
けばけば
)
しき
賭博室
(
サル・ド・ジュウ
)
。
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ヴァイオリンを温かに右の
腋下
(
えきか
)
に
護
(
まも
)
りたる演奏者は、ぐるりと
戸側
(
とぎわ
)
に
体
(
たい
)
を
回
(
めぐ
)
らして、
薄紅葉
(
うすもみじ
)
を点じたる
裾模様
(
すそもよう
)
を台上に動かして来る。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
貪欲界
(
どんよくかい
)
の雲は
凝
(
こ
)
りて
歩々
(
ほほ
)
に厚く
護
(
まも
)
り、
離恨天
(
りこんてん
)
の雨は随所
直
(
ただち
)
に
灑
(
そそ
)
ぐ、
一飛
(
いつぴ
)
一躍出でては人の肉を
啖
(
くら
)
ひ、半生半死
入
(
い
)
りては我と
膓
(
はらわた
)
を
劈
(
つんざ
)
く。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
護
(
まも
)
っていることができれば、自分の郎党などは一人もなくなってもいいのですよ。どんなに自分らが強力な豪族になったっても、姫君を
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
その良心の
護
(
まも
)
りとなったということ、そういう地位や年齢に厚かましくなり切れなかった心を、私は二様の点から忘られないわけです。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
幸福を無事に
護
(
まも
)
りおほせた気持になりながら、彼女はスリッパアの音を立てて、その儘信一の横になつてゐる奥の方へ入つてしまつた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
ともすると風に吹き消されさうになる裸蝋燭を袖で
護
(
まも
)
りながら、一歩々々長い廊下を歩いて行くかれの
蒼白
(
あをじろ
)
い
鬚
(
ひげ
)
の深い顔が見えた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
水戸家の元
側用人
(
そばようにん
)
で、一方の統率者なる小四郎は騎馬の側に
惣金
(
そうきん
)
の馬印を立て、百人ほどの銃隊士に
護
(
まも
)
られながら中央の部隊を堅めた。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
保吉はこの宣教師に軽い敵意を感じたまま、ぼんやり空想に
耽
(
ふけ
)
り出した。——大勢の小天使は宣教師のまわりに読書の平安を
護
(
まも
)
っている。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
護
(
まも
)
りであり、愛の剣である。自他の生命のうえに、きびしい道徳の指標をおき、人間宿命の
解脱
(
げだつ
)
をはかった、哲人の道でもある。
宮本武蔵:01 序、はしがき
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「私も、観音様といっしょに、水にはいらせてください。観音様のおともをして、いつまでも、この
湖水
(
こすい
)
を
護
(
まも
)
りとうございます」
長彦と丸彦
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「お察し申す、礼などは
素
(
もと
)
よりいうに及ばぬ、これもみな貴殿御兄妹の孝心を、武道の神が
護
(
まも
)
られたのであろう、祝着に存ずる」
武道宵節句
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼女は他意あってそうするのではなくて、自分の物を
護
(
まも
)
りたいという女にありがちな浅はかな性質から、本能的に行なっていたのである。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
永い間
護
(
まも
)
って来た
堅固
(
けんご
)
な城壁も——海抜七千尺に近いこの高原を囲む
重畳
(
ちょうじょう
)
たる山岳も——空爆の前には何の頼みにもならなかったのである。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
城中の兵、眺め見て大将と認め、斬って出る者が多い。小林久兵衛前駆奮撃して重昌を
護
(
まも
)
るが、丸石落ち来って指物の旗を裂き
竿
(
さお
)
を折った。
島原の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
濡
(
ぬ
)
れた道を遠泳会の一行は
葛西川
(
かさいがわ
)
の
袂
(
たもと
)
まで歩いた。そこから放水路の水へ
滑
(
すべ
)
り
込
(
こ
)
んで、舟に
護
(
まも
)
られながら海へ下って行くのだ。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「ほんとですね。あなたは、ほんとに生きていらっしゃる。ああ、なんというありがたいことでしょう。神さまのお
護
(
まも
)
りです」
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
すわとばかりに
正行
(
まさつら
)
、
正朝
(
まさとも
)
、
親房
(
ちかふさ
)
の面々
屹
(
きっ
)
と
御輿
(
みこし
)
を
護
(
まも
)
って賊軍をにらんだ、その目は血走り
憤怒
(
ふんぬ
)
の
歯噛
(
はが
)
み、毛髪ことごとく
逆立
(
さかだ
)
って見える。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
汝の
癒
(
いや
)
しゝわが魂が汝の
意
(
こゝろ
)
にかなふさまにて肉體より解かるゝことをえんため、願はくは汝の賜をわが
衷
(
うち
)
に
護
(
まも
)
れ。 八八—九〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
そして私たちを哀れみ
護
(
まも
)
っていてくださるだろう。生きているうちに私の加えたあやまちは皆ゆるしていてくださるだろう。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
機關兵
(
きくわんへい
)
は
機關室
(
きくわんしつ
)
を
護
(
まも
)
り、
信號兵
(
しんがうへい
)
は
戰鬪樓
(
せんとうらう
)
に
立
(
た
)
ち、一
等
(
とう
)
、二
等
(
とう
)
、三
等
(
とう
)
水兵等
(
すいへいら
)
は
士官
(
しくわん
)
の
指揮
(
しき
)
の
下
(
した
)
に、
今
(
いま
)
引揚
(
ひきあ
)
げた
端艇
(
たんてい
)
を
收
(
をさ
)
めつゝ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「神さまがあなたを害と惡から
護
(
まも
)
つて下さいます。あなたを導き、慰め——あなたの今迄の私への親切に對して——いゝ報いを下さいます。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
番所には見廻り同心賀田
杢左衛門
(
もくざえもん
)
、土地の御用聞、赤城の藤八などが、
雁字
(
がんじ
)
がらめにした林彦三郎を
護
(
まも
)
って、
与力
(
よりき
)
の
出役
(
しゅつやく
)
を待っているのでした。
銭形平次捕物控:106 懐ろ鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そんな馬鹿なことがあるもんか。われわれの
護
(
まも
)
りたいのは正義だ。正義のあるところには必ず秩序が保たれる。正義は秩序に先んずるんだ。」
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
松は墓標の上に
翠蓋
(
すいがい
)
をかざして、黄ばみ
紅
(
あか
)
らめる桜の落ち葉点々としてこれをめぐり、近ごろ立てしと覚ゆる
卒塔婆
(
そとば
)
は
簇々
(
ぞくぞく
)
としてこれを
護
(
まも
)
りぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
再び大王殿下に
謁
(
えっ
)
す 暫く経って大王殿下は親兵百余人に前後を
護
(
まも
)
らせつつ内殿から出て大門の横に在る別殿に行かれた。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
主治医の伴さんは、きのふ以来帰宅せずに全く赤彦君の枕頭を
護
(
まも
)
られたのであつた。伴さんはかういふことを語られた。
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
それを
友
(
とも
)
だちのからすは、いたわるようにして、
前
(
まえ
)
になり、
後
(
あと
)
になりして、その
哀
(
あわ
)
れなからすを
護
(
まも
)
ってゆくのでした。
翼の破れたからす
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ロレ
南無
(
なむ
)
やフランシス
上人
(
しゃうにん
)
、
護
(
まも
)
らせられい! はれ、けったいな、
今宵
(
こよひ
)
此
(
この
)
老脚
(
らうきゃく
)
が
幾
(
いく
)
たび
墓穴
(
はかあな
)
に
蹉躓
(
けつまづ
)
いたことやら!……
誰
(
た
)
れぢゃ、そこにゐるのは?
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
やつとの事に寐かせ候ひしに、
近江
(
おうみ
)
のはづれまで不覚に眠り候て、案ぜしよりは二人の児は楽に候ひしが、私は
末
(
すえ
)
と三人を
護
(
まも
)
りて少しもまどろまれず
ひらきぶみ
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その頃、「真正」の九谷焼を
護
(
まも
)
る人々の間には、青絵と赤絵とが、
先
(
ま
)
ず試みられていた。特に赤絵の方が
盛
(
さかん
)
だった。
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
躄
(
いざり
)
なる彼は、好んで馬を急速に駆けさした。抜剣のうちに
護
(
まも
)
られて、落ち着いたいかめしい顔をして通っていった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
◯神の造り給いし万物に
囲繞
(
いじょう
)
されて我らは今既に神の
懐
(
ふところ
)
にある。我らは今神に
護
(
まも
)
られ、養われ、育てられつつある。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
五人の親子はどんどん押寄せて来る寒さの前に、小さく固まって身を
護
(
まも
)
ろうとする雑草の株のように、互により添って暖みを分ち合おうとしていたのだ。
小さき者へ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
驚いた私の前へ、続いて現れたのは、ガッチリ
捕縄
(
ほじょう
)
を掛けられた、船員らしい色の黒い
何処
(
どこ
)
となく凄味のある
慓悍
(
ひょうかん
)
な青年だ。二人の警官に
護
(
まも
)
られている。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
芝居にて
贔屓
(
ひいき
)
の
俳優
(
わざおぎ
)
みるここちしてうち
護
(
まも
)
りたるに、胸にそうびの自然花を
梢
(
こずえ
)
のままに着けたるほかに、飾りというべきもの一つもあらぬ水色ぎぬの
裳裾
(
もすそ
)
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その
実
(
み
)
を
犇
(
ひし
)
と
護
(
まも
)
らなん、その歌の一句を、私は深刻な苦笑でもって、再び
三度
(
みたび
)
、
反芻
(
はんすう
)
しているばかりであった。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
物質
(
ぶつしつ
)
の異同は有れど、
小偶像
(
せうぐうぞう
)
を作りて
禮拜
(
れいはい
)
の
目的物
(
もくてきぶつ
)
とし又は身の
護
(
まも
)
りとする事
野蠻未開人民
(
やばんみかいじんみん
)
中其例少しとせず。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
何福
(
かふく
)
乃
(
すなわ
)
ち営を
霊壁
(
れいへき
)
に移す。南軍の糧五方、
平安
(
へいあん
)
馬歩
(
ばほ
)
六万を
帥
(
ひき
)
いて之を
護
(
まも
)
り、糧を負うものをして
中
(
うち
)
に
居
(
お
)
らしむ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
人々は遠距離にありてだに
心
(
むね
)
に
傷
(
て
)
を負へるを、君は敵の陣地に入ることなれば、注意して自ら
護
(
まも
)
り給へといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その頃は巡査と云う人民の
安寧
(
あんねい
)
を
護
(
まも
)
ってくださる職務のものがございませんゆえに、強いもの勝ちで、無理が通れば道理
引込
(
ひっこ
)
むの
譬
(
たとえ
)
の通り、乱暴を云い掛けられても
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
刑事や
正服
(
せいふく
)
に
護
(
まも
)
られて、会社から二丁と離れてない自分の
家
(
うち
)
へ、帰ったのだった。そして負傷した
身体
(
からだ
)
を、二階で横たえてから、モウ五六日
経
(
た
)
った朝のことなのである。
眼
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
朝太郎が四歳になった秋の初めに、城下から代官様が大勢の家来に
空駕籠
(
からかご
)
を
護
(
まも
)
らせて、この淋しい村へやって来ました。村の人たちは胆をつぶして行列を見ていました。
三人の百姓
(新字新仮名)
/
秋田雨雀
(著)
時に身じろぎをしたと
覚
(
おぼ
)
しく、
彳
(
たたず
)
んだ僧の姿は、
張板
(
はりいた
)
の横へ揺れたが、ちょうど浜へ出るその二頭の猛獣に
護
(
まも
)
られた砂山の横穴のごとき入口を、幅一杯に
塞
(
ふさ
)
いで立った。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わたしたちを
護
(
まも
)
って下さる神の国のお役に立つならただでもこの島は差上げますが、やつらと来ては、わたしらはじめ同胞を踏んだり
蹴
(
け
)
ったりです、だから、わたしは
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
依
(
よ
)
ってこの手紙により私は
金力
(
きんりょく
)
を以って女性の人格的尊厳を無視する貴方に永久の
訣別
(
けつべつ
)
を告げます。私は私の個性の自由と尊貴を
護
(
まも
)
りかつ
培
(
つちか
)
うために貴方の
許
(
もと
)
を離れます。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しかも一方においては太子の御遺族たちが父君の精神を
護
(
まも
)
って厳然と存在していたのであった。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
蓋原文は
言語
(
ことば
)
に近く訳文は
言語
(
ことば
)
に遠ければなり、又本多作左が旅中家に送りし文に曰く「一
筆
(
ぴつ
)
申
(
もう
)
す火の
用心
(
ようじん
)
、
阿仙
(
おせん
)
泣
(
なか
)
すな、
馬
(
うま
)
肥
(
こや
)
せ」と火を
警
(
いまし
)
むるは家を
護
(
まも
)
る第一
緊要的
(
きんようてき
)
の事
松の操美人の生埋:01 序
(新字新仮名)
/
宇田川文海
(著)
宗祇の態度などは、それに十分善処しながら、歌風の上ではあくまで京極・冷泉末流の、ことに正徹の新古今風に対し、二条派の草庵体を
護
(
まも
)
ったものにほかならぬのである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
護
常用漢字
小5
部首:⾔
20画
“護”を含む語句
看護
庇護
護符
守護
擁護
冥護
救護
愛護
護謨
保護
護謨輪
聖護院
庇護者
影護
御加護
護謨樹
回護
護法胤
純護謨製
看護婦
...